先日の沖縄出張した際、普天間基地に隣接した場所にある佐喜眞美術館を訪ね、「でいご娘」の歌と、元NHKディレクターの仲松昌次さんのお話をお聞きしました。
今日までに、「『艦砲ぬ喰ぇー残さー物語』『でいご娘』と父・比嘉恒敏が歩んだ沖縄」を読みました。
沖縄の戦後を代表する沖縄民謡に「艦砲ぬ喰ぇー残さー」があります。歌詞・作曲したのが比嘉請恒敏さん。恒敏さんの子どもたち4姉妹で結成されたのが「でいご娘」。私が沖縄でお聞きしたのは、三女の千津子さんと四女の慶子さんのデュエットでした。
恒敏さんと子どもたちが生まれ育った読谷村のユウバンタに「艦砲ぬ喰ぇー残さー」の歌碑が建立されました。この歌碑にはこう書かれています。
「1945年(昭和20年)4月1日、アメリカ軍は比謝川河口を中心として南北10キロ余の海岸から上陸してきました。それは、明らかに北飛行場(読谷)と中飛行場(嘉手納)攻略を目指したものでした。アメリカ軍は1400~1500隻の艦船と183,000人の兵員で上陸を行い、ほとんど無抵抗のうちに上陸し、その日のうちに2つの飛行場は占領されてしまいました。アメリカ軍は海、空、陸から地形が変わるほど激しい艦砲射撃を行い、この戦闘が『鉄の暴風』と呼ばれ、緑豊かな島は焦土と化した。戦後68年が経過し沖縄戦の実相が時間の経過と共に風化していくことが危惧されている今日、改めて歴史の過ちを繰り返さないため沖縄戦体験の継承が課題となっている。『艦砲ぬ喰ぇー残さー』は1971年頃(故)比嘉恒敏氏が作詞・作曲した沖縄民謡で1975年、恒敏氏の四人娘、民謡グループ『でいご娘』がレコーディングして県内で大ヒットした。歌詞の中には、戦中、戦後の沖縄戦体験者の思いが綴られていて艦砲射撃によって犠牲になった人々への哀悼と共に、悲惨な沖縄戦を生き残った(うちなーんちゅ)の戦争を恨み平和を願う心情が綴られ『恨でぃん悔でぃん 飽きじゃらん 子孫末代 遺言さな』と結ばれている。悲惨な沖縄戦の実相を伝える象徴として、この地から全世界へ戦争の悲惨さと平和の尊さを発信するため『艦砲ぬ喰ぇー残さー』の歌碑を建立する。2013年6月23日」
恒敏さんは、戦争中は、大阪に出稼ぎに出ていました。当時、彼は、光子さんと結婚して次男と一緒に生活していました。長男は、沖縄の父母に託していました。
恒敏さんの父、母、長男が、対馬丸の事故で亡くなり、妻と次男は、大阪空襲で亡くなりました。
恒敏さんは、天涯孤独となり、沖縄で再婚したシゲさんとの間に生まれたのが、「でいご娘」の4女と間に3男の7名の子どもたちです。
恒敏さんは、「艦砲ぬ喰ぇー残さー」が大ヒットする直前の1973年、交通事故で、妻のシゲさんとともに亡くなってしまいました。享年、恒敏さん56歳、シゲさん48歳でした。
三女の千津子さんの夫である朝比呂志さんが、「艦砲ぬ喰ぇー残さー」の訳詞をしています。
4番と5番を紹介します。
・・・
平和の世を迎え何年たっただろうか
子らも成長していくと
射ち損ばいの猪が
我が子案じるごとく
(苦い)潮の水は二度との想いで
夜っぴ眠れぬ日もあり・・・
我が親喰らったあの戦
我が島喰らったあの艦砲
生まれ変わったとて忘れるものか
誰があのざまを始めた
恨んで悔やんでまだ足りない
子孫末代遺言しよう
・・・
戦後80年、沖縄戦後80年、「誰があのざまを始めた」のか、「子孫末代遺言しよう」この言葉をかみしめます。
還暦を迎えた私たちの親世代が最後の戦争経験者です。その方々が80代後半から90代になっています。
子孫である私たちの世代が「平和の世を」継承していかなければなりません。
再び戦争の悲劇を繰り返さないためには、誰があの戦争を始めたのかを学ばなければならない。
このことを恒敏さんは、子孫の代の私たちに伝えてくれているのだと思います。
辺野古への新基地建設と南西諸島に自衛隊のミサイル基地建設が強行される沖縄を視察しました。
沖縄で、戦争を始める準備が進んでいることを実感しました。戦争を実際に始めてはいけない決意を恒敏さんの歌詞から学び深めました。
この本の作者である仲松さんには実際にお会いしてサインをいただきました。
仲松さん、これからも沖縄戦の歴史を未来につなぐ本を書き続けてください。
仲松さん、またお会いいたしましょう。素晴らしい本をありがとうございました。
さて、このブログを書いている最中、沖縄のひめゆり学徒隊の歴史を偽造する自民党議員の発言が、問題になり、ようやく議員側が発言を撤回しました。
沖縄に向き合うという自民党は、恣意的にしか沖縄に向き合おうとしてないと感じます。
私は、これからも沖縄と向き合い、山口県や日本全体の問題を考え続けていきたいと思います。
沖縄戦の歴史と沖縄の今について、皆さんのご意見をお聞かせください。
4月6日、中国新聞は、村岡知事の個人献金に企業の住所が明記されてあったと次のように報じました。
「山口県の村岡嗣政知事の政治資金管理団体が2023年に受けた個人献金のうち少なくとも8件計23万円分について、政治資金収支報告書で自宅を書くべき住所欄に寄付者が代表を務める企業や団体の所在地を記し、実態と異なっていたことが中国新聞の取材で分かった。専門家は『政治資金規正法の虚偽記載にあたる恐れがある。実質的な企業・団体献金の可能性もある』と指摘している。政治資金規正法は資金管理団体に対する企業や団体の献金を禁止し、寄付者の名前や住所を記した収支報告書の提出を定めている。総務省政治資金課は『実態に即して記載する必要がある』としている。村岡知事の政治資金管理団体『政友会』が県選管に提出した収支報告書によると、23年は824万円の個人献金があった。登記から寄付者の住所や企業・団体の所在地を調べたところ、製造や医療、廃棄物収集といった業種の代表者の少なくとも8人の住所欄が、自宅ではなく、企業や団体の所在地となっていた。代表者の一人は中国新聞の取材に、住所欄の記載が自宅ではないことを認めた。企業の所在地とした理由を問うと『個人としてではなく、会社として(献金する)という意識があったからかもしれない。問題があるなら修正したい』と話した。また、登記で確認した8人とは別に、寄付者の住所欄と会社や団体の所在地としているが、寄附者の居住実態がないことが周辺取材で分かったケースもあった。県央部の企業の関係者は『寄付者を含めて会社の所在地には(献金した)23年も今も、だれも住んでいない。寄付者は別の場所にある自宅から通勤している』と証言した。このほか、企業や団体の代表者ではない社員が寄付者で、住所欄に企業や団体の所在地を書いている事例も複数あった。寄付者の職業欄に『会社員』などとしている。政治とカネの問題に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授は『本当は企業・団体献金だと知らせる手段として企業や団体の所在地としている可能性がある。実態と異なる記載の寄付者と資金管理団体の説明が必要だ』と指摘している。政友会の事務局は『企業や団体は寄付できないと伝えたうえで、申し出があった内容を個人の住所だと信用して記載している。実態の確認は難しい』としている。(クリック・企業・団体献金と個人献金)企業・団体献金は企業や労働組合からの政治献金、個人献金は個人による献金。癒着を防ぐため、企業・団体は、政党のために資金を援助することを目的として政党が指定する『政治資金団体』や政党以外への寄付は禁止されている。政治家や公職の候補者が政治資金を取り扱う目的で一つだけ指定できる『資金管理団体』などに献金はできない。個人の立場であれば資金管理団体や後援会へ献金できる。」
公職選挙法199条1項に「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体と、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」とあり、同2項に「会社その他の法人が融資を受けている場合において、当該融資を行っている者が、当該融資につき、衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国から、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に関しては当該地方公共団体から、利子補給金の交付の決定を受けた時は、当該利子補給金の交付の決定を受けたときは、当該利子補給金の交付の決定の通知を受けた日から当該利子補給金の公布の日から起算して1年を経過した日までの間、当該会社その他の法人は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」と規定しています。
私は、2023年「政友会」に寄付した者の住所が企業・団体であった者が、県との契約や県から利子補給金の交付を受けていないか調査したいと思います。
昨日、NHK山口放送局は、中間貯蔵施設建設に反対する申し入れが県に行われたと次のように報じました。
「上関町で使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設が可能かを判断するための調査が続くなか、建設に反対する団体の代表などが県の担当者と面会し、事業者の中国電力に計画を撤回させることなどを求めました。上関町では、中国電力が原子力発電所から出た使用済み核燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設の建設を計画していて、現在、建設が可能かどうかを判断するための調査を続けています。この施設について、安全性や環境への影響が懸念されるとして、反対する県内5つの団体の代表などが県産業労働部の椛谷和男理事と面会し、申し入れ書を手渡しました。この中では、村岡知事が中国電力に対し、中間貯蔵施設の建設計画を撤回させることや、適正な環境影響評価をせずに適地かどうかの判断をさせないようにすることを求めています。これに対し、椛谷理事は『中間貯蔵施設の立地が可能なのか調査が実施されいて、県としての対応を申し上げる状況ではない』と回答しました。また出席者からは、村岡知事に建設が計画されている現地を見てほしいという声が上がり、椛谷理事がみずから訪れる考えを示しました。申し入れのあと『上関原発を建てさせない祝島島民の会』の木村力代表は、『中間貯蔵施設を瀬戸内海に持ってくることは桁外れに危険だと思う。県には受け入れない形で事態を収めてほしい』と話していました。」
私は、この申し入れに同席しました。
椛谷産業労働部理事に要望書を手渡す「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の木村力代表(手前・右)
県は、国や上関町の責任に転嫁することなく、自らの責任で、中間貯蔵施設の危険性を判断し、中国電力に計画の中止を求めるべきです。
中間貯蔵施設の建設に関する皆さんのご意見をお聞かせください。
6日付、読売新聞は、映画「教皇選挙」について次のように報じました。
「次期ローマ教皇を選ぶ教皇選出会議(コンクラーベ)が7日に始まるのを前に、上映中の映画『教皇選挙』(エドワード・ベンガー監督)が注目を集めている。4月21日に教皇フランシスコが死去すると満席が続出し、配給会社によると公開5週目にもかかわらず、1週間の興行収入が前週から倍増したという。同26日時点で
興行収入は5億円を超え、大型連休で娯楽大作やファミリー作がそろう中、異例のヒットになっている。同作は教皇の急逝後、思惑や策略が渦巻く中、高位聖職者の枢機卿たちによる秘密投票で次期教皇が決まるまでを描く。外部と遮断された堅い扉の内側で、どのように選挙が行われるかが示される。投票が行われるシスティーナ礼拝堂の内装や枢機卿たちの衣装も細部まで再現された。3月20日に公開され、全国約130館で上映されてきたが、ヒットを受けて50館以上追加されることが決まった。興行成績に詳しい映画ジャーナリストの大高宏雄さんは『出演俳優が亡くなるなどして集客が伸びることはあるが、今回の事例は非常にまれ。コンクラーベのニ
ュースは続くので、映画に関心を持つ人はまだ増えるだろう』と話した。」
私は、6日は、実家の田植えに向け、田の畔の草刈りを行う予定でしたが、雨のため、中止し、この記事を読み、急遽、イオンシネマ防府で上映中の本作を観ました。予習なしで観た映画でしたが、娯楽性と社会性を兼ね備えた素晴らしい映画でした。私は、現在、浄土真宗本願寺派山口教区会議員を務めていますが、宗教団体は誰のためにあるのかを考えさせられました。皆さんも様々な組織や団体に関わっておられると思いますが、この映画は、広く組織は誰のためにあるのかを考えさせる作品です。本作は、イオンシネマ防府だけでなく、近くワイカムシネマでも上映予定です。一人でも多くの方に本作を見て頂きたいと思います。
この映画の娯楽性の高さについて、映画のパンフレットで、ライターの稲垣貴俊さんは、「映画『教皇選挙』は、カトリック教会の最高位にしてバチカン市国の国家元首でもあるローマ教皇の死去を受け、有力候補者が後任を争う政治スリラーだ。選挙中、投票者・候補者となる枢機卿たちは外部から完全に隔絶された環境で生活することになる。これぞ、ミステリーにふさわしい密室空間だ。教皇は死去直前に何をしていたのか、水面下で起きている陰謀の主は誰か、そして候補者たちの秘密とは・・・。本作では殺人事件こそ起こらないが、外に出ることも、外の様子を知ることもできない中で、人々の思惑と疑心暗鬼の圧力がどんどん高まってゆく。」
稲垣さんは、本作を「密室の選挙ミステリー」と評します。
本作のもう一面の社会性について、稲垣さんは「保守とリベラル、マジョリティとマイノリティ、パブリックとプライベート、信仰とテロリズム、民主主義と汚職、そして戦争と平和。さまざまな両極のテーマを内包したミステリーである本作」と評しています。
映画のパンフレットで、映画ライターのISOさんは、「カトリック教会の家父長制とジェンダー不均衡に向けられた変化の願いこの掉尾には込められている」と述べています。
映画のラストは、ここでは書けませんが、ISOさんのこのコメントは強く感じることができました。
カトリック教会に限らず、この社会に残る家父長制とジェンダー不均衡。その流れが強まる社会に対する変化への願いがこの映画には込められいると感じます。このメッセージも極めて今日上映されるに相応しい社会性のある映画だと感じました。
映画「教皇選挙」、私の今年一押しの作品となりました。観られた方は、感想をお聞かせください。
本日付けのしんぶん赤旗日刊紙に、村岡山口県知事らがローカル線維持に向けて国に要望書を提出したと次のように報じました。
「各地で廃止が狙われているローカル線を巡り、国の介入による事業者と沿線自治体との『再構築協議会』の議論が始まり1年余が経過しました。関係する道府県の知事はこのほど石破茂首相に、ローカル線維持にむけ『国の責任を明確にする』よう求める要望書を提出しました。JR各社と国の姿勢が問われています。広島県の湯﨑英彦、長野県の阿部守一、山口県の村岡嗣政、鳥取県の平井伸治の4知事が4月9日、首相に手渡した29知事連名の特別要望書は『鉄道ネットワークは公平に安定して確保されるべきユニバーサルサービス』だと指摘。『負担や路線維持の責任を一方的に自治体に転嫁してはならない』『安易に存廃や再構築の議論をしない』などJR側をけん制しています。知事らは『個別の路線だけをピックアップする前に、全体をどうするかの議論をしっかりすべきだ』『ローカル線が分断されると全国ネットワークがなくなる』などの考えを伝達。首相は『つながってなんぼが鉄道。国との議論を一回した方がいい』と応じました。JR芸備線(広島県備後庄原ー岡山県備中神代)を巡る再構築会議は、沿線住民や関係事業者へのアンケートを実施。ダイヤ見直しなどの実証実験を行うことを確認しました。一方、JR西日本は存続の条件として、上下分離方式や第三セクター移管の選択肢を提示。『自治体に負担や責任を転嫁』する構えです。被災路線も深刻です。JR東日本は、2022年豪雨で不通のままのJR米坂線(山形県ー新潟県坂町間)の第三セクター移管(最大で年間約19億円)とバス転換(同1・9億円)の推定費用を指示。吉村美栄子山形県知事は『バス転換はめざしていない』(4月3日の会見)として、復旧を求める姿勢を示しました。要望書は、1987年の国鉄分割民営化時に『会社全体の経営のなかで内部補助によりローカル線を維持していくものとされた』と強調。2023年度にJR東日本は約3000億円、JR西日本は約1600億円もの利益を計上したとして、『国の責任のあり方』を示すよう求めています。個々の路線を切り取り、採算性を盾に地元の意見を顧みず鉄道ネットワークを壊すー。こんなやり方を変えるため政府は責任をもって関与すべきです。」
内閣総理大臣 石破 茂 様
全国的な鉄道ネットワークのあり方に関する
特別要望
令和7年4月9日
北海道知事 鈴木 直道
岩手県知事 達増 拓也
秋田県知事 佐竹 敬久
福島県知事 内堀 雅雄
群馬県知事 山本 一太
新潟県知事 花角 英世
石川県知事 馳 浩
山梨県知事 長崎 幸太郎
滋賀県知事 三日月 大造
青森県知事 宮下 宗一郎
宮城県知事 村井 嘉浩
山形県知事 吉村 美栄子
栃木県知事 福田 富一
神奈川県知事 黒岩 祐治
富山県知事 新田 八朗
福井県知事 杉本 達治
長野県知事 阿部 守一
京都府知事 西脇 隆俊
兵庫県知事 齋藤 元彦(代表)
奈良県知事 山下 真
和歌山県知事 岸本 周平
鳥取県知事 平井 伸治
岡山県知事 伊原木 隆太(代表)
広島県知事 湯﨑 英彦(代表)
山口県知事 村岡 嗣政(代表)
徳島県知事 後藤田 正純
香川県知事 池田 豊人
愛媛県知事 中村 時広
高知県知事 濵田 省司
【基本認識とJRの表明】
主にJR各社が担う全国的な鉄道ネットワークは、国土強靭化や地方創生をはじめ、国土の均衡ある発展などの観点から、全国で公平に安定して確保されるべきユニバーサルサービスとしての役割を担う重要な社会インフラであり、地域の活性化に重要な役割を果たしているが、近年、全国各地で利用の少ない線区について、複数のJRから存廃を含めたあり方の検討が求められている。
【国土のあり方を見据えた鉄道ネットワークの位置づけ】
ローカル線は、中山間地域をはじめとする地方の公共交通を支えており、路線が一部でも廃止されると地域社会の衰退につながりかねない。
特に中山間地域は、国土の保全などの多面的機能を持ち、都市機能を補完する役割を有しており、こうした地域を将来にわたって持続可能な社会としていくことが国全体の活力の維持・発展につながるものと考えられる。
また、東日本大震災や阪神・淡路大震災など過去の大規模災害時においては、鉄道のネットワークが、貨物輸送や代替ルートとして大きな役割を果たした。
これらの視点を持ち、国において、鉄道ネットワークのあり方を整理することが重要である。
【国鉄改革の経緯と現在のJRの経営状態】
一方、JR各社は、国鉄の分割民営化による発足時、多額の国鉄長期債務を切り離して国民負担とするほか、事業用固定資産の無償継承や経営安定化のための国費投入が行われ、会社全体の経営の中で内部補助によりローカル線を維持していくものとされた経緯がある。
また、JR東海を除く各社は、ローカル線の赤字額を公表しているが、その額を踏まえてもなお、令和5年度の経常黒字が、JR東日本は 2,966 億円、JR西日本は 1,673 億円となるなど、巨額の利益を計上している一方、分割民営化当初から経営が危ぶまれていたJR北海道やJR四国は、経営安定基金を活用した事業継続スキームによる路線維持が困難になっており、JR各社を取り巻く環境は大きく異なっている。
こうした国鉄改革の経緯と現在のJR各社の経営状態を踏まえ、国として、JRが担うべき鉄道ネットワークのあり方を示すことが重要である。
【国の負担のあり方】
ローカル線のある中山間地域等においては、自治体の財政規模が小さく、自治体の負担によるローカル線の継続・維持には限界があることから、国鉄改革の経緯を踏まえ、JR各社が不採算路線から撤退又は事業構造を変更し、その負担や路線維持の責任を一方的に自治体へ転嫁してはならないものと考える。
そのため、ローカル線の維持に向けて、JRローカル線の運営に係る国の財政支援や利用促進への協力を含め、国鉄改革の実施者である国の責任や負担のあり方を明確にすることが重要である。
【鉄道施設の自然災害からの速やかな復旧について】
近年、気候変動の影響等により豪雨や大雪等の自然災害が激甚化・頻発化しており、全国各地の鉄道路線が被災しているが、周辺の道路などの公共土木施設と異なり、鉄道の復旧が進まない事態が生じている。
これは、JRが復旧費用と採算性からみて単独での運営を前提とする復旧は困難であるとの姿勢を示していることに加え、社会インフラである鉄道ネットワークの考え方を国が示していないことが要因の一つと考えられる。
特に、交通手段が限られる中山間地域等においては、ローカル鉄道の被災路線の復旧が一日も早くなされることが重要である。
ついては、次の4点について、国の責任において早期に議論し、考え方を示していただくよう要望する。
記
1 地方創生2.0の推進や大規模災害時のリダンダンシーの確保等の国土強靱化はもとより、持続可能な中山間地域づくりの観点も踏まえ、将来の国のあり方を見据えた鉄道ネットワークの位置づけを明らかにすること。
2 国鉄改革時に、債務の切り離しや経営安定化に伴う国費の投入や事業用固定資産の承継などを受け、会社全体の経営の中で内部補助によりローカル線を維持していくことが基本とされた分割民営化の経緯や、現在のJR各社の経営状況を踏まえ、ローカル線の維持に関する内部補助の考え方を示すこと。
また、JRの内部補助による路線の維持が難しい場合、その負担を地方に転嫁するのではなく、路線の維持に係る国の責任のあり方を示すこと。
3 広域的な鉄道ネットワークの活性化に向けて、国として、県、市町村、地域等が行う、ローカル線の利用促進や地域での活用を推進する取組への支援を行うこと。
また、鉄道事業者に対し、こうした取組に協働して取り組むよう働きかけること。
4 被災した路線について、早期復旧のため鉄道事業者及び地方に対し更なる支援を行うとともに、災害を契機として、沿線自治体の意向を十分尊重することなく、鉄道事業者側の一方的事情により、安易に存廃や再構築の議論を行わないよう、国の責任においてJRを含む鉄道事業者に対し厳格な指導を行うこと。
・・・
この間、JR西日本の関係者と県と山陽小野田市、美祢市、長門市の担当者が、JR美祢線利用促進協議会復旧検討部会をこれまで4回開催してきました。
2月15日の中国新聞は「美祢線の復旧方法は、沿線の美祢、山陽小野田、長門の3市と県、JR西でつくる協議会が検討部会を設けて昨年8月から協議。その中で、JR西は鉄道での復旧には、58億円以上が必要とし、運行費用の一部負担を自治体側に求めてきた。「BRTが適当」とする見解は、今月3日の第4回検討部会でJR西が示した。鉄道と、鉄道以外での復旧のそれぞれの試算が出そろったことから、検討部会は双方のメリット、デメリットを報告書にまとめて5月の協議会総会に提出する。どの復旧方法を採用するか、自治体とJR側の協議が本格化する。」と報じています。
4月9日の中国新聞は「美祢市議会は9日、復旧経費が沿線自治体の大きな負担とならないよう最大限の削減を求める決議書をJR西日本に提出した」と報じました。
山口県では美祢線復活のために、冒頭紹介した、20道府県の知事の国への要望の4項目が重要です。
「被災した路線について、早期復旧のため鉄道事業者及び地方に対する更なる支援を行うとともに、災害を契機として、沿線自治体の意向を十分尊重することなく、鉄道事業者側の一方的事情により、安易に存廃や再構築の議論を行わないよう、国の責任においてJRを含む鉄道事業者に対し厳格な指導を行うこと。」
国は、JRに、美祢線を鉄路として復旧するよう指導すべきです。
村岡知事が、国にこのような要望を行ったことを評価しつつ、JR美祢線の早期復旧のために、6月議会に向けて発言を準備したいと思います。JR美祢線に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
4月24日、旧優生保護法の被害者救済制度について、毎日新聞は次のように報じました。
「障害者らへ不妊手術を強いた旧優生保護法の補償法が1月に施行され、被害者の救済が始まった。1996年まで存在したこの法律を日本社会が受け入れてきたことが、被害を広げた理由だ。私たちマスコミも含めた社会全体が、それぞれの立場で、この問題に向き合う責任がある。『旧優生保護法の補償に関する手続きが難しい。手伝ってもらえないでしょうか』1月下旬、取材で知り合った熊本県内に住む被害者の女性から連絡が入り、書類の代筆などを手伝った。女性はまひを含む身体障害と言語障害があり、必要事項を手書きするのが難しい。日常生活でもヘルパーの支援を受け、自らが被害者であることは近しい人にしか明かしていない。救済に関わる手続きは、戸籍謄本など申請に必要な書類を集めるところから始まる。障害がある被害者にはハードルが高い。女性は車椅子を利用しており『雨の日は動きにくかったり、ヘルパーとの調整が必要だったりと制約が多い。障害のある人にとって手続きは大変』とこぼす。旧優生保護法はナチス・ドイツの断種法がモデルの『国民優生法』が前身。戦後の人口増加を背景に48年、成立した。命に優劣をつけるゆがんだ優生思想で、障害者らを『不良な子孫』と位置づけて出生の防止を明記し、子宮摘出などの不妊手術を強制した。国際的な批判を受け、96年に障害者への差別的条項を削除し、名称を『母体保護法』と変更するまで続いた。女性は20代の頃、婦人科系の疾患で手術した際、説明のないまま子宮を摘出された。不妊手術について事後報告され、後に母が医師に依頼していたことを知ったが、当時はただ受け入れた。時がたつにつれ、子どもを産めない事実に苦しめられ『海の奥底に沈めるようにして生きていた』。だが2024年、名前を伏せて被害者として声を上げ始めた。母からは『裁判(に加わること)はやめてほしい』と言われていたが、その母が亡くなったことが契機の一つになった。とはいえ、母を恨む気持ちはない。『法律さえなければ、手術を受けることにはならなかったのだから・・・』。むしろ、母が娘を必死に守ろうとしてきた姿に、深く感謝しているという。私は7年前から、旧優生保護法の取材に関わった。被害者から話を聞く中で、何度も心が苦しくなったことがある。知らぬ間に手術を受けさせられた後、誰にも打ち明けられないまま、やり場のない怒りや悲しみを背負って生き続けけなければならなかった被害者の思い。熊本の女性のように、親たちの『親心』で手術が行われたことが垣間見えた時ー。やりきれなさが募り、心が痛んだ。私には、3歳上の先天性の聴覚障害の姉がいる。同じ、ろう者の男性と結婚し幸せ様な姉夫婦の姿に、『もし姉が旧法下の時代に結婚していたら』と考えると、とてもおぞましい気持ちになる。姉や私自身が当事者になっていたかもしれないからだ。旧法の問題にどう向き合うべきかを考える中で、私の背筋を伸ばした言葉がある。20年7月に取材した、聴覚障害者の夫婦による福岡地裁での国家賠償請求訴訟。原告側弁護団の徳田靖之弁護士は、こう語った。『この裁判は、私たち裁判に関わる者、報道に関わってきた者、そして社会の一員として問題を見過ごしてきた者とが、自分の課題として、やり抜かねばならない』旧法の問題を『当事者になっていたかもしれない』という怖さから取材し、向き合ってきた。徳田弁護士の言葉に、このような不条理な問題を二度と見過ごしてはならないという、新聞記者としての覚悟を問われたようで、目が覚める思いがした。『障害児が生まれてうろたえてしまうことは、今も現実にある。それは共生社会が実現できていないからだ。共生社会とは(どんな子が生まれても生きたい道を生きられる。だから、何も心配はいらない)と言える社会だと思う』。熊本の女性のこの言葉に、共生社会を作っていく側は向き合えているだろうか。補償法の申請手続きの煩雑さも、『自分の課題』という視点が欠けているのではないか。まずはそれぞれの立場でこの問題に目を、向けることこそ、真の共生社会の実現に近づく第一歩になるだろう。旧法の問題は、長く問題意識を持っていなかったマスコミも大きな責任がある。記者には、日々の暮らしや取材の中で抱く違和感を大事にしながら、世の中を見ていく責任があると強く感じる。そのことが、自分自身の大切な人たちを守り、今生きている社会のアップデートにつながると信じている。」
山口県こども政策課のページに、「旧優生保護法による優生手術・人工妊娠中絶などを受けた方とご家族へ」があります。
この中に、県民からの補償金等の請求や各種相談に対応するための専用窓口を開設したことが書かれていますので紹介します。
・・・
1、相談窓口
①設置場所 山口市滝町1-1 山口県庁5階 こども政策課内
②専用電話番号 083-933-2946(直通)
③受付時間 平日の8時30分~17時15分(年末年始を除く)
2、保証金等の支給について
①補償金について
ア 対象者
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人及び特定配偶者※
本人又は特定配偶者※が死亡している場合はその遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、ひ孫またはおいめい)
※特定配偶者:優生手術を受けた日から本法律の公布日(昨年10月17日)の前日までの間に、優生手術等を受けた者と婚姻していた者(事実婚を含む)
手術日の前日の間に、優生手術等を受けることを原因として離婚した者
イ 支給金額
本人 1500万円
特定配偶者 500万円
②優生手術等一時基金の支給
ア 対象者
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人で生存している方
イ 支給金額
320万円 ※補償金を受給した場合も支給する
③人工妊娠中絶一時金の支給
ア 対象者
旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた本人で生存している方
イ 支給金額
200万円
※ただし、優生手術等一時金を受給した場合には支給しない
穂所人工妊娠中絶の回数や子どもの有無に関わらず一律に支給する
④手続きの方法
書類を窓口(山口県庁5階 子ども政策課)に提出してください。
郵送による提出も可能です。
⑤提出書類
子ども政策課のホームページに掲載されています。
⑥請求期限
2030年(令和12年)1月16日まで
・・・
詳しくは、県庁こども政策課にお問い合わせください。
旧優生保護法の補償金等の支給に関することに対する質問やご意見を藤本までお寄せください。
私のブログのトップページに問い合わせのバナーをクリックしていただき、ご意見をお書きいただけると、私に直接メールすることができます。よろしくお願いいたします。