引き続き、小笠原みどり著「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」を読んでいます。
いよいよ、小笠原さんによるスノーデン氏へのインタビューの部分を読み始めました。
最初に衝撃を受けたのは、スノーデン氏が、「秘密保護法はアメリカがデザインした」と発言した部分です。
スノーデン氏は、アメリカ国家安全保障局(NSA)の職員となり、日本に派遣されました。
横田基地内に国防省日本特別代表部(DSRJ)は、日本のNSA本部にあたると本書に書かれてあります。
スノーデン氏は、2009年から横田基地のこの部署でハッキング対策を研究したと書かれてあります。
そしてスノーデン氏は、「NSAには総合評議室と呼ばれる部署があって、100人程度の法律家が働いています。この法律家グループは外務取締役会と呼ばれる部署といっしょ居、どの国が法的にどこまでNSAに協力して情報収集することが可能か、それ以上の諜報活動を求めれば、国内法や憲法に違反する、または人権侵害になるといったことを把握している。そして、ではどうすれば人権上の制約を回避できるか、どうすればその国が自国民をスパイすることを妨げている法の守りを解くことができるか、もっと情報を機密化して公衆の目から隠すことができるかを検討しているのです。」と話し、秘密保護法はアメリカがデザインしたと語っています。
「日本の軍隊はこれこれの情報がほしいと我々に頼む。すると僕らはこう答える。『お探しの情報そのものは提供できません。あなた方の法律は私たちにとって望ましいかたちではないので。けれど、もう少し小粒の別の情報で役に立ちそうなものを差し上げましょう。』(中略)『けれどもあなた方が法律を変えたなら、もっと機密性の高い情報も共有できますよ。現在のしシークレットからトップシークレットに機密レベルを引き上げることもできる。』(中略)最後に『けれど法律ができればこのプロセスを標準化できます』とダメ押しするのです。これが、あの法律の原動力となりました。」
スノーデン氏が語るあの法律とは、秘密保護法です。
スノーデン氏は、これら一連の日米のやり取りについて「これは悪の仕業ではないのです。口ひげをしごきながら笑っている悪役は登場しません。ひとつのシステムが各人にインセンティブ(動機づけ)を与えている。こうして秘密が民主主義のプロセスを腐敗させていくのです。」と語っています。
2016年に秘密保護法が施行され、2015年末の時点で、27万2020点が政府の特定秘密文書となりました。
小笠原さんは、この一連の動きを「秘密保護法はこうして、NSAの世界監視システムと日本の参加を合法的に日本人の目から隠し、NSAシステムの拡大と強化に資するという目的を遂げたのだ。」と総括しています。
この本は、昨年の11月に上梓されたものですが、テロ対策法案(共謀罪新設法案)についても言及しています。
「安倍政権は東京オリンピックに向けたテロ対策法案として、三度廃案になった共謀罪新設法案を近く国会に上程するという。人々のコミュニケーションを犯罪化するこの法案は、個人の日常への監視ぬきには実行しえない。(中略)私たちは少なくとも日本で画策される新たな監視の仕組みが米国の世界監視網と地続きであることを想起するべきであろう。米政府に、そして自分たちの政府に見張られて、両諜報機関の取引の駒にされることを。」
米政府に、そして自分たちの政府に見張られて、両諜報機関の取引の駒にされることを想起し、日本で画策される新たな監視の仕組みである共謀罪法案を廃案に追い込んでいく必要があることをこの本で学びました。
監視社会を知ると今の世界と日本が見え、変革の展望が見えてきます。
小笠原みどり著「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」は国民必読の書だと痛感しています。
引き続き、この本の感想を本ブログで書いていきたいと思います。
改めて、共謀罪法案に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
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