ブログ

海堂尊著「コロナ黙示録」

 20日付のしんぶん赤旗日曜版に作家で医師の海堂尊さんが登場しました。
 海堂さんは、「チーム・バチスタ」シリーズなどのヒットで、日本を代表する売れっ子作家の一人です。私も、海堂さんの作品はいくつか読んでいます。また、映画やドラマになった海堂さんの作品はほぼ観ています。科学ジャーナリスト賞を受賞した新書版の「死因不明社会」を読み、一般質問を行ったことも思い出しました。
 海堂さんの最新の長編は「コロナ黙示録」です。NHKラジオで自らがこの本の事を話しておられたのをお聞きし、宇部市内の書店に行きましたが、在庫がなく、広島市へ出張した折に、購入して読んでいます。
 この本は、安倍政権の7年半の問題点を深く抉った作品です。海堂さんは、赤旗を読んでおられるのではないかと感じるほど、情勢認識が私と一致していました。そして、医師であり売れっ子作家である海堂さんであるのに、政治の様々な問題に精通しておられることに感心しました。
 どの部分を引用しても我が意を得たりなのですが、例えば、この部分を紹介しましょう。
 「2019年11月、宰三はまたひとつ名誉な称号を加えた。歴代宰相の在任期間最長になり、名目上は大宰相になったのだ。だが宰三の表情は浮かなかった。『満開の桜を愛でる会』の前夜祭で、支援者に利益供与したのではないかという疑惑が生じ、来年の会が中止に追い詰められた。その会は明菜の超お気に入り行事だったから、宰三は、すっかりつむじを曲げた明菜に平身低頭して謝った。だが二年前に念入りに封印した有朋学園国有地払い下げ問題に伴う、公文書捏造事件まで再燃しかねなかったのでやむを得なかった。宰三は名目だけではなく実質的に大宰相になりたかった。それにはレジェンドとなる業績が要る。だからこそ、改憲にこだわった。だが実は改憲なんてどうでもよかった。なにしろ宰三はとっくの昔に『立法府である国会を司る』総理大臣という、超法規的な特別の存在になっていたのだから。すると手続きが面倒な改憲よりオリンピックの方が手っ取り早い。おまけに自分が総裁四選を否定したため後継レースが始まったのも不快だった。自分は出たくないが、周りが推すからしぶしぶ出馬する、というポーズを取りたかったのに、みんな本気で後釜を狙い、活動を開始した。特に改元元号を発表した酸ヶ湯が『令和おじさん』とちやほやされるのが羨ましかった。地味な酸ヶ湯を自分の後釜に据えるなんて、考えただけで腸が煮えくりかえった。」
 それぞれの人物のモデルは誰かは、読者の皆さんお分かりだと思います。
 この本は、7月末に出版されているのに、今の政治状況を言い当てているようです。
 赤旗のインタビューは、安倍氏の辞任発表から1週間後でした。
 海堂さんは、次のように述べています。
 「テレビをはじめとするメディアは、辞任発表直後から『安倍さん素晴らしい』とか菅(義偉)官房長官がどうこうという話になりました。これまでの安倍政権についてはまったく検証しないので、こういう本がないと忘れられていくことがいっぱいあると思います。安倍政権がしてきたことを忘れちゃダメです。リメンバー安倍政権(笑い)。公文書ねつ造は、安倍さんと菅さん、麻生(太郎)副総裁が三位一体となってやったことです。菅さんは安倍一派なので安倍さんの疑惑を『終わったこと』にしたいのだろうけれど、そうさせてはいけません。菅さんが首相になっても、国民の意思を題字にする気があるのだったら森友問題の再調査をすべきです。政府は解決済みにしたくても、国民は納得していませんから」
 海堂さんの「リメンバー安倍政権」に大賛成です。そのためにも「コロナ黙示録」は一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。
 海堂ファンの皆さん、この本を読まれた皆さん、感想をお聞かせ下さい。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。