議員日誌

自治体学校から帰ってきました

 昨夜、11時50分頃、埼玉県で行われていた自治体学校から帰ってきました。10時30分頃に新山口駅に新幹線で到着していたのですが、山陽本線が徐行運転で、11時40分頃にJR宇部駅に到着しました。急いで、パソコンのスイッチを入れたのですが、0時を過ぎて時間切れで更新できませんでした。

 さて、自治体学校は、充実した内容でした。まず、初日は、「地方自治を破壊する潰憲型地方分権改革」として専修大学の白藤博行先生が講演されました。

 白藤先生は、現在の状況を「憲法切り」の状況と表現されました。「派遣切り」「介護切り」「生活保護切り」の状況は、憲法で保障する基本的人権をないがしろのするものであり、「憲法切り」の状況だと話されました。

 その上で今日の地方自治改革は、「分権はやっても、そう簡単に自治はやらせない」という「非自治体化」の状況にあると話されました。現在、国が目指す自治体は、「国化」された自治体であり、「住民自治」というかけがえのない価値を奪われようとしていると話されました。

 そして、「人間の尊厳」に裏打ちされた「自治の尊厳」の保障や立憲地方自治の確立が必要だと力説されました。

09.7.26 002.JPG

         白藤先生の記念講演

 その後、「新自由主義的構造改革が壊れはじめた」と題してリレートークが行われました。最初は、「貧困と生活保護の現場から」と題して、名古屋市中村区で生活保護行政に携わった津田さんから報告がありました。今年に入り生活保護の相談が連日100人を越すようになり、住居の確保に追われた経験を話されました。津田さんは、「貧困の顕在化」は明らかだと語りました。

 次に、東京都消費者生活相談員をされている玉城さんから報告がありました。玉城さんは、2000年を前後して消費者相談が急増している状況を話されました。しかし、東京都消費者センターでは、相談員が非常勤のままで、更に雇用期間の制限がある状況です。消費者庁法案では、消費生活相談員の正規職員化の付帯決議が採択されています。玉島さんは、住民サービス向上のためには、「専門職に見合った処遇改善と、雇用年限撤廃が必要」と力説されました。

 最後に、埼玉労連の原富さんが、「自治体キャラバン」の経験を話されました。埼玉県では、様々なテーマで自治体キャラバンが行われ、国民健康保険の資格証明書の発行を抑制させたり、リフォーム助成を前進させるなど自治体の質を上げるために貢献している経験を話されました。

 「格差と貧困」の拡大は顕著であるし、それを乗り越える運動が求められていることがこのリレートークでよくわかりました。

09.7.26 003.JPG

        リレートークの様子

 二日目は、「自治体市場化・民間化の現状と反撃の視点」と題する分科会に参加しました。

 最初に山形大学の行方先生から報告がありました。行方先生は、市場化は受益者負担を増大させる。と市場化は有効需要には答えていけるが、要求には答えない。ここに市場化の原理的ネックがあるのではなか、住民との接点が少なくなる弊害があると語りました。

 財政健全化法が後押しになって、市場化がすすめられる状況が更に進んでいる状況を行方先生は、「違憲状態が現出しているのが今日的な自治の姿」と力説されました。

09.7.26 006.JPG

      行方先生の基調報告

 その後に、各地域からの報告が行われました。大阪府では、市場化テストにより、府税業務が民間委託にされようとしている実態が報告されました。今年の4月から自動車税職員26人を減員し、民間会社が滞納者に電話かけを開始したことが報告されました。個人情報が守られるのか、民間会社による公権力の行使にあたらないのかなど様々な問題点が噴出していることが語られました。

 次に、広島市の指定管理者制度の状況が報告されました。広島市では、これまでの指定管理者制度の見直しをせざるを得ない状況になったと話されました。議会で、指定管理者制度に関する決議が採択され、住民サービスが向上する指定管理者制度への移行が要望されました。これらを受けて市は、非公募施設を拡大するなどの見直しを行いました。この背景には、広島自治労連の粘り強いたたかいがあったとの報告が行われました。

 次に、近江八幡市総合医療センターのPFIからの脱却と題しての報告が行われました。時代の寵児として注目されているPFIですが、次々に破たんが明らかになっています。その一つが、近江八幡市立総合医療センターのPFIです。PFI導入を経て2年半で、市長は、PFI解除の判断を行いました。損害補償金は20億円かかったものの、合計で93億円、PFIを継続するより財政的に軽減できるとの結論が出されました。また、国は、病院企業債118億円をPFIを解除するための財源として認めました。このこと自体、国が進めるPFI事業の破たんの一つの表れとの報告が行われました。

 その他、保育園が学童保育の指定管理者への移行や民間委託の状況の報告がありました。また、郵政・ハローワーク・社保庁・国交省など、国関係の市場化の状況も話され教訓的でした。

 自治体学校で学んだことを今後に生かしていきたと思います。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。