議員日誌

「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」

 増田俊也著「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」を読んでいます。上下段組の単行本。約700ページの大作。約600ページを読みました。

 ブログを長年読んでいただいている方は御承知の通り、私は、「熱しやすく冷めやすい」性格のようです。

 読書も興味が湧けば一気に読みますが、中途になっている本も多数です。

 これだけの大作となると殆どが途中というのが関の山でしたが、この本は違います。

 この一週間、木村政彦を縦糸に、戦前戦後の格闘技史の森の中を彷徨いながら知的好奇心に苛まれる一週間でした。

 これも、原作者の増田俊也氏の膨大な知識と筆力に寄る所大だという事でしょう。

 この本では、格闘技史だけでなく、戦中戦後史そのものも深い洞察の中で、よく理解できました。

 何よりも木村政彦の類まれな力と数奇な人生をみごとに描き出しています。

 木村の苦難に満ちた幼少時代。牛島辰熊に見いだされ拓大に入学し、柔道高専大会での活躍。天覧試合での優勝。

 そして、木村がプロレスラーに転身し、力道山と戦う表題にある通りの1945年12月22日の日本チャンピオンを決める試合。

 彼らの息づかいが伝わるような筆致、そして、膨大な資料を精査しての正確な分析。

 確かに、作者の増田氏は、自ら柔道出身で、木村政彦の汚名を質す意味合いが強い面があることは否めませんが、力道山戦の分析にも私は理解できるものでした。

 作中に登場する木村政彦も、力道山も、戦争に翻弄された人生であったという共感も伝わってきました。

 脇役としてですが、大山倍達の章もあり、詳細な記述があります。

 増田氏の長年の資料収集とこの著作の労に感謝し、もう少しでこの本を読み終える寂しさを味わっています。

 この勢いで、読み途中で終わっている、単行本約600ページの大作、小島一志・塚本佳子著「大山倍達正伝」を読み進めたいと思っています。

 格闘技史ファンの皆さん増田氏のこの大作に対する感想をお聞かせ下さい。

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