月別アーカイブ:2020年9月

海堂尊著「コロナ黙示録」

 20日付のしんぶん赤旗日曜版に作家で医師の海堂尊さんが登場しました。
 海堂さんは、「チーム・バチスタ」シリーズなどのヒットで、日本を代表する売れっ子作家の一人です。私も、海堂さんの作品はいくつか読んでいます。また、映画やドラマになった海堂さんの作品はほぼ観ています。科学ジャーナリスト賞を受賞した新書版の「死因不明社会」を読み、一般質問を行ったことも思い出しました。
 海堂さんの最新の長編は「コロナ黙示録」です。NHKラジオで自らがこの本の事を話しておられたのをお聞きし、宇部市内の書店に行きましたが、在庫がなく、広島市へ出張した折に、購入して読んでいます。
 この本は、安倍政権の7年半の問題点を深く抉った作品です。海堂さんは、赤旗を読んでおられるのではないかと感じるほど、情勢認識が私と一致していました。そして、医師であり売れっ子作家である海堂さんであるのに、政治の様々な問題に精通しておられることに感心しました。
 どの部分を引用しても我が意を得たりなのですが、例えば、この部分を紹介しましょう。
 「2019年11月、宰三はまたひとつ名誉な称号を加えた。歴代宰相の在任期間最長になり、名目上は大宰相になったのだ。だが宰三の表情は浮かなかった。『満開の桜を愛でる会』の前夜祭で、支援者に利益供与したのではないかという疑惑が生じ、来年の会が中止に追い詰められた。その会は明菜の超お気に入り行事だったから、宰三は、すっかりつむじを曲げた明菜に平身低頭して謝った。だが二年前に念入りに封印した有朋学園国有地払い下げ問題に伴う、公文書捏造事件まで再燃しかねなかったのでやむを得なかった。宰三は名目だけではなく実質的に大宰相になりたかった。それにはレジェンドとなる業績が要る。だからこそ、改憲にこだわった。だが実は改憲なんてどうでもよかった。なにしろ宰三はとっくの昔に『立法府である国会を司る』総理大臣という、超法規的な特別の存在になっていたのだから。すると手続きが面倒な改憲よりオリンピックの方が手っ取り早い。おまけに自分が総裁四選を否定したため後継レースが始まったのも不快だった。自分は出たくないが、周りが推すからしぶしぶ出馬する、というポーズを取りたかったのに、みんな本気で後釜を狙い、活動を開始した。特に改元元号を発表した酸ヶ湯が『令和おじさん』とちやほやされるのが羨ましかった。地味な酸ヶ湯を自分の後釜に据えるなんて、考えただけで腸が煮えくりかえった。」
 それぞれの人物のモデルは誰かは、読者の皆さんお分かりだと思います。
 この本は、7月末に出版されているのに、今の政治状況を言い当てているようです。
 赤旗のインタビューは、安倍氏の辞任発表から1週間後でした。
 海堂さんは、次のように述べています。
 「テレビをはじめとするメディアは、辞任発表直後から『安倍さん素晴らしい』とか菅(義偉)官房長官がどうこうという話になりました。これまでの安倍政権についてはまったく検証しないので、こういう本がないと忘れられていくことがいっぱいあると思います。安倍政権がしてきたことを忘れちゃダメです。リメンバー安倍政権(笑い)。公文書ねつ造は、安倍さんと菅さん、麻生(太郎)副総裁が三位一体となってやったことです。菅さんは安倍一派なので安倍さんの疑惑を『終わったこと』にしたいのだろうけれど、そうさせてはいけません。菅さんが首相になっても、国民の意思を題字にする気があるのだったら森友問題の再調査をすべきです。政府は解決済みにしたくても、国民は納得していませんから」
 海堂さんの「リメンバー安倍政権」に大賛成です。そのためにも「コロナ黙示録」は一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。
 海堂ファンの皆さん、この本を読まれた皆さん、感想をお聞かせ下さい。

県職員の残業時間全国最長で月266時間

 13日、NHKは、新型コロナ対応で、1都13県の職員が過労死ライン超の長時間労働を行っているとして次のように報じました。
 「新型コロナウイルス感染が最初のピークを迎えたことし4月前後に、少なくとも1都13県で自治体の職員がいわゆる『過労死ライン』を超える長時間労働を余儀なくされていたことが分かりました。新型コロナウイルスの感染者数はことし4月上旬、1日に700人を超えて最初のピークを迎え、自治体は対応に追われました。NHKが情報公開請求などでこれまで明らかになっている自治体職員の残業時間をまとめたところ、少なくとも1都13県で月100時間を超える残業を余儀なくされていたことが分かりました。このうち岡山県ではことしに入って6月までに県と岡山市、それに倉敷市に、新型コロナウイルスに対応するための業務を担当していた保健所などの職員、延べ80人に上りました。また残業時間が月200時間を超えたケースが相次ぎ、山口県では最も長い職員で266時間、福井県では232時間、千葉県では217時間に達していたということです。月に100時間を超えるか平均で80時間を超える残業は、労働基準監督署が過労死や過労自殺を認定する基準の一つで、『過労死ライン』とも呼ばれています。国や自治体は、保健所などの負担軽減に向けた検討を進めていますが、冬にインフルエンザの流行と新型コロナウイルスの感染拡大が重なれば、さらなる業務のひっ迫が懸念されることから、迅速な対応が求められています。保健医療に詳しい一般社団法人『医療介護福祉政策研究フォーラム』の中村秀一理事長は、『地方自治体は行財政改革で効率化が求められ、保健所などの人員が削減されてきた。ふだんから膨大な業務を抱えているところに新型コロナウイルスの問題が入ってきて、非常に困難な状況になっている』と話しています。そのうえで『今回の教訓を生かして、次の流行に備える態勢を整備しなくてはいけない。自治体間で人を派遣しあったり、今は働いていない潜在的な保健師をリストアップしたりする仕組みに加え、人員を強化する財政的な措置を国も地方も考えていかなければならない』と指摘しています。
 私は、6月県議会で、「コロナ感染が拡大した今年3月から5月までの間に月80時間以上及び100時間以上の時間外勤務があった部署と人数を伺う。併せて、これら部署への増員計画を伺う。」との質問を行いました。
 内海総務部長は「本年3月から5月までの間に、月80時間以上の時間外勤務があったのは、健康増進課、厚生課、保健所など計42所属、延べ214人。月100時間以上の時間外勤務があったのは、健康増進課、厚政課、保健所など計20所属、延べ97人となっています。また、職員の増員等につきましては、感染症対策にあたる現場の状況等を踏まえ、健康増進課及び保健所等において、業務継続に必要となる人員配置や応援派遣を行っており、引き続き、適切に対応していく」と答えました。
 平岡和久立命館大学教授は、「人口減少と危機のなかの地方行財政」の中で、「20年にわたる公共部門の基盤の棄損と空洞化が進む状況のもとで、」新型コロナウイルス感染症の「危機への対応において困難な状況が起こっています。」と指摘しました。地方自治体の困難な状況の背景に「2011年度以降とられてきた地方一般財源総額を前年度と実質同水準におさめるというルール」などの緊縮政策がある。その背景の一つは様々な政策において市場原理を優先し、政府による介入を縮減する「新自由主義」があると指摘しました。
 コロナ危機の元、今年4月全国最高の月266時間の残業をしていたのは山口県職員だったことは、今後の教訓にしなければなりません。
 国は、地方への緊縮政策の転換を図るべきです。また、山口県は、「過労死ライン」で働く職員をなくす努力を徹底すべきです。
 県職員が「過労死ライン」を越えて働いている実態を皆さんはどうお考えですか、ご意見をお聞かせ下さい。

下小鯖太陽光発電所開発事業に伴う防災工事の拡充求め知事に要請

 昨日、小鯖の自然環境を守る会は、村岡知事に対し「下小鯖太陽光発電所開発事業に伴う防災工事の拡充について」とする要請書を5団体と250人の署名を添えて提出しました。署名提出は、代表の原田正暁さんが行い、河合前県議と私が同席しました。

 「小鯖の自然環境を守る会」が県知事へ要請行う

 山口市小鯖に建設中の「下小鯖太陽光発電所開発事業」の経緯は、9月10日付の私のブログで詳しく述べた通りです。
 要請書は、「当地区は開発に係る30㌶という膨大な面積の森林を伐採し、保水力もなくなり九州と同様の豪雨となれば、土砂崩れで千坊川が氾濫することは十分考えられ、下流の共同墓地、住宅、禅昌寺、農業用水、井戸の飲料水等に想定外の被害が予想され、下流住民の不安は増すばかりである。」と指摘し、次の5点を要請しています。
①許可条件にある調整池、沈砂池等の防災工事の遅れを先行し進めること
②安全対策をさらに備えるため沈砂池の増設と砂防堰堤の建設に着手すること
③大雨注意報発令中は、7区自治会との緊急連絡体制を図るため、管理事務所に24時間常駐する監視員を配置すること
④監視カメラを整備し下流住民にも監視できる装置と緊急通報装置を設置すること
⑤防災工事が停滞する等許可条件を怠り下流住民の命と生業を脅かす状況に至れば、直ちに開発事業を中止、見直しすること
 小鯖の自然環境を守る会は、以上の要請に加え、次の付帯事項を要請しました。
①パネル設置場所の傾斜地(D工区)では大雨で表土が流れ、傾斜の急な(C-1工区)は爪を剥いだような状態で、仮に工事が完成してもパネルが流されるのではないか、危惧される。
②住民説明会で工事業者はパネル下に土砂の流出を止める資材を使用すると説明するが、現地視察の説明では更地の考えを示し、当初の計画から大幅に後退している。傾斜地の工法は吸収力のあるウッドチップフィルター等が使用されており、土砂流失対策として計画変更するよう善処されたい。
③完成したと思われる調整池はD工区(9カ所のうち)の一カ所と見られ、残り8カ所は仮設か未完成のままで台風襲来のこの時期に防災工事は大幅に遅れ危険な状態である。また、地質調査関係者から水害を防ぐには地形と地質の特徴から砂防堰堤を築くことが合理的で調整池は水漏れがないようコンクリート張りが望ましいと提案されている。
④先行すべき調整池の工事は大幅に遅れており、今はわずかな雨でも汚濁水と淡い濁り水が常に流れ、農業用水路や井出、河川等水が滞留する場所は砂が堆積しつつある。このため井出等が決壊すると危険なため住民の要請で工事事業者は土嚢で対応している。
 対応した県森林整備課の田中班長は「調整池等の早期完成を事業者に指導したい。要請のあった全ての項目を事業者に伝えたい。」などと答えました。
 参加者からは、「調整池を計画より増やし、砂防堰堤の建設が必要だ」「表土が更土のまま、太陽光パネルを設置すれば、豪雨時に更土とパネルが一緒に流れる事態となる」などの意見が重ねて出され、県に業者を適切に指導するよう要望が出されました。
 私は、現地視察と昨日の要請書提出に同席したことを受けて、要請内容を県議会に届けたいと思っています。
 2009年に豪雨災害で甚大な被害が出た地域で森林を30㌶以上伐採し太陽光発電所を建設することに対する住民の不満は大きく高まっています。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

県が第五次男女共同参画計画を作成中

 4日、しんぶん赤旗日刊紙の「主張」は、「第5次共同参画案 ジェンダー格差埋める計画に」と題して次のように書きました。
・・・
 政府は男女共同参画基本法に基づき、第5次の男女共同参画基本計画を年内に策定する作業を進めています。基本計画は5年ごとに見直しが行われています。日本のジェンダー格差を着実に克服していくため、実効性あるものにすることが求められます。
 コロナ危機は、日本の深刻なジェンダー格差を改めて浮き彫りにしています。女性労働者が多くを占めるパート・派遣で雇い止めが広がりました。一律休校による子どもたちのケア負担も女性に集中しました。10万円給付金の受取人を世帯主にしたことも問題になりました。第5次計画で、日本社会のあらゆる面でジェンダー平等を推進する方針を打ち出すことは、極めて切実な課題です。
 今年は女性差別撤廃条約の批准から35年、戦後75年の節目にあたります。日本がジェンダーギャップ(男女格差)指数121位と世界から大きく立ち遅れている原因を深く分析し、女性差別撤廃条約などの国際基準と、両性の平等を定めた日本国憲法を土台に据え、女性たちの切実な願いに正面からこたえた内容にする必要があります。多様な性のあり方を認め、LGBTs(性的少数者)に関する差別の撤廃と権利擁護を含むものにすることも望まれます。
 しかし、政府が示した第5次計画案は、国民の期待にこたえる中身になっていません。
 「2020年までに指導的地位に女性が占める割合」を30%にする従来の目標達成を断念し、「20年代の可能な限り早期」に先送りしました。「(目標が)社会全体で十分共有されなかった」などと国民に責任をおしつけ、政府の反省はありません。国連をはじめ世界では、30年までに男女の完全な平等(50%・50%)を掲げ、努力を始めています。日本も「男女半々」の目標を掲げ、本気の取り組みを進めるべきです。
 安倍晋三政権下の15年策定の第4次計画以降、男女共同参画推進は後景に追いやられ、「女性活躍」の名で「女性活用」推進路線が前面に出されました。第5次計画案ではそれが一層露骨です。非正規雇用は「多様な就業ニーズに応える」ものだとし、フリーランスなど「雇用によらない働き方」拡大は「多様な働き方の選択への環境整備」などと描きます。女性を安上がりの労働力とみなす財界の意向をそのまま持ち込んでいます。
 雇用におけるジェンダー平等の遅れの実態をみない姿勢は大問題です。「男性は仕事、女性は家族のケア」という根深い性別役割分業を背景に、男性の長時間労働と、賃金や昇進をめぐる女性に対する間接差別は温存され続けています。男女ともに仕事と家庭生活を両立できる働き方の実現へ、労働時間短縮を進める法整備に踏み込むことが急がれます。
 女性の貧困対策、女性に対する暴力の根絶、選択的夫婦別姓制度の実現など課題は山積みです。あらゆる施策にジェンダーの視点を貫く第5次計画にすることが不可欠です。7日締め切りで行われている計画案への意見募集(パブリックコメント)に、多くの声を届けましょう。日本共産党は幅広い人たちと共同し、コロナ危機の先にジェンダー平等社会を築いていくために、力を尽くします。
・・・
 山口県は、国が7月に示した「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的考え方(素案)」を参考に、今年度で計画期間を迎える山口県男女共同参画基本計画の改訂作業を現在行っています。
 現行計画である第四次山口県男女共同参画基本計画は、「県職員の課長級以上の女性職員の割合」を14%にする目標を設定しています。基準年である2017年3月の県の管理職に占める女性の割合は、5.9%、現状値である2019年3月は、10.2%と目標に達していません。
 山口県は、第5次男女共同参画基本計画策定に当たって、目標が達成できなかった理由を明確にして県の管理職に占める女性の割合を、目標期間の2026年までにせめて30%に引き上げるようにすべきだと考えます。

 県が第五次男女共同参画基本計画を策定中です。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

県が「『コロナ時代』に対応するための施策推進方針(案)」策定

 平岡和久立命館大学教授の「人口減少と危機のなかの地方行財政」を読んでいます。
 平岡教授は、「21世紀の日本の地方自治と地域社会は、小泉政権の構造改革の登場から安倍政権にかけて20年に及ぶ緊縮政策の影響とともに地方自治の基盤を破壊する政策の影響を受けてきた」としています。
 平岡教授は、2019年10月の消費税増税と2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的大流行において「公共部門の脆弱化により、危機への対応によって困難な状況が起こっています。特に住民生活と地域の維持の最前線である自治体の空洞化の問題は深刻です。感染症対策の最前線である保健所は保健所再編により数が減少したうえ職員削減が行われてきました。」と述べています。
 平岡教授は、公共部門、特に自治体行財政体制が脆弱になった原因について新自由主義、財政再建至上主義、人口減少社会危機論という3つの議論があるとしています。
 平岡教授は、2011年度以降「地方一般財源総額を前年度と同質同水準におさめるというルール」が地方財政の充実を阻んでいると指摘します。
 このような地方財政の緊縮政策が肯定される背景に、先述した新自由主義、財政再建至上主義、人口減少社会危機論があると平岡教授は指摘します。
 平岡教授は新自由主義について「新自由主義は市場の自己調整に信頼を置くのにとどまらず、様々な政策において市場原理を優先し、政府による介入を縮減しようとします」と述べています。
 平岡教授は、財政再建至上主義について「プライマリーバランスの黒字化を絶対視すれば、必然的に増税か歳出縮減を行わなければなりません。国民生活よりも財政再建を優先する議論は財政再建至上主義と言ってもよいでしょう。」と述べています。
 平岡教授は人口減少社会危機論について「人口減少下での東京一極集中が地方の衰退と東京圏をはじめ大都市圏の少子・高齢化による社会保障の危機をもたらすことから、人口対策を行うとともに、人口減少に今から対応して地方の行財政の合理化や地域の再編を進める必要があるというものです。人口減少社会危機論も結局は財政再建至上主義と並んで緊縮政策を肯定する主張につながります。」と述べています。
 平岡教授は、緊縮政策について「社会的弱者への新型コロナの影響をさらに深刻なものにする点で新型コロナウイルス感染症対策としては逆方向の政策です。」と指摘しています。
 9月10日、今年度の第一回山口県活力創出本部会議が開かれ、「『コロナ時代』に対応するための施策推進方針(案)」(以下、施策推進方針(案))が示されました。
 施策推進方針(案)では、感染拡大防止と経済活性化のための施策重点化として、①感染防止対策の強化と感染拡大に備えた体制・環境整備②県民生活の安定確保③雇用の維持・確保と事業継続のための県内経済の下支え④消費需要の喚起等による県内経済の押し上げが示されました。
 私は、感染拡大防止と経済活性化のために施策を重点化する必要性は理解した上で、だからこそ、平岡教授が指摘するように、県は、国へ緊縮政策の転換を求める時だと思います。
 同時に、県独自に政策転換を行い、重点化のための財源を確保していくことが求められると思います。
 維新プランの第一は「産業維新」、第二は「大交流維新」です。これら政策の中での巨大プロジェクトを抜本的に見直し、感染拡大と経済活性化のための施策の重点化の財源にあてていく検証が必要ではないでしょうか。
 「コロナ時代」に対応するための山口県の施策をどう転換していくのか、県民の英知を集めて方針を決めていく必要性を、平岡教授の本を読みながら感じています。
 「コロナ時代」に対応するためのあるべき施策に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

県は、コロナ拡大を受け「地域防災計画」の修正すべき

 11日付、毎日新聞は地域防災計画の感染症対策の見直しについて次のように報じました。
 「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、毎日新聞が47都道府県・20政令市・23特別区の計90自治体に地域防災計画の感染症対策の見直しについて尋ねたところ、9割超の83自治体が『修正した』『修正を予定(または検討)している』とした。11日に発生から9年半となる東日本大震災では、避難所でインフルエンザなどの集団感染が発生したが、自治体の対策は十分進んでこなかった。専門家はコロナ拡大を機に、避難生活のあり方を抜本的に改善すべきだと指摘している。」「毎日新聞は8月に90自治体にアンケートを配布し、全自治体から回答を得た。その結果、86自治体が地域防災計画に感染症対策が『盛り込まれている』と回答した。だが、そのうちインフルエンザや食中毒の予防といった『一般的な対策』と、避難所の過密抑制などの『感染症流行・拡大時を想定した対策』の両方を盛り込んでいるとしたのは11自治体にとどまった。67自治体は『一般的な対策』のみで、『流行・拡大時の対策』のみは5自治体。自治体の対策が進んでいない状況が明らかになった。一方、コロナ拡大を受けた地域防災計画の見直しについて『修正した』は9自治体▽『修正を予定』は40自治体▽『修正を検討』34自治体。『修正する予定はない』『わからない』は7自治体にとどまった。政府は5月、防災基本計画に避難所の過密抑制など感染症対策の観点を踏まえた防災の推進が必要と定めた。各自治体は地域防災計画に『避難所としての旅館やホテルの活用』『マスクや消毒液などの備品の拡充』などを盛り込みつつある。」

 毎日新聞は、同記事で、新型コロナの感染拡大を受け、地域防災計画を既に「修正した」と答えた9自治体は、栃木県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県だと報じました。
 今年度の山口県防災会議が6月に開催されました。議題は、山口県地域防災計画の修正でしたが、内容は、南海トラフ地震防災対策推進計画の変更に伴うものでした。
 8月13日に、県防災危機管理課は、今年度の山口県地域防災計画を県ホームページに公表しましたが、修正の内容は、南海トラフ地震防災対策推進計画の変更に伴うものであり、新型コロナウイルス感染症に関する修正は行われていないようです。
 9月9日、9月補正予算概要を説明する知事記者会見で、「台風の関係で、各地域の自治体が設置した避難所で、コロナの関係もあって人数を減らし、いくつか定員に達したという自治体があった。避難所運営の在り方について、知事としては、今回の市町の対応をどう考えるか。」との質問に、村岡知事は「災害時における対応というのは、コロナを前提にして、しっかりしたものを組んでいかなかければならない。引き続き市町と連携し、コロナ対策が組み込まれた避難体制の拡充に向けて、取り組みをしたい。」と答えました。
 山口県は、知事の言葉通り、今年度第二回の山口県防災会議を開催し、コロナ拡大を受けた地域防災計画の修正を行う時です。
 私は、6月県議会で、コロナ拡大を受けて県の「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」を改定すべきと質しました。これに内海部長は「国から示された留意事項等を踏まえながら、避難所のレイアウトの見直しや避難所に受け入れる際の対応など、各市町の対策例を、今後、県の基本方針に反映する」と答え、基本指針を改定する方針を示しました。
 県は、コロナ拡大を受けて、「地域防災計画」「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」を早急に修正・改定すべきです。
 昨日から県内で局地的な豪雨が続いています。コロナ拡大を受けた防災計画と避難所の在り方について皆さんのご意見をお聞かせ下さい。ko