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二井知事(当時)の「新たな団地造成はできない」との答弁を重く受け止める時

 4月7日、中国新聞は、広島県が造成した産業団地について次のように報じました。
 「産業団地を造って売る広島県の土地造成事業が資金不足に陥っている。バブル崩壊で地価が下がった影響で累積赤字が膨張。県は2022年度、借金にあたる企業債を返済するため、積み立ててきた基金から初めて22億7700万円を取り崩す。31年度までの10年間で最大179億7900万円を公金で穴埋めする見通しで、甘い計画のツケが県民に回ることになる。県の土地造成事業の累積赤字は20年度決算で456億円。事業の全資産を処分しても返せない債務超過額は107億8600万円に上る。バブル期を中心に積極的に造成した用地が売れ残り、投じた費用よりも分譲価格を値引きして販売してきたためだ。22年度は企業債の返済などで38億5千万円の支出を見込むが、土地の賃貸料や手持ち資金を充てても22億7700万円足らない。県は税金を原資に返済用の基金に19年から毎年30億円を積み立て、21年度末時点で90億円を蓄えていた。31年度まで毎年度56億2100万~6600万円が不足する可能性があり、基金を蓄えたり、取り崩したりして運用し、返済する。県は1958年度に産業団地の造成を始め、43団地計2029・5㌶が売れ残っている。19年度の販売実績は3団地計5・3㌶だったが、20年度は1団地0・5㌶、21年度は2団地1・3㌶と減った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で企業の投資も冷え込んでいる。特に21年12月に完成した三原市の本郷産業団地は前27・5㌶が売れ残っている。自動車用ゴムシール部品製造の西川ゴム工業(広島市西区)は20年11月に進出を撤回。住宅向けシーリング材など製造のオート化学工業(東京)も取得時期を23年6月に延期した。県産業用地課は『資金不足が生じ申し訳ない。県民負担を最小限にするため、未分譲地の早期完売に向け取り組む』としている。一方、県が臨海部で産業用地を作って売る港湾特別会計の事業でも同様に資金不足となる見通し。20年度決算の債務超過は170億1500万円だった。31から34年度で計166億200万円を一般会計の基金から繰り入れる可能性がある。」
 山口県も同様の状況があったことを私の2011年2月11日のブログの引用から示したいと思います。
 「現在、3公社の負債は、土地開発公社が231億円、道路公社で48億円、住宅供給公社で311億円、合計590億円です。」「土地開発公社の231億円の負債の内、きらら浜が170億円です。きらら浜の面積は、286㌶で、平成21年度末の処分面積は145㌶で141㌶が売れ残っています。処分が決まった所もほとんどが県有施設という状況で、やはり見通しのない用地取得であったことは明白です。土地開発公社の負債の残りの82億円は、産業団地です。平成21年度末で、県関与団地97・2㌶の内、処分が出来たのは24・8㌶。未処分が72・4㌶あります。未処分の内、宇部市に関わる宇部テクノパーク・宇部新都市・小野田楠企業団地で61.6㌶。未処分の85%が宇部市関係です。作りすぎた産業団地のツケを県民の暮らし切り捨てに転化してはなりません。」「産業団地への県の支援は際限がありません。まず、土地価格が上がらないように利子補給をしています。その額は平成21年度末累計で約15億円です。次の、企業立地促進補助金です。県関与団地には、限度額30億円出ます。平成20年度末で25億円支出されています。更に、県関与団地には、産業団地取得補助金が出ます。補助率は80%です。平成22年度末までに約2億5千万円支出されています。この補助金は、補助率が80%ですが、限度額に上限はありません。赤旗の1面にも掲載されていましたが、限度額がないのは、岩手・兵庫・山口だけです。」
 2011年2月県議会で土地開発公社などは廃止されました。土地開発公社の負債は、231億円にのぼり、公社の負債を穴埋めするために、新たな県債200億円が当初予算に計上されました。公社廃止の影響額は334億円にのぼりました。
 2011年2月県議会で私は次のように指摘しました。
 「県が造成に関与した97・2ヘクターのうち、分譲は24・8㌶にすぎない。しかも、つくりすぎた産業団地に県は、累計15億円の利子補給をし、もし企業が進出すれば、最高30億円も補助するだけでなく、土地取得の企業に80%も補助。『企業呼び込み競争』を県民の血税で続けるのはやめるべきだ」
 当時、二井知事は、県関与団地の大半が未売却となっているのは「長期経済変動を読み切れなかった私の不徳の致すところ。今後、新たな団地造成はできない。」と答え、初めて自らの責任を認めました。
 作りすぎた産業団地などの負債を大規模な県債発行などで穴埋めし、土地開発公社は廃止されました。作りすぎた産業団地の土地が値上がりしないように、利子補給をし、土地代の8割を上限なく補助してきたのが山口県です。
 2011年2月県議会での私の質問に、二井知事は「今後、新たな団地造成はできない」と答えたにも関わらず、わずか11年後の6月県議会に、16億円の総事業費をかけ光市に県関与の産業団地を造成するための経費と特別会計の創設が提案されているのです。
 私は、これまでに産業団地の負債に対し県財政で何億円の穴埋めをしたのか、土地の値上がりを防ぐため利子補給と80%の補助金を県財政から何億円支出したのか、担当部局に調査を依頼しているところです。
 更に、新たな産業団地を整備する経緯と、特別会計創設の経緯についても、今後、担当部局から説明を受けたいと思います。
 今回、県が創設しようとする産業団地整備事業特別会計が、広島県のように、債務超過とならないような見通しについて山口県は、県民にしっかり説明すべきだと思います。

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