静岡大学の植物学者・稲垣栄洋さんの「なぜ仏像はハスの花の上に座っているのか 仏教と植物の切っても切れない66の関係」を興味深く読んでいます。
私は、中山間地域生まれなので、ススキの葉で手を切ったことが何度もあります。
稲垣さんはススキについてこう書いています。
「ススキの葉で皮膚が切れやすいのは、葉のまわりにガラス質のとげがのこぎりの歯のように並んでいるからです。窓などに用いるガラスはケイ酸を原料としますが、ススキをはじめとしたイネ科の植物は、草食動物から身を守るために、土の中から吸収したケイ酸を体内に蓄積して、ガラス質を作り出しているのです。」
タラヨウという木の葉にはタンニンが多く含まれています。
タンニンは、植物が害虫や病原菌から身を守るための物質です。
稲垣さんはこう書いています。
「植物の辛味成分や苦味成分も、もともと昆虫に食べられないための物質です。しかし、毒性のある物質を作るだけでは、昆虫はそれらの物質を克服して食べることができるように進化を遂げてしまいます。これでは、どんな防御物質を作ってもきりがありません。強く抵抗すれば、敵もまた強く反発します。そこで植物は、完全に食べられないように防御するのではなく、ある程度、食べられながら身を守る方法を考えました。その一つが、たくさん食べられないように、昆虫の食欲を減退させる物質です。タンニンも、昆虫の食欲を減退させる物質の一つです。」
日本の仏教には、「草木国土悉皆成仏」という思想があります。
「草や木はもちろん、土や水さえも私たちと同じ仏性があり、成仏する存在である」という意味です。
稲垣さんは、様々な仏教のいわれを説きながら、植物の働きを分かりやすく私たちに伝えてくれます。
その上で、私は、この本のこの文章に心を奪われました。
「けっして人間の生き方が高級で、植物の生き方が低級ということはありません。たまには空を見上げて、植物の気持ちになってみるのも悪くないのではないでしょうか。空を眺めていると、体の底から力が沸きあがってくるような気がします。おそらくは、それが、植物が日々感じている生きる力なのでしょう。」
人間が高級で植物が低級ではないという考え方に心を打たれました。
ましてや、人間同士に高級や低級があってはなりません。
植物のことを知れば、知るほど、人間と同じ地球上の生物なのだということが分かってきます。
相手を知ることが全ての始まりなのかも知れません。
これからも植物の事を稲垣先生から学んでいきたと思います。
植物について皆さんの思いをお教え下さい。
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