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上関原発を建てさせない山口県民連絡会が、県知事へ「中間貯蔵施設」同意しないよう求める申し入れ・質問行う

 6日、上関原発を建てさせない山口県民連絡会は、「上関町での『中間貯蔵施設』の調査・建設に向けた手続きに同意しないよう求める申し入れと質問」書を村岡知事に提出しました。

 質問に対する回答は1週間後を目途におこなわれる見通しです。

 申し入れ・質問は以下の通りです。

・・・

 

                               2023年9月6日

山口県知事 村岡 嗣政 様

               上関原発を建てさせない山口県民連絡会

               共同代表  清水 敏保
               共同代表  内山 新吾
                事務局長  原     康司

上関町での「中間貯蔵施設」の調査・建設に向けた手続きに
同意しないよう求める申し入れと質問

 

  日頃の精勤に敬意を表します。
 
 さて、上関町・西哲夫町長は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡る調査受け入れの提案を、8 月 2日に中国電力から受け、8月18日に上関町議会で同施設調査の受け入れの決定を表明しました。

 西哲夫町長は、中間貯蔵施設の乾式金属キャスクは、「手で触ってもなんともなかった」と何度も強調しています。しかし、キャスクの中身は⼈体に有害な放射能です。東海第 2原発や各地の原発サイトの視察用キャスクをもって安全と言い切るには無理があります。上関町に運び込まれるとされる使用済み核燃料は、5000トン規模と仮定すると広島型原爆17万発分の「死の灰」です。
 原発関連施設への、核燃料(使用済みも含め)の運搬に伴う船舶事故、南海トラフなどの巨大地震・津波などの自然災害、加えて墜落などの航空機事故、有事の際には標的となる可能性がある等、これらの問題に対して、安全であるという実証はどこにもありません。上関町の住民にとどまらない西日本の住民が、放射能事故の危険性に怯えた⽣活を送らなくてはならなくなります。国や電力会社は「原発は安全」だと言い続けてきましたが、現実には2011年、3.11の過酷事故を招きました。未だに原発事故非常事態宣言を解除できないでいる東京電⼒福島第1原発での失敗を、絶対に繰り返してはなりません。
 さらに核燃料サイクルの実施は、延期に延期を繰り返して実質破綻している状況であり、「最終」の貯蔵施設となる可能性が高いことは明らかです。
 上関町では、41年前の1982年に原発建設計画が持ち込まれて以降、長きにわたって地元町民は原発への賛否によって分断され、⼈間関係を壊されてきました。
 しかし、2011年の東京電力福島第1原発での事故を受けて上関現地の埋め立て工事は中断、再開の見通しも立たない中で、柏原・前町長の呼びかけで「原発に頼らないまちづくり」を進める動きが始まりました。高齢化過疎化への対応、若者の移住呼びかけ、子育て世代への空き家情報の提供等が行われ、成果が出始めています。
 今回の西町長と中国電⼒の中間貯蔵施設建設を巡る動きは、ここ10年の新しい動きを台無しにする暴挙です。また原発・核問題にとどまらず、県民の安心・安全を考える上での県政全般の分岐点と考えます。

 以上をふまえて、私たちは、上関町における中国電⼒・関⻄電⼒の中間貯蔵施設の調査に反対し、貴職に下記の申し⼊れと質問をします。

申し入れ事項

 村岡山口県知事は、上関町での「中間貯蔵施設」の調査・建設に向けた手続きに同意しないでください。

質問事項

1,瀬戸内海を「死の海」にする中間貯蔵施設建設を巡る動きを村岡県知事はどのように評価・認識されていますか、お尋ねします。知事は先般、インバウンド拡大のために台湾を訪問、歓迎を受けトップセールスの役割を果たされました。瀬戸内海の真ん中に核のゴミ置き場が計画されていることをどう説明されたのでしょうか。柳井市平郡自治会が「知事は同意しないでほしい」と要望しています。山口県民として、同じ思いです。一日一日も早く、知事の見解を知りたく思います。

2,これまでの知事の「エネルギー問題は、国の専管事項」として沈黙・協⼒する姿勢は、もはや通用しない局面に来ていると考えます。今回の計画は、上関原発計画と同じく、国のエネルギー政策・核燃料サイクル政策の破綻と⽭盾を、地方自治体へ転化するものだと私たちは認識していますが、山口県知事としてのお考えをお尋ねします。

3,上関町の西哲夫町長は、「町の財政難は、町の存続を危うくしている」として、中間貯蔵施設の調査受け入れの動機を「国からの交付⾦を得るため」と繰り返し明言しています。いわば、「原発と核のゴミ置き場に依存した町づくり」を政策の柱にしています。これに対して、山口県として、「原発に依存しない町づくり」のために政策的援助はできないのでしょうか。原発計画に振り回されて被害を受けた自治体に対して、被害回復の振興策を講じることは、県の大切な義務ではないでしょうか。瀬戸内広域圏の歴史と豊かな自然の中にある上関町の、県内屈指の資源が活かせるよう、県とし
ての政策対応を求めますが、知事はどうお考えでしょうか。

以上

・・・

 知事の上関町での「中間貯蔵施設」の調査・建設に向けた手続きへの同意は以下のことが想定されます。

 第一は、県自身が、「使用済燃料貯蔵施設(期間1)立地可能性調査開始の翌年度~都道府県知事の同意年度」の原電立地等初期対策交付金を受け取るかどうかです。この交付金を受け取ることは計画に県も同意したことを意味すると思います。

 第二は、県知事が、中間貯蔵施設の設置を同意するかどうかです。同意すれば、原電立地等初期対策交付金の額は、年間1.4億円から9.8億円にはねあがります。

 第三は、中間貯蔵施設の建設に関わり知事が保有する権限が行使される場面が、想定されることです。

 福井県や島根県から船で運ばれたキャスクを陸揚げする港が建設されることになれば、公有水面埋立許可の申請を中国電力が行う可能性があります。

 また、中間貯蔵施設の建設のために、森林の開発が必要な場合は、林地開発許可の申請を中国電力が行うことも想定されます。

 今後、港の造成のため、海上ボーリング調査が必要な場合、占用許可の申請を中国電力が行うことも想定されます。

 その他にも様々なケースが想定されます。

 いずれにしても、9月県議会では、県の電源立地等初期対策交付金に対してどのような態度を知事が表明するのかが問われます。

 先日から、述べていますが、福井県が拒否する使用済み核燃料の中間貯蔵を山口県が受け入れていいのかということが問われていると思います。

 上関原発を建てさせない山口県民連絡会の質問に対する回答が行われる場には、可能な限り参加したいと思っています。

 中間貯蔵施設に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 

「柳井・周南地域の5校の県立高校を2校にする高校再編案が9月県議会で示される」との報道について

 NHK山口放送局は、6日、柳井・周南地域での高校再編について次のように報じました。
 「県立高校の再編整備計画をめぐり、県教育委員会は、柳井地域と周南地域にある5つの県立高校を再編統合し、新しい高校を2校設置する方針を固めました。県教育委員会は今後も生徒数の継続的かつ急激な減少が見込まれるなどとして、県立高校の再編整備を進めています。その一環として、県教育委員会は柳井地域と周南地域にある5つの県立高校を再編統合し、新しい高校を2校設置する方針を固めました。対象は柳井市の柳井高校と柳井商工高校、平生町の熊毛南高校、田布施の田布施農工高校、それに周南市の熊毛北高校の5校です。県教育委員会では具体的な学校の組み合わせは明記しない方向で調整していますが、新たに設置される高校のうち1校は柳井高校の校舎を活用し、普通科と商業系の学科をあわせた学校です。もう1校は田布施農工高校の校舎を活用して、工業系や農業系の学科などを集約することにしています。既存の5校の生徒募集は令和8年に停止されます。これらは令和8年までに実施する前期計画として、9月に始まる県議会で素案が示されます。県教育委員会は今後も再編整備を進めていく方針で、令和9年度以降に実施する後期計画の策定も進められます。」
 NHKの報道の特徴は、柳井地域に加え、周南地域の熊毛北も加えた5校を2校にする案だという点です。また、残る2校の内1校は、柳井高校で、普通科と商業系の学科をあわせた学校、もう1校は、田布施農工高校で、工業系や農業系の学科などを集約すると報じています。
 更に、これらの案が、9月県議会に示されるとも報じています。
 KRY山口放送は、統合対象は、熊毛北も入れた5校とし、「普通科と商業分野の高校と工業、農業、家庭科分野の高校を2026年度に設置する計画です。」と報じています。
 KRYは、熊毛北にある家庭科を田布施農工に統合するのではないかと報じていると私は読みました。
 4日、中国新聞は、「柳井市、田布施町、平生町にある県立高校4校を2校に再編する案が浮上していることを受け、田布施町、平生町と隣接の上関町の3町長が4日、地元校存続を求める要望書を県教委に提出した」と報じました。
 柳井市・周南市の5校を2校にする県教委の素案が9月県議会に提出される見込みとの報道ですが、これだけ多くの学校を対象にした再編案は初めてではないでしょうか。なぜ、周防大島高校が対象になっていないのか、引き続き疑問です。
 県教委は、生徒最優先でこの問題に対処すべきです。少子化を好機に、県立高校をまずは1クラス35人以下学級にする、そして、島根県などが行っているように、中山間地域の高校を一路統廃合にするのではなく、特色ある学校づくりを地域から提案してもらい、その内容を受けて学校の存続を模索していくなどの、これまでの延長線上ではない新しい視点での高校再編計画自体の見直しが何より必要だと思います。
 このまま、少子化⇒統廃合を繰り返していると、山口県の学校は、都市部にしか存在しなくなります。また、多様な学びが困難になってしまうことを危惧しています。
 くれぐれも、県教委は、地元の意見に耳を傾け、宇部西高校の存続を求める2万人の声を一顧だにしないような態度は慎むべきです。
 くれぐれも、県教委は、9月議会素案、12月議会成案というスケジュールは立てるべきではないことを宇部西高校廃校の矢面に立った者の一人として、忠告して置きたいと思います。
 柳井地域と周南地域の5校を2校に統廃合する提案が9月県議会に提出される見通しとの報道に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

福井県知事が、1996年12月13日に、使用済み核燃料の中間貯蔵施設「県外が望ましい」と初めて発言

 3日、中国新聞は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、次のように報じました。
 「関西電力の全原発が立地する福井県。再稼働が進む一方、構内には使用済み核燃料がたまり続ける。関電は6月、一部をフランスへ搬出する計画を発表。8月には、中国電力と山口県上関町で中間貯蔵施設の建設を検討していることが判明、町長は調査を容認した。関電は施設の県外候補地を示すと約束しており、福井県側は計画の行方を注視している。『推移を冷静に見守りたい』。上関町で調査が始まる見通しを受け、福井県の杉本達治知事は8月31日の記者会見で述べた。将来的に県内で出た使用済み燃料の搬出先になる可能性があるが『県が直接何か申し上げることはない」と静観する姿勢を見せた。同県は25年以上前から、中間貯蔵施設を県外に設けるよう求めてきたが、選定は難航し、関電は候補地の提示期限の延長を繰り返してきた。青森県むつ市の中間貯蔵施設を共同利用する案は頓挫し、関電は2021年、23年末までに示さなければ高浜1、2号機(福井県高浜町)などを運転しないと公言した。今年9月に高浜2号機が再稼働すれば、関電の全原発7基が動いたことになり、約束が運転継続の妨げとなっている。そこで浮上したのが、20年代後半から高浜原発の使用済みプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料など約200㌧をフランスへ搬出し再処理する計画だ。6月中旬、関電の森望社長は福井県庁で、杉本知事に『県外搬出という意味で中間貯蔵と同等』『ひとまず約束は果たせた』と言い放った。資源エネルギー庁の担当者も後日、県や議会に対し、国の見解として同じ文言を繰り返した。県側はより詳細な説明を求めたが、国側の回答はない。関電によると、原発敷地内の燃料プールは5~7年程度で満杯に。フランスへの搬出量は県内にある関電の使用済み燃料の5%程度に過ぎない。元県職員で長年原子力行政に携わった福井工業大の来馬克美客員教授は、フランス搬出は国による水面下の努力の結果と指摘。『曖昧な言い方で県が反発し計画が白紙になったら困るので(約束を守った)と言い切ったのでは』と推し量った。6~7月の県議会では、批判が噴出。『お茶を濁しただけ。中間貯蔵と関係ない実証研究で約束を果たせたと言えるのか』(自民会派の山岸猛夫県議)などと反発した。膠着状態の核燃料サイクルを進める手だてとして評価する見方も。自民会派で、高浜原発がある選挙区の田中宏典県議は『課題であるMOX燃料の再処理に向け進んだ』と評価しつつ『関電は(同等ではないが、何とかこれでお願いしたい)という言い方をすべきだった』と指摘した。さらに持ち上がった上関町での中間貯蔵施設建設をめぐる話題。来馬さんは『国や電力会社は、地元の意向をどのように受け止めて対応するかが肝心だ。住民説明会を開催するなど丁寧に取り組んでほしい』と話した。」
 私は、昨日、福井県防災安全部原子力安全対策課に、福井県が、「中間貯蔵施設の福井県外立地」を言及するに至った経緯を照会しました。昨日夕方に、福井県原子力安全対策課から二つの新聞記事が送られてきました。
 一つは、1996年12月14日の中日新聞です。1996年12月13日に、坂川優議員が原発の使用済み燃料の中間貯蔵施設の在り方を質問したのに対し、栗田幸雄知事が述べたことを次のように報じています。「坂川優議員が原発の使用済み燃料の中間貯蔵施設の在り方について質問したのに対し知事は『2010年までに県外に造るよう国が方向性を示せば、一時的に原発内に貯蔵することにも県民の理解が得られるのではないか』と述べ、中間貯蔵施設の建設場所は県外が望ましい、との考えを明らかにした。」
 二つ目は、1997年4月5日の福井新聞です。1997年4月4日の記者会見で栗田幸雄知事が述べた内容について次のように報じています。
 「栗田知事は、4日、定例記者会見で、プルサーマル実施と使用済み燃料貯蔵施設の増強策とは切り離して対応していくとともに、増強策受入れの前提として、使用済み燃料の県外での中間貯蔵方針が具体化しなければならないとの考えを示した。(中略)28日に関西電力と日本原電が申し入れたプルサーマル計画と貯蔵施設増強策について『たまたま時期は一致したが、違った問題と受け止めている。貯蔵状況からも、ゆっくりはしていられない』と早急な対処が必要との認識を示した。しかし、増強策への同意の前提として『2010年をめどに、原発敷地外で中間貯蔵していく方針を国や、事業者が明確にしていくことが最低限必要だ』とした。中間貯蔵場所は『県内にはない。具体的な場所の位置付けも必要』とした。28日に発足した国の使用済み燃料や貯蔵対策検討会については『決して早い対応ではない』とした上で『場当たり的な対応では困る』と、今後の推移を慎重に見守る考え。」
 1997年3月に関西電力と日本原電が、福井県に貯蔵施設増強策を示しました。その前提として、栗田知事は使用済み燃料は「2010年をめどに、原発施設外で貯蔵していくこと」を求め、県内に中間貯蔵施設を設置する場所はないことも事業者に伝えたことがこの記事から分かります。
 冒頭の記事にある「同県は25年以上前から、中間貯蔵施設を県外に設けるよう求めてきたが、選定は難航し、関電は候補地の提示期限の延長を繰り返してきた。青森県むつ市の中間貯蔵施設を共同利用する案は頓挫し、関電は2021年、23年末までに示さなければ高浜1、2号機(福井県高浜町)などを運転しないと公言した。」は、福井県の中間貯蔵施設県外立地の意思の硬さと、それに対する関電の狼狽ぶりが伺えます。
 四面楚歌に於かれた関西電力を助けたのが、中国電力であり、上関町なのでしょうが、なぜ、福井県が27年間拒み続けた使用済み核燃料を山口県内に持ち込まなければならないのでしょうか。
 福井県が拒否する使用済み核燃料の持ち込みは山口県も拒否すべきです。
 県知事が同意すれば、中間貯蔵施設の交付金は大幅に引きあがる仕組みです。
 村岡知事は、福井県がなぜ、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の福井県外立地を求めたのか、よく調査をし、山口県での設置に同意しないよう判断すべきです。
 私は、9月県議会に向けて、この問題を更に調査していきたいと思います。
 使用済み核燃料の中間貯蔵問題について皆さんのご意見をお聞かせください。

藤本かずのり県議会報告(かえる通信)No101(2023年9月1日)

山秋真著「原発をつくらせない人々ー祝島から未来へ」を学び中間貯蔵施設問題を考えています

 私の本棚に、山秋真著「原発をつくらせない人びとー祝島から未来へ」(岩波新書)があります。
 著者の山秋さんに8月18日、上関町役場でお会いしました。
 上関原発に関わる集会などで過去お会いしたことがあったかも知れませんが、改めて、山秋さんの「原発をつくらせない人びと」を再読しています。
 秋山さんの冒頭の次の指摘に驚きを覚えます。
 「この50年のあいだに、日本列島の17カ所に原発ができた。日本の原発は。1966年に茨木県東海村で日本原子力発電(日本原電)が初めて営業運転を開始してから、1970年代に20基、80年代に16基、90年代に15基が稼働をはじめ、2010年末現在で全国に54基まで増えた(2012年11月現在50基)。だが、運転にいたった原発は、実は1970年までに計画が浮上したものに限られる。71年以降に浮上した計画はすべて、運転に至っていない。運転どころか着工にもいたらないまま、なくなった計画がほとんどだ。」
 上関町では、1982年頃から原発誘致の話が持ち上がっていますので、今年で41年目です。
 今も反対運動の中心である祝島では、1982年に「愛郷一心会」を結成し同年11月17日、町長に以下の申し入れを行っています。
 「千弐百年の誇り高き伝統に歴史と文化を秘めた祝島とその住民が今日まで平和にそして豊かに生きてこれたことは、この美しい大自然があったからに外ならないのです。その生命とも言うべきかけがえのない自然がいま、中電の原発誘致問題により根底よりくつがえされようとしております。世界で唯一の被爆国である日本人は、核の恐怖を肌で体験し、実感としてそれを知っております。貴殿もその一人だと思います。確かに原発は平和産業の一環かも知れませんが、反面、原爆製造と直結していることも否定できない事実です。そのような難問題がまつわる原発には、重大な関心を持たざるを得ません。我々は現在と未来に向けて平和に安全に生きていく権利を、すべての日本国民と平等に持っています。(中略)原発の安全性が確認されていない現在、いかなる理由があっても、住民の生活を脅かし生命までも蝕む危険と可能性を多分に持っている原発建設に、我々祝島住民はいま、強い憤りさえ覚えます。原発建設はもちろん立地調査も断固反対いたします。」
 東京電力福島第一原発の事故後にこの文書を読むと事の切実さを実感します。
 「住民の生活を脅かし生命までも蝕む危険と可能性を多分に持っている原発建設」の言葉の重さをいまさらながら噛みしめたいと思います。
 そして、その危険な原発建設を最前線で、40年以上食い止めてきた祝島島民の皆さんに感謝したいと思います。
 その上で、今般の核燃料廃棄物中間貯蔵施設問題です。
 山秋さんは、8月31日に公開された「祝島緊急レポート夏#1:8月が吹っ飛んだ」で次のようにレポートしています。
 (8月2日)「9時ころ、中国電力担当者3人があらわれた。人びとは駆け寄って口々に思いを訴える。それに対して『中間貯蔵施設は安全だ』と理解を求める中電へ。『原発も安全だと言われて(いたけれど)東電の福島第一原発の事故が起きた』『事故が起きたら(安全だ、とは言っていません、五重の壁で守られている、と言っただけ)とか(安全だ、と思います)とか、私らに言うたよねぇ?』『こんどは中間貯蔵施設を(安全だ)と言われても、信じられるはずがない』『もともと中国電力は、新聞に載ってるか知らんが、今までどんだけ事故事故事故、細かい欠陥とか入れたら、どんだけの数か、信用なるわけない。それが(安全です、建てます)と言うても(ご理解)できるわけがない』と言葉が次々に投げられた。核の危険を自分たちに押しつけようとしながら、頭をさげるなど一見すると低姿勢なふりをして見せる、40年来の中電のやり方への憤りも滲む声だ。」
 10年以上、祝島島民の皆さんと歩んできた山秋さんのレポートに新たな段階でのたたかいの始まりを実感します。
 そして、山秋さんの「1971年以降に浮上した計画はすべて、運転に至っていない。運転どころか着工にもいたらないまま、なくなった計画がほとんどだ。」の文章を噛みしめています。
 中間貯蔵施設も「住民の生活を脅かし声明までも蝕む危険と可能性を多分に持っている」ものであることは明白です。だから、使用済み核燃料も何重もの容器(キャスク)に入れられているのです。
 中間貯蔵施設であっても、設置に至らない、着工に至らないという歴史を続けなければとの気持ちが、山秋さんの文章を読んで湧き上がってきました。
 山秋さん、素晴らしい文書をありがとうございます。またお会いしましょう。
 私は、県民の一人として、県議会議員の一人として、使用済み核燃料中間貯蔵施設が上関町に設置及び着工されないよう、祝島を始め、同じ気持ちの県民の皆さんと連帯して力を尽くしたいと思います。
 中間貯蔵施設に関する皆さんのご意見をお聞かせください。

https://wan.or.jp/article/show/10803?fbclid=IwAR0nZFpRLu-I22dj2zjgAmp-tzwWE-Jx1QpnqBPTwPmB1TKvcW8D_1o7VPE

山秋さんの「祝島緊急レポート#1」は上記のアドレスで視聴できます。

厚労省が衆議院総務委員会で「マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除は可能」と答弁

 2日、しんぶん赤旗日刊紙は、「漂流するマイナンバー制度」と題する特集で、マイナンバーカードの市民カード化の動きについて次のように報じました。
 「マイナンバーカードを『市民カード化』する動きは、全国に広がっています。兵庫県姫路市は、すべての事業でマイナンバーカードを活用することで、市民がマイナンバーカードを暮らしに欠かせない『市民カード』として定着させようとしています。愛知県日進市では、市役所の窓口やオンラインでの各種申請、施設への移動などさまざまな局面で、マイナンバーカード1枚をかざせば済む市民カード化を進めています。青森県むつ市では、4月から始まった医療費無償化で、医療受給者証の発行をスマホで行っています。また、75歳以上を対象として行ってきたバス無償化の仕組みもスマホに置き換えています。これらはスマホアプリの『住民パスポート』にマイナンバーカードを取り込んだものです。こうした『市民カード化』構想は全国の自治体で、『スマートシティ』などの名目で広がっています。自治体が『市民カード化』に躍起になるのは、国がこれまで『地方創生』を名目に地方にばらまいていた交付金が、岸田政権になってから『デジタル田園都市国家構想交付金』に再編され、マイナンバーカードの利活用に、より多額の交付金が国から下りてくるからです。この交付金は自治体のマイナンバーカード普及率が一定以上でないと応募できない仕組みです。これらの『市民カード化』をはじめ、自治体レベルでの『デジタル化』を加速するため、デジタル庁は企業の代わりに自治体向けの『営業活動』までしています。公式ホームページでは、こうしたマイナンバーカードの利活用事例をカタログ化し、サービスの提供元やシステムの開発元の企業も明記されています。自治体の職員はデジタル化について知識がなくても、同庁のホームページからピックアップすれば、企業が見積もりも出してくれる仕組みです。どこの自治体でも似たようなアプリが提供されている背景には、こんなからくりがあったのです。さらに、国は2023年度から地方交付税の算定項目の一部に市町村ごとのマイナンバーカード普及率を反映させ、自治体間の競争をあおっています。国が自治体の独自財源である交付税にまで手を突っ込むのは、憲法が保障した地方自治の理念に反しますが、国は財界の要求を実現するためなら手段を選びません。マイナンバーをめぐるトラブルが相次ぎ、マイナンバーに対する国民の不信が高まっているなか、マイナンバーカード取得の事実上の義務化が自治体レベルで進んでいます。」
 私が、7月28日のブログで指摘したように、「やまぐちデジタル改革基本方針」(2023年改訂版)に「マイナンバーカードの普及と利用拡大」があり、「マイナンバーカードは『デジタル社会のパスポート』となるものであることから、国・市町と連携し、その普及へ引き続き取り組むとともに、市町と連携して、カードの本人確認・認証機能を活用したオンライン行政サービスの充実や、マイナンバーカードをかざすだけで、各種証明書交付や図書館での本の貸出など、様々な行政サービスの提供を受けることができる『市民カード化』等に取り組む」としています。
 私が、7月26日付で、マイナンバーカードに関する次の照会事項に関する回答が先日届きました。
 ①県として普及と利用拡大の具体的な取組内容
 回答
 マイナポイント第2弾の申込開始に併せ、国の広報事業と連携し、地域情報誌やテレビCM等の広報活動を実施した。また、利用拡大に関する市町からの相談については、先進事例を紹介するなどの対応を行っている。
 ②県内で「市民カード化」に取り組んでいる市町の具体的な取組内容
 回答
 現時点で、具体例はなし。
 先日、日本共産党全国地方自治体労働者後援会の学習会に参加した際、宮本岳志衆議院議員が、「マイナンバーカードに紐づけした保険証を解除することは可能」と衆院総務委員会と厚労省が答えたと話ました。
 厚労省がそう答えたのは、6月8日の衆議院総務委員会です。
 厚労省の日原知己審議官は「本人からの解除希望により個別に対応可能と自治体に通知した」と答えました。
 厚労省は、7月4日、「事務処理誤りにより生じたマイナンバーカード 健康保険証利用登録の解除について」とする報道発表を行いました。
 この中で、厚労省は、被保険者本人が、マイナンバーカードの健康保険証利用登録を希望していなかったにもかかわらず、自治体等の事務誤りにより、利用登録がなされた場合が、6件あり、利用登録を解除したことを公表しました。
 そもそも、マイナンバーカード自体が任意のものであることが前提であるにも関わらず、保険証の紐付けや「市民カード化」など、冒頭のしんぶん赤旗日刊紙の記事にあるように「マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次ぎ、マイナンバーに対する国民の不信が高まっているなか、マイナンバーカード取得の事実上の義務化が自治体レベルで進んでいる」ことが大問題です。
 事務処理誤りの場合だけではなく、本人の申し出あれば、マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除は可能だと考えます。この当たりを健康福祉部に確認したいと思います。
 重ねて述べますが、任意であるマイナンバーカードを事実上義務化させるマイナンバーカードを「市民カード化」することは問題だと思います。
 この立場から9月県議会ではしっかり発言していきたいと思います。
 マイナンバーカードに関する皆さんのご意見をお聞かせください。