8月30日、宇部日報は、宇部市教育委員会が校則の見直しガイドラインを策定したと次のように報じました。
「宇部市教育委員会(野口政吾教育長)は、市立小・中学校の校則見直しに関するガイドラインを策定した。各校に対し、ガイドラインを参考としながら校則見直しの仕組みづくりや組織づくりを整え、原則、今年度中に各校のホームページで見直した高速を公開していくよう求めていく。策定の背景には、4月に施行された『こども基本法』の中で、子どもの権利擁護、意見を表明する機会の確保と意見の尊重などが法律上位置付けられたこと、4~5月に市内の教職員と小学5年~中学3年の児童・生徒とその保護者を対象に実施した校則見直しに関するアンケート調査で、回答のあった8706人の42・8%が見直しの必要性を挙げたことなどがある。子どもたちが自分の通う学校の決まりや高速を自分事として捉え、その見直しに主体的に参画することは、子どもたちが身近な課題を自ら解決するという教育的意義を持つことも策定推進を後押しした。ガイドラインではゼロベースからの校則見直しを重視。▽児童・生徒が自ら考え、決めていく仕組みの構築▽必要かつ合理的な範囲内での制定▽公表することー三つの観点で、見直しの枠組みをつくっていく。仕組みづくりでは、心理的安全性を確保し少数意見を大切にできることと、子どもと大人が同じ数で話し合う場を設けるなどの対話を重要視。見直しの際には、現状の社会通念に照らした合理性と性の多様性を尊重し、合理的理由を説明できない規定は必ず改訂することを定めた。公表することで内容と必要性について保護者や地域住民との共通理解を図っていく。市教委学校支援課の石崎輝彦課長同格は『校則の見直しを一つの契機に、児童・生徒が子ども同士やさまざまなたちの大人との対話などで主体的に関わり合い、自ら行動できるようにしていきたい』と話した。」
私は、21年年6月県議会で、県内全ての県立高校の校則を入手して7月1日に一般質問を行いました。西村副教育長(当時)は、「校則の見直しについては、各学校において、実情に応じ、生徒・保護者・地域等で十分に話し合った上で、判断されるものと考えている」と答えました。
私は、国の生徒指導に関する基本文書「生徒提要」が12年ぶりに改訂されることを受け、校則の見直し状況について、22年11月県議会で、12月6日に、一般質問を行いました。
副教育長は「本年8月末に県立高校を対象に調査したところ、すべての高校で見直し作業が行われ、半数以上の高校で見直しが完了しているところだ。近く、公表される生徒指導提要の改訂の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいる」と答えました。
私は、8月中旬に、県教委から、現時点の県内すべての校則を入手し、チェックを行っています。
21年6月県議会で校則の問題点を指摘した点と今回、私が、現時点での校則をチェックした上で、比較検討していきます。
まず、旅行などについて、学校の許可・承認を必要とする校則についてです。
21年は、21校にありました、今回は、6校ありました。
次に、集会や行事への参加や団体への加入等に、学校の許可、承認、届け出を必要としている(政治活動は除くと明記しているものは除く)校則についてです。
21年は、14校ありました。今回は、11校ありました。
次に、下着の色を指定している校則についてです。
21年は、12校にありました。今回は、9校ありました。
下着は、下着・肌着・インナーシャツとしているところをカウントしました。
次に、頭髪の届け出についてです。
21年には、6校ありました。今回は、3校ありました。
ツーブロックを禁止する校則が8校にありました。
今回は、ツーブロックとの表現はゼロでしたが、「極端な刈り上げは不許可」など規定している校則が、7校ありました。
その他で指摘しなければならないいくつかの点を指摘します。
第一は、演劇や音楽会などへの参加に学校の許可を求める校則についてです。
演劇や音楽会の参加に学校の許可を求める校則が、現時点で、5校ありました。
第二は、女子にスラックスを認めることを明記していない校則があることです。
女子の制服についてスラックスを認めると明記している校則がある一方、明記していない校則が多数ありました。
総括的に述べるならば、県内の県立高校の校則は、生徒の人権や思想信条の自由を守る上で、若干の見直しがされたことは評価しますが、まだまだ見直す必要性があるということです。
冒頭の宇部日報にある宇部市教育委員会が今年7月に作成した「宇部市立小中学校校則見直しに関するガイドライン」を見ました。
宇部市教育委員会は、ガイドラインの中で、「校則の見直しの背景」について次の4点を挙げています。
第一は、国の第4期教育振興基本計画について(令和5~9年度)です。
第4期教育振興基本計画では、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が総括的な基本方針として掲げられていることを挙げています。
第二は、こども基本法についてです。
今年4月に「こども基本法」が施行され、子どもの権利擁護や意見を表明する機会の確保・意見の尊重等が法律上位置付けれたことを挙げています。
第三は、生徒指導提要の改訂についてです。
昨年12月に改訂された生徒指導提要では、様々な教育活動を通して、児童生徒が主体的に課題に挑戦することが大切とされていいることを挙げています。
第四は、今年4月から5月に宇部市教委が行った教職員、児童生徒、保護者を対象に校則見直しに関するアンケート調査の結果についてです。
アンケートでは、約43%が校則の見直しが必要と回答、校則を子どもたちがつくったり考えたりする場が必要との回答が約52%に及びました。
宇部市教委は、校則見直しの観点として、次の3点を挙げています。
①児童生徒が、自ら考え、自ら決めていくような仕組みの構築
②必要かつ合理的な範囲内で制定すること
③校則の公表
山口県教委は、是非、宇部市教委を見習うべきだ感じます。
まず、校則見直しのガイドラインを作成したことです。
そして、ガイドラインの中で、校則の公表など3点の観点を示していることです。どれも重要な点だと感じます。
県教委は、学校任せにするのではなく、校則見直しのためのガイドラインを作成し、更に、生徒の人権が尊重される校則となるように更なる見直しをリードすべき時です。
これらの問題は、来る9月県議会で取り上げたいと思います。
校則の見直しに関する皆さんのご意見をお聞かせください。