月別アーカイブ:2025年8月

今回の大雨災害で、宇部市は災害救助法が適用されます。個人で利用できる制度を紹介します。

 9日から11日にかけて降り続いた大雨で、宇部市内で床上3棟、床下53棟の被害が出ました。県全体では、浸水被害は98件でした。被災された皆様にお見舞い申し上げます。
 宇部市は、災害救助法が適用されました。
 個人の方が受けることができる救助項目について、県担当者からお聞きしたこと(内閣府の資料)をもとに報告します。
 まず、被服、寝具その他生活必需品の給与・貸与です。
 対象者は、住家の全壊、全焼、流失、半壊、半焼又は床上浸水、全島避難等により、生活必需品を喪失又は損傷等により使用することができず、直ちに日常生活を営むことが困難な者です。
 救助期間は、災害発生の日から10日以内です。
 対象経費は①被服、寝具及び身の回り品②日用品③炊事用具及び食器④高熱材料です。
 次に、住宅の応急修理です。
 対象者は、災害のため住家が半壊(焼)又はこれに準ずる程度の損傷を受け、雨水の侵入等が放置すれば住家の被害が拡大するおそれがある者です。
 費用の限度額は、1世帯当たり53900円以内です。
 救助期間は、災害発生の日から10日以内に完了です。
 次に学用品の給与です。
 対象者は、災害により住家の全壊(焼)、流失、半壊(焼)又は床上浸水による喪失若しくは損傷等により学用品を使用することができず、就学上支障のある小学校児童、中学校生徒及び高等学校等生徒(幼稚園児、専門学校生、大学生等は対象外)です。
 費用の限度額は、①教科書、正規の教材は実費②文房具、通学用品は、小学校児童5500円以内、中学校生徒5800円以内、高等学校等生徒6300円以内です。救助期間は、災害発生の日から①教科書、教材は1か月以内②文房具、継ぐ学用品は15日以内です。
 次に、障害物の除去です。
 対象者は、半壊(焼)又は床上浸水した住家であって、住居又はその周辺に運ばれた土石、竹木等で一時的に居住できない状態であり、自力で当該障害物を除去できない者です。
 費用の限度額は1世帯当たり143900円以内です。
 救助期間は、災害発生の日から10日以内です。
 対象経費は、ロープ、スコップその他除去のために必要な機械、器具等の借上費又は購入費、輸送費及び賃金職員等雇上費等です。
 災害援助法の救助項目で活用したという方は、窓口は、宇部市ですので、宇部市に問い合わせください。
 更に、宇部市のホームページに、「被災された皆様への支援制度」の一覧が掲載されています。それぞれの窓口に相談ください。
 宇部市の支援制度に、災害見舞金があります。内容は、住宅が床上浸水、半壊以上の被害を受けた世帯に見舞金を支給するものです。
 同様の県制度として、「山口県災害見舞金」があります。この制度は、災害により住宅が全壊又は半壊した世帯に対して見舞金を支給するものです。
 私は、県災害見舞金を床上浸水の被災者にも適用するよう過去の議会で指摘してきました。
 県は、この度の災害から、県災害見舞金を床上浸水の被災者にも拡大して、該当する方に見舞金を支給すべきです。
 県が、宇部市に災害救助法の適用を認める仲介を行ったことは評価しつつ、県災害見舞金の対象を床上浸水にまで拡大する問題は引き続き、議会で指摘していきたいと思います。
 今回の災害を受けて、皆さんのご意見をお聞かせください。

柳井市議会に中間貯蔵施設建設反対の4172人の反対署名が提出されました。

 中国新聞デジタルは、昨日、柳井の住民団体が柳井市議会に中間貯蔵施設建設反対の決議を求める請願書を提出したと次のように報じました。
 「中国電力が山口県上関町で建設を検討する使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り、柳井市の住民団体『上関の中間貯蔵施設を考える周防住民の会』が12日、市議会での建設反対の決議を求める請願書を山本達也議長に提出した。同会は7月、柳井市の全世帯を対象とした計画反対の署名活動を郵送で実施。約1カ付間で4172人(うち柳井市在住は3908人)の反対署名が集まり、請願書と同様に提出した。同会は、多くの住民が施設建設に反対していることや安全上のリスク、関西電力の使用済み核燃料が持ち込まれることなどを請願の理由として説明。井上重久代表(59)は「関電と上関町からリスクを押し付けられるだけだ』と述べた。村岡嗣政知事は計画同意には周辺自治体の理解も重要な要素だとしており、周辺では田布施町が3月に建設反対の決議案を賛成多数で可決している。井上代表は『反対の実績を積み重ねていきたい』とも強調した。」
 記事の後半で指摘されているように、中間貯蔵施設の建設計画のある上関町周辺の田布施町議会では3月に建設反対の決議案が可決しています。柳井市議会でも建設反対の決議案が可決すると周辺地域の反対の声は大きと評価できると思います。それにしても、柳井市を中心に、上関町の周辺住民の4172人が建設反対の意思を示したことは重大だと思います。
 中国電力は、立地可能性調査を終え、近く調査地点が適地であったかどうか、建設に踏み出すかどうかの判断を下すものと思われます。中国電力は、建設を断念すべきです。村岡知事は、権限を行使する前提として、周辺住民の反対の声の高まりを受け止めて、建設反対の立場に立つ時です。
 柳井市議会に4000人を超える中間貯蔵施設建設反対の請願書が提出されました。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

9日から県内で豪雨が続いています。土砂災害防止、河川氾濫防止などで県に照会したいと思います。

 7月7日、読売新聞は土砂災害警戒区域への指定を決める前に自主的に公表する都道府県が増えていることについて次のように報じました。
 「ハザードマップに記載される土砂災害警戒区域への指定を決める前に、災害リスクが高い場所を自主的に公表する都道府県が7年前の西日本豪雨以降、急増していることが読売新聞の調査でわかった。警戒区域への指定には時間がかかるため、計20府県が危険箇所を前倒しで『公開済み』『公開予定』と回答。指定前の公表は義務付づけられていないが、住民に周知し、被害拡大を防ぐ狙いがある。2018年7月の西日本豪雨では広島、岡山、愛媛の3県を中心に災害関連死を含む3000人以上が犠牲となり、警戒区域外でも死者が出るケースがあった。この教訓も踏まえ、国土交通省は20年8月、土砂災害対策に関する指針を改訂。高精度な地形図を基にリスクの高い地域を洗い出すよう各都道府県に促した。土砂災害警戒区域に指定するには、さらに現地調査が必要だが、急傾斜地を上って測量したり、土地の利用状況を詳しく調べたりするため数年はかかる。本紙は、6月、47都道府県を対象にアンケートを行い、指針改定への対応などを調査。改定前から着手していた東京や広島なども含め、全都道府県が航空レーザー調査などによる高精度な地形図を用いた抽出作業を実施していることが分かった。抽出した危険個所の公表について、警戒区域の指定前に行っていたのは、西日本豪雨の発生時点で広島県のみだった。その後、静岡や大阪、福岡など13府県も指定前に公表し、新潟や京都、熊本など6府県が『公表予定』と答えた。前倒しで公表する理由として、多くが『指定まで時間がかかる』『気候変動で災害が激甚化する中、リスクを知ってもらう』と回答。市町村のハザードマップに危険個所を記載したケース(千葉・福岡)もあった。一方、『非公開』とする14都県(予定含む)あった。実際に警戒区域に指定するかどうかは、現地調査を行って決めるため、『指定基準に満たない可能性もある』(香川)、『住民に余計な不安を与える懸念がある』(山梨)などの回答が目立った。残りの13道県は『未定』とした。国交省は、危険個所の公表を各自治体に促す方針だ。」
 9日から、猛烈な雨が県内を襲っており、下関市・長門市・萩市、阿武町、宇部市、山口市、山陽小野田市、防府市、周南市に土砂災害警戒情報が出されています。
 その他、県内各地に大雨警報、山口市に洪水警報が出されました。
 山口県は、10日18時に、災害対策本部を設置しました。人的被害や住宅被害も出ています。
 私は、最初に紹介した記事を参考に、本日、県は、国の方針改訂を受け、高精密な地形図を基にリスクの高い地域を何カ所、洗い出したのか、その地域を公表する考えはないのかについて、また、今回、県内で土砂災害が発生した箇所で、警戒区域などに指定されていない場所はなかったのかなどについて、担当部局に照会したいと思います。
 また、県内の河川が氾濫危険水位を超え、避難指示などが出された地域があります。これら河川で、事前放流の実態などについても、本日、県の担当部局に照会したいと思います。
 被災された皆さんにお見舞い申し上げます。今回の豪雨に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

藤本かずのり県議会報告(かえる通信)2025年9月1日 No.125

JR美祢線について、県と沿線自治体がBRTでの復旧を目指すことで合意 JRの責任を明確にして、自治体負担の軽減を

 中国新聞は、8日、JR美祢線の復旧方法としてBTRで行うことが確認されたと次のように報じました。「2023年夏の大雨で被災し全線運休が続く山口県整備のJR美祢線について、山陽小野田、美祢、長門の沿線3市と県は7日、鉄路での復旧を断念し、バス高速輸送システム(BRT)での復旧を目指すことで合意した。JR西日本や国を交えた協議会を今秋をめどに設立し、復旧計画を協議する。沿線2市町がこの日、県庁を訪れ、非公開で村岡嗣政知事と協議した。県によると、全員が『BRTでの復旧が最善』との意見で一致した。BRTのルートや各自治体の費用負担の割合、運行本数など、具体的な復旧計画を決める法定協議会を今後設けることも申し合わせた。村岡知事は終了後の記者会見で『住民に不便な移動を余儀なくされている状況を早く解消しなければならない。利便性がどう上がるかが最も重要だ』と述べた。BRTはバス専用道を設けるなどして速達性や輸送力を高めたバスシステム。美祢線の全46.0キロのうち並行道路が狭い4・2キロ区間に専用道を設けるか否かや、復旧の費用をどう負担するかが今後の課題にある。村岡知事は、自治体やJRが費用をどう負担するかを整理する必要があるとの考えを示した。」
 5月に開催された「JR美祢線利用促進協会」に復旧検討部会がBRTの場合、初期投資が55億円必要とする資料を示しています。社会資本整備交付金を活用し、JRと自治体の負担を同程度とした場合、自治体負担は18.3億円としています。国の制度について、県担当者は「自治体負担の2分の1を国が支援するもの」と説明しました。資料は、55億円に対して、国の補助を除く、自治体負担の半分をJR西日本が負担した場合を想定したもので、JR西日本の負担が減れば、自治体負担が増える可能性があります。
 同資料に、BTRの運営費用は、年2.5億円との資料を示しています。地域公共交通確保維持改善事業を活用を想定したとして、JR西日本が費用を負担し、自治体負担はないとしています。国の制度について、県担当者は「国2分の1、県2分の1の制度だ」と説明しました。運営費用は年5億のところ、国が2分の1の2.5億を補助し、自治体負担分を全てJR西日本が見てくれた場合が、資料には示されています。補助対象となった場合、欠損額(経費の20分の9が上限)の2分の1を国が2分の1を県が補助することとなります。但し、輸送密度が国の補助基準を下回った場合は、県が2分の1、市が2分の1を支援する制度となっていることが分かりました。
 美祢線の復旧について、BRT方式がベストだと県と沿線自治体が選択したことを、尊重した上で、今後は、国の制度を活用し、初期費用と運営費用の自治体負担を減らし、可能な限り、JR西日本の負担を増やす協議が求められています。その点で、県の役割の発揮が強くもとめられていると思います。

詩人・山田かんの次男・山田貴己さんが「報道特集」に登場

 8月9日の朝日新聞の天声人語を紹介します。「長崎を訪ねた。射るような日差しをあびて、『非戦』の碑が立つ社屋を訪ねた。受付で要件を告げると、6階の編集局の一室へと案内された。段ボール箱が三つ、机上に置かれている。噴き出した汗をぬぐってから、その一つを開けた▼米軍の原爆投下から80年となる今年、長崎新聞、中国新聞と本紙は、合同で被爆者アンケートを行った。3564人の声が集まった。長崎に行ったのは、その回答の一部を、実際に手にとって読みたいと思ったからだった(中略)自らも被爆2世である山田貴己(よしき)・編集局長は言う。『80年たっても、恐れを引きずっている。何と長く影響を与える兵器なのか』▼気付くと、長居をしていた。礼を言い、外に出る。『非戦』の字が、来たときよりも大きく見えた。海からの風が、静かに、吹いていた。」
 この記事に出てくる長崎新聞の山田貴己編集局長は、大学の同期で、サークルも一緒でした。
 8月9日のTBS「報道特集」は、長崎原爆を特集し、山田編集局長が、登場しました。「報道特集」では、詩人の山田かんを取り上げました。山田編集局長の父が山田かんです。
 長崎新聞に、2003年8月4日に掲載された山田貴己記者(当時)の「父山田かんの軌跡」という記事は、次のように書いています。
 永井隆博士は、書著「長崎の鐘」で「神の摂理によって爆弾がこの地点にもち来らされた」「世界大戦争という人類の罪悪の償いとして、日本唯一の聖地浦上が犠牲の祭壇に屍(ほむ)られ燃やさるべき潔き羔(こひつじ)として選ばれた」と記していると山田記者が紹介。
 山田かんは、この永井隆博士の言説について、72年、雑誌に掲載された「聖者・招かざる代弁者」の中で、こう書いていると山田記者が紹介。
 「『原爆』の内質として反人類的な原理をおおい隠すべき加担にほかならなく、民衆の癒しがたい怨恨(えんこん)をそらし慰撫(いぶ)する、アメリカの政治的発想を補強し支えるデマゴギー(事実に反する扇動的な宣伝)」
 「差別され被爆したカトリック信者は永井の言葉に救われたかもしれない。だが『原爆は神の摂理』という永井の言説は、長崎原爆に神や祈りのイメージを付加し被爆者を沈黙させ、原爆による大量虐殺の本質、使ったアメリカの罪悪を覆い隠す役割を果たした」
 この辺りの山田かんさんの評論が、「報道特集」の中で取り上げられました。
 湯崎広島県知事は、平和式典で、「もし核による抑止が、歴史が証明するようにいつか破られ核戦争になれば、人類も地球も再生不能な惨禍に見舞われます。概念としての国家は守るが、国土も国民も復興不能な結末があり得る安全保障に、どんな意味があるのでしょう。抑止力とは、武力の均衡のみをさすものではなく、ソフトパワーや外交を含む広い概念であるはずです。そして、仮に破れても人類が存続可能になるよう、抑止力から核という要素を取り除かなければなりません。抑止力の維持に年間14兆円超が投入される言われていますが、その十分の1でも、核のない新たな安全保障のあり方を構築するために頭脳と資源を集中することこそが、今我々が力を入れるべきことです。」と発言しました。
 被爆80年。核抑止が破られ、再び核戦争が起こる世界を回避していくために、被爆者の子ども世代の私たちが、次世代に、核兵器廃絶の必要性を語り継いでいかなければならないと痛感しました。  山田貴己さんのニックネームは、さかなやです。さかなや、ともに「非戦」の大切さを、伝えていきましょう。