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野外音楽フェスティバルの延期、中止を求める要望書を知事に提出

 今月18日から20日まで、山口市「山口きらら博記念公園」において、野外音楽フェスティバル「WILD BUNCH FEST.」の開催が計画されています。
 山口県の感染指標は最大の「ステージ4」です。感染拡大防止の観点から野外音楽フェスティバルの延期か中止を県知事に求めました。

 山口市内で行われる野外音楽フェスティバルの延期、中止を求めました(右から私、河合前県議、木佐木県議)

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山口県知事
村岡 嗣政様

2021年9月6日
日本共産党山口県委員会
委員長 吉田 貞好
日本共産党山口県議団
団 長 木佐木大助

「WILD BUNCH FEST.」2021の延期、中止を求める要請書

 新型コロナ感染拡大の第5波は「デルタ株」の影響もあり、今なお、終息の見通しはたっていません。県内でも多くの指標で「ステージ4」を超え、医療ひっ迫の状況が続いています。
 こうした中、今月18日~20日、山口市の「山口きらら博記念公園」において、野外音楽フェスティバル「WILD BUNCH FEST.」の開催が計画されています。
 同フェスティバルは、中国地方最大規模のイベントで、2013年以降、山口きらら博記念公園を会場に来場者数4~5万人の規模で開催されてきました。
 日本共産党は、芸術・文化活動は「生きるために必要不可欠な存在」と位置づけ、コロナ禍で自粛を求められる関係者、関係業界への十分な補償と支援を求めてきました。
 同時に、「コロナから人の命を守る」ことを最優先に、ワクチン接種と大規模なPCR検査、医療体制の抜本的な拡充を求めてきました。
 同フェスティバルの主催者が「万全の感染防止策を講じる」とし、来場者にも感染防止策への全面的な協力を求めるなどの努力されていることは評価しますが、県外発着の参加ツアーが組まれるなど県境を越えた来場者が見込まれる上、会場内での密集も避けられないため、感染リスクの増大が予測されます。
 また、主催者は昨年の同フェスティバルについて「感染防止策に伴う様々な制限の中ではご参加いただくお客様に満足いただける形で開催する事は困難である」(2020年7月9日付)と中止を決断されています。
 県内は9月12日まで「デルタ株感染拡大防止集中対策」期間中です。感染状況は昨年より悪化しています。こうした観点からも開催はより困難な状況であることは明らかです。
 よって、日本共産党山口県委員会と同山口県議団は、下記事項について要請します。

1、「WILD BUNCH FEST.」の主催者に対し、今回の開催は延期、中止するよう要請すること。
2、主催者が延期、中止に応じた場合は、その損失に応じた十分な補償を行うこと。

・・・

 今は、コロナ収束に集中する時です。しかし、自粛には補償が必要です。必要な対策も併せて求めました。

 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

25自治体臨時医療施設開設、山口県は検討中

 昨日、山口新聞は、都道府県と政令市が臨時医療施設を開設しようとしている実態について次のように報じました。
 「新型コロナウイルス感染『第5波』で、47都道府県と20政令市のうち25自治体が、病院に入院できない患者の受け皿となる臨時医療施設などを『開設または開設予定』としていることが4日、共同通信調査で分かった。施設数は少なくとも40に上る。『検討中』は山口県など21自治体。全体の95%に当たる64自治体は、施設整備の上で医療人材の確保を課題に挙げた。各地で病床逼迫が続き、自宅療養者は13万人を超えた。政府は応急策としてこうした施設で患者を受け入れることで病床利用率を下げ、緊急事態宣言解除につなげる狙い。ただ、受け皿ができても十分な医師、看護師がいなければ治療や看護の質に懸念も残り、対策が急務だ。調査は8月26日~9月2日にかけて実施し、第5波が始まった7月以降の整備状況を尋ねた。25自治体のうち、13自治体は重症化を抑える『抗体カクテル療法』などの医療行為が行える施設を整えた。福井県は体育館にベッドなどを整備。愛媛県はホテルなどの宿泊療養施設の一部で治療が行える形にした。25自治体のうち、岐阜県など16自治体は酸素ステーションや入院待機ステーションを整備する。このほか岩手県や神戸市など9自治体は臨時医療施設は作らず、病床逼迫に備えて宿泊療養施設を増設する。対象自治体に受け皿整備にあたっての課題(複数回答)も尋ねた。『医師・看護師などの医療人材の確保』が95・5%、『適切な場所の選定・確保』が65・6%と続いた。病床逼迫を打開するために必要な策を問うと、『医療人材確保の調整など国のリーダーシップ』が70・1%で最多。次いで『医療人材への報酬アップ』が40・2%だった。厚生労働省は8月25日、病床確保が追いつかない事態を受け、一時的に患者を受け入れる臨時医療施設を整備するよう自治体に要請していた。」
 記事の最後にある厚労省の8月25日の事務連絡は「現下の感染急拡大を踏まえた臨時の医療施設の設置の促進について」という文書です。厚生労働省は、自治体の取組事例を示しながら、臨時の医療施設の設置の促進を都道府県などに求めています。
 9月5日時点の山口県の確保病床使用率は54.5%です。療養者数は641人です。直近1週間の新規感染者数は404人で、いずれもステージ4の数値です。
 山口県は、8月25日に行った第26回「山口県新型コロナウイルス感染症対策本部」本部員会議で、緊急の入院医療機関を100床確保し、9月1日から25床の運用開始、宿泊療養施設としてセミナーパーク100室を9月1日から開設することを明らかにしました。
 その上で、山口県は、8月25日の厚生労働省の通知を受けた臨時医療施設開設の対応を共同通信社に問われ「検討中」と答えました。
 緊急事態宣言が発せられている福岡県と広島県に挟まれた山口県は、ステージ4の状況が続いています。
 医療従事者確保に対する国の更なる支援を前提としながら、山口県は臨時医療施設を確保すべきだと私は考えています。
 山口県は臨時医療施設「検討中」から「開設予定」にギアチェンジすべきです。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

NHK終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」

 8月13日、NHKの終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」が放映されました。このドラマの原作は、熊野以素著「九州大学生体解剖事件 70年目の真実」です。この程、原作を全て読み終えました。
 しんぶん赤旗の文化欄に、このドラマのチーフプロデューサーの熊野律時さんのインタビューが掲載されています。
 熊野さんは、制作する上で気を付けたことはと問われ次のように答えています。
 「誰の言っていることが正解、とはしたくありませんでした。この事件自体、誰の発案なのか真相は分かっていません。ただ事実として、実験手術が行われた詳細な記録が残っています。誰が正しいとか、誰が悪いとか、誰のせいだというのではなく、一人ひとり自分の頭で『本当はすべきことは何だったのか』と考えていく。今の時代にも、やっぱり誰かのせいにして自分はそれ以上考えないことがある。その積み重ねが、実験手術に象徴される恐ろしい過ちにつながっていくんじゃないかと意識しました。」
 先日、高橋純子著「仕方ない帝国」を紹介しました。
 「既成事実への屈服が、さらなる屈服を生む。対米追従はしかたない。沖縄に米軍基地が集中するのは仕方ない・・・。現状追認の無限ループ、そんな『仕方ない帝国』に生きてて楽しい?」
 熊野さんの制作意図は、高橋さんの「仕方ない帝国」との時代認識に通じていると感じました。
 原作を書いた熊野以素さんの伯父が、当時、九州大学医学部第一外科助教授の鳥巣太郎です。
 米軍捕虜8人が「実験手術」によって殺された事件に、鳥巣太郎は、抵抗しつつ、手伝います。
 戦後に行われた「横浜裁判」で、鳥巣は首謀者の一人として死刑判決を受けます。鳥巣の妻・蕗は様々な妨害をはねのけ、再審査を請求し、減刑を勝ち取ります。
 鳥巣は、出所後、福岡市内で外科病院を開業します。
 ドラマの表題になった表現について原作にこう書かれてあります。
 「上坂冬子氏の『生体解剖ー九州大学医学部事件』の巻末に、叔父へのインタビューが載せられている。インタビューの終了近く、事件当時、第一外科の医局員は一体どうすればよかったのか、ああする(命令に従う)よりほかに仕方がなかったのではないかと問いかける上坂氏に、『それをいうてはいかんのです。おっしゃっちゃ駄目なんですよ』伯父は強く否定した。『どんなことでも自分さえしっかりしとれば阻止できるのです。・・・すべては林博士のおしゃったことに付きますよ。言い訳は許されんとです。当時反戦の言動を理由に警察に引っぱられた人たちがおりました。あの時代に反戦を叫ぶことに比べれば、私らが解剖を拒否することの方がたやすかったのかもしれません。ともかくどんな事情があろうと、仕方がなかったなどというてはいかんのです』」
 鳥巣が「林博士がおしゃったことに付きますよ」と言っている内容について本書はこう書いています。
 1948年、横浜で「生体解剖事件」の裁判が始まります。
 「5月20日、林春雄博士が検察側証人として登場した。74歳、「東京帝国大学名誉教授、日本学士院会員、貴族院議員、当時の医学界の頂点にいた人物である。医師なら誰でも知っている。(中略)林博士は調書に付け加えて、助教授以下医局員が患者の健康を損なうような手術に参加することを命じられたらどうすべきかということについて、『私がその立場なら参加しない。医学は、治すもので殺すことではない』と見解を述べたあと、『日本では手術中は執刀者の命令は絶対で、手術が始まったら助手やナースは服従するほかはない。ことに九州は封建的な土地柄である・・・裁判にあたって、この点は考慮してほしい』と希望した。『もし、(教授の)部下の医師が、手術に参加した後で違法な手術に気がつき、次回同様な手術への参加を要求されたらどうすべきか』健治の質問は確信を突いた。『もし、1回目の手術が違法なものと気づき、次回の手術も同様のものであるならば、参加すべきではない』博士はきっぱり言い切った。弁護側反対尋問に立ったサイデル主任弁護士は、『もし、戦時中の1945年5月で、その場に軍隊が来ていて、軍の命令と信じていても、答えは同じか』と迫った。『私は手術が不必要なもので、してはならないものだと知っていたら、手伝わない』『主任教授に命じられたら?』『主任教授に手術はすべきではないと忠告し、手術には参加しない』『拒否したら軍から罰せられると思ったら?』『もし軍が私を罰したければよいと思うばかりである』『手術が始まっていて、将校が立ち合い、軍のトラックと武装兵士がいるという状況で、あなたが医局員で手伝いを命じられたら?』一連の質問はまさしく鳥巣のケースを突いている、『もし、そんな状況があったら、それは軍自体の命令というよりもならず者の命令だと思う。私は命令には従わないと思う』」
 作者は、伯父との思い出を次のように書いています。
 「1964(昭和39)年の夏休み、法学部生になった私は体調を崩し、伯父の医院で療養していた。ベッドで憲法の教科書を読んでいた私に伯父は『以素子、憲法の解釈はただ一つだ。あの憲法を作った日の気持ちに立ち返って考えてみればわかる』と強い調子で言った。『日本は永久に戦争を放棄したのだ』」
 原作を書いた熊野以素さんは、本書を書いた意義を次のように書いています。
 「平時ならば善良な意思として生きたであろう人々が、恐ろしい戦争犯罪に加担していく。すべては戦争の狂気がもたらした悲劇であった。この事実を歴史の闇に葬ってはならない。再び『戦争のできる国』になろうという逆流が渦巻く今日こそ、明らかにしなければならないという思いで、本稿を記した。」
 私は、「戦争させない9条壊すな総がかり行動うべ実行委員会の事務局長を務めています。
 憲法が禁止した集団的自衛権行使を容認する安保法制=戦争法が強行された月から毎月、宇部市役所前で集会とデモ行進を続けています。
 この行動が今月で、72回目を迎えます。72回とは丸6年が経過したことを意味します。
 「戦争のできる国」になることは仕方がないでは済まされません。まさにNHKドラマの題名「しかたなかったと言うてはいかんのです」という気持ちです。
 山口県では、来月以降、総選挙と参院補欠選挙があります。
 「戦争できる国」づくりを進める候補か、立憲主義の回復を求める候補なのかが対決軸です。
 今こそ、「仕方ない帝国」を乗り越え、戦争放棄の憲法が生きる政治を取り戻す選挙結果を山口県から築いていきましょう。
 NHKドラマ「しかたがなかったと言うてはいかんのです」をご覧になったみなさん、感想をお聞かせください。

岩国市美和町の太陽光発電所周辺で被害続く、地元住民の要望に県が回答

 廣兼輝夫岩国市美和町立岩地区自治会長、林雅之同片山地区自治会長、中村光信美和町の自然を守る会会長は、7月12日、村岡嗣政山口県知事に「岩国市美和町の太陽光発電所建設に伴う林地開発許可の取り消し(計画の見直しを含む)を求める請願書を提出しました。

 岩国市美和町へのメガソーラーに関する要望へ回答(左から、松田衆院候補、廣兼会長、中村会長)

 この請願書に対し、9月3日、県森林整備課から回答がされました。松田一志衆議院山口2区予定候補、藤本かずのり県議が同席しました。
 第一に、下畑川で『鉛』などが検出されています。要望書では、県の対応について質しました。
 中村美和町の自然を守る会会長は「下畑川で、鉛が環境基準を上回って検出された。下畑川から利水する水田は、2年続けて耕作を諦めている。沈砂池を県独自に調査すべきだ」と求めました。
 県森林整備課の担当者は「業者には、林地開発用地内から濁水を出さないよう指導している。県としての沈砂池の調査は難しい」と答えました。
 第二に、7月8日の午後からの豪雨で護岸破壊、田畑への土砂の流入等が発生しました。要望書では、県の対応を質しました。
 藤本県議は「林地開発用地内からの土砂などで、県河川と県道が崩壊した。復旧に対しては、業者に賠償を求めるべきだ。特に盛り土に対する対策の強化を求めるべきだ」と求めました。
 県森林整備課の担当者は「県河川や県道の被災要因については調査中である。土手の嵩上げや強度の強化などを業者に要請し、林地開発用地内の復旧は終了している」と答えました。
 要望項目の第三は、「開発許可業者と『アールエスアセットマネージメント』との関係」についてです。
 松田衆院予定候補は「住民説明会などに参加する『アールエスアセットマネージメント』は投資会社であり、メガソーラーの運営に責任が持てるのか」と指摘しました。
 県森林整備課の担当者は「『アールエスアセットマネージメント』は、開発許可業者である東日本ソーラー13から事業全般の委託を受けた業者だ」と答えました。

阿武風力発電所建設に対する質問状に回答

 阿武町で「HSE」が、最大13基の風車を設置する発電所の建設を計画しています。
 8月10日、阿武風力発電所建設を考える会(浅野容子代表)、阿武・萩の未来を良くする会(中村光則代表)、阿武風力発電所ちゃなんなんか考える会(宮内欣二代表)は、村岡嗣政知事に、阿武風力発電事業に関する5項目の質問状を提出しました。
 9月2日、質問状に対する回答を県が行いました。
 低周波音による健康被害について県は、環境影響評価方法書に対する知事意見で「施設の稼働による騒音及び超低周波音については、高度や地形等による影響を十分考慮し、適切な方法で調査、予測及び評価を行う」よう求めたと答えました。
 自然環境への影響について県は、県境影響評価方法書に対する知事意見でミヤマウメモドキやアブサンショウウオ等の希少生物を含む野生動植物への対応ついて「関係自治体や専門家等の意見を踏まえ、対象事業実施区域内及びその周辺の動植物の状況を的確に捉える調査手法となっているか再検証した上での適切な調査等を行う」よう求めたと答えました。
 林地開発許可等に関する事務を処理する権限について、県は、阿武町に委譲したと答えましたが、保安林の指定解除の申請がなされた場合は、解除するかどうか知事が判断すると答えました。
阿武風力発電所建設を考える会の浅野容子代表は、「奈良県では、メガソーラーに伴う林地開発に関し、業者が添付した調整池のデータに誤りがあることが判明した。荒井知事は、業者に工事の停止を指示した。山口県も、業者に対して、災害防止と自然環境を守る立場から毅然と対処してほしい。」と要望しました。

 質問状に対する県からの回答を受け、記者の質問に答える阿武風力発電所を考える会の浅野容子代表

 日本共産党の岩渕友参議院議員事務所の調査で、太陽光発電設備の規制に関する条例は156、風力発電に関する条例、ガイドラインを制定している自治体は71となっていることが明らかになりました。山口県で、メガ発電施設を規制する条例やガイドラインの制定が急がれます。

100分de名著「戦争は女の顔をしていない」

 NHKEテレ「100分de名著」でアレクシエーヴィチ著「戦争は女の顔をしていない」が取り上げられました。
 「戦争は女の顔をしていない」は、第二次世界大戦中、ソ連軍に従軍した女性たちの姿を、500人を超える証言者の声によって描き出した作品です。
 私は、アレクシエーヴィチの事を鎌田實さんの本で知り、コミック版「戦争は女の顔をしていない」も読み、今回の講座を楽しみに、第三回まで視聴しました。
 私の心に突き刺さったのは、第二回放送分でテキストの最後に紹介されているパルチザンの母親のエピソードを語るワレンチーナ(連絡係)の次の証言です。
 「気の狂っている女性に出くわしたことがあります。足が立たず、這っている。自分はもう死んでいると思いこんで。身体から血が流れているのは感じていながら、その世でのことだと思っている。(中略)あの女の人は5人の子供と一緒に銃殺に連れて行かれたことを語ってくれました。納屋に連れて行かれる途中で子供たちは少しずつ殺されたのです。奴らは銃を発射し、しかも楽しんでいた・・・最後に乳飲み子の男の子が残って、ファシストは『空中に放り上げろ、そしたらしとめてやるから』と身ぶりでうながした。女の人は赤ちゃんを自分の手で地面に投げつけて殺した・・・自分の子供を・・・(中略)これは私が話しているんじゃありません、私の悲しみが語っているんです。」
 この講座の解説者であるロシア文学研究者の沼野恭子さんはこう書いています。
 「敵に殺されるぐらいなら、と自分の手で殺めるところまで追い詰められていた母親の姿は、ことのほか痛ましいものです。パルチザンの言葉は、正規軍に入隊して戦った女性とは一種異なる壮絶さを持っています。」
 何度も視聴した映画「ドキュメンタリー 沖縄戦」の中で、逃げ込んだガマの中で、母親たちが自分の子どもを殺したという証言が出てきます。
 戦争は、命を生み出す母親に自らが生んだ子どもを殺させる悲劇を生むものだと痛感します。
 沼野恭子さんは、テキストでこの作品についてこう書いています。
 「『戦争は女の顔をしていない』は、『小さな人間』という『個』の声が響き合う、交響曲のような作品であり、『男の言葉』で語られてきた戦争を『女性の語り』によって解体した作品でもありました。(中略)女性の語りは、非理論的だとか、非合理的だとかいった言葉で不当におとしめられ、ステレオタイプ的に『生活密着型の単なるおしゃべり』『男性の言葉に比べて下に位置する』とみなされてきた側面があります。しかし、アレクシエーヴィチはその女性の語りに光を当て、価値を見出し、『大文字の歴史』が取りこぼしてきたものをすくいあげています。」
 パルチザンの母親のエピソードは、まさに「大文字の歴史」が取りこぼしてきたのをすくいあげ、戦争の本質を見事に抉り出していると思います。
 これからもアレクシエーヴィチさんから大いに学んでいきたいと思います。