月別アーカイブ:2018年4月

「なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか」読書ノート(パート2)

 植物学者・稲垣栄洋さんの「なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか」を読み終えました。

 今までは、社会科学に関係するの本ばかり読んでいたのですが、自然科学の分野の本書から多くの刺激を受けました。

 稲垣さんは、人間について「私たちの存在は、思考をつかさどる脳に、あるように思えるかも知れません。しかし、脳もまた、およそ百五十億個の細胞の集まりに過ぎません。細胞が分担をする中で、単に思考をする役割を担っているだけなのです。」と述べています。

 その上で、稲垣さんは、「脳のない植物に知恵がないと考えるのは、脳を発達させた人間の勝手なものの見方だ、と植物は笑っていることでしょう。脳はなくても植物は水を求めて根を伸ばします。光を求めて茎を伸ばし、季節を感じて、ちゃんと正しい時期に花を咲かせます。自然のしくみを理解し、自然の摂理の中で生きているのです。」と人間と植物の同一性を説きます。

 稲垣さんの思考は、地球から宇宙に及びます。

 「かけがえのない地球の上で、たくさんの生命が生まれ、泣いたり、笑ったりしています。そんな多くの生命が地球という生命体を支えています。もしかすると、その地球さえ、宇宙という巨大な生命を支えるいくつもの生命の一つに過ぎないのかも知れません。」

 稲垣さんのこれら文章を読むと、更に、前回も引用したこの言葉が重く私の心に届いてきます。

 「けっして人間の生き方が高級で、植物の生き方が低級ということはありません。」

 稲垣栄洋著「なぜ仏教はハスの花の上に座っているのか」は、私の世界観に大きく影響を与える1冊となりました。

 私の座右の書の一冊となりました。

 月曜日は、中学校の入学式です。PTA会長挨拶を今、準備中です。

 稲垣さんの本を引用して新一年生にメッセージを届けたいと思っています。

 これからも稲垣栄洋さんから多くのことを学びたいと思います。

 読書は人生を豊かにしてくれるものですね。

 皆さん、最近読んだお勧めの本をご紹介下さい。

 

保守政治の慣習を破壊

 「親鸞と日本主義」を読んで以来、取り分け注目している政治学者の中島岳志さんが、4月8日付のしんぶん赤旗「日曜版」のインタビューに登場しています。

 公文書改ざん問題について中島さんはこう語っています。

 「公文書改ざんは、政権内部で公然と『歴史の改ざん』をおこなっていた点で重大です。こんな政権は現在だけでなく未来からも信用を失います。将来、過去の政治を研究しようとしても、公式記録が何も信用できないからです。私たちのような歴史研究の立場からいうと言語道断です。」

 中島さんは、安倍政権についてこう語っています。

 「安倍首相を私は『保守』政治家だとは思っていません。安倍政権は、議会を形骸化させ、強引に自分たちの移行を通してきました。過去の習慣、不文律、経験則をまったく守らない。戦後政治家はそれへの矜持があった。いまの安倍さんにはまったくない。先人たちが付き重ねてきたことを次から次に破っていく。ここが大きな問題です。」

 安倍改憲について中島さんはこう語っています。

 「私は改憲の議論はすべきだと考えています。しかしながら、安倍さんの改憲には絶対反対です。まず集団的自衛権の講師容認へ解釈を変え、それを追認するような明文改憲をするというのは立憲主義に反するからです。」「国民の中には9条改定に不安を感じる方が多くいます。それは、9条は単なる憲法の文言を超えた、戦後日本の『叫び声』だからです。

 中島さんは日本共産党ついてこう語っています。

 「共産党の政策は、新自由主義やグローバル資本主義の暴走を批判し、TPP(環太平洋連携協定)に反対し、農家や中小企業を守れという。大企業の内部留保、利益を社会に還元し、内需主導の安定路線をめざしています。この政策は保守と共通します。よく共産党と組むことで左傾化するのではと心配する人がいます。逆です。共産党の政策を取り込むことで、保守と接近することが可能となるのです。」

 中島さんは、最近、「保守と立憲」という本を出版しました。

 中島さんは、インタビューで「『国民』には『死者』も含まれている。私は、死者が集合的に構築してきた常識の体系が憲法だと思っています。その憲法で、権力者が暴走しないように歯止めをかけるのです。」

 中島さんは、この本で保守を再定義し、あらためて立憲主義を論じようとしています。

 「親鸞と日本主義」に続く中島岳志さんの新刊「保守と立憲」を読んでみたいと思います。

 憲法を守る重要性を中島さんのインタビューで痛感しました。

 憲法やアベ政治に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

大家さんと僕

 お笑いコンビ・カラテカのボケ担当の矢部太郎さんが初めて描いた漫画が「大家さんと僕」です。

 矢部さんは、8年前から大家さんの家の2階に住んでいます。

 大家さんは、17歳で終戦を迎えた方で、現在90歳少し前です。

 大家さんは、一度結婚されたことはあるようですが、ずっと一人暮らしです。

 矢部さんは、彼女が出来そうだったけれど、今は、一人暮らしです。

 この漫画は、そんな大家さんと矢部さんとの緩やかな交流を描いています。

 矢部さんは、大家さんから戦争当時の事など様々な事を学びます。

 大家さんは、あるトーク番組に矢部さんと一緒に出演したり、矢部さんの舞台を観に行ったり、刺激を受けています。

 大家さんと矢部さんは、買い物に行ったり、旅行に行ったりします。

 大都会で、50歳近く年齢差のある二人が、お互いをリスペクトしながら気遣いながら暮らしています。 

 大家さんが入院したとき、何気なく大家さんを気遣う矢部さんの姿が印象的でした。

 矢部さんのキャラクター通り、「大爆笑」する内容ではないけれど、心が温かくなる漫画です。

 先日、矢部さんがNHKラジオ「すっぴん」に出演して、この本の事を話していました。

 ラジオの中で、矢部さんが、少し変装して映画「火花」に出演していたことを初めて知りました。

 「大家さんと僕」は「小説新潮」に連載されたものを一冊にしたものです。

 ラジオで続編がスタートする様子が語られていました。

 「大家さんと僕」パート2。大いに期待しています。

 矢部さんのお父さんは絵本作家のやべみつのりさんです。

 緩やかな線で描かれた漫画から、温かさがにじみ出ています。

 新しい年度がスタートして緊張の連続だという方。

 少しほっこりしたいあなたへ「大家さんと僕」お勧めです。

 久しぶりに漫画をじっくり読みました。

 漫画の可能性の広がりを感じました。

 あなたが最近読んだお勧めの作品をお教え下さい。

かえる通信No36(2018年4月1日)

上関原発絶対つくらせない

 

山口県民大集会に2000人が参加

 

 三月二十四日、中国電力の上関原発建設計画に反対し、福島第一原発事故を忘れない意思を示そうと、第5回「上関原発を建てさせない山口県民大集会」が行われました。
 県内外から幅広い世代の約2000人が参加しました。
 那須正幹共同代表は「再稼働の次に狙われるのは新増設。油断せず、あきらめず、上関原発は絶対につくらせないと声を上げ続けよう」とあいさつをしました。
 原発事故被害者団地連絡会の大河原さき事務局長は、避難指示解除に伴い、賠償や自主避難者への住宅無償提供が打ち切られるなど、被害者が切り捨てられようとしている現状を訴えました。
 女優の木内みどりさん、ジャーナリストの津田大介さん、ミュージシャンの細美武士さんが、原発の賛否で地域が分断させられる問題や、原発に無関心の人も巻き込む取り組みの方法などをめぐり、意見を交わしました。
 ジャーナリストの津田大介さんは、「安倍政権の状況を見ると1か月前とは大きく変わった。国民が政治を変えるもの。原発推進政策を大きく転換するチャンス。」と参加者を励ましました。
 日本共産党の大平よしのぶ前衆議院議員、立憲民主党の横光克彦衆議院議員が紹介され、連帯表明を行いました。
 集会の後、参加者は、市内をデモ行進しました。憲法を壊し、公文書を改ざんし、原発を進める安倍内閣の総辞職を実現しましょう。そして、憲法を守り、原発のない日本を実現していきましょう。

上関原発を建てさせない2018

集会参加者で「原発はいらない」と意思表示行う

 

県道の段差解消へ

 

 宇部市万倉今富の方から県道にかかる橋の前後に段差があり、大型トラックが通過した時の騒音がひどいとの要望を受けました。
 要望があった場所は、県道小野田美東線、船原橋周辺です。
 藤本前県議が山口県宇部土木建築事務所に要望を伝えました。
 県宇部土木建築事務所の担当者は、「新年度、なるべく早い時期に、段差を解消する工事を行いたい。」と答えました。

万倉県道段差

 新年度に段差が解消される見通しの県道

 

第7回うべ憲法共同センター市民公開講座

演題 何故、菅官房長官の会見に臨むのか

    ~安倍政権とメディア~

講師 望月衣塑子(もちづきいそこ)さん

   (東京新聞社会部記者)

望月衣塑子さん写真

望月衣塑子東京新聞記者

日時 4月8日(日)
      14:00~16:00
会場 宇部市多世代ふれあいセンター
    ふれあいホール
    宇部市琴芝町2丁目4番25号
会費 500円

主催 うべ憲法共同センター

   山口民医連内 ℡ 0836-35-9355  

   事務局 藤本一規 090-3747-2855

 

一気

 

私の故郷=宇部市楠地域を中心に行われた「第14回くすのきカントリーマラソン」に妻と一緒に参加しました。フルマラソン、10キロ、2キロの種目に、1865名のランナーが挑戦しました▼私は、10キロ、妻はフルマラソンです。妻のスタートを見送って私もスタート。万倉ふれあいセンターをスタートし、宗方まで下り、今富ダムの手前まで行き、万倉ふれあいセンターに戻るコースです。晴天の下、宗方までは順調にペースを上げていきました。県道に出て北上してしばらくして右足の膝あたりがチクチク痛み始めました。練習不足を痛感しました▼何度も歩こうかと考えましたが、何とか走り続けることができました。記録は、1時間9分16秒。10キロ一般男子の部358人中263位でした▼走っている最中に、恩師の先生を始め、懐かしい方々にお会いすることができました。これも故郷の大会ならではのことだと思います。幸せな大会参加でした。

改ざん問題を考える

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙で長野県短期大学の瀬畑源准教授が公文書「改ざん」問題についてインタビューに答えています。 

 瀬畑准教授は公文書改ざんについて官僚制度の根幹に関わる問題だと次のように指摘します。

 「決裁文書は省庁にとっての最終決定事項が書かれ、それに基づいて行政が行われる。官僚がそれを変えてうそをつくと、あなたたちの仕事は信用できませんとなる。存立基盤を自ら掘り崩すものです。」

 公文書管理法が2011年に施行され、2012年に原発事故に関する議事録に未作成のものがあることが発覚した際、岡田克也副総理は議事録を新たに作らせました。

 このことと対比して、安倍政権の公文書管理の杜撰さを瀬畑准教授は次のように指摘します。

 「安倍政権は森友問題で、こうした対応をしませんでした。問題が表面化した昨年2月の時点で麻生太郎財務相は国有地売却の経緯を調査すべきだったのに『文書はルールにのっとって廃棄した』と言ってすませた。改ざんを知っていたかどうかにかかわらず、調査を怠ったこと自体で麻生氏の責任は免れません。」

 瀬畑准教授は、「長く続く自民党政権において、情報を自民党と政治家と官僚で独占してきたこと」が問題だと指摘し次のように述べています。

 「口利きなどによる不当な政治介入の根拠が残らないように、文書を作成してほしくないと考える人すらいるいるでしょう。プロセスを公開せず、文書をきちんと残さないがゆえに、特定の権力者によって行政がゆがめられることになる。今回の森友、加計問題はその典型です。」

 瀬畑准教授は、アメリカの国立公文書館は「国民への説明責任を果たそうという精神が根付いている」と指摘し、日本の国立公文書館について次のように指摘しています。

 「日本の国立公文書館は、決定に至る過程を示す文書が少なく、決裁文書の山だけ残っているような状況です。公文書館の正規職員も50人程度です。現在だけでなく未来の国民に対する説明責任を果たすために文書をきちんと管理する必要があります。国立公文書館の人員や予算を拡充する。文書の公開基準を緩めるための情報公開法改正など、課題はたくさんあります。」

 防衛省では、陸上自衛隊のイラク派兵(2004~06年)時の日報が存在していることが明らかになりました。南スーダンPKOの日報隠ぺいに続く新たな隠ぺいの発覚です。

 さらに、日本共産党の穀田衆議院議員が暴露した防衛省統合幕僚監部作成の内部文書(「日米『動的防衛協力』について)に関連し、同盟の2件の文書が存在することが判明しました。一部隠ぺいや改ざんが行われた疑惑が明らかになりました。

 この間、厚生労働省の裁量労働制のデータねつ造、隠ぺいが明らかなっています。

 安倍政権で今、隠ぺい、改ざん、ねつ造が蔓延しています。

 それぞれ、国民主権を壊す暴挙です。徹底した解明が必要です。

 私は、かつて山口県文書館を視察して、文書管理の改善などについて県議会で質問したことがあります。

 瀬畑准教授が指摘するように、情報公開法を改正し、文書の公開基準を緩め、それに伴う、国や地方自治体の公文書館に対する人員や予算の拡充が求められていると私も思います。

 まずは、「森友公文書改ざん」問題の徹底解明を進めていきましょう。

 安倍政権内で相次ぐ杜撰な公文書管理の実態を皆さんはどうお考えですかご意見をお聞かせ下さい。

なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか

 静岡大学の植物学者・稲垣栄洋さんの「なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか 仏教と植物の切っても切れない66の関係」を興味深く読んでいます。

 私は、中山間地域生まれなので、ススキの葉で手を切ったことが何度もあります。

 稲垣さんはススキについてこう書いています。

 「ススキの葉で皮膚が切れやすいのは、葉のまわりにガラス質のとげがのこぎりの歯のように並んでいるからです。窓などに用いるガラスはケイ酸を原料としますが、ススキをはじめとしたイネ科の植物は、草食動物から身を守るために、土の中から吸収したケイ酸を体内に蓄積して、ガラス質を作り出しているのです。」

 タラヨウという木の葉にはタンニンが多く含まれています。

 タンニンは、植物が害虫や病原菌から身を守るための物質です。

 稲垣さんはこう書いています。

 「植物の辛味成分や苦味成分も、もともと昆虫に食べられないための物質です。しかし、毒性のある物質を作るだけでは、昆虫はそれらの物質を克服して食べることができるように進化を遂げてしまいます。これでは、どんな防御物質を作ってもきりがありません。強く抵抗すれば、敵もまた強く反発します。そこで植物は、完全に食べられないように防御するのではなく、ある程度、食べられながら身を守る方法を考えました。その一つが、たくさん食べられないように、昆虫の食欲を減退させる物質です。タンニンも、昆虫の食欲を減退させる物質の一つです。」

 日本の仏教には、「草木国土悉皆成仏」という思想があります。

 「草や木はもちろん、土や水さえも私たちと同じ仏性があり、成仏する存在である」という意味です。

 稲垣さんは、様々な仏教のいわれを説きながら、植物の働きを分かりやすく私たちに伝えてくれます。

 その上で、私は、この本のこの文章に心を奪われました。

 「けっして人間の生き方が高級で、植物の生き方が低級ということはありません。たまには空を見上げて、植物の気持ちになってみるのも悪くないのではないでしょうか。空を眺めていると、体の底から力が沸きあがってくるような気がします。おそらくは、それが、植物が日々感じている生きる力なのでしょう。」

 人間が高級で植物が低級ではないという考え方に心を打たれました。

 ましてや、人間同士に高級や低級があってはなりません。

 植物のことを知れば、知るほど、人間と同じ地球上の生物なのだということが分かってきます。

 相手を知ることが全ての始まりなのかも知れません。

 これからも植物の事を稲垣先生から学んでいきたと思います。

 植物について皆さんの思いをお教え下さい。