昨日、日本共産党後援会で阿武・田万川のジオパークを散策しました。
山大名誉教授の君波先生と、宮内萩市議の解説を聞きながら散策しました。
最初に訪ねたのは、伊良尾火山観察施設です。
この施設が設置に至るには、県民の運動と萩市議会や県議会での質問がありました。
施設がある場所は、広域農道阿武北道路が横断しています。
農道のために掘られた法面に、火山活動の痕跡を残す地層が姿を現しました。
山口大学の永尾准教授(当時)が、この地層の意義を地域とともに明らかにして、この地層を残す運動を行われていました。
農道の工事は粛々と進み、火山の痕跡を残す法面は、ブロックで覆われる計画でした。
私は、永尾准教授や宮内萩市議と工事現場を訪ね2008年9月県議会で、伊良尾火山の痕跡を残す農道の法面の一部を保存するように以下の質問を行いました。
「阿武火山群の保全についてお尋ねします。この問題の発端も広域農道にあるわけですが、広域農道阿武北二期地区の工事現場で2006年12月、火山活動の痕跡を残す地層を山口大学の永尾准教授が発見されたことによります。私も先日現場を見てまいりました。岩盤に火山灰が谷に沿って曲がって堆積している様子がよくわかりました。そして、マグマのしぶきが空中で回転してできた火山弾が多数ありました。その一つが樹木型火山弾という、これです。永尾先生によると、『工事現場で露見している三十万年前の谷に空から降ってきた火山灰や火山れきがたまってできた地層は、阿武火山群でも全く見ることができないし、今後も現出することがないもので、山口県では唯一無二の地層である』こう語っていらっしゃいます。まず、農林水産部にお聞きしますが、こののり面工法について、「イラオ火山灰層のり面保護工検討協議会」で検討が行われているようですが、路面から五メートルのブロック積みは本当に行うのですか。今後、希少なのり面をどのように保護されるのか、お尋ねします。」
この質問に松永農林水産部長(当時)が次のように答えました。
「阿武火山群の保全に関するお尋ねのうち、希少なのり面保護等についてお答えをいたします。県では、平成18年12月に、山口大学の永尾准教授より、この地層が学術的に大変重要であるという報告を受けましたことから、昨年12月にその永尾准教授や県、萩市、阿武町で構成する『イラオ火山灰層のり面保護工検討協議会』を設置をいたしまして、地層の保存やのり面安定対策の必要性等について協議を行いながら工事を進めているところであります。現在、農道の安全性確保のため、路面から5メートルのブロック積みの一部を施工をしておりますけれども、今後の工事につきましては、ブロック積みの可否や希少なのり面の保存方法、さらには、安全な交通を確保するためののり面安定対策等について協議会で引き続き検討をしていただき、その結果を踏まえて工事を進めてまいりたいと考えております。」
その後、永尾先生と県と萩市と阿武町で構成する「イラオ火山灰層のり面保護工事検討協議会」での協議が重ねられ、今日の「伊良尾火山観察施設」として、法面の一部を見学できるようになりました。
火山弾の一部を檀上で示して質問した時のことを昨日のように思い出しました。
実は、この見学施設をじっくり視察することは今回が初めてでした。火山の痕跡を残す法面保存のためにお役に立てたことを誇りに思う後援会の散策でした。
火山の成り立ちが分かる地層について説明する君波山大名誉教授(左端)、解説を聞く私(右端)
私は、2008年9月県議会で、阿武火山群をジオパークに指定されるよう県の役割発揮について教育委員会に次のように質問しました。
「私は、のり面保護に限定せず、県として、この地層及び周辺の阿武火山群を含めた価値を検証する研究会を、関係市町も交えて設置する必要があると考えますが、お尋ねします。そして、イラオ火山の溶岩流が固まってできた龍鱗郷は「田万川の柱状節理と水中自破砕溶岩」として県の天然記念物に指定されています。私は、その源であるイラオ火山で発見された溶岩地層も指定すべきだと考えますが、お尋ねをします。そして、ユネスコは、こうした地質遺産を保全し、観光の対象とすることを通じて、地域社会の活性化を目指すジオパークを推進しています。この地域の世界ジオパークネットワークへの加盟に向けて、関係市町との連携を強めていくべきと考えますが、そのことをお尋ねして、私の第一回目の質問を終わりたいと思います。」
この質問に藤井教育長(当時)が次のように答えました。
「まず、研究会の設置による価値の検証についてでありますが、文化財の指定に向けた調査研究につきましては、県域全体での広域的な調査や重要性の高い文化財の調査は、県が直接行い、市町が管内で新たに発見した文化財の調査は、基本的には市町が行うこととなっております。このようなことから、お尋ねの研究会につきましては、まずは、地元萩市と阿武町が設置され、専門家の意見を聞きながら、天然記念物としての価値や指定の可能性について、研究していただくものと考えておりますが、県教委といたしましては、地元市町と連携し、研究会への参画、また、県文化財保護審議会委員などの専門家の意見も聞きながら必要に応じて支援をしてまいります。次に、ジオパークに係る市町との連携についてでありますが、ジオパークは、地質学的な価値の高いものを地域の活性化や観光などに活用するものであります。地元萩市と阿武町が研究会等で検討していただくものであると考えておりますが、県教委としても必要に応じて支援をしてまいります。」
永尾先生らが阿武火山群の意義を住民とともに明らかにし、県、萩市、阿武町が一体となって、この周辺をジオパークに指定しようという取り組みが進み、2018年に、この周辺が「萩ジオパーク」として日本ジオパークに認定されました。「萩ジオパーク」は引き続き、世界ジオパークに認定されるよう取り組みが進められているところです。
私は、「萩ジオパーク」へ向けて議会質問で少しだけお役に立てた幸せを感じた後援会の散策でした。
「萩ジオパーク」が世界ジオパークに認定されるよう、引き続き、私もしっかり発言していきたいと思っています。
引き続き、皆さんの県政全般に対するご意見をお聞かせ下さい。
日本学術学会の会員任命拒否問題をめぐるイタリア学会からの声明につて、11月7日、毎日新聞専門編集委員の青野由利さんは「土記」でこう書いています。
「科学者と話す機会が多いせいか、議論や根拠が不明の主張を聞くと落ち着かない。ひとつひとつ、矛盾点や根拠を確かめたくなる。日本学術会議の会員任命拒否をめぐる菅義偉首相の答弁がまさにそれ。『多様性』の次は、『閉鎖的で既得権益のよう』と言い出したが、いったい会員にどんな権益が?『6人のうち加藤陽子先生以外は知らない』というのに、『私が判断した』ってどういうこと?頭がくらくらする。でも、ここまでのわけのわからない答弁が繰り返されるまでに至って、事の核心は別のところにあると思うようになってきた。きっかけは、この問題に対するイタリア学会の声明だ。『説明しないこと』こそが民主主義に反する権力の行使であり、国民を無力化する手法なのだという。実は、情報公開の制度は古代ローマ時代のイタリアで芽生えたのだそうだ。紀元前59年、執政官に就任したカエサルは、元老院の議事録を公開する制度を定めた。その結果、貴族の権力はそがれ、隠れた不正ができなくなった。民主主義への第一歩だという。それから2000年以上たった日本では、安倍政権下で文書が改ざん・廃棄され、情報が隠された。官房長官だった菅さんも『指摘は当たらない』と繰り返し、説明に背を向けてきた。声明が掲げる紀元前5世紀のアイスキュロスの戯曲『縛られたプロメテウス』は示唆に富む。プロメテウスは絶対君主ゼウスに逆らって天井の火を人類に与え、はりつけにされる。彼を連行した2人の名は『クラトス(権力)』と『ビアー(暴力)』。ピアーは劇中で一言も言葉を発しない。無言の暴力で他者を従わせるのが権力、という寓意だという。確かに『説明なしに』排除されることは、理由がわからないまま逮捕される恐ろしさに通じる。声明を起草したのはダンテ研究者の藤谷道夫さん。『学会として声明を出すのは初めてだが、学問の自由に抵触する問題にだまっていられなかった。一般の方にも最後まで読んでもらえ、知識も一緒に付くように考えた』古代ローマには将軍が思い上がらないよう、凱旋式で部下が罵詈雑言を浴びせる習わしがあったことなど、学ぶことは多い。声明の全体を読むと、学術や古典の息の長さ、人類共通の価値の普遍性が伝わってくる。それに比べ、『時の権力』は一時。国家や時間を超える学術に政治権力は介入してはならないと改めて思う。」
私は、政治学者・白井聡さんの講演会の資料で「イタリア学会の声明」を読みました。
「学問は、国家や時の権力を超越した真理の探究であり、人類に資するものである。与党に資するものだけを学問研究とみなすことは大きな誤りである。」
今、菅政権がしようとしているのは「与党に資するものだけを学問研究」とみなそうとしているとのイタリア学会の指摘を私たちは重く受け止めたいと思います。
菅政権は、「その指摘は当たらない」というなら、その理由を示すべきだと思います。
指摘は当たらないと言いながら、理由を述べない姿勢は、権力の濫用と言わなければならないと思います。
日本学術会議の政治介入問題を国民の一人として今一度、皆さんと一緒に考えたいと思います。
皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
先日のNHKラジオ「らじるラボ」で、若竹千佐子さんのインタビューを放送していました。
移動中の車中で聴いたので、後日、「聞き逃し」で何度も聴きました。
若竹さんは、岩手大学教育学部卒業後、教員採用試験に5度失敗し、その後結婚し都心で暮らします。
子育てをしながら、時折「悔しさ」が頭をもたげたと語ります。
若竹さんが55歳の時に、夫が亡くなり、更に、「悔しさ」が倍増したそうです。
子どもの頃から作家になる夢を持ち続け、夫を亡くした後、小説講座で学びます。
そして、63歳の時、「おらおらでひとりいぐも」で、第54回文藝賞を受賞、同作で第158回芥川賞を受賞します。
若竹さんの「悔しさ」を持ち続けながら、学び続けた生き様に感銘を受けました。
55歳から本格的に小説を学び、芥川賞を受賞された若竹さんに、55歳の私は、大いに励まされました。
そして、若竹さんの原作が、この程、映画化され、今上映中ということで、今日、下関市の映画館で沖田修一監督の映画「おらおらでひとりいぐも」を観ました。
今年、一番、よく笑い、よく泣いた映画でした。一人でも多くの皆さんにこの映画を観ていただきたいと思います。
よく笑った部分は、主人公の73歳の日高桃子さんの「寂しさ」を表す、3人の俳優さんの演技です。濱田岳さん、青木崇高さん、宮藤官九郎さんのコミカルさが、映画の幅を大きく広げています。
よく泣いた部分は、桃子さんを演じた、田中裕子さんと蒼井優さんの演技でした。
特に、桃子さんが、お婆さんとの思い出に浸るシーンは涙が止まりませんでした。
私は、祖母にとてもかわいがられたので、自分の祖母の事を思いだしました。
映画のパンフレットで、原作者の若竹さんが、「原作を通じて伝えたかったこと」を聞かれこう答えています。
「たくさんあるような気もしつつ・・・最終的には『自由に生きればいいじゃない?』というところに帰結するんですよね。人それぞれ自分を束縛することなく、最期まで自由に生きようよ、と。愛か自由かの二択だとしたら、愛なんて蹴飛ばしてでも自由を選ぶ人でいたいですね(笑)。そこに尽きるのかなぁ。」
小説も映画も、桃子さんの過去を反省し、未来に怯える、暗いテーマを描いているのだけれども、「未来は、決して悲観するだけのものではない。」とこの小説と映画から勇気を頂きました。
勇気の源は、「自由に生きる」ということでした。
映画の最後に、主題曲の「賑やかな日々」が心に染み入りました。
「おらは ひとり 今日も ひとり でも おら 寂しくないのよ だってこの家は 寂しさで 賑やかだ おおぜいのおらで 賑やかだ」
この言葉は、若竹さんの小説と沖田監督の映画を貫いているテーマのように感じました。
これからも若竹千佐子さんの小説から学んでいこうと思います。
そして、沖田修一監督の作品から学んでいこうと思います。
若竹ファン、沖田ファンの皆さん感想をお聞かせ下さい。
最近観られた映画の感想をお聞かせ下さい。
やっぱり、映画は人生を豊かにしてくれる最高のツールですね。
益々映画が好きになりった作品でした。ぜひ劇場でご覧ください。
日本共産党山口県委員会農漁民部で農業者の皆さんを対象にした、「持続化給付金のお知らせ」を農水省や農民連の資料を元に作成したチラシが以下のものです。
チラシをダブルクリックしていただくと、PDRのチラシを見ることができます。
農業者への持続化給付金について、農民連の長谷川副会長のメッセージを掲載しますので参照して下さい。
・・・
持続化給付金を全農家に知らせ、離農者を出さない
2020年9月17日
農民連副会長 長谷川 敏郎
コロナ禍の長期化で、農畜産物価格の低迷
新型コロナウイルスが全国に広がり、収束の目処が立たず長期化が予想されます。今後も外出自粛・営業自粛が需要を消滅させ、農畜産物の価格に影響が及ぶことが懸念されます。
2020年産米価格の概算金や買い取り価格が、昨年比1000円から1500円下落しています。原因は新型コロナの影響で22万㌧も需要が落ち込み、6月末民間在庫が昨年より12万㌧も増えたことにあります。農民連は稲作だけでなくすべての農家に、コロナ危機から営農と地域経済を守るために持続化給付金活用の取り組みを呼びかけています。
食と農の危機を打開し、新しい社会をめざす
コロナ禍は、世界同時多発で発生し、農業生産に重大な影響をもたらし、主要な米麦輸出国が輸出禁止や規制に乗り出しました(最高時19か国、現在は13か国)。今後、輸出制限や農業生産の混乱が拡大すれば、カロリー自給率37%、穀物自給率28%の日本への打撃は計り知れません。
コロナ危機の体験を通じ海外に依存する食料・農業政策の危険性、さらに、新自由主義政策の破たんが明らかになり、「こんな社会でいいのか」と消費者は前向きに変化しています。コロナ禍の終息後、破綻した新自由主義の暴走か、その道を大もとから転換し、家族農業を基本とした持続可能な農業で国民食料を守る道かが問われています。これまで通りの世界に後戻りさせないために、農民連を強く大きくすることが、いまほど強く求められているときはありません。
日本では一時的に玉ねぎなどの農産物の輸入が途絶え、米・パスタ・冷凍食品などの品目ではスーパーで欠品が出ましたが、食料パニックが至らなかったのは、まさに奇跡といえます。これは日本の農家がきびしい条件のもとで必死に頑張っているからです。単なる偶然ではありません。この10年で基幹的農業従事者は65万人減少し140.4万人へ、3人に1人は離農しました。現在頑張っている人の平均年齢は67.0歳(2019年)です。販売農家数も50万戸減少し113万戸だけになりました。
それだけに、コロナ禍で米価暴落をはじめ牛肉価格の低迷など農畜産物価格の低迷が長期化すれば、相当の離農者や経営破綻が出てくることが予想されます。大規模経営農家ほど打撃は深刻です。
経産省の「減収補填」から、農水省の「農業生産持続」への変化
農水省は、農業という産業の特別な性格からコロナ禍で日本の農業生産基盤が縮小しはじめると取り返しのつかないことになるとの危機感もあり、思い切った持続化給付金の活用を提起していると思われます。現に江藤拓農水大臣は、「農林水産業では極めて柔軟な対応が可能で、ほぼほぼすべての農業者が対象になると理解している」と農水委員会で答弁しています。(後述)
6月26日、首相官邸の「農林水産業・地域の活力創造本部」は、食料安全保障の強化と見直しを関係閣僚に一斉に指示を出し、「需要の急減を理由に今生産を止めてしまえば、将来的な食料供給に支障が出る可能性があることから,生産を止めない」ことが最重要としました。これまで「官邸農政」の司令塔といわれたところからの指示です。
これを受けて、農水省は農水産物・食品の在庫量や流通状況を毎日ホームページに掲載しています。
当初、「持続化給付金(仮称)」は、「コロナ対策緊急経済対策」(4月7日閣議決定)の一つとして、「事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者について、(略)前年度の事業収入からの減少額を給付する」減収補填の意味合いが強いものでしたが、農水省は食料の安定供給や農業生産の持続・維持を重点に、すべての農家を対象にすることに変化しました。
持続化給付金の取り組みを全ての農家を対象に
農水省の農家への周知の仕方も、経産省とは違うものになっています。しかし、この動きが読み取れず、米農家の持続化給付金の受給は不正申請の恐れがあるので農民連が組織として取り組むのはいかがなものかとか、米価下落を体験しないとコロナの影響が実感できないので、申請を控え、農家への呼びかけもしない(米の収穫前)などの意見がありました。
これは、6月18日、熊本県議会で自民党議員が県内のナシ農家を不正受給としてやり玉に挙げ攻撃したことを熊本日日新聞が報道して以来、7月28日の河北新報「コメ農家にも給付金 申請はモラル任せ 農閑期の収入ゼロ コロナの影響どこまで」、さらに、同新聞8月12日「給付金申請サポートにコメ農家殺到 大崎・古川会場 国の姿勢に疑問の声も」など、「コロナの影響を受けていない農家の申請は不正」という誤解に基づいた報道の影響です。
行政・農協も対象を限定する誤解が
秋田県農林水産部が5月に農家向け「持続化給付金」資料で、「収入減少の原因は、新型コロナウイルスの影響であると説明できることが必要」、さらに「計算上は50%以上の収入減少となりますが、新型コロナの影響とは言えず、(米農家は)対象外」の間違ったメッセージを発信しました。(秋田県農民連から抗議を受け、後で謝罪し、撤回しました)
JAしまねの持続化給付金チラシでも「取引先の休店、需要の減少による価格の低下など、2020年1月以降、新型コロナウィルス感染病拡大の影響によると認められるものに限ります」と対象が極めて限定されるように説明しています。
これらの誤った見解は広く農協関係者や行政にあり、持続化給付金制度が正しく農家に知らされないままになっています。
悪質な不正申請の報道に委縮しない
持続化給付金の不正受給が各地で摘発されマスコミ報道される中で、これらと同類ではないかと持続化給付金の申請に慎重になる農家もいます。
しかし、これらの不正受給は、給付対象のもう一つの大事な要件である、「2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者」ではないのに、架空の事業による確定申告書を作成し申請している点が共通しています。
コロナ禍に便乗した許されない犯罪行為です。
(7/22山梨県で大学生逮捕、8/12神戸市で3人逮捕・暴力団がらみ、8/26愛知県で3人逮捕、9/13沖縄タイムズ社員が不正受給)
農家の場合は、これまでも、これからも頑張っていくわけですから、十分に給付対象の要件を満たしています。申請を何ら遠慮することはありません。
資料1、そもそも、持続化給付金の不正受給とは、
政府答弁書 2020年6月26日閣議決定
個々の事案が不正受給にあたるか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難であるが、ご指摘の「事業収入の減少が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等によらない場合」や、「事業収入が生じた日を意図的に操作する目的で月間の事業収入を少なく」する場合については、不正受給にあたる可能性があるものと考えている。 (平山佐知子参議院議員提出の質問主意書に対して)
経産省の「前年同月比50%以下」では、農家は対象にならない
…経産省パンフレット ひと月の売上が、前年同月比50%以上減少している事業者は申請できます
青色申告の場合、確定申告書の添付資料である青色申告決算書(一般用)には、月別売上(収入)金額欄があり、農業以外の青色申告では「前年同月比50%以上減少」を事実上、証明しなければなりません。
…農水省パンフレット 今年のいずれかの月の事業収入が平均月収の50%以下であれば対象になります
経産省が当初示した「売り上げが前年同月比50%以上減少している事業者」が対象としたことから、農業も「売り上げが半分になった」ことを証明すべきではないかという誤解があります。
しかし、農家の青色申告決算書・白色申告の収支内訳書に月別売り上げの項目はなく、公的な税務資料から「前年同月比」を比較,証明することは不可能です。この基準を元にすれば申請できるのは農業法人のみです。農家が「前年同月比」を証明できないのは、税金申告の制度によるものであり、農家の責任ではありません。
経産省も個人事業者で白色申告の場合は「前年同月比」が証明できないために、「前年の年間事業収入の12分の1」を「売り上げ減少の対象月の前年売上額」として、その50%以下になった月を対象月とすることにしました。これにより、確定申告をしているすべての農業者も対象になりました。
さらに、農水省は農産物を販売しているが事業規模が小さく確定申告を要しない農家も、住民税の申告・納税証明があれば対象にしました。(資料2)
経済産業省は外食産業や宿泊業などコロナ禍であからさまに大ダメージを被った業界の支援・被害の補填、農水省は農業でコロナ禍の影響を受ける農家に対し、将来的な生産能力の低下を招かないように国が先手を打ったといえます。農業は一度生産能力を失うと取り戻すのに時間もお金もかかります。食料供給という国民の生命の根幹にかかわる部分を国が重く考えていることは健全な危機意識です。
資料2 多くの農家は住民税申告だけ⇒確定申告書(控)がない
小規模農家は農業所得を確定申告していない (赤字なので申告をする必要がない?)
給与収入2000万円以下の給与所得者は、給与以外の所得が20万円以下の場合は、原則として確定申告を要しない(所得税法121、122条)
但し、医療費控除などで還付申告をする場合は、20万円以下でも農業所得を申告する必要がある。
年金の場合も400万円以下の場合、または公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告を要しない
住民税については、上記の規定は適用されない。
農業所得があれば必ず住民税は申告する必要があり、無申告なら推計課税される。
住民税申告は所得税の「収支内訳書」を準用している。赤字の場合、所得ゼロになる場合や、雑所得にされて損益通算してもらえない場合がある。(自分で税務署へ確定申告すれば大丈夫)
資料3、国会議事録
2020年5月12日 農水委員会議事録 江藤拓農水大臣の答弁 (下線‥長谷川)
木村次郎(自民)議員に対して
「特にこの持続化給付金につきましては、ほぼほぼ全ての農業者の方々が、いわゆる農林水産業に係る所得を申告しておられる方々、全ての方々が対象になると理解しておりますけれども、現場では、自分は対象になるのかどうか自体にまず疑問を持っている方々もおられますから、それぞれの業態について、水産はこう、畜産はこう、漁業はこう、そういったことをしっかり細かく説明させていただくことが必要だと思っております」
近藤和也(国民)議員に対して
「例えば、農林水産の場合は、農繁期である時期と農繁期でない時期があって、一年をならして十二で割って、そして、これから来年の一月十五日が持続化給付金の締め切りですから、その中で、所得の、売上げの低かった月と比較すればいいという極めて柔軟な対応を農林水産分野ではできるということになっております」
大串博志(立民)議員に対して
「農業者の方々も、青申をやっておられる方もおられれば、それから白の方もおられれば、青も白もやっていない、だけれども農林水産業によって得られた収入自体はちゃんと報告している。税務報告をしているという方もおられます。こういう方はちゃんと救われるんですよという、持続化給付金の内容をしっかりと知っていただくことは、花の生産農家の方々にも大変必要だと思っています」
「多くの農業者の方々が、自分は規模も小さいし、小規模であるから対象にならないだろうというような判断をされていることも多い。そして、農林の場合は、過去一年間の収入を十二で割って、この一月十五日までの期間で所得の低いときと比較していただければ、ほぼほぼこれは対象になる可能性が極めて高いということでありますから、(略)、農業者のもとに、一日も早くこの制度が理解され、そして利用されるように努力していきたいと考えております」
「基本的に、私が声を大にして申し上げたいのは、確定申告も青とか白とかがありますが、これはもう当然、所得が確定しておりますから対象になりますし、住民税の申告、これについては、経産省とずっと実はちょっとやっておりまして、経産省のほうも住民税を申告してくれればいいということになりました。ということであれば、農林水産業からの収入を事業収入として報告している人はほぼほぼ全部ということになりますから、そうそう漏れる人はいないという仕組みになったと思います」
米単作地帯の農家も持続化給付金の対象に
6月9日 衆議院農水委員会議事録から
日本共産党の田村貴昭議員が、経営継続補助金について質問し、農家の声は直接支援をしてくれないか、収入減少に対する補填をしてくれないかという声だ。ヨーロッパやアメリカでは損失補償や買い上げを、すぐに行っている。すぐ踏み出すべきだと質問。
江藤拓農水大臣は、「給付金がまず先に出て、その後に今度は補助金という形で立てさせていただきました」(略)「いろいろな業態によって厳しい状況がたくさんあるのはわかりますけれども、例えば、給付金については、ほかの業界と違って、例えば米の単作地帯でも、昨年の十二か月を、一年の収入を十二で割って、収入のない月と、あまり大きな声でいうといろいろあるかもしれませんが、比較することによって、給付金については受けやすいスキームになっておりますし、これについても、私はたくさん手が挙がるんじゃないかと思っています」と答弁しています。
そもそも、コロナ禍の「影響等」とは
申請をためらう農家に共通するのは、「コロナで影響を受けたといえるか、証明しろ」と言われてもできないという心配や不安です。
6月25日、秋田県農林水産部のチラシについて、農民連が農水省に問い合わせた結果、農水省経営局経営政策課は、「確かにコロナの影響があることが求められているが、それを証明することまで求めているわけではなく、そもそも証明も難しいことであると考える。水稲単作農家の例を出して『対象とならない』とするのは国の方針より踏み込んでいる。申請者がコロナ影響対策の給付を受けたいという趣旨で申請してもらえばよい」と回答しました。
つまり、コロナ禍により自らの農業経営がどのように影響を受けたと考えているかであり、その受け止め様は、個々別々であり、申請理由に証明は要しないのです。
選択した月の売り上げが、前年同月より減少したことを証明しなければならないと指摘する人があります。しかし、求められているのはあくまで給付要件に該当する対象月を任意に選択することです。もともと、農産物の売り上げは、天候・作況・需給・品質など様々な条件で常に変動します。逆に、コロナの影響だけと断定することは相当難しいことになります。
(参考) 新型コロナウイルスによる日本農業への影響
6月19日、農林中金総合研究所は「コロナ禍における食品関連産業への影響と農政の動向」というレポートを発表し、コロナの農業への影響について、次のように整理しています。
そのものによるもの‥輸出不振・外食需要の減少・労働力不足・資金繰りの困難、
すでにある課題が増幅しているもの‥A 農業就業者数や農地面積の減少など生産基盤が一層脆弱化する懸念、B 中山間地を中心に農村人口の減少で地域コミュニティが困難になる懸念、C 国際化の進展により、関税削減などに対する懸念や不安、D 頻発する自然災害や家畜疾病の発生、地球温暖化による影響への懸念
直接的影響だけでなく、間接的に「懸念」が広がることもコロナ禍の影響と指摘しています。
結論 持続化給付金制度を正しく農家に知らせ、広く活用を
「自分は対象にならない」と思い込んでいる農家も多くいます。しかし、農業を持続化するための給付金であり、多くの農家が対象になることがわかると、農家の目が輝きます。
「コンバインが壊れたら農業をやめようと思っていた」などギリギリで頑張っている農家への大きな励ましです。「農機具修理のめどが立ち、気持ちが楽になりありがたかった」と感謝されています。世話をした農民連の仲間も元気になり、仲間を増やす活動に張り切っています。
申請には去年の確定申告書を見せてもらうことから、農民連に入ればもっと節税できると税金の取り組みにもつながり、さらに米価下落の中で農民連の米準産直にも参加したいなど、次々と要求が広がり、農民連の活動そのものを変える力になっています。
・・・
農民連の方から持続化給付金の必要書類を例示いただきましたので、参考にしてください。
持続化給付金必要書類
確定申告第一表控
一般的な申請方法を選択
収受印のあるもの 収受印のないもの
納税証明書その2(税務署)
売上台帳 売上台帳
運転免許証表写真 運転免許証表写真
運転免許証裏写真 運転免許証裏写真
預金通帳写真表写真 預金通帳写真表写真
預金通帳写真P1・2写真 預金通帳写真P1・2写真
税務署への確定申告をしていない人
市県民税申告控
A-1証拠書類等の特例を選択
収受印のあるもの 収受印のないもの
市県民税の課税証明書
売上台帳 売上台帳
運転免許証表写真 運転免許証表写真
運転免許証裏写真 運転免許証裏写真
預金通帳写真表写真 預金通帳写真表写真
預金通帳写真P1・2写真 預金通帳写真P1・2写真
・・・
持続化給付金の期限が来年1月と迫っています。
持続給付金を活用したいと思われる農家の方や、知人が困っているなど相談したい方は、本ブログのトップページの「問い合わせ」をクリックしていただいき、私にご連絡下さい。農民連の方と一緒に対応したいと思います。
引き続き、農林水産に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
24日には、農水省中国四国農政局に行ってまいります。
昨日の山口新聞は、県のトビイロウンカ被害の水稲農家支援策について次のように報じました。
「県は、県内で被害が拡大している水稲の害虫『トビイロウンカ』の影響で収入が落ち込んだ生産者の支援に乗り出す。農業団体の要請を踏まえ、県内で水稲を生産する全ての農家を対象に、来年度の種子購入費を助成する。県農業振興課によると、助成額は種子の原価の半額。25日開会予定の11月定例県議会に提出する本年度一般会計補正予算案に、助成費用約1億円を計上。県の同様の支援事業は、台風による水稲被害が大きかった2004年度以来。トビイロウンカは、イネの株に寄生し汁を吸って枯らす。例年より早く中国大陸から飛来し、局所的な『坪枯れ』に加えて『全面枯れ』の被害もあり、下関市をはじめ県内の被害が過去最悪ペースで推移している。中国四国農政局が公表した県内20年度産水稲の作況指数(10月15日現在)は全国で最も低い73の『不良』。県内のこの時期としては最低の数値となった。」
山口新聞は、美祢市がトビイロウンカ被害増で全水稲農家に給付金を支給することを決めたと次のように報じました。
「美祢市は、トビイロウンカで多くの被害が出たことを受け、市内全ての水稲作付け農家に給付金を支給する。26日開会の市議会定例会に提出する本年度一般会計補正予算案に、経費4021万円を盛り込んだ。市内で水稲を作付けしている全1319戸、計1598㌶が対象。被害の有無に関係なく、10㌃(0.1㌶)当たり2500円を支給する。市農林課によると、県農業共済組合に加盟する市内の水稲作付け農家で、トビイロウンカの被害面積は全体の39%、戸数は73%(いずれも10月30日時点)に上る。市は収量が大幅に減少しただけでなく、農薬散布を余計にせざるを得なかった農家の状況を鑑み、独自の支給金を決めた。市議会の議決を経て、12月中の支給を予定している。」
日本共産党山口県委員会をはじめとする中国5県の日本共産党県委員会は、24日、午前中に、中国四国農政局交渉を行います。テーマの一つは、トビイロウンカ被害に対する国の対応を求めることです。
山口県や美祢市の対応を評価しつつ、国に抜本的な対策の強化を求めていきたいと思います。
私は、この程、日本共産党山口県委員会農漁民部の担当となりました。
中国四国農政局交渉にも参加します。農林水産業に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
11月15日の中国新聞デジタルは、上関大橋に高低差約20センチの段差が生じている問題を次のように報じました。
「調査には、中国地方整備局職員や山口大学大学院の麻生稔彦教授(橋りょう工学)、橋の施工業者たちが同行。路面や桁の内部を目視点検したところ、本土の室津半島側の桁が約20センチせり上がり、逆に橋中央部がシーソーのように約1センチ沈んでいたという。構造上の異常は見当たらず、原因は特定できなかった。」
この新聞報道を読んだという県民の方から次のようなメールをいただきました。
「原因として重量車両が夕方暗くなってから通過したためではないか?住民で重量車両の通過を目撃した人はいないか?行政に重量車両の通行許可申請等は出ていなかったのか?」
特殊車両等は、県土木建築事務所に通行許可申請を行う制度があります。上関大橋に段差が出来る前に、通行許可申請等が行われていなかったのかについて、土木建築部に調査を依頼しました。
18日の朝日新聞は、「橋桁が浮き上がった原因は調査中だが、15日に現地調査した山口大大学院の麻生稔彦教授(構造工学)から、橋桁を本土側で支える橋台の鋼材が破断した可能性を指摘されているという。」と報じました。
この報道に対し、先述した県民の方から「橋中央部に重量物が載ると、中央部で二つの橋台を固定している鋼材に破断が起き、中央部から真っ二つに折れる危険はないのか」との指摘を受けました。この点について、県土木建築部に問いただしていきたいと思います。
いずれにしても、上関大橋周辺の住民の方の生活に甚大な影響が及んでいます。橋の復旧は急がれますが、十分に原因調査を行った上で、十分に復旧対策を行う必要があります。
上関大橋の段差が生じた問題に対する皆さんのご意見を引き続きお聞かせ下さい。