議員日誌

「戦争の大問題」読書ノート②

 引き続き、丹羽宇一郎著「戦争の大問題」について紹介したいと思います。

 第2章「戦争勃発の真実 なぜ戦争は起きるのか」はとても教訓的でした。

 丹羽さんは、この章の冒頭で「戦争の究極の目的は領土を守ることでも、いわんや愛国心を満足させることでもない。守るべきは、国民が安全かつ健全に暮らせる環境である。」と提起しています。

 昭和16年の8月、陸海軍および各省、それに民間から選ばれた30代の若手エリートたちが日本の兵力、経済力、国際関係など、あらゆる観点から日米戦を分析しました。その結論は次のようなものでした。

 「開戦初期には勝利が見込まれるものの、長期戦になることは必至であり、日本の国力では、資源不足と生産力不足によって戦力の低下は避けられない。戦局が決定的に悪化すれば、最終局面で必ずソ連は参戦し日本は敗れる」

 丹羽さんは、この結論について「ほぼ実際の日米戦をトレースする精度の高いものだった。」と書いています。

 しかし、時の政府は、「いくさというものは、計画どおりにいかない」と公言し戦争に突入します。

 丹羽さんは、「いまの日本の政治・経済界は80年前より賢くなっているのか。たとえば『どんな国を目指すのか』『原発の決定と責任は、はっきりしているのか』『不合理な体制は、いまも政治、大企業やメディアを含め続いていないか』と、胸に手をあて考えながら振り返ってみよう。」と書いています。

 1941年10月、陸軍軍務局長から内閣書記官長を通じ、陸軍軍務局長に対し、海軍から日本戦を欲しないと表明してくれという申し出があったことが書かれてあります。しかし、海軍幹部は「海軍はアメリカを仮想敵国として予算をいただいてきた。アメリカと戦わないとは言えません」と答えたと書かれてあります。

 丹羽さんは、「対米非戦論を主張できない官僚的事情があったのだ。ご都合主義の結果、300万人を大きく超える犠牲者を生むことになる戦争へと突入していったのである。」と指摘しています。

 その上で、「現代の日本人も、外国との対立には敏感だ。今日の『尖閣』を見れば、その傾向は変わっていないことはよくわかる。国民の投票によって選ばれる政治家が、国民の支持を何より重視し、国民感情に迎合する姿勢をとることも戦前と変わりない。戦前の日本政府がそうであったように、現在の日本でも中国(あるいは韓国、北朝鮮)に対し、強気な発言をする議員のほうが支持を得やすく、国際情勢、国際政治のわかっている政治家の多くが『沈黙の罠』に陥り、発言を抑制しているように見える。」と書いています。

 日本共産党の志位和夫委員長は、11月2日、北朝鮮との対話をトランプ米大統領に提起するよう安倍首相に要請しました。

 11月3日の読売新聞は、北朝鮮問題に関連し、国際社会が北朝鮮との対話と圧力のどちらを重視すべきかと聞いた世論調査の結果について、「対話重視」が48%で「圧力」の41%を上回ったと報じました。

 圧力を強調する自民党が今度の選挙議席を大きく占めましたが、国民は北朝鮮問題「対話の重視」を求めています。

 今日、日米首脳会議が行われますが、戦前・戦中の歴史を振り返り、国民の安全な生活を守るため、絶対に戦争を起こさない努力の発揮を日米両政府には強く求めたいと思います。

 北朝鮮問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

 引き続き、「戦争の大問題」から学んでいきたいと思います。

 

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