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中山徹奈良女子大学教授の論文「『デジタル田園都市国家構想』の本質を暴く」を読みました。

 日本共産党中央委員会が発行している「議会と自治体」2023年5月号に中山徹奈良女子大学教授の「『デジタル田園都市国家構想』の本質を暴く」と題する論文が掲載されています。
 中山氏は、「『デジタル田園都市国家構想』がもたらすこと」として次の点を挙げています。
 第一は新たな格差の拡大です。中山氏はこう論じています。
 「情報技術の発展により、さまざまなサービスを新たに展開することが可能となり、それによって市民が抱える問題の解決が図れると思います。しかし、その運営を企業が担うことで、医療、福祉、健康など、本来は平等性を基本とすべき分野に新たな格差を引き起こし、情報技術の発展を享受できる相と、それから疎外される層が生じます。『新しい資本主義』、『デジタル田園都市国家構想』は、新自由主義によってもたらされた格差をはじめとした社会諸問題を是正するはずでしたが、逆に新たな格差を生じさせます。」
 第二は、行政と企業の関係が逆転することです。山中氏はこう論じています。
 「『デジタル田園都市国家構想』では、企業が市民生活を支える基本的なサービスのあり方を検討し、実際のサービスを提供します。行政は企業が立てた計画にお墨付きを与え、法令等の関係で必要な最低限のチェックをおこない、あとはサービスをおこなう企業に対して補助金等を支給する存在になるでしょう。究極のアウトソーシングといえます。」
 第三は、団体自治の縮小です。山中氏はこう論じています。
 「デジタル化とともに、今まで各自治体で進めてきた独自の施策が削減されそうです。また、自治体が国の制度に上乗せして実施していた施策が切り捨てられそうです。地域で進めるデータ連携基盤整備も中核部分は政府が提供するとなっており、DXの推進で団体自治の空洞化が懸念されます。」
 第四は、地方が崩壊するです。山中氏はこう論じています。
 「デジタル化によって、リアルに加え遠隔という選択肢を増やすというのであれば市民生活の向上につながります。そうではなく、遠隔の整備と引き替えに、リアルをなくすというのであれば、市民生活の低下を招きます。先に見ましたが『デジタル技術の活用により、地方では地方の魅力をそのままに、都市の利便性を享受することが可能となる』としています。これが、市民生活を支えるさまざまなサービスを遠隔に置き換えることであれば、それは地方における公共的サービスの切り捨てを意味し、地方を住みやすくするどころか、地方を住みにくくします。『地方創生』では東京一極集中を止めることができませんでした。しかし、『デジタル田園都市国家構想』は、自治体が『デジタル田園都市国家構想』を進めることで地方を崩壊に導く危険性があります。」
 2022年12月「『デジタル田園都市国家構想』総合戦略」が策定されました。自治体はこのデジタル総合戦略にもとづいて、地方版デジタル総合戦略を策定することになります。
 山口県で今後策定されるデジタル総合戦略は、中山氏が指摘する弊害が回避されるものになるよう必要な発言を行っていきたいと思います。
 私は、11日に、中山徹さんを講師にした「デジタル田園都市国家戦略」に関する講演をリモートで受講する予定です。しっかり学んで、今後の議会活動に生かしていきたいと思います。
 デジタル田園都市国家戦略に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

沖縄県議会が「対話による平和構築を求める意見書」可決 山口県も続こう

 5月5日、しんぶん赤旗日刊紙は、沖縄県議会が、日本政府に対話と外交による平和構築の取組を求める意見書を可決したと次のように報じました。
「岸田文雄政権が安保3文書で軍事力増強による抑止力の強化を求める一方、沖縄県議会は、日本政府に対話と外交による平和構築の取り組みを求める意見書を可決(3月30日)しました。また、沖縄県は地域外交室を設置し、玉城出デニー知事が訪中を検討。先の大戦で住民を巻き込んだ悲惨な地上戦を経験した沖縄は、『二度と沖縄を戦場にしてはならない』と、対話による世界の平和と発展に踏み出しています。中国の軍事動向を『最大の戦略的挑戦』と明記した安保3文書が掲げた南西地域の軍事力強化について、県議会の意見書は『かえって地域の緊張を高め、不測の事態が生じる危険性が増すことへの懸念は拭えない』と指摘。敵基地攻撃能力保有については『相手国からのミサイル等による報復を招くことは必至』と強く警告しています。県民の間には『沖縄が標的にされる』『再び戦場になるのではないか』と大きな不安が広がっています。日本共産党の渡久地修県議団長は、意見書採決の賛成討論で、岸田政権の大軍拡が、地上戦に突入していった戦前の動きと重なるからだと強調。1944年3月、南西諸島方面の防衛強化のために沖縄守備軍第32軍が創設されたことから始まり、飛行場建設などを進めて地上戦に至った経緯と、現代の大軍拡の動きを比較して紹介しました。さらに渡久地氏は、米中対立と『台湾有事』があおられる中、軍拡を進める日本が米国の戦争に参加させられ、それによって想定される結果についても指摘しました。米議会調査局(CRS)の今年1月の報告書は『中国が台湾を攻撃する場合、日本の南西諸島に近い場所で軍事作戦を行う可能性が高い』『仮に米軍が台湾有事に介入する場合は、在日米軍基地が関与する可能性があり、その場合、日本は中国の攻撃目標になる可能性がある』としています。米シンクタンク『戦略国際問題研究所』(CSIS)は、中国による台湾侵攻を想定した机上演習結果の報告書(1月)で、『沖縄では中国のミサイルによって多くの航空機が地上で破壊される』『嘉手納基地は破壊された多数の航空機、多くの遺体を埋葬する仮設墓地を有するようになる』など沖縄における甚大な被害について記述しています。これらを示した渡久地氏は『戦争は始まる前に止めなければならない』と述べ、軍事力による抑止ではなく、外交と対話による平和構築を求める意見書の意義を訴えました。とりわけ意見書は、日中両国が日中共同声明(1972年)をはじめ、日中平和友好条約(78年)、日中共同宣言(98年)、『(戦略的互恵関係)の包括的推進に関する日中共同声明』(2008年)といった諸原則に基づき『平和共存の道を歩んできた』と強調しています。08年の日中共同声明は『双方は、お互いに脅威とならない』としています。意見書は、日本と中国が最大の経済パートナーとして必要不可欠な関係だとして『日中両国は、国民の命を脅かし、アジア太平洋地域において甚大な経済損失を生み出すことがないよう緊張緩和と信頼醸成を図り、平和構築への最大限の努力を払うべきである』と主張。『日中両国において確認された諸原則を遵守し、両国間の友好関係を発展させ、平和的に問題を解決すること』を政府に求めています。」

 沖縄県議会で可決された意見書は以下の通りです。
・・・ 
 

沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書

 
 令和4年12月16日に閣議決定された国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画の3つの文書には、反撃能力の保有、防衛体制強化のための南西地域の空港・港湾建設等の整備・強化及び第15旅団を師団に改編すること等、沖縄の軍事的負担を強化する内容が記述されている。また、沖縄本島のうるま市をはじめ宮古及び八重山地域へのミサイル配備、航空自衛隊那覇基地の地下化及び沖縄市の弾薬庫建設等、本件の軍事要塞化も進んでいる。
 アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増していると言われる中、軍事力機能の増強による抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずる危険性が増すことへの懸念は拭えない。また、反撃(敵基地攻撃)能力による攻撃は、相手国からのミサイル等による報復を招くことは必至で、「沖縄が再び『標的』とされる」との不安が県民の中に広がっている。
 当該3文書は、中国の対外的な姿勢や軍事動向等を国際社会の平和と安定への最大の戦略的な挑戦と位置付けており、南西諸島への軍事的機能の増強が進んでいる現状は、明らかに中国を意識したものである。
 一方、日本と中国はこれまで、「日中共同声明」をはじめ、「日中平和友好条約」、「日中共同宣言」、「戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明」及び「日中関係の改善に向けて話合い」等に基づき、両国関係のさらなる進化と諸問題の解決を進め、平和共存の道を歩んできた。
 中国は今や日本にとって最大の経済パートナーで、お互いにとって必要不可欠な関係が既に構築されていることから、日中両国は、国民の命を脅かし、アジア太平洋地域において甚大な経済損失を生み出すことがないよう緊張緩和と信頼醸成を図り、平和構築への最大限の努力を払うべきである。
 よって、沖縄県議会は、日本政府に対し、対話と外交による平和構築への一層の取組により、決して沖縄を再び戦場にしないよう強く求め、下記事項について強く要請する。

1 アジア太平洋地域の緊張を強め、沖縄が再び戦場になることにつながる南西地域へのミサイル配備など軍事力による抑止力ではなく、外交と対話による平和の構築に積極的な役割を果たすこと。
2 日中両国において確認された諸原則を遵守し、両国間の友好関係を発展させ、平和的に問題を解決すること。
 
 以上地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和5年3月30日

 沖縄県議会

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
防衛大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
(沖縄及び北方対策)
以上に宛て

・・・

 全国が沖縄化され、山口県は沖縄と同様の問題を抱えています。

 一つは、岩国基地があるということです。

 記事で紹介された米シンクタンク「戦略国際問題研究所」の報告書は、台湾への出撃拠点の一つが岩国基地だとしています。

 そうなると、嘉手納基地だけでなく岩国基地が標的になることは必至です。

 二つは、自衛隊基地の強靭化計画です。県内には、7つの対象施設があります。

 自衛隊基地を核兵器の攻撃にも耐えうる抗たん化(再び攻撃する力)をつけようというのです。

 山口県民の命を守るためにも、対話による平和構築が必要です。

 山口県議会でも沖縄同様の意見書が採択できるよう、新しい議会で力を尽くしたいと思います。

 沖縄県議会が対話による平和構築を求める意見書を採択しました。

 皆さんのご意見をお聞かせください。

「県庁ぐるみの公選法違反事件に対する自民党県連の責任は重大」議事録に明記される

 2月山口県議会定例会議の会議録が送られてきました。
 私が2月県議会一般質問の中で行った県庁ぐるみ選挙部分の会議録には次のように書かれています。
・・・
 まず、県庁ぐるみ選挙についてです。
 小松前副知事は、自民党林芳正後援会に入るよう部下を勧誘した公職選挙法違反で罰金刑を受け辞職しました。私は、検察庁に刑事確定記録の閲覧を求め、この程許可され、実に1500ページにわたる記録を閲覧し、看過できない事実を把握しました。
 一つは、県庁の人事データを基に林後援会の勧誘対象者の名簿が作られていたことです。これは、地方公務員法第34条、職員は、職務上知りえた秘密を漏らしてはならない。県個人情報報保護法条例8条、職員は職務上知りえた個人情報の内容を不当な目的に使用してはならないに違反をする疑いがあります。県は、再度調査し、該当する職員を処分すべきですが、お尋ねをしたいと思います。
 二つは、小松前副知事に後援会勧誘を依頼した人物の特定です。小松前副知事に後援会勧誘を依頼した人物ー仮にAとしますーも検察庁の取り調べを受けています。Aは、私や自民党県連と接触する機会も多いことから、副知事に依頼したと供述しています。Aは、小松前副知事が部下に後援会加入を頼めば、公選法違反の罪を負うことを知って依頼したのなら、公選法違反の疑いがあります。
 記録には、勤務時間中の副知事室に、林後援会のリーフレット三千枚がどのように運ばれたかかが赤裸々に述べられています。関係した自民党関係者らは全て黒塗りにされていますが、県庁ぐるみの公選法違反事件に対する自民党県連の責任は重大です。
 県は、小松前副知事に対し部下に後援会加入を要請した関係者を刑事告発すべきですがお尋ねをしたいと思います。
・・・
 私の一般質問終了後、私が一般質問で発言した「県庁ぐるみの公選法違反事件に対する自民党県連の責任は重大です。」の部分について、複数の自民党県連幹部を務める自民党県議から「削除するよう」求められました。
 日本共産党県議団は、検察庁の刑事確定記録や県がまとめた報告書を検証した発言であり、削除には応じられない旨を自民党側に伝えました。
 最終本会議直前の議会運営委員会においても、自民党県議から私の一般質問に対する発言がありましたが、発言の削除を行うという確認にはなりませんでした。
 その結果、2月山口県議会定例会会議録に、私の「県庁ぐるみの公選法違反事件に対する自民党県連の責任は重大です。」の発言は削除されないまま掲載されました。
 近く、県議会ホームページの議事録検索サイトに2月県議会での私の発言が掲載される予定ですので、この部分を確認していただけたらと思います。
 今後とも自民党いいなり県政を正し、多様な県民の声が生きる県政の実現という選挙中掲げた公約を実現するために力を尽くす決意です。
 皆さんのこの問題に対するご意見をお聞かせください。

志位和夫著「この国を『戦争国家』にしていいのか!? 若者と語る」を読みました。

 志位和夫「この国を『戦争国家』にしていいのか!?若者と語る」について4月26日のしんぶん赤旗日刊紙に、日本共産党副委員長の緒方靖男さんが書評を書かれていますので紹介します。
 「岸田政権が進める大軍拡の危険性に誰もが不安を感じる今日、その実態を明らかにし、軍事によらない外交の平和的対案が求められています。本書は、この喫緊の課題をテーマに、志位和夫委員長が3月、日本民主青年同盟(民青)主催の学習会で語った内容を収録したパンフレットです。内容の第一の魅力は、志位氏が日米の政治軍事動向の研究に基づいて、歴代政権が建前としてきた『専守防衛に徹する』ことと大軍拡とが両立不能であることを誰の目にも明らかにした国会論戦を再現、展開していることです。米国が『切れ目のない融合』を明示している『統合防空ミサイル防衛』(IAMD)を示し、『日米軍事一体化ではないか』との追及に、岸田首相は『日本は別にやります』と米軍も困惑するようなゴマカシに終始します。さらに憲法違反の集団的自衛権と敵基地攻撃能力が導くのは先制攻撃と日本に戦争を呼び込む危険であり、軍拡は『日本を守るため』という偽りが暴かれます。政府が多用する『抑止』とは相手国に脅威を与えることであり、『専守防衛』とも憲法9条とも相いれないことも明らかにされています。これだけ危険を指摘しながら、読後、希望が浮かび上がるのが本書のもう一つの無力です。それは、志位氏の広い視野と国際経験に裏打ちされた強い説得力に加え、世界に働きかける実践と成果が伴っているからです。昨年1月に発表された党『外交ビジョン』は、ASEAN(東南アジア諸国連合)との交流を踏まえて、国連憲章に基づき、あらゆる紛争は話し合いで解決する、排除ではなく包摂の流れを発展させようと提唱しています。これは、ロシアのウクライナ侵略の前に出されたものですが、米政権が『民主対専制』と世界を色分けし、国際社会から『専制政府』の排除を持ち込むなかで、『天下の公論』として生命力を増しています。昨年11月にトルコで開催されたICAPP(アジア政党国際会議)総会に参加した志位氏は『外交ビジョン』を、会議への事前提案、総会でのスピーチ、執行部との特別会合でも繰り返し訴えました。執念の活動は、『ブロック政治を回避する』『競争より強力』とのイスタンブール宣言の全会一致の採択で実を結びました。同じ時期に、G20、東アジアサミット(EAS)などASEANの3カ国がそれぞれ主催した首脳会議が開かれました。米国、ロシアなど主要国が参加するこれらの多国間会合は、米国によるロシア排除の押し付けにより成功の見込みがないといわれていたのですが、インドネシアはじめASEAN諸国は米国を説得し、全構成国の参加と共同声明の発出に成功しました。ICAPP総会の1カ月後に開催された欧州左翼党大会に招待された私は、発言の中でイスタンブール宣言を紹介、戦争により分断化が進行しているいる欧州でこそブロック政治反対は特別の意義をもつと強調しました。これには、参加者から『アジアから励ましの重要なねっセージだ』と大きな反響がありました。日本共産党の国際活動は、包摂重視でもASEANの実践と重なり、世界の本流と共鳴し、国際政治の焦眉の課題を前に進める力を示したのです。戦争となった欧州で外交の失敗を分析し、アジアでその轍を踏まないための教訓は重要です。また、中国についての質問に、のちに発表される、準備中の提言『日中両国関係の前向きの打開のために』の概要と考え方を答えるなど、最新の到達が語られています。私はオンラインで視聴していましたが、志位氏とファシリテーター(進行役)の中山歩美さん(民青副委員長)のテンポよいやりとり、Q&Aの的確な構成、明快な論立て、分かりやすい縦横な解明が心に残りました。本書には、その全容がそのまま再現されています。視聴した青年の感想文を拝見する機会があったのですが、内容がしっかりと受け止められており、青年の鋭いアンテナと強い学習意欲は励みとなり、未来を感じます。最後に、志位氏は「『憲法9条は踏みつけにされながらも、今なお巨大な力を発揮しています』『戦争の準備ではなく、平和の準備をーこの言葉を合言葉に頑張りましょう』と呼びかけています。青年はもちろん平和に関心を持つすべてのみなさまに、ぜひ本書を読んでいただきたいと推薦します。」
 志位さんが、「抑止」は、憲法9条と根本的に相いれないとする論拠として、戦後、日本国憲法制定過程に関与し、日本を占領した連合国総司令部(GHQ)のマッカーサーと交渉した当時の総理大臣である幣原喜重郎さんの「外交五十年」という回想録から次の文書が引用されています。
 「軍備に関しては、日本の立場からいえば、少しばかりの軍隊を持つことはほとんで意味がないのである。・・・外国と戦争をすれば必ず負けるに決まっているような劣弱な軍隊ならば、誰だって真面目に軍人となって身命を賭するような気にならない。それでだんだんと深入りして、立派な軍隊を拵えようとする。戦争の主な原因はそこにある。中途半端な、役に立たない軍備を持つよりも、むしろ積極的に軍備を全廃し、戦争を放棄してしまうのが、一番確実な方法だと思うのである」
 志位さんは、この文章を引いた後こう述べています。
 「『軍事による抑止』という考え方と、徹底的に決別して、徹底した外交の力によって平和をつくろうというのが9条の根本精神です。この9条の理想が一挙に実現することはできなくても、この理想を高く掲げて、理想に向けて一歩一歩現実を変えていくということが大切ではないか、と言うのが私たちの考えです。」
 「『抑止』とは『恐怖」であり、『脅威』であって、必ず『脅威対脅威』の悪循環、『軍事対軍事』の悪循環に陥ってしまい、それは戦争の道であること。-『抑止』と『専守防衛』は相いれない、『抑止』と憲法9条はさらに根本的に相いれないものだということ。これが結論だと思います。」
 私は、笠原十九司さんの「憲法九条と幣原喜重郎 日本国憲法の原点の解明」を読んでいましたので、志位さんが幣原の回想録を引用して日本が「軍事による抑止」という考え方と決別したことを説明したことを嬉しく思いました。
 笠原さんの本に、マッカーサーが1955年にロサンジェルスで演説した内容が紹介されています。
 この演説で、幣原首相がマッカーサーに憲法9条を提案した時の様子がこう語られています。
 「日本の賢明な幣原老首相がわたしのところに来られて、日本人自身を救うには、日本人は、国際的手段としての戦争を放棄すべきであるということを強く主張されました。わたくしが賛成すると、首相は、わたくしに向かって『世界はわれわれを嘲笑し、非現実的な空想家であるといって、ばかにすることでしょうけれども、今から百年後には、われわれは預言者とよばれるに至るでありましょう』と言われました。」
 笠原さんは、核兵器禁止条約が国連で採択されたことなどを捉え、次のように語っています。
 「世界の歴史の流れは、幣原が『今から百年後には、われわれは預言者とよばれるように至るでありましょう』と語ったとおり、憲法9条にこめられた核兵器廃絶の平和思想が紆余曲折を経ながらも現実味を帯びてきていることを証明している。」
 志位さんが言うように、「憲法9条は踏みつけにされながらも、今なお巨大な力を発揮している」との言葉通り、憲法9条の方向が唯一、戦争の原因を作らせない道だということをこれからもしっかり学んでいきたと思いました。
 憲法施行76周年に志位さんの本を読み、9条を生かした未来ある平和の道を歩んでいく決意を新たにました。
 志位和夫著「この国を『戦争国家』にしていいのか!?若者と語る」を読んでみたいという方は私にご連絡ください。

国の新たな生物多様性国家戦略が策定を受け県は「生物多様性やまぐち戦略」見直しへ

 3月31日、日本経済新聞は、生物多様性国家戦略について次のように報じました。
 「政府は、31日、生物多様性の保全と持続可能な利用を進める新たな国家戦略を閣議決定した。環境省と企業、経済団体の連携を強化して2030年までに陸域と海域の各30%の保全をめざす。自然に配慮した企業経営を促し経済成長にもつなげる。1995年に初めて国家戦略ができてから今回で6回目の策定となる。改定は11年ぶり。22年12月の国連の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択した世界目標『昆明・モントリオール生物多様性枠組み』を踏まえた。各国は次のCOP16までに国際戦略の策定が求められている。30年に向けた目標として、自然を回復軌道に乗せるため生物多様性の損失を止めて反転させるネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を掲げた。『生物系の健全性の回復』『自然を活用した社会課題の解決』など5つの基本戦略を定めた。23年度中に企業による生物多様性の保全や持続的な利用を促す『ネイチャーポジティブ経済移行戦略(仮称)』を策定し、国内の経済成長や雇用創出の影響も分析する。世界経済フォーラム(WEF)はネイチャーポジティブ経済への移行で30年までに世界で約4億人の雇用が生まれると指摘する。生態系を保全する企業に投資が集まる環境を整える。国内企業に対して国際組織『自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)』が23年9月にも公表する情報開示枠組みへの対応も促す。23年4月から生物多様性を保全する民有地などを『自然共生サイト』として年内に100カ所以上の登録をめざす。22年に企業などと発足した『生物多様性の「ための30by30アライアンス』で協力を呼びかける。同アライアンスの参加者数を23年3月10日時点の400から25年までに500に引き上げ、目標の達成と同時に企業価値の向上や地域活性化につなげる。30年までに陸域と海域の各30%を保全する『30by30』の世界目標に対し、日本は国立公園など陸20.5%、海13.3%にとどまる。環境省は国立公園の拡大には限界があり、目標達成には民間の取り組みが欠かせないとみる。」
 改定された「生物多様性国家戦略」で地方公共団体の役割、とりわけ都道府県の役割について次のように述べています。
 「都道府県には市町村を超えた生態系ネットワークの構築や人的ネットワークの形成等のより広域的な取組や市町村間の連携促進、更には市町村の取組に対する人的・技術的・資金的支援等において重要な役割を果たすことが期待される。」
 基本戦略1に位置付けられている「30by30目標」について次のように述べています。
 「都道府県レベルでの目標を設定し、都道府県立自然公園や条例に基づく保護地域はもちろん、より地域に根差した地域住民に大切にされている里山やビオトーブ、境内地、都市緑地等を、地域住民や地域の企業等と一体となって保全することが期待される。都道府県においては、域内に占める保全地域の割合が異なる市町村間での連携した目標設定や取組の促進や、地域の実情に応じたノウハウや情報の蓄積、更には人的ネットワークの構築が期待される。」
 基本戦略2の自然を活用した社会課題の解決については次のように述べています。
 「都道府県が有する広域的な知見を、市町村の有する地域に特化した情報と組み合わせることにより、効果的な空間計画の作成やその実施の促進が期待される。」
 基本戦略3の生物多様性と経済の統合については、次のように述べています。
 「地域経済の活性化を後押ししていくことが期待される。」
 基本戦略4の一人一人の行動変容については次のように述べています。
 「教育機関の活動に係る支援や指導を行うことが期待される。」
 基本戦略5の生物多様性地域戦略については次のように述べられています。
 「生物多様性地域戦略を策定する際には、地域に根差した生物多様性に関する取組を位置づけるとともに、世界目標や本戦略の目標達成に貢献する目標を設定し、その進捗や成果を、国を含め広く共有することが期待される。」

 私は、2月県議会で、生物多様性国家戦略の改定が行われた場合、「生物多様性やまぐち戦略」を改定すべきと質しました。

 藤田環境生活部長は「国家戦略を受けて、県の戦略を見直す」と答えました。 

 新たな生物多様性国家戦略の制定を受けて、山口県がどのように「生物多様性やまぐち戦略」改定するのか質していきたいと思います。

 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

1年前に作成された「山口県立大学将来構想」に付属高校設置の記述はなかった

 山口県立大学付属高校に関して、これまでの経過について報告します。
 2月県議会の一般質問の最終日3月6日、自民党の西本議員が、「付属高校を設置し、高校から大学まで一貫した教育を行うことは、より専門的で幅広い知識や技能を身に付けることが可能となる。また、地域に根差した人材育成が実現でき、若者の県内定着へとつながることも期待される。進行する少子化の中で、山口県立大学が高校生から選ばれる魅力ある大学となり、地域に貢献していくためには、付属高校を設置するなど、一歩前に出た特色ある高大連携を進めて行くことが必要ではないかと考える。県立大学では、昨年3月、将来構想を策定され、その中で、『高大連携の推進』にも取り組み、今後、県内高等学校との連携方策を検討することとされている。県立大学では、高大連携の推進にどう取り組まれるのか、県の所見を伺う。」との質問に内海総務部長(当時)は「現在、将来構想を実現するための今後の取組方針等について議論しているところですが、本県が必要とする人材の育成や若者の県内定着をより強力に進める観点から、お示しのような付属高校の設置は有効な取組の一つと考えており、こうした取組も含め、県立大学とともに具体的な検討を進めてまいります。」と答えました。
 3月29日、岡理事長は、「山口県立大学将来構想の推進について」記者会見を行いました。
 読売新聞は、この記者会見で、岡理事長が「県立大(山口市)は29日、付属高校を設置する方針を明らかにした。7年間の『高大一貫教育』により、時代や社会の変化に対応できる人材の育成や県内への定着を図る狙い。手法や時期は未定で、4月に県や県教育委員会などと協議会をつくり、具体的な方向性を協議する。」という内容を明らかにしたと報じました。
 県に確認したところ、報道にある県や県教育委員会などでの「協議会」は開催されていないとのことです。
 4月6日、岡理事長らは、「山口県立大学将来構想推進局」「高大連携推進室」を開設したことを明らかにしました。
 山口新聞は、このことについて「山口市桜畠の県立大学は1日付で将来構想推進局と高大連携推進室を開設した。同大南キャンパスで6日、看板設置式があり、岡正朗理事長と田中マキ子学長が看板を設置した。同大は新たに付属高校を設置する方針を打ち出しており、実現に向けた実務をスタートさせる。」と報じました。
 2022年3月に策定された「山口県立大学将来構想」に「高大連携の推進や学びの多様性への対応」とあります。
 高大連携の推進では「引き続き、高校における出前講座や入試説明会等の充実に取り組むとともに、県内高等学校との連携方策について検討していかなければならない」とあるだけです。
 将来構想13頁の将来構想の推進では、①国際文化部の再編②子ども家庭福祉問題に対応するセンター的機能③幼稚園教諭・保育士養成学科等の検討については、2023・24年に具体化することが示されていますが、「地域・企業・高校等の連携強化」については、「各連携方策の具体化を検討し可能なものから順次着手し、第4期中期目標期間における実現を目指していくものとする」とされています。
 2023年度早々に、県立大学に「高大連携推進室」が設置され、付属高校の具体化を進めようとしているにも関わらず、2022年3月に策定された県立大学将来構想に、付属高校設置の具体的な方針が示されていないことに、私は疑問を感じます。
 県立大学将来構想発表後の昨年度に入って、急遽、付属高校設置の方針が盛り込まてた感は否めません。
 22年3月作成の「山口県立大学将来構想」に具体的な記述がなかった県立大学付属高校を何故、つくるべきとなったのかの経緯について県は、県民に丁寧に説明すべきです。
 時同じくして、県教育委員会は、「県立高校将来構想」を示し、県立宇部西高校などの募集停止などを発表しました。
 県立宇部西高校などの募集停止の方針を示す一方で、急遽、県立大学付属高校が県立大学将来構想の全面に出てきた事実を指摘したいと思います。
 県は、宇部西高校などを廃校にする一方で、なぜ、県立大学付属高校を設置する必要があるのかについて、県民に分かりやすく説明すべです。
 県は、県立大学将来構想に具体的記述がなかった付属高校の設置を急遽進めようとしています。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。