議員日誌

「親鸞はどこにいるのか」

 信楽峻麿著「親鸞はどこにいるのか」を読んでいます。

 信楽峻麿さんは、龍谷大学学長を務めた文学博士でした。2014年9月に亡くなられました。

 信楽さんは、私が参加している「念仏者9条の会」の呼びかけ人代表でした。

 さて、本著「親鸞はどこにいるのか」は、信楽さんの最後の著作となりました。

 私は、過去に読んだ仏教関係の本の中で一番といっていい刺激を受けました。

 その刺激とは信楽さんの「日本を二度と戦争する国にしてはならない」という本気度です。

 本著の「はじめに」から少し引用します。

 「この西本願寺教団は、すぐる昭和一二(1937)年の7月に、日中戦争がはじまると、それは明らかに中国大陸に対する侵略戦争であるにもかかわらず、いちはやくそれを『聖なる戦い』『聖戦』と呼んで、親鸞のき教言『世の中安穏なれ』(『親鸞聖人御消息集』真聖全二、六九七頁)という文章まで引用しながら、その戦争に全面的に賛同し、教団をあげて協力していったわけですが、かつての戦争協力にも明確には自己批判することなく、いままた戦争に賛成するとはどういうことか。このままだとするならば、日本国では、これから『憲法』を改悪して戦争のできる国にするという流れが生まれていますが、西本願寺教団は、またぞろ、そのような国家体制に同調して、戦争に賛成し、全国の信者をして、その戦列に動員していくのではありませんか。恐ろしいことです。西本願寺には、そのような過去を厳しく省み、未来を明らかにおもんばかって、自ら正しい進路を見とおせるような識者はいないのか。」

 私は、門徒の立場で、教団の末端を担う一人として、腹にズシリと突き刺さる信楽さんの一言です。

 信楽さんは、東西本願寺教団の戦時教学を丁寧に紐解いた上で、「今日の日本の政治状況は、憲法を改悪して、他国と戦争のできる軍隊の創設をたくらんでおりますが、この状況に対して、「兵戈無用」の教言を奉じるはずの東西本願寺の真宗教学者は、どう対応するのでしょうか。過去に、戦時教学という重大な罪科を背負うところのその信心の内実が改めて問われてくるところでしょう。」と書いています。

 私は、残念ながら信楽さんから直接のお話しをお聞きする機会は逃してしまいました。

 しかし、信楽さんには、膨大な著作が残されています。

 その著作の一つ一つを学んでいきたいと思っています。

 信楽さんの著作から「親鸞におけるまことの真宗教義」を学びながら、日本を二度と戦争する国にしないように力を尽くしていきたいと思っています。

 戦争法=安保法制が強行して明日でちょうと1年。この本に出合えたことに感謝します。

 信楽さんがお元気ならば、今この時に何を発言されたでしょうか。その事を考えながら、本書を最後まで読み進めたいと思います。

 「念仏者9条の会」の先輩の皆さん、信楽さんについてお教え下さい。

 

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1件のコメント

  1.  コチラでは初めまして…よく、真宗関係の団体でお会いしているのですが、信楽先生のことをお話しするのは初めてですね。実は在学中、信楽ゼミに参加させて頂き、卒論諮問も信楽先生に2年もご指導して頂きました。個人的にご相談にのって頂いたり、院生のゼミや学習会に参加させて頂きました。五木寛之さんも実は信楽先生の授業を2年間みっちり聴講されたようです。机も私の隣でしたから…笑。若気の至りで今のように、学長でもなく、著作もそれほど多くなかったですが、今となっては信楽節が懐かしく思います。私も著作集から再度勉強をさせて頂いてます。そちらの件でしたら、またいつか勉強の機会がありましたら…よろしくお願いいたします。 

    by 安藤良樹 — 2021年7月16日 18:29 PM

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