書店で、「おすすめ文庫王国2010-2011」エンターテーメント部門第一位という帯に魅かれ、沼田まほかるさんの「猫鳴り」を読みました。
1章は、子どもを流産した夫婦が猫を拾う物語。2章は、不登校になった中学生が猫を育てはじめる物語。
3章は、初老の男性が老猫を看取る物語。
通して感じたのは、作家の猫の描写の確かさした。
同時に、それぞれの章の人物描写の巧みさです。
1章の子どもを流産した母の切なさ。2章の不登校の男子中学生の心の闇。3章の初老の男性の不安と喜び。
特に、男子中学生の心の闇は、当事者でしかわからないような心の襞を照らしているようでした。
沼田まほかるさんは、1948年生まれといいますから、現在63歳の作家さんです。
主婦、僧侶、会社経営を経て50代でテビューとあります。
僧侶の経験からか、「悪人正機」の思想が垣間見れるようです。
1章の母は、実は、子猫を何度も捨てにいきます。2章の中学生は、幼児を殺そうとします。
それでも、人間は救われる存在なんだと説いているようです。
3章の男性は、20歳の猫を看取りますが、猫に「ダイジョウブ、スベテ、ダイジョウブ」と諭されます。
この本は、最初は、心がズキズキ傷みますが、最後になるほど浄化されるような気持ちになるものでした。
20歳の猫の話を読んで、私が、生まれた時から我が家にいた「チコ」という猫の事を想い出しました。
チコは、次姉と同じ年だったと思います。次姉が高校生の時に亡くなりましたので、17歳位は生きたのではないでしょうか。
私が小学生の頃は、傷だらけ、泥だらけで帰ってきたことを想い出します。
最期は、農業用倉庫の中で、首をもたげ遠くを見るような仕草をしたことを覚えています。
今、我が家にも「チョロ」がいます。少し前に、あわや下半身不随かと思われる怪我をしましたが、奇跡的に後遺症もなく元気になりました。
三男が小学校に上がったころから我が家にいますので、ただ今4歳。
これからも、チョロと我が家の一員として仲よく暮らしていけたらと思います。
今、沼田まほかるさんの「ユリゴコロ」を読んでいます。
8月議会も終わり、朝晩少し涼しくなってきました。この秋は、沼田まほかる作品に浸りたいと思っています。
沼田ファンの皆さん。お薦めの作品をお教え下さい。
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