今日・明日は、第三回山口昔話大学に妻と一緒に出席します。
今日も、昔話研究の第一人者である小澤俊夫さんから、直接、講義を受けました。
特に、小澤さんの自著「昔話の語法」についてご本人から直接、講義を受けることができることは格別です。
今日は、「マックス・リュティの様式理論」に関し、「抽象的様式」について学びました。
昔話研究の世界的権威であるスイスのルティは、昔話には抽象的様式構成があるとして、「この抽象的様式構成は貧困でも無能力でもなくて、高い計精力なのである。」と述べています。
小澤さんは自著の中で、「文学においても感情移入原理に立つ文学が圧倒的に多いなかで、口伝えの昔話は正反対に抽象的原理によって成り立っていることをつきとめたのは、マックス・リュティの偉大な功績」と述べ、「抽象的な様式をもって語られる昔話こそが、耳にここちよく、子どもの心のなかに深くはいっていくもの」とも述べています。
小澤さんは、昔話と児童文学の違いを言及しました。
昔話は数百年の歴史を抱える一方、児童文学は、近代文学の一分野であるのが特徴であると述べました。
また、昔話は、抽象的な文芸である一方、児童文学は、写実的な文芸であり、文学としての性質が違うと述べました。
その上で、昔話のモチーフを使った作品は、あくまでも児童文学であり、昔話ではないことを強調しました。
更に、小澤さんは、ラムサール条約で守られる湿地と昔話の共通点は、①昔から存在する②個人が作ったものでないものが多い③一定の条件があったから生き延びた④それなりの美しさがある⑤心の安らぎを得ることができるもの、だと語りました。
その上で、違いについて「昔話は見えないものであることが最大の違いである。見えないから昔話の特徴を壊し、児童文学にしてしまう傾向がある」と語りました。
昔話は、庶民の貧困などによる未熟な文学ではなく、抽象的様式を持った文学であるという理論に私も大いに納得しました。
明日の講義も楽しみです。妻と二人、一つの事を学ぶことも大切なことだと思います。
全国の昔話研究の諸先輩方、様々なご示唆をお願いいたします。
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