山口県弁護士会が5月31日付で、「地域経済を活性化させるために、最低賃金額の引き上げ等を求める会長声明」を発表しました。
会長声明は以下の通りです。
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地域経済を活性化させるために,最低賃金額の引上げ等を求める会長声明
2022年(令和4年)5月31日
山口県弁護士会
会長 田 中 礼 司
1 最低賃金の引き上げが必要であること
厚生労働大臣は,本年6月頃,中央最低賃金審議会に対し,令和4年度地域別最低賃金額の目安について諮問を行い,本年7月頃,同審議会から,答申を受ける見込みである。
昨年,同審議会は,都道府県の時給を一律28円引き上げるように答申を行い,各地の地域別最低賃金審議会は,これに基づき,答申を行った。その結果,令和3年度の地域別最低賃金は,全国加重平均額で930円(前年度より28円引き上げ)となった。山口県の地域別最低賃金は,857円とされた。
時給857円では,1日8時間,週40時間働いても,年収178万2560円(857円×40時間×52週),月収14万8547円(178万2560円÷12ヶ月・小数点以下切り上げ)にしかならない。日本の最低賃金は,世界的に見ても極めて低い水準にあり,労働者の生活を守るためには,最低賃金を引き上げて公正な賃金を支払う必要がある。
なお,最低賃金の引き上げにより雇用が減少するとの意見があるが,米カリフォルニア大バークリー校のデービッド・カード教授(2021年のノーベル経済学賞受賞者)は,最低賃金の上昇が必ずしも雇用の減少につながらないことを実証している。
2 地域間格差の是正
最低賃金の地域間格差が依然として大きく,格差が是正していないことは重大な問題である。2021年の最低賃金は,最も高い東京都で時給1041円であるのに対し,山口県は時給857円であり,184円の開きがある。
総務省統計局が令和4年4月15日に公表した令和3年10月1日現在の人口推計によれば,生産年齢(15歳~64歳)の人口数(男女計)は,東京都が925万5000人,山口県が71万2000人とされ,山口県は東京都の約13分の1しかない。
山口県は若年層の県外への流出が多く,人口減少が続いている。最低賃金の低い地方の経済が停滞し,地域間の格差が縮まるどころか,むしろ拡大している。地域の労働力を確保することは,地域経済の活性化にとって極めて有効である。
3 中小企業・小規模事業者の支援
国は,中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し,事業場内最低賃金の引き上げを図るため,「業務改善助成金」制度を実施しているが,必ずしも使い勝手のよい制度ではないため,令和2年度の支給決定件数は626件しかなかった。
日本商工会議所及び東京商工会議所が令和3年4月5日に公表した「最低賃金引上げの影響に関する調査」によれば,中小企業・小規模事業者の多くは,最低賃金引上げに対応するために必要と考える支援策として,「税負担等の軽減」を挙げている。
したがって,国は,最低賃金の引き上げにともない,中小企業・小規模事業者の経営が圧迫されないよう,助成金制度や補助金制度を使い勝手のよいものに変え,さらには税金や社会保険料の大胆な減免措置を講じるなど,税負担等の軽減を図る措置を講じるべきである。
具体的には,地域別最低賃金が1000円未満の道府県において直ちに最低賃金を1000円以上に引き上げるため,中小企業・小規模事業者に対し,最低賃金と現に労働者に払っている賃金との差額を助成金として支給すべきである。また,賃金の引き上げに伴い社会保険料の負担も増額することから,中小企業・小規模事業者に対し,少なくとも年金保険料及び健康保険料の事業主負担額の3割を国が負担する措置を講じるべきである。
4 審議会の議事録等の公開について
当会は,これまで山口地方最低賃金審議会の議事録等をホームページで公開するよう求めてきたが,山口労働局は,厚生労働省からの指示に基づき,令和2年度から同審議会の議事録等をホームページに掲載するようになった。
情報公開の流れの中,議事録等がホームページで公開されたことは,最低賃金に関する県民の理解と関心を促進し,審議会等のさらなる透明化を図るものであり,当会としても歓迎したい。引き続き,議事録等をホームページで公開するよう求める。
5 委員の任命
最低賃金審議会の委員は,労働者を代表する委員,使用者を代表する委員及び公益を代表する委員各同数をもって組織されるところ(最低賃金法第22条),前二者は関係労働組合又は関係使用者団体からの推薦に基づき任命されている(最低賃金審議会令第3条)。
このうち,労働者を代表する委員は,非正規労働者を数多く組織する関係労働組合からも任命されることが望ましい。なぜならば,非正規労働者は就業関係が不安定で最低賃金の影響を受けやすく,全労働者の3分の1以上を占めているからである。
また,公益を代表する委員は,最低賃金の額が貧困問題の解決と密接に関係することから,生活困窮者の就労支援等を行っている団体の出身者及び社会保障法を専門とする学者からも任命することが望ましい。
6 まとめ
よって,当会は,次のことを求める。
① 中央最低賃金審議会及び山口地方最低賃金審議会は,労働者の健康で文化的な生活を確保し,地域経済の健全な発展を促し,政府目標に少しでも近づけるため,最低賃金の引き上げに向けた答申をすること。
② 国会及び厚生労働大臣は,最低賃金の大幅な引き上げに当たり,助成金制度や補助金制度を使い勝手のよいものに変え,さらには税金や社会保険料の大胆な減免措置を講じるなど,中小企業・小規模事業者の経営に十分配慮した施策を行うこと。
③ 山口地方最低賃金審議会は,引き続き審議会の議事録等をホームページで公開する措置を講じること。
④ 厚生労働大臣及び山口労働局長は,非正規労働者を数多く組織する関係労働組合からも労働者代表委員を任命し,また,生活困窮者の就労支援等を行っている団体の出身者及び社会保障法を専門とする学者からも公益代表委員を任命すること。
・・・
県弁護士会が、「日本の最低賃金は、世界的に見ても極めて低い水準にあり、労働者の生活を守るためには、最低賃金を引き上げて公正な賃金を支払う必要がある。」と指摘していることは重大です。
また、県弁護士会が「山口県は若年層の県外への流出が多く、人口減少が続いている。最低賃金の低い地方の経済が停滞し、地域間の格差が縮まるどころか、むしろ拡大している。地域の労働力を確保するこおは、地域経済の活性化にとって極めて有効である」として最低賃金の地域格差の是正を求めている点も重要です。
更に、県弁護士会は、「地域別最低賃金1000円未満の都道府県において直ちに最低賃金を1000円以上に引き上げるため、中小企業・小規模事業者に対し、最低賃金と現に労働者に支払っている賃金との格差を助成金として支給すべきである。」などの提案がされていることも重要です。
日本共産党は、2月24日、「アベノミクスで増えた内部留保に適正な課税を -大企業優遇の減税をただし、内部留保を賃上げと『グリーン投資』など国内投資に」という政策を明らかにしています。
この中で、「資本金10億円以上の大企業に、2012年以降に増えた内部留保に毎年2%、5年間で10%の時限的課税を行います、これにより毎年2兆円規模、総額で10兆円程度の新たな財源が生まれます。」とし、「新たな税収で、最低賃金を時給1500円に引き上げるため、中小企業・中堅企業に必要な賃上げ支援を10兆円規模で実施できるようにし、大企業でも中小企業でも賃上げがすすむようにします」としています。
アベノミクス(2012年から2020年)に、資本金10億円以上の大企業の内部留保は130兆円ふえましたが、働く人の実質賃金は22万円(年収)も減りました。
この不公平を正し、賃金が上がる国にしていくことが、今度の参議院選挙の一大争点です。
大企業優遇の減税をただし、内部留保を賃上げにあてる政治を実現しましょう。
私は、山口県弁護士会の会長声明を全面的に支持し、賃上げができる国にしていくことことを共に訴えたいたいと思います。
賃上げできる国に、参議院選挙では、日本共産党に対するご支援をお願いいたします。
6月3日付、しんぶん赤旗日刊紙は、米海軍強襲揚陸艦「トリポリ」について、次のように報じました。
「岩国(山口県)、横須賀(神奈川県)両基地に寄港した米海軍強襲揚陸艦『トリポリ』が、米海兵隊F35BライトニングⅡ戦闘機の運用に特化した空母として展開していたことが、2日までに各地の平和委員会の調査・監視活動などでわかりました。米軍は、現在作戦行動している原子力空母2隻と合わせ、インド太平洋地域に空母2隻を配置し、中国を威嚇する形になりました。トリポリは、5月2日に米サンディエゴを出港する前の3月30日~4月8日、F35B(短距離離陸垂直着陸型)20機を搭載し、『ライトニング機の運用空母』としての実証試験を実施。米海兵隊は4月6日公表した『2022年航空計画』にも掲載しました。トリポリは5月20日~22日岩国基地に寄港。第121海兵戦闘攻撃飛行隊(F35B16機)全体を搭載する準備をするためで、23~24日に垂直着艦させ搭載しました(米国防省映像情報配信サービスDVIDS)。29日に横須賀基地に入港した際も、甲板に14機を整列させていました。米軍は、トリポリと同型で2019年12月に佐世保基地(長崎県)に配備した強襲揚陸艦『アメリカ』に同年9月、同様の空母化訓練を実施していすが、海外への作戦展開はトリポリが初めて。横須賀基地では原子力空母ロナルド・レーガンが5月20日に出港、代わって21日入港した同型エイブラハム・リンカーンも26日に出港しています。」
この記事をまとめると、まず、原子力空母が2隻体制になっていることが分かります。
その上、揚陸艦「トリポリ」が空母化し、揚陸艦「アメリカ」も空母化訓練をしているとのことです。
そうなると、在日米軍基地に関わり、原子力空母2隻、空母化した揚陸艦2隻の体制となりつつあることが分かります。
空母4隻体制になりつつあることが、米軍岩国基地にも重大な影響を与えています。
このような状況を5月20日の中国新聞はこう報じています。
「在日海兵隊第一海兵航空団(沖縄県)は20日、岩国基地にステルス戦闘機F35Bを16機追加配備する計画が完了したと発表した。当初の16機から32機に倍増した。一方で米海軍の強襲揚陸艦トリポリが同日、岩国基地に初寄港した。戦闘機を運用できる飛行甲板を備え、同基地に入港した船舶では最大規模。F35Bを搭載でき、展開拠点になる可能性がある。」
「台湾有事」に備えるとされる中、「2隻の原子力空母の艦載機が岩国基地で訓練を行う、また、2隻の空母化した強襲揚陸艦が岩国基地に寄港し、岩国基地に配備されたF35Bと訓練を行う」ことが常態化すれば、岩国基地の機能強化は明確ではないかと思います。
山口県や岩国市は、2隻の原子力空母の横須賀の母港化に伴う、艦載機部隊が訓練を行う岩国基地への負担増の実態、2隻の強襲揚陸艦の相次ぐ岩国基地への寄港とF35Bとの訓練の実態を明らかにし、それは、「機能強化」と言えないか分析し、国や米軍に、はっきりものを言うときではないかと思います。
皆さん、原子力空母2隻、空母化した揚陸艦2隻体制についてどうお考えですか。
皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
6月4日付、中国新聞は、岩国市の学童保育の実態について次のように報じました。
「共働きやひとり親家庭の小学生を預かる岩国市の放課後児童教室で、待機児童が解消されていない。4月1日現在、10教室で計52人が待機している。2015年度から4年生以上も対象になり、施設や支援員がより不足するようになった。市は低学年を優先して受け入れており、保護者からは改善を求める声が上がっている。『子ども一人で留守番させるのは心配』。岩国市の40代女性は共働きで小学生2人を育てる。2年の長女は預けられたが、6年の長男は定員から漏れた。女性は『6年生も対象なのに・・・。授業がなくなる夏休みまでには通わせたい』と願う。市は校内の専用施設空き教室を使い、小学校単位で32教室を運営する。22年度は1421人の児童を預かったが、希望する4年生以上の132人は定員を超えたため受け入れられなかった。うち52人は空きを待っている。市こども支援課は『保育の必要度を考えると、どうしても低学年が優先される』と説明する。児童福祉法の改正で、1~3年生だった対象が全学年に広がった15年度から登録者が急増し、市は定員を増やしてきた。だが、18年度は登録者が約1700人となり、82人の待機児童が初めて出た。19年度には最多の198人に上り、市は専用施設を新設するなど受け入れ枠を広げてきた。市内の東小は20年度に完成した新校舎に専用施設を設け、定員を80人から100人に増やした。土曜には同じ中学校区の装港小の児童も受け入れる。一方で、待機児童を引き受ける施設を確保できない学校もある。岩国小では専用施設と空き教室で194人を預かるが、待機する19人を迎えるスペースは校内にないという。麻里布小は専用施設を新設し18年度から使い、空き教室でも受け入れているが、11人が空きを待つ。見守る支援員も慢性的に不足している。市は19年度から待機児童が目立つ麻里布小などで運営の一部を社会福祉法人や学校法人に委託している。山間部の3教室では場所を用意できても支援員を確保できず、求人を出している。市子ども支援課は『少子化が進んでいるため、これ以上新たな施設を建設するのは難しい。学校近く空き店舗の活用を検討し、支援員も積極的に募っていきたい』としている。厚生労働省によると、全国で就学前の子どもを預かる認可保育所などの待機児童は減っていいうる。少子化や新型コロナウイルスの影響とみられるが、岩国市では保育所も定員に達するケースが少なくなく、希望の施設に入るため自主的に待機している保護者がいるという。」
全国学童保育連絡協議会が2021年に調査した結果によると、山口県の待機児童数は、375人で、入所児童に占める待機児の割合は、2.4%です。この割合が、高い順から、沖縄県の3.8%、東京都3.1%、宮崎県2.4%です。山口県は、宮崎県と並んで、全国で、学童保育の待機児童の割合が3番目に多い県となっています。
私が、健康福祉部に問い合わせたところ、昨年5月1日の県内の学童保育の待機児童数は、378人でした。
市町ごとの待機児童数は、国が50人以上のみを公開しているということで次の通りでした。山口市は141人、防府市は76人、岩国市は60人。
新年度、山口県は、学童保育の運営費を補助する「地域子ども・子育て支援事業」に約18億2千万円の予算を計上するなどしています。
私は、先日、宇部市内の4つの学童保育を視察しました。学童保育事業へのハード・ソフトの体制の拡充の必要を痛感しました。
県内の学童保育の待機児童を無くし、保護者と子どもたちが安心して利用できる学童保育にしていくために、更なる体制を拡充していくことの必要性を痛感しました。
県内の学童保育の拡充について、来たる6月県議会で取り上げる予定です。学童保育に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
4月29日付、朝日新聞は、生活保護の扶養照会について次のように報じました。
「生活保護の申請を阻む最大の壁とされるのが、家族に援助が可能かを問い合わせる『扶養照会』だ。厚生労働省は昨年、本人が扶養照会を拒んでいるときは、家族が高齢であるなどの照会不要なケースにあたらないか、丁寧な検討を求める通知を出した。自治体窓口は変わったのか。法律上、扶養は生活保護に『優先』するが、扶養を受けられるかどうか保護の要否には影響しないものとされている。厚労省の調査では、扶養照会をしたうち家族からの金銭的援助につながった割合は約1・4%にとどまる(2016年7月の保護開始世帯)。扶養照会の見直しは国会でも議論となった。厚労省は昨年2月、援助が期待できない=扶養照会は不要、と判断する際の具体例を改めて整理し、通知で示した。DV(家庭内暴力)や児童虐待が背景にある場合、家族がおおむね70歳以上の高齢者や専業主婦(主夫)である場合、10年程度音信不通など著しく関係が悪い場合、などだ。同年3月の通知では、本人が『扶養照会を拒んでいる場合』の対応について、丁寧な聞き取りをして扶養照会が不要なケースにあたるかどうかを検討するよう求めた。これらの趣旨が、申請の相談時に自治体の福祉事務所が渡す資料『生活保護のしおり』に明記されているのか。地方議員や困窮者支援団体、大学生らでつくる『生活保護のしおり書きっぷり調査プロジェクト』は、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県にある157福祉事務所の『しおり』の扶養照会に関する記述を調べ、今年1月に公表した。調査は昨年9月から12月に実施した。その結果、扶養照会は援助が期待できる家族に対して行う(紹介しない場合もある)という趣旨を明記した福祉事務所は、約4%。DVや虐待経験がある場合は照会しない、という重要な点を説明しているのも約29%にすぎなかった。しおりを改訂して照会不要の具体例を明記した福祉事務所もあったものの、例外的だった。調査メンバーで東京都足立区議の小椋修平さんは『ほとんどの福祉事務所では国の通知後も改善されていない。扶養照会について窓口できちんと説明されているのかも疑問だ』と話す。ただ、調査公表後、修正の動きもある。例えば東京都は今春、生活保護制度について説明するウェブサイトの項目に、『扶養照会について』の注記を追加。扶養が期待できないと判断される場合には基本的には家族への直接照会はしないと明記し、福祉事務所への相談を促している。」
日本共産党のとや都議が生活保護は権利であることを都のホームページに明記してあったが、各福祉事務所のホームページに明記せよと求め、東京都所管福祉事務所のホームページに、「生活保護の申請は国民の権利」が明記されました。
山口県のホームページに、生活保護制度の紹介はありますが、「生活保護の申請は国民の権利」であることの明記や、記事にある東京都のような「扶養照会」に関する記述はありません。
私は、県のホームページの生活保護制度の紹介の中で、「生活保護は権利である」ことの明記と、「扶養照会」についての明記を今後、県に求めていきたいと思います。
また、県内の各福祉事務所のしおりに、「扶養照会」の内容が明記されているのか調査していきたいと思います。
生活保護制度に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
4月7日、中国新聞は、広島県が造成した産業団地について次のように報じました。
「産業団地を造って売る広島県の土地造成事業が資金不足に陥っている。バブル崩壊で地価が下がった影響で累積赤字が膨張。県は2022年度、借金にあたる企業債を返済するため、積み立ててきた基金から初めて22億7700万円を取り崩す。31年度までの10年間で最大179億7900万円を公金で穴埋めする見通しで、甘い計画のツケが県民に回ることになる。県の土地造成事業の累積赤字は20年度決算で456億円。事業の全資産を処分しても返せない債務超過額は107億8600万円に上る。バブル期を中心に積極的に造成した用地が売れ残り、投じた費用よりも分譲価格を値引きして販売してきたためだ。22年度は企業債の返済などで38億5千万円の支出を見込むが、土地の賃貸料や手持ち資金を充てても22億7700万円足らない。県は税金を原資に返済用の基金に19年から毎年30億円を積み立て、21年度末時点で90億円を蓄えていた。31年度まで毎年度56億2100万~6600万円が不足する可能性があり、基金を蓄えたり、取り崩したりして運用し、返済する。県は1958年度に産業団地の造成を始め、43団地計2029・5㌶が売れ残っている。19年度の販売実績は3団地計5・3㌶だったが、20年度は1団地0・5㌶、21年度は2団地1・3㌶と減った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業の投資も冷え込んでいる。特に21年12月に完成した三原市の本郷産業団地は前27・5㌶が売れ残っている。自動車用ゴムシール部品製造の西川ゴム工業(広島市西区)は20年11月に進出を撤回。住宅向けシーリング材など製造のオート化学工業(東京)も取得時期を23年6月に延期した。県産業用地課は『資金不足が生じ申し訳ない。県民負担を最小限にするため、未分譲地の早期完売に向け取り組む』としている。一方、県が臨海部で産業用地を作って売る港湾特別会計の事業でも同様に資金不足となる見通し。20年度決算の債務超過は170億1500万円だった。31から34年度で計166億200万円を一般会計の基金から繰り入れる可能性がある。」
山口県も同様の状況があったことを私の2011年2月11日のブログの引用から示したいと思います。
「現在、3公社の負債は、土地開発公社が231億円、道路公社で48億円、住宅供給公社で311億円、合計590億円です。」「土地開発公社の231億円の負債の内、きらら浜が170億円です。きらら浜の面積は、286㌶で、平成21年度末の処分面積は145㌶で141㌶が売れ残っています。処分が決まった所もほとんどが県有施設という状況で、やはり見通しのない用地取得であったことは明白です。土地開発公社の負債の残りの82億円は、産業団地です。平成21年度末で、県関与団地97・2㌶の内、処分が出来たのは24・8㌶。未処分が72・4㌶あります。未処分の内、宇部市に関わる宇部テクノパーク・宇部新都市・小野田楠企業団地で61.6㌶。未処分の85%が宇部市関係です。作りすぎた産業団地のツケを県民の暮らし切り捨てに転化してはなりません。」「産業団地への県の支援は際限がありません。まず、土地価格が上がらないように利子補給をしています。その額は平成21年度末累計で約15億円です。次の、企業立地促進補助金です。県関与団地には、限度額30億円出ます。平成20年度末で25億円支出されています。更に、県関与団地には、産業団地取得補助金が出ます。補助率は80%です。平成22年度末までに約2億5千万円支出されています。この補助金は、補助率が80%ですが、限度額に上限はありません。赤旗の1面にも掲載されていましたが、限度額がないのは、岩手・兵庫・山口だけです。」
2011年2月県議会で土地開発公社などは廃止されました。土地開発公社の負債は、231億円にのぼり、公社の負債を穴埋めするために、新たな県債200億円が当初予算に計上されました。公社廃止の影響額は334億円にのぼりました。
2011年2月県議会で私は次のように指摘しました。
「県が造成に関与した97・2ヘクターのうち、分譲は24・8㌶にすぎない。しかも、つくりすぎた産業団地に県は、累計15億円の利子補給をし、もし企業が進出すれば、最高30億円も補助するだけでなく、土地取得の企業に80%も補助。『企業呼び込み競争』を県民の血税で続けるのはやめるべきだ」
当時、二井知事は、県関与団地の大半が未売却となっているのは「長期経済変動を読み切れなかった私の不徳の致すところ。今後、新たな団地造成はできない。」と答え、初めて自らの責任を認めました。
作りすぎた産業団地などの負債を大規模な県債発行などで穴埋めし、土地開発公社は廃止されました。作りすぎた産業団地の土地が値上がりしないように、利子補給をし、土地代の8割を上限なく補助してきたのが山口県です。
2011年2月県議会での私の質問に、二井知事は「今後、新たな団地造成はできない」と答えたにも関わらず、わずか11年後の6月県議会に、16億円の総事業費をかけ光市に県関与の産業団地を造成するための経費と特別会計の創設が提案されているのです。
私は、これまでに産業団地の負債に対し県財政で何億円の穴埋めをしたのか、土地の値上がりを防ぐため利子補給と80%の補助金を県財政から何億円支出したのか、担当部局に調査を依頼しているところです。
更に、新たな産業団地を整備する経緯と、特別会計創設の経緯についても、今後、担当部局から説明を受けたいと思います。
今回、県が創設しようとする産業団地整備事業特別会計が、広島県のように、債務超過とならないような見通しについて山口県は、県民にしっかり説明すべきだと思います。
昨日、阿武風力発電所建設を考える会など4団体が、村岡知事に、「山口県阿武町に生息する『アブサンショウウオ』の保護・保全に関する要望書」を提出しました。
懇談の中で、阿武風力発電所計画地内で、今年1月にアブサンショウウオの生息が確認されたことが報告されました。
県職員に、アブサンショウウオの保護を訴える浅野容子阿武風力発電所建設を考える会会長(左手前)
対応した、県自然保護課は、「要望書には、今月中に文書で回答する」と答えました。
要請書は以下の通りです。
・・・
山口県知事 村岡 嗣政様
2022 年 6月2 日
阿武風力発電所建設を考える会代表 浅野容子
阿武・萩の未来を良くする会代表 中村光則
阿武風力発電所ちゃあなんか考える会代表 宮内欣二
山里フォーラム のんたの会(あったか村) 白松博之
山口県阿武町に生息する「アブサンショウウオ」の保護・保全に関する要望書
日頃の県民のためのお働きに感謝いたします。
私たちは、現在、HSE社が阿武町内で計画している(仮称)阿武風力発電事業が、阿武町や萩
市の豊かな自然環境と生態系に大きな影響を及ぼすのではないかと危惧しています。今回は、事業
予定地内に生息する絶滅危惧種アブサンショウウオの保護並びに生息地の保全について要望いたし
ます。
記
アブサンショウウオが絶滅危惧種として保護され、生息に不可欠な湿原が保全されるよう必要な
施策を早急に実施してください。生息地で事業が計画されている(仮称)阿武風力発電事業に対し
て、知事意見においても触れておられているところですが、より一層慎重な対応をお願いいたします。
アブサンショウウオは2019年に京都大学研究チームにより発表された論文(注1)により、山
口県域において生息していたカスミサンショウウオの新種として確認されました。発見した松井正
文京都大学名誉教授は「2種とも山口固有と言ってもいいぐらい貴重な両生類。早急に(条例などで)保護するための対応をして欲しい」と指摘されています(朝日新聞2019年4月24日:添付資料1)。
その後、2020年3月に発表された環境省のレッドリスト2020補遺資料では、近い将来におけ
る野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧種ⅠB類(EN)に分類されました。さらに、2022年1月
には「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律」に関する法律施行令の一部が改正さ
れ、アブサンショウウオも特定第二種国内希少野生動植物種として追加されました(注2)。選定の要件は「分布域が限定されており、かつ、生息地等の生息、生育環境の悪化により、その存続に支障をきたす事情がある種」です。
山口県立博物館の公式サイトには中学生による論文「アブサンショウウオHynobius abuensisの地衣状斑紋」(『山口県の自然』第80号)が掲載されています。論文は「小グループに分化したHynobius属は限られた環境で生まれた適応種と考えられる。その環境が失われれば、その種が失われることにつながる高い危険性をはらんでいることが分かった。この貴重な地域の宝を、これからも大切に見守っていかなくてはならないと思った」と締めくくられています。2021年10月の山口県のプレス発表では、高校生によるアブサンショウウオの研究を、第65回日本学生科学賞に山口県代表として推薦したことが書かれています。
この論文を書いた中学生たちや次に続く世代に貴重な地域の宝を残すためにも、最新の知見や希少野生動植物の保護に関する国の方針に則り、アブサンショウウオの生息に不可欠な湿原が保全されるよう必要な施策を実施していただくようお願いいたします。
前述の京都大学研究チームの論文によれば(仮称)阿武風力発電事業が計画されている地域はア
ブサンショウウオの生息地内に含まれています(注3)。本年1月に事業予定地内2カ所で住民が
アブサンショウウオと思われるサンショウウオを見つけています(注4)。京都大学研究チームの研
究者に写真による同定を依頼したところ、「見た目はアブサンショウウオに見え、かつ阿武町で採集
されているのなら、ほぼアブサンショウウオで間違いないと思う」という回答を得ています。
現在、(仮称)阿武風力発電事業は環境影響評価方法書を終え、環境影響調査が行われています。
方法書には具体的な工事計画が書かれていませんでした。同事業により森林伐採、湿地開発、林道
などの建設による森の乾燥化、工事により発生する濁水や土砂の流出、工事用道路による分断が予
測され、事業予定地内に生息するアブサンショウウオはじめ他の希少野生動植物にも悪影響が出る
ことを私たちは懸念しています。また、県自然記念物のミヤマウメモドキは指定地以外にも分布しており、影響が懸念されます。
県知事におかれましては、生物多様性基本法第3条の基本原則(添付資料4)に則り、同事業による希少野生動植物への影響が回避されるよう、今後とも慎重な判断に基づき適切な指導を下されますようお願いいたします。
(注1)
Systematics of the Widely Distributed Japanese Clouded Salamander, Hynobius
nebulosus (Amphibia: Caudata: Hynobiidae), and Its Closest Relatives
Masafumi Matsui, Hiroshi Okawa, Kanto Nishikawa, Gen Aoki, Koshiro Eto, Natsuhiko Yoshikawa, Shingo Tanabe, Yasuchika Misawa, Atsushi Tominaga. Current Herpetology 38(1):32-90,February 2019
(注2)
国内希少野生動植物種一覧 https://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/list.html
(注3)
同上京都大学研究チームによる論文:figure15
(注4)
アブサンショウウオ写真:撮影日2022年1月7日
【添付資料】
1)朝日新聞2019年4月24日記事「サンショウウオ、新種だった 遺伝子解析」
2)アブサンショウウオ写真:撮影日2022年1月7日
3)「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する 政令の概要」
令和3年度希少野生動植物種専門家科学委員会 (資料1-3)令和3年度国内希少野生動植物
種新規指定候補種の概要:両生類アブサンショウウオ
4)生物多様性基本法第3条基本原則
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自然を壊してまで、巨大な風力発電所を作る必要があるのかどうかが問われています。
この問題を6月県議会で取り上げようと思っています。
メガ風力発電所に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。