昨日、午前中、実家に帰ってトラクターが故障中でしたので、亡くなった父の本棚から1冊を手に取りました。
それが、三浦綾子著「明日をうたう・命ある限り」です。
三浦綾子さんの作品は、20代の頃、「氷点」や「塩狩峠」などよく読みました。
そして、30代に入って彼女の晩年の作品「母」や「銃口」なども読みました。
小林多喜二の母を描いた「母」は、前進座の演劇としても上演されました。山口県での上演を観に行ったこともいい思い出です。
「明日をうたう」は久しぶりに読んだ彼女の作品でした。この作品は、彼女の自伝の最終章となるものです。
1997年まで書きつづったものが本作品に収めてあります。
彼女は、1999年に没していますので、死の2年前に書かれたものです。
本作のあとがきで夫の三浦光世さんが書かれていますが、1997年、彼女は、脳神経外科に入院し、この作品が終わっています。
この作品の後半は、彼女が作家として最晩年のものと言えます。
この作品は、1975年、彼女が作家活動を開始して12年目の頃から始まっています。
彼女のこの時期以降、「天北原野」「泥流地帯」「海嶺」などの代表作を次々に発表します。
自伝であるこの作品は、彼女の闘病記でもあるのです。
長編小説である「海嶺」を書いている間にも彼女は重い帯状疱疹で苦しむ場面が出てきます。
彼女の口述筆記に専念した夫の光世さんも、様々な病気を抱えながら、彼女を支える姿が描かれています。
もしあの時に、どちらかが重篤になっていたら、その後の作品は生まれなかっただろうと思う場面の連続です。
命を削り、命を刻みながら彼女が言葉を紡いた様子が生々しく書かれてた作品です。
そんな想いをして生まれた、まさに珠玉の彼女の作品を久しぶりに読んでいこうと思いました。
三浦綾子ファンの皆さん、感想をお聞かせください。
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