議員日誌

烏に単は似合わない

 ここ数日、阿部智里さんの八咫烏シリーズを読んでいます。

 阿部智里さんは、現在も早稲田大学の学生さん。

 20歳の時、第一作「烏に単は似合わない」で松本清張賞を受賞。

 現在までにシリーズ5作が発表され、現在までに60万部を超えるヒットとなっています。

 このシリーズを一言で言うならば。「鳥形に変身できる人々(八咫烏の一族)が治める異世界(山内)を舞台にした王朝ファンタジー」。

 と言われてもという方は当然です。読んでこの世界に入った人でないと、この物語の面白さは伝わりません。

 書評家の大矢博子さんがシリーズ2作目文庫版「烏は主を選ばない」の「解説」でこう書いています。

 「小野不由美の『十二国記』を読んだとき。上橋菜穂子『獣の奏者』を読んだとき。菅野雪虫の『ソニン』を読んだとき。どのときも、慌てて他の巻を買いに走ったのを覚えている。世評の高さは重々知っていながら、ファンタジーは苦手だからと手を出さずにいたことを激しく公開した。こんな名作に乗り遅れてたなんて!そんな私が、リアルタイムで読めていることが嬉しくてしかたがないシリーズがある。この八咫烏シリーズだ。乗り遅れた後悔があるからこそ、声を大にして言いたい。というか太字で書きたい。前述の名作群が好きな人はもちろん、時代小説が好きな人、ファンタジーが好きな人、人間ドラマが好きな人、どんでん返しのあるミステリが好きな人、ライトノベルが好きな人―そして『物語』を愛するすべての人に。乗り遅れるな。このシリーズは本物だ。」

 小野不由美の「十二国記」と上橋菜穂子の「獣の奏者」は読みました。

 ファンタジー好きという程の私ではないけれど、リアルタイムに楽しめる和風ファンタジー大作に出会えたのは幸せです。

 第一巻の「烏に単は似合わない」を読み終え、今、第二巻「烏は主を選ばない」を読んでいます。

 スリリングな宮廷陰謀劇にハラハラ、ドキドキ。

 読み進めれば、進めるほど、宮廷を取り巻く世界が理解が進み、登場人物の感情が理解できるようになります。

 この当りがファンタジーの魅力なのでしょうか。

 夏の終わりに、八咫烏の世界に嵌った私です。

 「十二国記」シリーズも「獣の奏者」シリーズもメディアミックスとなりました。

 「八咫烏」シリーズもコミックやアニメになることは必定だと思っています。

 そろそろ、そのような話もスタートするのではないでしょうか。

 とにもかくにも、八咫烏に乗ってこの夏を乗り切りたいと思います。

 「八咫烏」シリーズファンの皆さん、どの巻がお勧めですか。感想をお聞かせ下さい。

 

 

日本国憲法の中にみる人間のための経済学

 浜矩子同志社大学大学院教授による「みんなで行こうアホノミクスの向こう側~平和の経済学を目指して~」を読み、浜先生の理論にほれ込んでいます。

 アベノミクスの鋭い分析とともに、共感したのは、第四章「日本国憲法の中にみる人間のための経済学」です。

 浜先生はアベノミクスについて「彼らの正解がいかに日本国憲法の世界と遠いか、そして、今こそ、日本がそしてグローバル時代そのものが、いかに日本国憲法を必要としているか」と指摘しています。

 浜先生は、人間のための経済活動の基盤をつくるのに必要なのは三つの出会いだと指摘しています。

 第一は、「多様性と包摂性の出会い」。

 求めるのは「包摂性高・多様性大」の空間。浜先生は、「幅広い分かち合いの構図を実現し、富の偏在を是正しようとする力学が常に働くはずである。」と指摘しています。

 ちなみに「包摂性低・多様性小」の空間は、かつての大阪市の「ハジズム(橋下主義」がそれだとして指摘しています。

 「幼児的凶暴性の世界は、独り占め願望がとても強い世界だ。そこには、分配のベクトルが力を発揮する余地がない。」と書いています。

 第二は「正義と平和の出会い」。

 浜先生は、「経済活動が人間を幸せにできるためには、そこにどうしても平和な土壌が必要だ。正義と正義のぶつかり合いの中で戦争が繰り返されるような世の中において、どうして、経済活動は人間を幸せにすることが出来るか。そのような正解においては、まさしく経済活動は強さと力に固執する外交安全保障政策の手段として使われる。そのような世界において、経済活動の本来の有り方は、決して姿を現すことがない。」と指摘します。

 第三は「狼と羊の出会い」。

 「生まれたての新たな住人にも、成熟度の高い大人の住人にも、それぞれ、然るべき役割がある。世代を超えて、様々な住民たちが手をつないで前進して行く。様々なでこぼこコンビの存在が、より豊かで力強い生態系を生み出して行く。そのような場所となった時、グローバル・ジャングルは大いに栄えて、その住人たちを大いに幸せにする。そのようにイメージすることが出来るだろう。」と書いています。

 浜先生は、「この三位一体の出会いが実現している場所に、日本国憲法がある。」と結論づけています。

 うべ憲法共同センターでは、日本を代表する経済学者である浜矩子先生を講師に宇部市で、来年の3月4日土曜日に学習会を行うことにしています。

 テーマが会場などが決まりしかたら詳しく報告します。こうご期待下さい。

 

学童保育、山口県の待機児童数は255人(2015年度)

 山口県社会保障推進協議会情報(2016年9月)に、中国5県の学童保育の状況が掲載されていました。

 2015年度、全国学童保育連絡協議会の調査に基づく山口県内が学童保育の状況です。

 県内に学童保育の未設置小学校校区が47校区あります。

 低学年における入所児童割合は、33.5%で、待機児童数は255人となっています。

 学童保育の待機児童数255人は中国地方で最多の数となっています。

 山口県で学童保育施設を拡充する必要があることが分かりました。 

 社会保障推進協議会情報には、児童相談所に実態も掲載されていました。

  2015年度、山口県内で385件の児童虐待事案が発生しました。対前年度比+116件143%増です。

 内訳は、身体的虐待が106件、ネグレク88件、性的虐待6県、心理的虐待185件となっています。

 山口県では、2015年度4694件の相談が児童相談所に寄せられています。

 児童福祉司一人当たりの相談件数は、142件、児童心理司一人当たりの相談件数は293件と前年度より一人当りの相談件数が増えています。

 2016年度の児童相談所への職員数に占める専門職員の配置状況割合は、山口県が45.7%で、岡山県や鳥取県の100%と比べて最低となっています。

 山口県の児童相談所において更に専門職員を拡充する必要があることが分かりました。

 これらのデータから、学童保育や児童相談所など児童の分野での社会保障が全国的にも山口県でも更に充実されるべきだと感じました。

 山口県内に255人の学童保育の待機児童が存在します。

 皆さんはどのようにお考えでしょうか。お教え下さい。

 

オスプレイ岩国配備へ

 昨日、中国新聞は、「米海軍の報道担当者は29日、海軍用の垂直離着陸輸送機CMV22オスプレイを日本配備すると共同通信の取材に明らかにした。配備時期は2021~26年になる見通し。第7艦隊の原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機として運用されている現行の輸送機C2グレイトハンド2機と交代する。海軍用オスプレイは米海兵隊岩国基地(岩国市)に配備される見込み。」と報じました。

 中国新聞の取材に対し岩国市基地対策課は「『現時点で、移転する機種は(2006年の)米軍再編のロードマップにより国から説明を受けている(C2グレイハウンドの)通り』との認識を示し、海軍オスプレイ配備の情報は得ていない」と答えています。

 オスプレイが普天間基地に配備されるにあたって、平成24年7月23日、岩国基地に陸揚げされました。

 それに先立つ、平成24年6月県議会で私は、オスプレイの陸揚げ問題について森本防衛大臣(当時)の来県問題を質問しました。

 これに対し、二井知事は、「県としては、安全性が確保されない限り反対であり、そのことはきちんと大臣にお伝えしたい」と答えました。

 そして、平成24年7月6日には、全会一致で、「MV-22オスプレイの岩国基地への先行搬入に関する意見書案」が可決しました。

 意見書は「配備先となる普天間飛行場の関係自治体の理解が得られない段階で、岩国基地への先行的な搬入を進めようとする国の拙速な対応は理解しがたく、余りにも不誠実なものである。したがって、こうした状況の中で、国が進めようとしている先行搬入は、到底、認められるものではない。」としています。

 平成24年7月10日には、知事が県議会議長、議会運営委員長、岩国市長とともに、加藤外務政務官と森本防衛大臣に対し、安全性が確認される前にオスプレイの岩国基地への先行搬入をしないよう要請を行いました。

 このように、安全性が確認される前のオスプレイの先行搬入にオール山口で反対した歴史があるのです。

 そのような歴史を無視し、岩国基地にオスプレイを配備しようとする米軍やそれに対して何も発言しない政府の姿勢は山口県民を愚弄するものだと言わなければなりません。

 このような場合、地元から政府に事実照会をしても、政府は情報をつかんでいないなどとなることが想定されます。

 そして、F35のように、配備直前になって、なし崩し的に説明が行われる。

 このような歴史を繰り返してはなりません。

 オスプレイの岩国基地配備は、反対の意思を山口県と岩国市は明確にし、米軍や国にその意向を伝えるべきです。

 8月24日のしんぶん赤旗日刊紙は「米海兵隊は、22日、米軍伊江島補助飛行場で、米空軍特殊作戦機CV22オスプレイと、米海兵隊F35Bステルス戦闘機などの訓練を行うため、強襲揚陸艦への離着陸訓練場(LHDデッキ)の増強・拡張工事に着手しました。米軍は、横田基地(東京都)にCV22を10機、岩国基地(山口県)にF35を16機配備し、これらの離着陸訓練場として伊江島を大増強する計画です。さらにCV22は東村高江(沖縄県)の米軍ヘリパッドの使用も想定していあす。F35は沖縄・嘉手納基地を拠点に沖縄本島北部での訓練を想定しており、本土と沖縄が一体となった機能強化です。」と報じました。

 F35Bステルス戦闘機が岩国に配備される。CV22オスプレイが、17年に横田基地(東京都)に配備され、岩国基地にも配備される。

 それに伴って、沖縄での訓練施設が拡張される。

 沖縄の軍事機能も強化され、全国の軍事機能が強化される

 岩国の沖縄化が進み、全国が沖縄化が進む。

 「本土と沖縄が一体となり」軍事強化が行われる日米軍事体制を大きく問い直さなければなりません。

 岩国基地にオスプレイが配備されようとしています。この事に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 

アホノミクス最終崩壊に備えよ

 同志社大学大学院教授 浜矩子さんの「アホノミクス完全崩壊に備えよ」を読んでいます。

 浜さんは、アベノミススの政策をアホノミクスと厳しく批判されています。

 浜さんは、アベノミクスが完全崩壊に向けて三段跳びをしているような経済状況だと指摘します。

 アベノミクス完全崩壊の最初のホップは、「カネを解凍できないマイナス金利」との指摘です。

 浜さんは「凍りついてしまったカネの動きを解凍する。それができてこそ、マイナス金利政策に意味がある。ところが、今の日本では、マイナス金利はそのようには働かない。凍りついてしまったカネを動かすための苦肉の策であったはずのマイナス金利が、ますますカネを凍結させて行く。そういう現象が早くもみえ始めている。」「いくら人々の『マインドが委縮しているのが問題だ』と言っても、その委縮をもたらしているのは実態だ。仕事がない。賃金が上がらない。貯金ができない。貯金が増えない。このような状況の中で、いくら『マインド』を鼓舞しても、デフレがら脱却できるわけはない。『お前らのマインドが悪い』と言われたのでは、人々は身の置き所がない。一段と地下に潜りたくなってしまうばかりだ。」とズバリ指摘しています。

 アベノミクス完全崩壊の第二のステップは、「希望を生み出せないGDP600兆円」との指摘です。

 この点で浜さんは、「チーム・アホノミクスは『トリクルダウンを期待している政策を行っているわけではありません』どころか、極めて前のめりな政策姿勢でトリクルダウンに固執している。言い換えれば、トリクルダウン効果が発生している形をつくることで、越後屋さんたちへの優遇姿勢をどうしても正当化したいわけである。」「本気で、何とか『下々』にも恩恵が及んでほしいよ考えているわけではない。そのような恰好がつくことによって、政軍産複合的な強い国づくりに市民権を付与したい。それが本音なのだと思う。」と指摘しています。

 アベノミクス完全崩壊の第三のジャンプは、「企業のための同一労働同一賃金」との指摘です

 浜さんは、「労働法制は、本来、労働者の基本的人権を守るために存在する。強い経済を構築するためにあるわけではない。生産性向上のためにあるわけでもない。労働者がより大きな付加価値を生み出せるようにするためにあるわけではない。労働法制は、経営者も労働者も同じ人間であることを労使双方が忘れないようにするためにあるといってもいいだろう。この辺が『打倒岩盤規制』の名の下でどんどん崩されて行こうとしている。その中で提唱されている同一労働同一賃金は、下手をすれば、とても低い同一水準に多くの賃金が引きずりおろされていくことにつながりかねない。」「労働者が人間であることを忘れて、彼らを付加価値製造装置扱いすればするほど、経済社会の体力は蝕まれて行く。その人間性は低下して行く。人間性が低下した経済社会は滅びに向かう。やっぱり完全崩壊だ。」

 浜さんの一つのアベノミクスの帰結としてこう書いています。

 「政策が当てにならないとなれば、経済活動は自力で均衡に立ち戻るほかはない。多くの歪みが存在する中で均衡の辿り着くには、大いなるエネルギーの炸裂を要する。この大いなるエネルギーの炸裂を恐慌と呼ぶ。かくして、アホノミクス完全崩壊の三段跳びがもたらす自然体ランディングは、どうしても恐慌発生につながって行く。」

 浜さんは、最後に、現代のイギリスと日本を比較しこう書いています。

 「『クール・ジャパン』が『クール・ブルタニア』と同じ帰結をもたらさないといい。だが、現実はそっちの方に向かっている。今、イギリス労働党の党首に、いわば正統派社会主義者のジェレミー・コービン氏が就任している。ブレア主義とは正反対の考え方の持ち主だ。『ブレアイズム』の悲しき遺産である格差と貧困の風景が、コービン氏への支持を生み出したということだろう。こうした一連のことに思いを馳せながら、今、つくづく思う。今、我々が取り戻すべきなのは、強さと力ではない。我々が取り戻すべきなのは、連帯と美にほかならない。」

 格差と貧困を乗り越える連帯と美が今の日本に痛切に求められていると思います。

 参議院選挙での野党共闘の勝利は、日本における連帯と美の萌芽を国民に示したのではないかと思います。

 皆さんは、アベノミクスをどうお考えですか。

共謀罪の強行は許さない

 自民党政権が過去3度にわたり国会に提出しながら世論の強い批判をあびて廃案となった共謀罪。

 安倍政権は、名称を変えて秋の臨時国会に提出しようとしています。「テロ対策」のための法案と強調していますが、実態は最悪の市民弾圧法です。

 28日のしんぶん赤旗日刊紙に、関東学院大学名誉教授の足立昌勝さんが次のコメントを寄せています。

 「『テロ等組織犯罪準備罪』という名称だが、どうみてもテロ対策ではない。『テロ等』とつけることによって、最近の情勢でテロは危険だと感じている国民にウソをつきながらやろうとしている。法案の条文をみると罪に当たるのは、『4年以上の懲役』などとなっており、『テロ対策』に関係なくどんな犯罪も対象になる。共謀罪が国会に出されたときに反対運動が盛り上がって政府は断念した。今回はそうしたくないから『テロ』を前面に押し出そうとしているのではないか。共謀罪は、これまでの刑法とは別ものだ。刑法は行為原理、つまり既遂でないと処罰できない。ところが共謀罪は共謀があれば処罰できる。今回の政府案には『準備行為』が要件として加えられた。しかし、以前の国会でも単に共謀ではなく具体性を示す『顕示行為』がないと処罰できないという議論がされた。それを『準備行為』に変えたにすぎず、危険性は全然変わっていない。そういう問題点をつかみ、『テロ』対策を口実にした、まやかしを支給に国民に知らせる必要がある。」

 7月の参議院選で、自民党も公明党も共謀罪導入を公約していません。選挙が終わった途端、悪法を持ち出すやり方は、昨年の戦争法やかつての秘密保護法の強行と同じで大義も道理もありません。安倍政権の「だまし討ち」を許さず、共謀罪の国会提出を断念させるたたかいが急がれます。

 安倍政権が秋の臨時国会に共謀罪法案を提出しようとしています。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。