映画館で観たいと思っていながら観れなかった映画「64 ロクヨン」(以下64)をDVDで聴視しました。
64とは、昭和64年。「天皇崩御」で7日間しかない昭和64年の間に起きた少女誘拐殺害事件。
その事件に翻弄される群衆劇です。
主人公のD県警広報官の三上に佐藤浩市さん。
DVDの特典映像の中で語っているように「身を削る」演技は圧巻でした。
助演級の役者さんだけでも数十人に及びますが、その一人一人と対峙し、常に矢面に立たされる三上を演じた佐藤浩市さんの演技は、映画史に残るものだと思います。
犯人の声の録音に失敗した科捜研研究員の日吉浩一郎は、その後、県警を退職して引きこもりの生活を送っています。
この日吉に、三上が「君は悪くない」とのメモを送り、読んだ日吉が涙を流すシーンは胸に沁みました。
また、加害者の匿名報道で、記者クラブの怒りを買った交通死亡事故で、被害者の生活実態を語る三上の言葉の暖かさにも胸が痛みました。
更に、三上自身が娘と葛藤するシーンは、見物です。
我が家も思春期を迎えた4人の子どもを抱えているので、胸に詰まされます。
世の中、理不尽な事だらけだけれど、相手を信じて真正面からぶつかって語り合っていくしかないんだということを熱く語る映画だと思いました。
横山秀夫さんの作品は、ほとんど読んでいます。映像化された作品の多くも観ています。
人物描写の職人のような横山秀夫さんが益々好きになりました。
小説「64」は、「震度0」から7年後に発表された作品です。
横山さんには、この間、心筋梗塞や記憶障害など相次いで病魔が襲ったようです。
そのような中、何度も推敲を重ねて完成した小説「64」を今、心に刻みながら読み直しています。
小説「64」が出版されて5年目を迎えました。横山ファンとしては、そろそろ次回作を読みたいと思っているところです。
今度は、警察小説でしょうか、「クライマーズ・ハイ」のように場面が変わるのでしょうか。
いずれにしても横山秀夫さんの新作を大いに期待する日々です。
よりよい未来のために、今を大切に生きていく。映画「64」からそのことを学びました。
映画「64」のスタッフ並びに出演者の皆さんありがとうございました。
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