日本共産党中央委員会が「議会と自治体」26年2月号に、党政策委員会の小泉大介さんによる「日米一体の大軍拡(ミサイル列島)づくりを許さない〇「抑止力」論を打ち破り平和準備の大攻勢を」と題する論文が掲載されました。
小泉さんは、大軍拡を進める政府・自衛隊関係者をはじめとする推進勢力がまるで念仏のように唱えている「抑止力」論の正体を白日の下にしたいとして次のように書いています。
「広辞苑で『抑止』を引きと、『おさえとどめること』となっているが、軍事的な『抑止』はそんな生易しいものでは決してない。日本語の『抑止』は英語では『deterrence』だが、それは相手を軍事的に威嚇することによって抑え込むことを意味する。五十以上の歴史を持つ日本平和学会が編集した『安保法制100の論点』によれば、『抑止の本質は、報復の威嚇によって抑止相手の認識に働きかけ、恐怖や不安を抱かせることで、その目的を達成しようとする点にあるといえます。国家安全保障のための抑止政策とは、報復力に基づく威嚇政策にほかなりません』ということになる。実際、米国防総省の『軍事関連用語辞書(2001年版)は『抑止』について、『恐怖によって行動を阻止すること』としている。防衛省の側も2025年版『防衛白書』で、防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏が『軍事力使用の威嚇を梃に、辞退を武力衝突に至らしめることなく侵略を防止するもの』と説明。航空自衛隊幹部学校研究員の山本哲史氏は論文『抑止理論における認識について』で『抑止は威嚇(threat)によって成り立つのである。威嚇は対象に恐怖(feat)を与えるもの』だと指摘しているのだ。次に、安保法制と安保三文書による大軍拡の実態に即して『抑止』を考えてみたい。この点で、元内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)の柳沢協二氏が、安保三文書策定から間のない2023年3月1日付の『マガジン9』(ウェブマガジン)で非常にわかりやすい解説をしている。柳沢氏は、『抑止というのは、(うちの国に攻めてきたらばいがえしにするぞ、ひどい目に遭わせるぞ)といって相手に攻撃を想いとどまらせようとする、ある意味で非常に恐ろしい概念』としたうえでこう指摘している。『抑止力をミサイルの数だけで測れる定量的なものだと考えてしまうと、終わりなき軍拡競争になります。相手が3発持っているからこちらは6発、そうしたら向こうも6発備えてきたからこちらは12発・・・とエスカレートしていく』『これまで日本が掲げてきた(専守防衛)には、『攻撃を加えられたときは抵抗するけれど、こちらかは攻め込まない、他国の本土まではダメージを与えない』という意味合いがありました』『それをかなぐり捨てて、(攻めてきたらやり返すぞ)というメッセージを出すというのは、(やるならやってみろ)と煽っているのと何も変わらない。(反撃能力)の保有を決め、しかもそれを全面に押し出すというのは、安全を確保する政策としては誤りとしかいえないと思います』安保三文書改訂直後、2022年12月18日付『東京新聞』で東大教授の石田淳氏はこう語っていた。『敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有しても、日本の安全は高まらないと考える。攻撃を受けたときに限って武力行使をするとした専守防衛という長年の宣言政策の信頼が低下し、他国の不安をかき立てる。周辺国との緊張が激化して、さらに軍議競争が加速する(安全保障のジレンマ)から抜け出せなくなるからだ』『敵基地攻撃能力を保有すれば、軍拡競争は加速し相互不信が高まり、誤認による偶発戦争も起きうる。それが怖い』と。その後の事態はまったくそのとおりに動いているのではないか。岸田元首相自身、22年5月26日の衆院予算委員会で、この『安全保障のジレンマ』についての質問に、『自分の国が軍事力を強化する。そうすると、相手は更に軍事力を強化する。結果として、自分の国の脅威が増すことになってしまう。これを安全保障のジレンマと言っていると承知している』と、一般論としてではあるが認めているのです。まさに、軍事の世界では常識中の常識である。このように、軍事による『抑止』は、必然的に『軍事対軍事』『恐怖対恐怖』の果てしないエスカレーションをもたらすことになる。仮に、軍事力でも経済力でも日本をはるかに凌駕する中国を『抑止』できたとして、そのために一体どれだけの軍拡と軍事費が必要となるのか。GDP比3・5%の軍事費でもまったく足りないということになる。さらに、核保有国である中国を『抑止』するには、日本も核保有するしかないということに理屈上はなってしまう。これを象徴的に示したのが、昨年12月18日、『政府高官』が記者団に対し、『日本は核(兵器)を保有すべき』と発言し、大問題になったことである。これには、高市首相自身が、『非核三原則』を敵視し、安保三文書の改定でこれを葬り去ることを狙っていることが関係していることは疑いない。『敵基地攻撃』能力保有など大軍拡が何をもたらすかについては、防衛相と外相を歴任した自民党の岩屋毅衆院議員も、安保三文書の策定以前の段階でこんな発言を行っていた『今は主に北朝鮮の脅威を考えて敵基地攻撃能力を保有すべき理由にしているが、軍事的にもっとも大きな脅威と言えば中国の海洋進出やロシアの軍備増強だ。だがそれらの国に向かって攻撃を可能にする装備を持つとなったら、それこそ際限のないものになる』『それに日本が相手国を攻撃することを大上段に目的に掲げれることになれば、地域の安全保障環境は一層、緊張することになる。むしろ際限のない軍拡を招く事態になると懸念する』(『ダイヤモンド・オンライン』2020年8月20日付)『抑止力』論の破綻は明らかではないか。筆者は、昨年の本誌7月号で、安倍元首相が安保法制強行時に述べていた発言を紹介したが、今回の文脈であらためて指摘したい。安倍氏は、2015年5月26日の同法制審議入りの際、『日本が危険にさらされたときは日米同盟が完全に機能するということを世界に発信することによって、紛争を未然に阻止する力、すなわち抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなっていく』(衆院本会議)などと主張。成立後の17年2月15日には、『平和安全法制は、新ガイドラインの策定と相まって同盟関係を一層強固にし、抑止力を向上しました』(参院本会議)と言い切っていたのである。では、その後、『日本が攻撃を受ける可能性』はなくなり、東アジアに平和は訪れたのだろうか。同じ自民党政府がいま、口を開けば『戦後最も厳しい複雑な安全保障環境』と叫んでいるのは一体どうゆうことなのか。高市首相が『もっともっと抑止力を』などと言って安保三文書の改定に躍起となっているのは、自己矛盾の極みではないか。それはまさに際限のない大軍拡競争招き、偶発的な衝突の発生で戦端が開かれる危険を高めるだけである。もうこんな無責任極まる政治は根本から転換するしかない。」
今日の毎日新聞に維新のこの総選挙の政策について「実際に維新の公約は、自民に比べても突出した内容が目立つ。集団的自衛権については憲法を改正して全面容認するとし、憲法への『国防軍』の明記も盛り込んだ。戦後日本は、戦争放棄と戦力不保持を定める憲法9条に基づき、自衛隊の武力行使を『自衛のための必要最小限度』にとどめる『専守防衛』を掲げてきた。だが、維新の公約は専守防衛を見直して『積極防衛』に転換するとし、『必要最小限に限るとの規定・解釈の見直しに取り組み、他国からの侵略に対する抑止力を強化する』と明記した。さらに米国の核兵器を日本で運用する『核共有』の議論開始にも言及。米国の原子力潜水艦を享有し、日米同盟の一層の深化を図るとも記した。」
今回の総選挙で、自民維新の連立政権の信を問うと両党は言ってるのだから、自民党と維新の両方の政策を見て連立政権を是非を国民は判断することになります。つまり、維新の政策も連立政権の政策と見ることが出来ます。自民維新連立政権として、国民に、憲法を改正して『国防軍』の明記を盛り込む、専守防衛を見直し、積極防衛に転換する、米国との各共有を可能にするなどが公約だと説明していると解釈できます。
同時に、中道改革連合も集団的自衛権行使容認を合憲と判断した以上、自民維新の政策の歯止めになることは難しい状況です。
今度の選挙自民維新政権が「もっともっと抑止力を」と訴えていますが、そのことで、「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」は改善するどころか、悪化することは明確です。
国民は、「安全保障のジレンマ」=自民維新政権が事故矛盾に陥り、際限のない大軍拡競争に陥っていることを知る必要があると思います。
この方向は、日本に平和を近づけることではなく、偶発的な衝突の発生で戦端が開かれる危険を高めるものであることを知る必要があると思います。
日本共産党は、21日に発表した総選挙政策(重点政策)の中でこう書いています。
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「戦争国家」づくりの唯一最大の口実である『抑止力』論は、軍事的な恐怖を与えることで抑え込むというものです。そうすれば相手も恐怖で応えることは必至で、まさに果てしない大軍拡に陥ってしまうだけです。
軍事費の突出は、大増税や他の予算の大削減、国際の大量発行など、国民生活も経済も破綻に導きます。
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この点での具体的な提案は以下の通りです。
――平和も暮らしも壊し、“亡国の道”につきすすむ、軍事費の大増額に反対します。
――集団的自衛権行使容認の閣議決定と安保法制を廃止します。
――「安保3文書」の改定を許さず、同文書の撤回を求めます。
――憲法に反し、「専守防衛」も投げ捨て、戦火の恐怖をもたらす長射程ミサイルの配備やそのための弾薬庫増設に反対します。
――「防衛特別所得税」などの軍拡増税をやめさせます。米軍への思いやり予算をなくします。
――高市政権は、「安保3文書」改定で、「国是」としてきた「非核三原則」を放棄しようとしています。政府高官からは「核保有」発言まで飛び出しました。絶対に許すことはできません。非核三原則を守り抜き、法制化をすすめます。
――核兵器の使用を前提とするアメリカの「核抑止力」依存をやめ、唯一の戦争被爆国の政府として、核兵器禁止条約への参加を決断することを求めます。
――高市政権は、殺傷武器の無制限輸出を可能にしようとしています。武器輸出の全面解禁を許さず、かつて「平和国家」として堅持するとしてきた武器輸出禁止の道に戻します。“軍需産業のもうけ”のために、「平和国家」としての国際的地位も名誉も投げ捨てる、「死の商人国家」は許せません。
――国民を監視し、基本的人権を侵害する「スパイ防止法」に反対します。
――憲法9条を守り抜き、改憲策動に断固反対します。
――日米安保条約を廃棄し、日米友好条約を締結します。
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抑止力論に対する皆さんの意見をお聞かせください。
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