YCAM開館20周年記念上映で三宅唱監督の映画「ケイコ 目を澄ませて」を観ました。
この映画で、主演の岸井ゆきのさんは、第46回日本アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。岸井さんの演技にある静かな迫力に魅了された作品でした。
映画のあらすじをSNSから引用します。
「生まれつきの聴覚障害により両耳とも聞こえないケイコ(岸井ゆきの)は、下町の小さなボクシングジムで日々練習に励んでいた。彼女はプロボクサーとしてリングに立ち続けながらも、心中は不安や迷いだらけで、言葉に葛藤を募らせていた。「一度、お休みしたいです」と事務の会長(三浦友和)宛てにつづった手紙を渡せずにいたある日、彼女はジムが閉鎖されることを知る。」
聴覚障害を持ったプロボクサーという存在のケイコを丁寧に描ききった作品でした。
上映後、三宅唱監督のトークショーがあり、質疑応答も行われました。
三宅唱監督とのツーショットです。三宅監督のクールで情熱的な言葉に魅了されました。
私は、作中に音楽が一つもなかったことの意図を尋ねました。三宅監督は、最初から意図して音楽を入れなかったと話します。三宅監督は「映画を作製する中で、聴覚障害者の方々と接した。改めて、自分が音が聴こえる世界に居ることを実感した。その新鮮な思いから、あえて音楽は入れず、日常の音を集めて映像の前に入れたり工夫した。」と語ります。
映画の最初は、ペンでノートにメモを書いている音で始まります。最後は、ネタバレになるので、書きませんが、何かの音で終わります。
また、この映画には、字幕が多く活用されています。三宅監督は、「聴覚障害者の方々の意見もお聞きし、どのような字幕なら分かりやすいか推敲した。」と語ります。
一方で、ケイコが聴覚障害を持った友達と手話で語るときには字幕はありません。
三宅監督は「映画のストーリーに関わるような会話ではないので字幕を入れなかった。聴覚障害者の方々がどのようにコミュニケーションを取っているのか映像でしっかり伝えたかった。」と語ります。
作品を作った監督にその意図を聴くことができ、とても有意義な映画鑑賞となりました。
三宅監督は、今、新しい作品に取り組んでいるそうです。来年公開予定だということです。まだ30代の若手監督ですが、とても落ち着いた、思慮深い方だと感じました。
聴覚障害を持ったプロボクサーを等身大で描ききったドキュメンタリーのような作品だとも感じました。映画館で是非、ご覧ください。
三宅監督の作品に今後大いに注目していきたいと思います。
この半年間は、選挙に集中していたので、好きな映画はおあずけでした。
その分、観たい映画がありすぎて困っています。
今日は、インド映画「RRR」を観ようと思っています。
最近、ご覧になった映画の感想をお聞かせください。
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