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反戦情報(2023・11・15)No.470に私の中間貯蔵施設の小論が掲載される

 「反戦情報」(2023・11・15)N0.470に私の中間貯蔵施設に関する小論が掲載されました。

 以下の小論は、反戦情報に提供した文章そのままです。掲載された文章は、若干修正されています。

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核燃料サイクル施設が集積する青森県を視察して分かったこと

  山口県議会議員 藤本かずのり

1、日本共産党県議団の青森県視察の意義と行程
 8月2日、中国電力は、上関町に使用済み核燃料の中間貯蔵施設の立地可能性調査の受け入れを要請し、西町長は、わずか16日後の18日、調査の受け入れに同意しました。
 日本共産党県議団は、核燃料サイクル施設が集積する青森県へ視察を行いました。
 日本共産党県議団が、青森県視察を行った意義は、次の3点です。①青森県に使用済み核燃料の中間貯蔵施設が唯一建設されている②青森県に使用済み核燃の搬入先である再処理工場が唯一建設されている③青森県から核燃料サイクル施設に関する誘致の経緯や交付金の状況を聞く。
日本共産党県議団は、10月18日午前に、六ケ所村にある日本原燃PRセンターを訪ね、午後に、青森県庁を訪ねました。19日午前に、むつ市にある中間貯蔵施設を訪ねました。

2、六ケ所核燃料サイクル施設

ア、概要
 10月18日午前に、六ケ所村にある日本原燃(株)が運営する核燃料サイクル施設のPRセンターを視察しました。この周辺には、①再処理工場②使用済み核燃料受入貯蔵施設③高レベル放射性廃棄物貯蔵センター④低レベル放射性廃棄物埋設センター⑤ウラン濃縮工場⑥MOX燃料工場が立地しています。ここに、日本の核燃料サイクルを左右する施設が集積しています。

イ、 再処理工場
 中間貯蔵施設に貯蔵されている使用済み核燃料が、再処理工場に運ばれ、プルトニウムなどの燃料と高レベル放射性廃棄物とに分離されます。
 再処理工場が稼働しなければ、中間貯蔵施設に貯蔵されている使用済み核燃料は移動することが出来ずに、永久的貯蔵されたままとなります。
 中国電力上関原子力発電所準備事務所は、8月以降「中間貯蔵施設の設置に係る調査・検討の実施について」とするチラシを上関町に全戸配布しました。この中で、再処理工場について「2024年度の上期に竣工する見通し」としています。
 これは、私が、9月県議会の一般質問で取り上げた点ですが、9月4日、原子力規制委員会は、再処理工場に関する「核燃料施設等の新規制基準適合性に関する審査会合」を行いました。この中で長谷川清光原子力規制委員会原子力規制部新基準適合性審査チーム長補佐は「年明けくらいというのが、ある種、そこから技術的に始まると思っている」と指摘しています。再処理工場は、工事開始から30年経過したにも関わらず、今日までしゅん工に至っていません。再処理工場に関する原子力規制委員会の技術的審査がようやく年明けから本格化する状況であるのに、来年9月までにしゅん工することは困難だと考えながら、PRセンターでの説明を聞いていました。
 
ウ、使用済み核燃料受入貯蔵施設
 受入容量3000㌧に対して、現在、2968㌧の貯蔵量です。
 中間貯蔵施設から再処理工場で処理を待つ使用済み核燃料を保管する施設に余地がない状況です。
 
エ、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター
 高さ1・3㍍、直径0.4㍍のステンレス鋼容器(キャニスター)に、ガラス固化された高レベル放射性廃棄物が貯蔵されています。
 貯蔵容量は、キャニスター2880本です。現在、フランスから1310本、イギリスから520本、合計1830本が貯蔵されています。残り1050本のキャニスターしか貯蔵容量がないにも関わらず、イギリスにある2200本のキャニスターが日本への返還を待っています。
 貯蔵管理センターは、「30年~50年間の中間貯蔵」とされていますが、高レベル放射廃棄物最終処分場は、文献調査にも入っていない状況です。高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが恒久的な貯蔵施設になることが想定されます。

3、青森県庁視察
 10月18日午後、青森県庁を訪ね、田桐立人エネルギー総合対策局原子力立地対策課課長などから説明を受けました。
 中間貯蔵施設の調査が開始されるとその年から電源立地等初期対策交付金が交付されます。調査開始年度から知事同意年度までが年1.4億円(期間Ⅰ)、知事同意から2年間が年9.8億円(期間Ⅱ)、がそれぞれ交付されます。
 9月県議会で、知事が、期間Ⅰの交付金を県は受け取らないことを明らかにし、来年度以降の対応については言及しませんでした。
 青森県の担当者は「むつ市の中間貯蔵施設に係る電源立地等初期対策交付金は、合計24億円。青森県は受け取らなかった。」と回答しました。
 また、中間貯蔵施設の着工から運転開始まで交付される核燃料サイクル交付金について担当者は「過去10年で149億円交付された。周辺8市町村に交付された。」と答えました。
 更に、県担当者は、六ケ所核燃料サイクル施設に関し①再処理工場の年内のしゅん工は難しい状況だ②県に対し「核燃料サイクル施設建設立地に関する県民投票条例」制定請求運動が取り組まれたことを明らかにしました。
 
4、 むつ市中間貯蔵施設視察
 10月19日、午前中、むつ市の中間貯蔵施設を、工藤祥子日本共産党むつ市議会議員らの案内で視察しました。
 リサイクル燃料貯蔵(株)が、運営する中間貯蔵施設は、現在、3000㌧規模の貯蔵建屋を建設中で、最終的な貯蔵量は5000㌧で、敷地面積は120㌶(東京ドーム26個)の広さです。
 しゅん工は、2024年度上期としていますが、柏崎刈羽原子力発電所が現在、特定核燃料物質の移動制限を受けており、その解除がされなければ、事業開始が見通せない状況です。
 使用済み核燃料を密閉したキャスクを積んだ船は、「原子力船むつ」の母港だった関根浜港に入港します。専用道路約1キロを専用車両に乗せたキャスクが中間貯蔵施設に運ばれます。現場は、緩やかな丘陵地です。上関町長島に中間貯蔵施設を作る場合、新たに港、専用道路、貯蔵施設の建設が必要です。5000㌧規模の中間貯蔵施設の場合、100㌶もの開発が必要となると、環境省が生物多様性の観点から重要度の高い海域に選定した長島の環境が大きく壊されることは必至だと感じました。
 また、むつ市では、「中間貯蔵施設の是非を問う住民投票条例」制定請求運動が取り組まれ、法定数の6.8倍の署名が提出されたことが分かりました。

5、青森県を視察して分かったこと
 中間貯蔵施設に貯蔵された使用済み核燃料の搬入先である再処理工場のしゅん工の見通しが立っていません。再処理工場の見通しが立ったとしても、高レベル放射性廃棄物最終処分場の見通しが立っていません。核燃料サイクル施設が集積する青森県を視察して、国が進める核燃料サイクル全体が崩壊していることが分かりました。
 また、六ケ所村への核燃料サイクル施設の立地に対し、むつ市への中間貯蔵施設の立地に対し、住民投票条例制定を求める直接請求運動が行われたことが分かりました。
 これら青森県での運動から学ぶべき事が多くあると感じました。

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 「反戦情報」No470を若干数、預かっています。読みたい方は、私に連絡ください。

 引き続き、中間貯蔵施設に関して調査を続けていきたいと思います。

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