議員日誌

映画「家族を想うとき」

 福岡市のKBCシネマでケン・ローチ監督の映画「家族を想うとき」を観ました。

 映画のチラシより映画のストーリーを引用します。

 「父のリッキーは、マイホーム購入の夢をかなえるためにフランチャイズの宅配ドライバーとして独立。母のアビーは、パートタイムの介護福祉士として、時間外まで1日中働いている。家族を幸せにするはずの仕事が、家族との時間を奪っていき、高校生の長男セブと小学生の娘のライザ・ジェーンは寂しい想いを募らせてゆく。そんななか、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。」

 私の大学生の二人の息子は、妻の実家からそれぞれ大学に通っています。

 私は今、高校生の息子と中学生の娘と一緒に暮らしています。

 それぞれ3年生ですので、それぞれの進路に向かって勉強中です。

 私は、映画の中のリッキー家族世代よりも少し上ですが、我が家の葛藤もこの映画に含まれており、とても共感しました。

 何より、映画を観ながら、PTA活動や相談活動で出会う40代前後の家族の皆さんの姿が脳裏に次々浮かんできました。

 お父さんが、お母さんが、ダブルワークして教育費を賄っている家庭も多く目にします。

 ケン・ローチ監督が映画のパンフレットでこの映画の問題意識についてこう語っています。

 「このステムは持続可能か、ということです。1日14時間、くたくたになるまで働いているバンのドライバーを介して買った物を手に入れるということが、持続可能と言えるのでしょうか?自分で店に行って、店主に話しかけることよりもよいシステムなのでしょうか?友人や家族にまで波及するようなプレッシャーのもとで人々が働き、人生を狭めるような世界を、私たちは望んでいるのでしょうか?これは市場経済の崩壊ではなく、むしろ反対で、経費を節減し、利益を最大化する過酷な競争によってもたらされる市場の論理的な発展です。市場は私たちの生活の質には感心がありません。市場の関心は金を儲けることで、この二つ相性が悪いのです。ワーキング・プア、つまりリッキーやアビーのような人々とその家族が代償を払うのです。」

 年末のしんぶん赤旗日曜版に前参議院議員でエマーソン大学映画学科卒の辰巳孝太郎さんがこの映画について次のように書いています。

 「長時間労働と貧困や家族の崩壊というテーマは、日本でも共通のもの。ここで描かれているフランチャイズという働き方は、日本ではコンビニオーナーの『奴隷労働』として注目され社会問題となっています。実質労働者でありながら、無権利の『個人事業主』として働かせ、利益の多くを搾取する契約は、資本側にとって最も都合の良い働かせ方であり、国境を超えて広がっているのです。ケン・ローチは、貧困から抜け出せず追い込まれていく労働者が、資本主義と新自由主義のシステムにのみ込まれながらも葛藤する姿を、ありのまま描いています。そこにはヒーローもおらず、ハッピーエンドもありません。個人と家族が、現代のシステムによって破壊され続ける現実を淡々と描写しています。そしてそんな社会に生きる私たちに監督は『あなたはどうするのか』と問いかけてくるのです。」

 私自身、この映画を観て、改めて家族に向き合う時間をもう少し増やそうと思いました。

 私の周りで、今日も頑張って働いておられるお父さん、お母さんたちに、ぜひこの映画を観ていただきたいと思いました。

 アビーが介護する高齢者の若い頃の写真を見せてもらうシーンがあります。

 高齢者の方は、若い頃の労働組合活動の様子を生き生きと語ります。

 高齢者は、アビーの「働き方」を観て「労働時間は8時間ではないのか」と言います。

 労働者の生活の質を中心に考える社会に変えていかなければなりません。

 この映画を観て「8時間働けば普通に暮らせる社会」の実現を誓う新年です。

 今年は、ケン・ローチ監督作品をチェックしていきたいと思います。

 名匠ケン・ローチ監督ファンの皆さん、お勧めの作品をお教え下さい。

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