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上関原発埋立免許「県、延長許可の方針 週明けにも発表へ」との新聞報道について

 26日付 朝日新聞は、中国電力が申請している上関原発建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長について、県が認める方針であることが分かったと次のように報じました。
 「中国電力が申請している上関原発予定地(上関町)の公有水面埋め立て免許の延長について、県が認める方針であることが25日、関係者への取材でわかった。県が週明けにも発表する。中国電力は10月25日、来年1月6日に期限が切れる埋め立て免許を2027年6月6日まで、4年5カ月延長するよう求める許可申請書を県に提出。期間の内訳は埋め立て工事に3年間、工事に先立つボーリング調査に6カ月間、関係訴訟の一審判決までに見込まれる11カ月間となっている。県は11月4日に、中国電力に補足説明を求め、11日付で回答を得ていた。村岡嗣政知事はこれまでに、期限内に埋め立て工事が終わらなかった『正当な理由』があるか、引き続き土地需要があるかをポイントに審査すると説明していた。原発建設に反対する県内団体は今月、県に対して『地元住民の同意を得ずに話を進めるのはおかしい』などと伝え、申請を不許可にするよう求めていた。上関原発の建設計画は1982年に浮上。中国電は県から埋め立て免許を受けて2009年に準備工事を開始。11年の福島の原発事故後、工事を中断し、16年、19年に免許の延長許可を受けている。」
 記事にある県が行った中国電力の延長申請に対する審査内容①期限内に埋め立てが終わらなかった「正当な理由」があるのか②引き続き土地需要があるかをポイントに審査するーについてです。
 まず、期限内に埋め立てが終わらなかった「正当な理由」があるかについてです。
 県が2019年に延長許可を行った時には、「埋め立てに先立って海上ボーリング調査をしなけらばならないことが主張されており、合理的な理由がある」との判断で許可しました。
 今回も同様の理由で許可をするのなら問題です。海上ボーリング調査が許可期限内に埋め立て工事を竣工出来なかった理由ではありません。上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会は開催されていません。原発新設のための審査基準がないことは、日本共産党が11月21日に行った政府レクの中で、担当者が認めたところです。そもそも、知事が、「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しない」ことを要請している中、たとえ、免許を2027年6月まで延長しても、埋立工事が終わる見通しは立たない事は明らかです。
 次に、引き続き、土地需要があるかについてです。
 県が、2019年に延長許可を行った際に、この点について「中国電力が国から『上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情に変化がない限り、解除する考えはない」との見解を得たことが示されたことを上げ、「当初免許時と変わらず土地需要があり、期間延長に正当な事由がある」としました。
 今回も同様の理由で延長許可を出すことは許されません。
 私は、今年6月県議会で、重要電源開発地点に関する規定にある「重要電源開発地点の要件」を元に質問を行いました。重要電源開発地点の要件の第一は「電気事業者の需要計画が記載されていること」とあります。2019年に中国電力が公表した供給計画では、上関原発は、着工・営業運転開始年月が「未定」とされています。
 重要電源開発地点の要件の第五は「電力需要対策上重要な電源である」とあります。電力広域的運営推進機関が発表した2022年度供給計画の取りまとめでは、中国エリアは、2031年需要電力見込みが1.034万キロワット、供給見通しが1.255万キロワットとあり、中国エリアは供給過多状況です。
 重要電源開発地点の指定に関する規定の第7にこうあります。「経済産業大臣は、指定を行った重要電源開発地点が要件のいずれかに適合しなくなったとき、その指定を解除することができる。」。
 上関原発が重要電源開発地点の要件について適合しないものがあるにも関わらず、経済産業大臣が指定を解除しなかったことが重大です。
 にも関わらず、国が「上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効」との見解に県はしがみつき、今回も、国の見解を金科玉条として延長許可を出すのなら、県の姿勢は重大だと言わなければなりません。
 以上の理由から、県が、中国電力に延長許可を行うべきではないと考えます。
 中国電力の延長申請について、県が今週明けにも許可を出すとの報道がなされました。皆さんのご意見をお聞かせください。

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