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安田菜津紀著「あなたのルーツを教えてください」を読んでいます

 2月1日のNHKハートネットTVで「ルーツのバトン受け継いで~フォトジャーナリスト安田菜津紀」という番組が放映されました。
 NHKハートネットのインターネットのサイトにこの番組が次のように紹介されていました。
 「世界中を飛び回り、貧困や難民の問題について発信を続けるフォトジャーナリスト・安田菜津紀さん。今、日本で生きる外国ルーツを持つ人たちを取材した新刊を準備している。安田さんを突き動かすのは、出自を明かすことなくこの世を去った在日コリアンの父親の存在。入管施設でスリランカ人女性が亡くなった問題やヘイトスピーチなどに目を向け、差別を生まない社会のあり方を模索する安田さんの思いに耳を傾ける」
 80年前に宇部市床波の海底炭鉱=長生炭鉱で落盤事故が発生して多くの命が奪われました。亡くなられた方の多くは朝鮮半島から強制連行された方々でした。私は、毎年、事故が起こった時期に、韓国から遺族の方を招き追悼式を行うなどこの歴史を後世に残す活動を続けている「長生炭鉱水非常を歴史に刻む会」の運営委員を務めています。
 先日、安田菜津紀さんが、長生炭鉱跡地の取材に来られました。私は、その場に同席することは出来ませんでした。
 しかし、NHKハートネットの番組を視聴し、益々、安田さんの活動に共感する気持ちが一杯になり、番組で紹介されていた近著「あなたのルーツを教えて下さい」を購入し、一気に半分読みました。
 この本には、外国にルーツのある方々に、安田さんがインタビューした内容が綴られています。
 この本を読んで感じたのは、誰のルーツも否定されない社会をつくろうという決意です。
 私のルーツは、山口県の中山間地域です。父も母のルーツも同じような場所です。父母の祖先は数百年、居住地を移動していません。
 考えてみると私のケースは、今や珍しいと感じます。
 私のパートナーは、大阪府出身です。パートナーの母の両親は、大阪市内で商家を営んでいました。パートナーの父の父は、富山県の世界遺産=五箇山の近くの出身です。
 子どもたちが小さい時に、一度、義父と一緒に、父のルーツを辿る旅をしたことを懐かしく思い出します。
 パートナーの母は、自宅を開放するなどして、大阪府内でボランティア活動を行ってきました。
 私の次男は、近畿地方の造形大学をこの春卒業します。
 次男の卒業作品は、祖母が自宅でボランティア活動を行う様子を描いたドキュメンタリー作品でした。
 先日、その作品を観る機会がありました。
 次男にとって、この作品を作る過程で、自らのルーツを辿る旅をしたのだと感じました。
 安田さんの本の中に、お母さんが在日コリアンであるパフォーマーの「ちゃんへん」さんが登場します。
 ちゃんへんさんは、ルーツが外国の人々を差別する日本の現状について次のように語っています。
 「若者が増えないこの国は、外国から来る人たちの力を借りざるを得ない社会になっているわけですよね。それなのに、そういう人たちを踏みにじる対応をしてきたと思います。これからは国籍とか信仰している宗教に関わらず、個人が対等な立場で尊重し合える時代が来るはずだと僕は思っています。そうしないと社会がもたない。でも、いまだにそこに線を引いている。そういう発言かいかに国を壊していくかに、そろそろ気づいた方がいいと思うんです」
 ちゃんへんさんの発言に全くその通りだと感じました。
 誰のルーツも否定しない社会。外国にルーツがある人も日本にルーツがある人も「個人が対等で尊重し合える時代」が来ることを願いつつ、安田さんの本を読み進めています。
 私は、宇部市の人権教育推進委員を務めていますが、安田さんの本から「人権」について深く学ばされています。
 あなたのルーツを教えて下さい。

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