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県が「『コロナ時代』に対応するための施策推進方針(案)」策定

 平岡和久立命館大学教授の「人口減少と危機のなかの地方行財政」を読んでいます。
 平岡教授は、「21世紀の日本の地方自治と地域社会は、小泉政権の構造改革の登場から安倍政権にかけて20年に及ぶ緊縮政策の影響とともに地方自治の基盤を破壊する政策の影響を受けてきた」としています。
 平岡教授は、2019年10月の消費税増税と2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的大流行において「公共部門の脆弱化により、危機への対応によって困難な状況が起こっています。特に住民生活と地域の維持の最前線である自治体の空洞化の問題は深刻です。感染症対策の最前線である保健所は保健所再編により数が減少したうえ職員削減が行われてきました。」と述べています。
 平岡教授は、公共部門、特に自治体行財政体制が脆弱になった原因について新自由主義、財政再建至上主義、人口減少社会危機論という3つの議論があるとしています。
 平岡教授は、2011年度以降「地方一般財源総額を前年度と同質同水準におさめるというルール」が地方財政の充実を阻んでいると指摘します。
 このような地方財政の緊縮政策が肯定される背景に、先述した新自由主義、財政再建至上主義、人口減少社会危機論があると平岡教授は指摘します。
 平岡教授は新自由主義について「新自由主義は市場の自己調整に信頼を置くのにとどまらず、様々な政策において市場原理を優先し、政府による介入を縮減しようとします」と述べています。
 平岡教授は、財政再建至上主義について「プライマリーバランスの黒字化を絶対視すれば、必然的に増税か歳出縮減を行わなければなりません。国民生活よりも財政再建を優先する議論は財政再建至上主義と言ってもよいでしょう。」と述べています。
 平岡教授は人口減少社会危機論について「人口減少下での東京一極集中が地方の衰退と東京圏をはじめ大都市圏の少子・高齢化による社会保障の危機をもたらすことから、人口対策を行うとともに、人口減少に今から対応して地方の行財政の合理化や地域の再編を進める必要があるというものです。人口減少社会危機論も結局は財政再建至上主義と並んで緊縮政策を肯定する主張につながります。」と述べています。
 平岡教授は、緊縮政策について「社会的弱者への新型コロナの影響をさらに深刻なものにする点で新型コロナウイルス感染症対策としては逆方向の政策です。」と指摘しています。
 9月10日、今年度の第一回山口県活力創出本部会議が開かれ、「『コロナ時代』に対応するための施策推進方針(案)」(以下、施策推進方針(案))が示されました。
 施策推進方針(案)では、感染拡大防止と経済活性化のための施策重点化として、①感染防止対策の強化と感染拡大に備えた体制・環境整備②県民生活の安定確保③雇用の維持・確保と事業継続のための県内経済の下支え④消費需要の喚起等による県内経済の押し上げが示されました。
 私は、感染拡大防止と経済活性化のために施策を重点化する必要性は理解した上で、だからこそ、平岡教授が指摘するように、県は、国へ緊縮政策の転換を求める時だと思います。
 同時に、県独自に政策転換を行い、重点化のための財源を確保していくことが求められると思います。
 維新プランの第一は「産業維新」、第二は「大交流維新」です。これら政策の中での巨大プロジェクトを抜本的に見直し、感染拡大と経済活性化のための施策の重点化の財源にあてていく検証が必要ではないでしょうか。
 「コロナ時代」に対応するための山口県の施策をどう転換していくのか、県民の英知を集めて方針を決めていく必要性を、平岡教授の本を読みながら感じています。
 「コロナ時代」に対応するためのあるべき施策に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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