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相手を「殺す!殺す!」と訓練受けた元海兵隊員のネルソンさん

 2月4日予定だった、「健文会 まちづくり学校」は、コロナまん延拡大で延期となりました。
 私は、第66回日本母親大会での仲山忠克弁護士の記念講演を視聴した後、コーディネーターを務めることになっていました。
 延期ですので、仲山弁護士の記念講演を引き続き学んでいます。
 仲山弁護士は、幣原喜重郎が提案した憲法9条の内容などを引用して「日本国憲法と武力によらない平和立国の宣言」について解説する最後に、「このように敗戦後の立国を非戦国家として宣言して歩み出した我が国ですが、その後の歴代の自民党政権はむしろそれを否定し、逆の方向を目指して進んでいます。そして、それの牽引力となっているのが日米安保条約及びその体制の存在になっています。」と締めくくっています。
 その上で、仲山弁護士は「軍事力と沖縄戦後史における基地被害」について解説しています。
 仲山弁護士は、この章の冒頭で「軍事力の正体が最も具現化しているのは、米軍基地の集中する沖縄です。」と話し、米兵犯罪について元海兵隊員のアレン・ネルソンさんの発言を次にように引用しています。
 「米兵は訓練によって殺人性を身体と意識にたたき込まれる。身に沁み込んだ殺人性、暴力性を帯びた米兵が街に出ると、それは不可逆的に犯罪を発生させる。米兵犯罪のたびに米軍当局は綱紀粛正を繰り返して言うが、それは建前で、本当はようやく本物の兵隊になったと満足する、と。このように米軍犯罪は偶発的なものではなく、軍隊の特性がもたらす構造的なものです。」
 私の本棚に、アレン・ネルソンさんの「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」があります。
 ネルソンさんが、18歳で海兵隊員になった時、訓練の様子がこう綴られています。
 「教官が声をはりあげます。
  『おまえたちは何者だ?』
  わたしたちが応じます。
  『海兵隊員です!』
  そして教官。
  『声が小さい!おまえたちは何者だ?』
  そしてわたしたち。
  『海兵隊員です!』
  教官。
  『おまえたちのしたいことはなんだ?』
  わたしたち。
  『殺す!』
  『聞こえんぞ!おまえたちのしたいことはなんだ?』
  『殺す!』
  『聞こえん!』
  『殺す!』
  そうやって、わたしたちは目をぎらつかせ、『殺す!殺す!』とけだもののように叫びつづけるのです。」
 元海兵隊員のネルソンさんは、1995年に沖縄で起きた少女暴行事件を聞き、沖縄を訪れ、仲山弁護士が引用したような内容の講演活動を行いました。
 ネルソンさんは、沖縄を訪れる中で日本国憲法9条のことを知ったとして、この本で次のように述べています。
 「戦争を放棄する。戦力は持たない。国というものは戦争をしてはいけない。第9条は、はっきりそう言っています。わたしはそれ以後、世界中にこの第9条を共有すべきだと確信するようになりました。第9条こそが戦争をなくす唯一の道だと思うのです。第二次世界大戦以後、日本は世界中のどこにも爆弾を一個も落とさず、世界中の人々の命をだれひとりもうばっていません。これが第9条の力であり、この力を日本人みずからがもっと理解すべきだと思うのです。」
 ネルソンさんの「第二次世界大戦以後、日本は世界中のどこにも爆弾を一個も落とさず、世界中の人々の命をだれひとりうばっていません。これが9条の力」という言葉を、敵基地攻撃能力を保有しようとしている自民党の岸田首相に送りたいと思います。
 私は、これからも日本は世界のどこにも爆弾を落とさず、世界の人々の命をだれひとり奪わない国でありつづけるべきだと思います。
 1月31日、松本侑子さんを講師とするNHKEテレ「100分de名著 金子みすず詩集」の最終講義が放映されました。
 テキストから次の文書を引用します。 
 「子どもが竹槍をかまえ、敵兵に見立てた藁人形を突き刺す訓練をするとき、みすゞの詩『お魚』にある『海の魚はかわいそう』といった、小さな魚の死さえ悼む繊細な心は、軟弱とされました。国家総動員法のもと、挙国一致で戦うとき、みすゞの詩『私と小鳥と鈴と』にある『みんなちがって、みんないい。』といった子ども一人一人の個性、異なる考えも否定されます。」
 みすゞの代表作に「大漁」があります。

  大漁
 朝焼小焼だ
 大漁だ
 大羽鰮の
 大漁だ

 浜は祭りの
 ようだけど
 海のなかでは
 何万の
 鰮のとむらい
 するだろう

 戦争とは、相手を敵と思い、「相手を殺す」ことに集中するものです。
 みすゞの詩にあるように、殺す相手も命ある存在だ、大切な家族がいるのだと考えることは戦争においては、厳禁なことです。
 私は、みすゞの詩こそ、平和の象徴と過去のブログで書きました。
 今日は、みすゞの詩こそ、憲法9条を具現化したものだといいたいと思います。
 ネルソンさんの本にあるように、私は「世界中の国々がこの第9条を共有すべきだ」と確認すると同時に、日本人みずからが「9条の力」をももっと理解すべき時だと思います。
 ましてや、日本国憲法の9条に自衛隊を明記するなどの改憲をすべきではないと考えます。
 引き続き、憲法9条に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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