三浦綾子著「母」を久しぶりに読み返しています。
三浦綾子著「母」は、前進座の舞台になり、宇部市での上演を観たことを昨日のように思い出します。
いまむらいずみさんが小林セキを演じるの一人芝居だったと記憶していますが、いまむらさんの多喜二を思う母の想いが今も胸に残っています。
三浦綾子著「母」は、ついに映画となり来年1月から公開されることとなりました。
監督は、女性監督としては現役最高齢84歳の山田火砂子監督。
題名は「母-小林多喜二の母の物語」です。
母を演じるのは、寺島しのぶさん、多喜二は塩谷瞬さんが演じます。
現時点で、大阪以西での上映はないようですが、一日も早く映画化された「母」を観たいと思っています。
角川文庫の三浦綾子著「母」の解説で、久保田暁一さんが、三浦綾子著「石ころのうた」の「あとがき」を引用しています。
「いったい、時代とは何なのか。自然にでき上って行くものなのであろうか。私が育った時代、その時代の流れは、決して自然発生的なものではなかったと思う。時の権力者や、その背後にあって権力を動かす者たちが、強引に一つの流れをつくり、その流れの中に、国民を巻き込んでいったのだと思う。そして、そのために、どれほど多数の人命が奪われ、その運命を狂わされたことか」
久保田さんは、作中の次の対話に注目しています。
「『母さん、おれはね、みんなが公平に、仲よく暮らせる世の中を夢みて働いているんだ。小説ば書いているんだ。ストライキの手伝いしてるんだ。恥ずかしいことは何一つしていないからね。結婚するまでは、タミちゃんにだって決して手ば出さんし・・・だから、おれのすることを信じてくれ』
そう言ってね、わだしが、
『多喜二のすること信用しないで、誰のすることを信用するべ』
って言ったら、うれしそうに笑っていた。」
久保田さんは、「この対話に母子の血の通った信頼関係と愛情および多喜二の純情さが、端的に示されている。」と書いています。
「わたしはねぇ、なんぼしてもわからんことがあった。多喜二がどれほど極悪人だからと言って、捕らえていきなり竹刀で殴ったり、千枚通しで、ももたばめったやたらに刺し通して、殺していいんだべか。警察は裁判にかけないで、いきなり殺していいんもんなんだべか。これがどうにもわかんない」
久保田さんは「セキが吐いたこの言葉は、重く胸に迫ってくる。これは民主主義を完全に指定し、人権を無視した者への重い告発の言葉である。」と書いています。
三浦綾子さんは、日本共産党しんぶん赤旗1993年3月23日付けのインタビューで「私は小林多喜二という人は、かけ値なしに命を懸けて小説を書きつづけた人であると思う。日本にはどれだけの作家が生まれたかは知らないが、多喜二ほど真剣に、自分の思想に生きた作家いないと思う。」と書いています。
自衛隊に「駆け付け警護」などの新たな任務が付与され、実行可能になった今日、改めて小林多喜二の作品をこれからも読み続けていこうと決意を新たにしました。
素晴らしい作品を遺した三浦綾子さんの作品も読み続けていこうと思いました。
小林多喜二に対する皆さんの想いをお教え下さい。
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