13日付、中国新聞は、中国電力が進める中間貯蔵施設について今年の状況について次のように報じました。
「中国電力と関西電力が山口県上関町で検討する使用済み核燃料の『中間貯蔵施設』はことし、大きな正念場を迎える。中電による立地可能性調査は今春以降に終わる見通しで、同社がその後『適地』と判断すれば、上関町は建設を認めるかどうか決める。原発の新設を巡って40年以上も住民が翻弄されてきた町は、再び原子力をめぐる重い判断を迫られる。『現在、立地の可能性について調査している段階』『地元のご意向を聞きながら丁寧に、丁寧に対応していきたい』-。中電の中川賢剛社長は6日、中間貯蔵施設の計画の進展を記者から問われ、こう述べた。上関町の周辺市町では『永久的な貯蔵となりかねない』『なぜ関電の核燃料を引き受けるのか』と反発が広がる。3月投開票の柳井市長選や夏の参院選などで争点となる可能性があり、中電は世論の動きを見極めつつ慎重に動いているとみられる。過疎や財政難に苦しむ上関町での議論も本格化しそうだ。中電が建設案を示した場合、町は住民説明会などを開く方針。建設の是非について町民の賛否が割れる中、西哲夫町長は『議会で議論してもらい判断したい』とし、住民投票の実施などには否定的だ。ただ、町と議会主導で結論を出すことに異論の声は強い。『原発回帰』を進める国にとって、中間貯蔵施設の重要性は増す。原発施設内に貯まり続ける核燃料を運び出す必要があるからだ。上関町での計画の行方は、電力の恩恵を受ける都市部など『消費地』にも責任の一端を投げかける。立地計画に揺れる上関町や、周辺地域の現状と今後を考える。立地可能性調査の結論を控え、これから大きなヤマ場を迎える山口県上関町での中間貯蔵施設計画。中国電力が建設方針をあらためて打ち出した場合、今後を大きく左右しそうなのは『合意形成の進め方』と『周辺市町の反発』、『国の動き』だ。想定される流れや課題を展望する。中電が『適地』と結論づけて計画の具体的な構想を示した場合、上関町がその後、いかに町として合意を形成し、どんな手続きで建設の是非を決めるかが焦点となる。西哲夫町長はまず、中電など事業者や国とともに、町として初めての住民説明会を開く意思決定の在り方が各地で問われてきた。西町長は『民意をくみ上げた議会で議論してもらい、判断する』とし、住民投票などで町民の賛否を直接確かめるような手法には消極的とみられる。その町議会は、原発計画について『推進7人、反対3人』の構図で、中間貯蔵施設への賛否も重なる。計画が浮上する数年前から町議会は水面下で誘致を論じていたが、この間の町長選、町議選では一切触れられていない。『町と町議会だけで決めず、時間をかけて民意を把握し、意思決定に反映する必要がある』との専門家の指摘もある。『本当に『中間貯蔵』なのか。確たるものが持てない』。昨年末、上関町の周辺1市3町首長が中間貯蔵施設について非公開で協議した後、柳井市の井原健太郎市長は懸念を口にした。使用済み核燃料が想定以上に長く留め置かれるリスクに警戒感を示した。背景には、国の核燃料の搬出先がなく『ずるずると半永久的な貯蔵になる』との見方がある。周辺の観光や移住政策への影響が見通せないのに加え、関西電力の核燃料が持ち込まれることに反発も強い。反対する住民の動きも広がる。柳井市平郡島の一部住民が同市で行ったアンケートでは、回答した約4千世帯の7割が『反対』。住民は、山口県知事に反対するよう求める要望書を提出した。長期貯蔵の恐れ、テロや災害の可能性・・・。計画する上関町にとどまらず広範囲に及ぶリスクや不確実性について、中電と関電は周辺市町でも丁寧な説明が求められる。国は、改定中のエネルギー基本計画の素案で福島の原発事故後に盛り込んできた『可能な限り原発依存度を低減』の文言を削除。使用済み核燃料の貯蔵について『(原発の)敷地内外を問わず、新たな地点の可能性を幅広く検討』し、事業者とともに国も前面に立つ方針を盛り込んだ。国が昨年末に示した2025年度予算案。上関町での原発と中間貯蔵施設計画に対する山口県と町への立地地域対策交付金は前年度から7億5千万円増え、約13億5千万円に膨らんだ。資源エネルギー庁は、『中間貯蔵施設の建設に対する県知事の同意まで進む事態に備えた』と理由を説明。予想以上のスピードで計画が進む可能性を踏まえた国の推進姿勢をにじませた。」
私は、この記事で、最も驚いたのは、「資源エネルギー庁は『中間貯蔵施設の建設に対する県知事の同意まで進む事態に備えた』と理由を説明。」の部分です。
中国新聞は、昨年12月28日付の、山口県・上関町に13億円という記事の中で、「交付金のうち、24年度に1億4千万を計上した上関の中間貯蔵施設の初期対策は、山口県の村岡嗣政知事が建設に同意すれば9億8千万円に増える。村岡知事は態度を明らかにしていないが、予算は確保した。」と報じています。
13億円の内訳は上関原発建設に伴う交付金も含まれていると思われますので、詳細は定かではありませんが、中電が適地かどうか表明も行っていない段階で、上関町も周辺の自治体も何も態度表明していない段階で、ましてや、知事も何の態度表明もしていない段階で、。知事が同意した場合の交付金相当額を国が新年度予算案に計上した「国の推進姿勢」は、地元住民の感情を無視したものであり、地域住民の愚弄した態度と言わなければなりません。
石破首相が、国民との対話を重視するというのは口先だけかと疑いたくなるような予算案への計上だと言わなければなりません。
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