県議会厚生委員会の県外視察で山梨県を訪れました。山梨県は「環境首都」を目指して様々な取組みが行われていました。その中心の施設が「山梨県環境科学研究所」でした。この研究所には研究部門と教育部門があります。
研究部門では、基礎研究、特定研究、委託研究などが行われていました。研究分野では、自然環境、環境健康、地域環境政策などの研究が行われていました。何と言っても富士山麓という圧倒的な自然の中で、旺盛な研究が県行政のもとで行われていました。私は、独立行政法人化などの組織改変の動きがあるのか質問しました。県の担当者は、一時期そのような検討も行なわれたが、今はなく、当面は、県立施設のままで事業を継続していくと答えました。
教育部門でも旺盛な活動が展開されていました。専門の教育部門のスタッフが6人も配置されており、開設時の平成9年の年間来館者数は34992人だったものを平成19年に46142人へと、10年間で、1万人以上伸ばしていました。そして、驚いたのは、施設の利用料は全て無料だということです。私は、有料化への動きはあるのかと質問しました。答えは、これからも無料を継続するという答えでした。
環境研究所を県が設置し、独立行政法人化にもせず、利用料無料を貫いている。その姿勢に感服しました。私は、秋吉台地下水系がラムサール条約の登録湿地になった時、老朽化した当時秋芳町が保有していた秋吉台科学博物館を県立施設として新築するよう質問しました。しかし、県は、その事を検討しませんでした。また、私は、6月県議会の厚生委員会で、地球温暖化対策として排出量の多い県内事業所に対し県独自の抑制策を求めるべきと指摘しました。しかし、県は、この点でも十分な検討を行っていないことが明らかになりました。このような事では、環境分野で「住みよさ日本一の山口県」とは言いがたい状況です。山口県はこの分野でも腰を入れた対策を行うべきであることを山梨県の視察で痛感しました。
本日、県議会厚生委員会の視察から帰ってきました。老人医療費の低さ日本一の長野県。環境首都を掲げる山梨県。それぞれ充実した視察となりました。
今日は、一人当たりの老人医療費全国最低という長野県の秘密を解明したいと思います。長野県は、一人当たりの老人医療費が全国最低です。また、男性の平均寿命の全国1位が長野県です。更に、平均在院日数の最低が長野県です。長野県は、長寿でピンピンコロリの県といえます。
長野県の視察は、佐久総合病院と長野県庁と、松本市で行いました。視察を通じて、なるほどと思う点がいくつかみつかりました。
長野県でなぜ、老人医療費が全国一番低いのか。その一つの要因は、佐久総合病院の若月俊一先生を代表とする地域医療の実践が戦後すぐから行われたことにあることを実感しました。佐久総合病院の理念は、「農民のために」から「農民とともに」に変更され、60年近く取り組まれてきました。昭和20年代から、病院に劇団部が結成されたり、病院祭が行なわれるなど、地域医療が大きく進められてきました。
その実践が、長野県全体に波及し、健康スクリーニング事業へと発展していきました。
今の地域医療の到達を松本市で体感しました。それは、健康づくり推進員の取組みです。長野県では、ほとんどの市町村に、保健補導員が配置されています。松本市では、補導員を推進員とし、887名を配置していました。実に、100世帯に一人の配置です。この健康づくり推進員は、市民に検診を奨励していくことが目的であると同時に、まず、自らの健康のためにすすんで学習し実践するために配置されています。2年が任期ですが、30年近い取組みの中で、OBの推進員を含めると1万人を超える市民が、推進員を経験したことになるそうです。この広がりが、確実に、県民の健康を増進していることを実感しました。
決して医療を遠ざけるのではなく、医療を県民に近づけることによって県民の健康が高められ、医療費が削減されていることを学びました。
山口県は、住みよさ日本一を標榜していますが、それが空虚に思えました。やはり、標榜するからには、そのために何をしているのか、全国に誇れる地に足のついた実践を今からでも展開していくことが大切だと感じました。
明日は、環境日本一に取り組む山梨県での視察を報告します。
今日から木曜日まで、厚生委員会の県外視察です。行き先は長野県と山梨県。今日は、地域医療で有名な「佐久総合病院」に行きます。明日8日は、①志賀高原自然保護センター②長野広域連合・特別養護老人ホーム小布施荘③長野県庁で老人一人当たりの医療費が全国一低い理由をお尋ねします。9日は、①松本市議会で地域医療の取組みをお尋ねします。②サントリー白州蒸留所・天然水工場で、企業による環境保全の取組みをお聞きします。③環境省自然環境局生物多様性センター。最終日は、山梨県環境科学研究所を訪ねます。一日平均、2箇所視察の強行軍ですが、山口県で生かせる取組みをしっかり聞いてこようと思います。
ベットを無くしたり、医療費を高くしたり、高齢者を病院に行けなくすることで医療費を削減するのではなく、地域医療を充実して、高齢者が気軽に医療を受ける体制を構築して医療費を削減した取組みが、佐久総合病院や長野県や松本市などで聞けることが今回の視察で一番の楽しみです。
本ブログは、明日、明後日は更新できません。10日には、視察の報告などしっかりと更新したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
この間にも、皆さんの身近で起きた様々な出来事などお気軽にメールでお知らせください。
それでは、長野県・山梨県の視察に行ってまいります。
議会が終わって、少し時間が出来たので、映画「クライマーズハイ」を観に行ってきました。この映画は、1985年8月12日に発生した日航機墜落事故を扱ったものです。
事故というと、私自身が大学時代に遭遇した犀川バス転落事故を想起します。犀川バス転落事故が発生したのが、1985年の1月。日航機墜落事故が8月。改めて、二つの事故は、同じ年に起きたのだということを思い出しました。
二つ目に再認識したのは、主演した堤真一と私が同じ年だということです。彼は、「ALWAYS三丁目の夕日」で鈴木オートの社長を好演しています。同世代で、同時代を生きる俳優として彼から目を離せません。
物語は、日航機墜落事故が起きた地元新聞社で繰り広げられます。事故当日から数日間の新聞社内の動きを克明に追っています。同時に、現代を生きる主人公の葛藤を織り交ぜて描き出しています。
この映画で二度、涙しました。一度は、現地に足を運んだ堺雅人演じる佐山記者の現場雑感の記事です。この堺雅人もいい俳優ですね。私は、「新撰組」の山南敬助役で彼を知りましたが、穏やかな中に芯のある演技をする俳優さんだと思います。彼からも目が離せません。
この部分を横山秀夫の原作から引用します。
「若い自衛官は仁王立ちしていた。両手でしっかりと、小さな女の子を抱えていた。赤い、トンボの髪飾り。青い、水色のワンピース。小麦色の、細い右手が、だらりと垂れ下がっていた。自衛官は天を仰いだ。空はあんなに青いというのに。雲はぽっかり浮かんでいるというのに。鳥は囀り、風は悠々と尾根を渡っていくというのに。自衛官は地獄に目を落とした。そのどこかにあるはずの、女の子の左手を捜してあげねばならなかった―。」
原作者の横山秀夫は事故当時、実際に群馬県の地元紙の記者でした。この文章は、実際に現場に足を運んだ作家だから書けた文章ではないかと思います。それ程、迫力のある生きた文章です。
私は、いっぺんに23年前の1月に起きた犀川バス転落事故の当日の様子を思い出しました。大きな事故を経験したものとしての直感なのか、この文章は胸を打ちます。
私が泣いた二つ目は、主人公が息子に会いに行くシーンです。主人公と息子は確執があり、それを埋めようと、会いに行くシーンです。私は亡くなった父とのことを思い出しました。私も父とはぎこちなさがあり、そのまま、別れた想いがぬぐえないので、この場面に涙しました。そして、私自身が将来、息子たちといい関係が作れるだろうかという不安も脳裏をよぎりました。
映画は、自らの人生を重ねて観るから、人は映画に涙するのでしょうか。その意味で、我が人生を重ねるには絶好の映画でした。
やはり、原作がいいのでしょう。横山秀夫は、私が愛する作家の一人です。映像化作品は、「半落ち」「出口のない海」そして、「クライマーズハイ」と三作品目となりました。寡作の作家ですが、秀作揃いです。彼の作品はどれをとっても、理不尽な事に直面した人間の生きた声を丁寧に描き出されています。それは、作家自身の経験にも裏づけられたものなのでしょう。
明日から、県議会厚生委員会の県外視察に出発します。彼の最新刊「震度ゼロ」をカバンに詰めて行くことにします。
本日、山口自治労連と地方自治研究所の合同学習会が防府市で行われ参加しました。講師は、兵庫自治労連書記次長の今西清さん。テーマは、「学校給食は、地域の宝、偽装請負なんてとんでもない『調理だけの委託だから安心』論を考える10の視点でした。
今、全国で、給食の業務委託が進んでいます。山口県でも防府市や山口市で新たな学校給食の委託が大きな問題になっています。そして、その委託が偽装請負の疑いが濃厚なのです。
私も、昨年の9月県議会で、県立学校の給食の委託と、県立福祉施設の給食の委託問題を取り上げました。県の学校給食の委託契約書には、12条で、「業者が委託業務に使用する給食用食材については、学校から供与を受けた食材以外のものを使用してはならない。」とあります。また、22条で、「県は、委託業者に対し、施設・設備並びに什器備品等を当該契約期間中無償で貸与するとあります。これは、厚生労働省が、「自ら提供する機械、設備、器材もしくはその作業に必要な材料、資材を使用し」なければ請負と言えないとした職業安全法施行規則第4条に違反しているではないかと質問しました。
県の答弁は、「調理施設等は、無償で提供しているものの、受託業者が専門的な技術や経験に基づいて業務を行っている」ので、請負に関する基準に合致していると回答しました。
県は、職業安全法施行規則第4条の請負を規定する4要件の4点目の後段「もしくは専門的な経験を必要とする作業を行うもの」との規定を錦の御旗として違法性はないと強弁したのです。
今日、防府市の学校給食の委託問題でも市の担当者が違法性がないと依拠する部分も県の見解と同一であることが判明しました。
先生は、厚生労働省の請負4基準の解説を紐解き説明されました。厚生労働省の指導文書には、次の(1)から(3)までのいずれにも該当することにより請負契約により請け負った業務を自己の業務として当該契約の相手方から独立して処理するものであること。という項目があり、その(1)として、業務の処理に要する資金につき、すべて自らの責任の下に調達し、かつ、支弁すること。(2)後有無の処理について、民法、商法その他の法律に規定された事業主としてすべての責任を負うこと。(3)次のイ又ロのいずれかに該当するものであって、単に肉体的な労働力を提供するものではないこと。イ自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材又は材料若しくは資材により、業務を処理すること。ロ自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること。と厚生労働省の指導文書は続いています。つまり、県は、(3)のロの規定により請負しているから違法性はないと強弁しているのです。先生は、この指導文書が前提としている「相手方から独立して業務を処理しているかどうか」の視点が一番大切だと話されました。そもそも県の栄養士などから指導を受けて委託業者は業務を行っているし、指示文書を毎日受けながら業務を行っている実態があるのなら、はやり、この請負は偽装を疑うべきだと思います。
そして、先生は、給食の偽装請負に対する是正指導が、各県の労働局から出されている事実も明らかにされました。兵庫県につづいて、滋賀、神奈川、埼玉でも、学校給食などの委託契約は偽装請負にあたるので改善するよう当該自治体を指導していると言うのです。
この事実を見ると、同質の問題を抱える県の給食の委託契約も偽装を疑うべきです。
先生は、これらの問題は、黒か白かと言われればグレーであることに間違いない。グレーだから黒でないと地方自治体は胸を張っていていいのかと問題提起されました。「そもそも地方自治体が、脱法行為をしてまで、委託契約をしてもいいのかということが問われている。」とのまとめに納得しました。
私は、県の給食の委託が偽装請負の疑いがある問題について引き続き調査と発言を続けたいと思います。皆さんのこの問題でのご意見をお聞かせ下さい。
給食の偽装請請負問題で講演をする今西さん
本日は、議会閉会日です。私は、反対討論で登壇する予定です。反対する議案に、維新百年記念公園陸上競技場電気設備工事の請負契約を締結の件があります。
この問題のそもそもは、6月12日の県議会議会運営委員会に遡ります。「維新百年記念公園陸上競技場」に整備するスタンドの工事請負契約締結議案について、契約先JVを構成する西松建設が外為法違反容疑で東京地検特捜部から捜索を受けたため、岡田総合政策部長は、「社会的影響が大きい。県としては、今後の捜査の推移を見守りたいので、6月議会への提案を見送ることにした」と表明しました。その結果、本議会には、電気設備工事の請負契約を締結する議案だけが提案されたのです。
さて、この陸上競技場の電気設備工事の議案になぜ反対するのかは、この維新公園陸上競技場の改修の規模そのものが過大だからです。これは、簡素な国体という観点にも反します。私は、維新公園陸上競技場は過大だと言う理由の第一は、観客席です。国体の大会施設基準では、式典は、観覧席が、仮設スタンドを含み約3万人となっています。しかし、2007年度、新設第1種公認陸上競技場の基本仕様では、観客の収容数は、15000人以上となっているので、県陸上競技場も、常設の観客席は、15000席程度とし、国体の式典は、残りを仮設にすることも可能でした。次に、電光掲示板の設置です。電光掲示板については、国体施設基準には定めはありません。新設第1種後任陸上競技場の基本仕様には、電光掲示板は仮設でもよいとなっています。実際に、H19年度に開催された秋田県とH22年度開催予定の千葉県の陸上競技場の電光掲示板は仮設です。
県民は、石油高騰の不況に苦しんでいます。これからでも維新記念陸上競技場は規模を縮小すべきです。
昨日の朝日新聞に二井知事はイベント知事だという記事が掲載され、私の「地に足をつけて暮らしをよくしていく手法ではない」というコメントが掲載されました。
国体の施設整備は、陸上競技場だけではありません。県立施設として、きらら浜にプール。下関に武道館が建設されようとしています。これら建設費だけでも約225億円です。簡素な国体はどこへやら。国体は開催日が近づくほど、益々肥大化しようとしています。国民の体育力向上という国体本来の目的から逸脱して、イベントとして肥大化しているのが今日の国体です。財政難の中で、「簡素」が標榜されてきましたが、その裏、イベントの肥大化は止まらないようです。国体の姿は、このままでいいのでしょうか。皆さんのご意見をお聞かせください。
中山間地域は、人が住めなような地域になろうとしています。人口減少に歯止めがかかりません。などなど、「地に足をつけるべき」課題は山積しています。イベントから暮らしを支える施策に、県政の転換が求められます。