議員日誌

氷点

 三浦綾子さんの「国を愛する心」に感動し、三浦作品を読み直しています。

 まず、手に取ったのは、三浦さんの代表作である「氷点」。

 この作品は、私が30代前後の時に一度読んだことがありますが、今、読み返してもぐんぐんと物語に引っ張られ、一気に上巻を読み終えました。

 「氷点」のテーマは「汝の敵を愛せよ」です。

 3歳になって亡くなった娘ルリ子。ルリ子殺しの犯人の娘を養女に迎える辻口夫妻。

 私は、この物語を読んで、山崎豊子さんの「大地の子」のことを想いました。

 多くの同胞を殺した日本の子どもを育てる中国の人たちは、まさに「汝の敵を愛せよ」だったことでしょう。

 三浦綾子さんは、「国を愛する心」の中で、「汝の敵を愛せよ」という言葉を使って、こんなメッセージを書いています。

 「もし『汝の敵を愛せよ』といったら、『お前はスパイだ』といわれる世の中になったら困ります。国家機密法は恐ろしい。国家が自分の気に入らない思想の人間をじちゃんじちゃん捕えて、死刑とか無期の重罰を科すことができるわけでしょ。国の中で『あいつはスパイでないか』とお互いに監視しあう恐ろしい世の中になってほしくありません。戦争を体験していない青年たちは、こういうことに関心は低いといいますが、無知もまた罪なのです。戦前、小学校の教師だった私は、かわいい生徒たちに『御国のために死ぬのよ』となんの矛盾も感じずに教えていました。二度とこういう無知を繰り返さず、日本人だけでなく世界中の人たちの命をお互いにいとおしみ合う心持ってほしいと祈って。います」

 「世界中の人たちの命おお互いにいとおしみ合う心を持つ」これこそ「汝の敵を愛せよ」の意味なのでしょう。

 いい言葉です。私の信条としたい言葉です。

 これからも少しづつ、三浦作品を再読していきたいと思います。

 三浦綾子ファンの皆さん、あなたの好きな作品をお教え下さい。

国を愛する心

 三浦綾子さんの「国を愛する心」を読んでいます。

 三浦さんは、1999年に逝去されましたが、没後も様々な著作が出版されています。

 その一つが本著で、今年の4月6日に発行されたばかりです。

 この本の最初に、監修した「三浦綾子記念文学館」からこのような主旨が書かれてありました。

 「戦争や平和、人権、教育など社会問題に関するエッセイを、単行本未収録のものを中心に厳選。太平洋戦争での侵略行為を伝える意味を考え、思想・表現の自由を脅かす法律や自衛隊の海外派兵に異を唱える一方で、原子力発電所の危険性を示唆し、差別に憤り真の教育について心を寄せ続ける。取り上げられたテーマの多くが今も解決されていないからこそ、言葉の数々が私たちの胸に突き刺さる。キリスト者の視線で語られる愛ある提言が、生きるヒントを与えてくれる。」

 私は、20代のころから三浦綾子作品に魅せられ、多くの作品を読んできました。

 没後、15年を越えて、三浦さんから今日的に意義あるテーマで提言をいただくことはとても価値あることだと感じます。

 本書を読みながら、線を引いていると、線だらけになるほど、三浦さんの意見に全面的に賛同する私です。

 表題である「国を愛する心」の中から引用します。

 三浦さんは、戦争を振り返りこう語ります。

 「私たち庶民派、戦争がある種の人々の儲ける手段であるなどとは、夢にも思わなかったのです。あの時、戦争はいけないと言った人があれば、その人こそ真の意味で愛国者であったのです。そうした人もほんの僅かながらいました。でもその人たちは、国のすることはいけないと言ったために、獄にとらわれ、拷問され、獄死さえしたのでした。真の愛国者は彼らだったのです。国のすることだから、何でもよしとするのは、国が大事なのではなく、自分が大事な人間のすることです。」

 「政治的立場をこえ戦争の道に反対を」と三浦さんは語ります。

 「自衛隊の海外派兵は反対です。これはあまりに当然のことですよ。戦争を放棄した日本の憲法はこういうときのためにあるはずです。この機会に憲法を『改正』しようとするなどはもってのほかです。私は、戦争がどうして起こるのか分かりませんけらども、正しい理由なんてないと思いますよ。こういう問題では、たとえ一歩でもしりぞいたら、そこがアリの一穴となり、どっと崩されていきます。それが怖いのです。ですから今、どなたも政治的な立場をこえて、反対の意思を示すべいだと思います。とくに女性は命をうみだし育てるものとして、戦争への道を許すわけにはいかないのですから。」

 この文章は、日本共産党中央委員会「女性のひろば1986年12月号に掲載された三浦綾子さんの文章です。

 三浦さんがお元気だったら、戦争法廃止の国民的運動の先頭に立っておられたことと思います。

 戦争法が施行されて最初であり69回目の憲法記念日を向けた今、三浦さんの30年前の想いを読めたことに心躍らせています。

 この本の最初に「剣によって滅ぶ」という文章が掲載されています。

 その最後に、某新聞花壇にあったという短歌が「全世界の人に贈りたい」との三浦さんのメッセージとともに紹介されています。

 「徴兵は命を賭けても阻むべし 祖母母おみな牢に満つるとも」

 三浦さんのキリスト者として研ぎ澄まされた平和観に胸を打たれました。

 三浦さん作品を改めて読み返したい、三浦さんの言葉で平和を考えたいと思いました。

 三浦綾子さんの作品などに関する感想をお聞かせ下さい。

ガラパゴス

 この連休、相場英雄さんの「ガラパゴス」を読んでいます。

 上巻を読んで、今、下巻を読んでいるところです。

 この作品は、少なくとも今年読んだ小説の中で、最高水準のものです。

 現代社会の鋭く切り取る秀作です。ぜひお勧めします。

 上巻の後半に、現在の労働市場の実態がリアルに描かれています。

 派遣労働者である工藤がこう語ります。

 「正社員やパートなど顧客企業が直接雇用する人たちは人事部が把握しています。しかし、我々は部品や備品と同じ扱い、足りなくなった分を補うという意味で外注の加工費としてカウントされているのです。部品以下かもしれませんね」

 派遣労働者の過酷な実態を生んだ背景を相場さんはこう書いています。

 「1985年の規制緩和によって『労働者派遣法』が施行され、従事可能な職種が拡大していった。1999年、労働者の派遣が原則自由化されたのを皮切りに、2004年になると工場の製造ラインへの労働者派遣も自由化された。目の前には、規制緩和という耳障りの良い言葉とは裏腹に、過酷な労働を強いられてきた工藤というごく普通の男がいる。」

 人材派遣会社の森社長がトクダモーターズの松崎社長にこう話します。

 「ジョブ型正社員なんかも、ガタガタ言ってきたら解雇すればいいだけですわ。社長、総理大臣が『世界で一番企業が活躍しやすい国にする』言うたんは、千載一遇のチャンスだがね」

 更に、上巻の最後には、刑事の田川が、ファンドマネージャーの小島から車の燃費偽装について説明を受ける場面が登場します。

 「いかに低燃費の実績をたたき出すかは、メーカー同士の過酷な戦場です。言い換えれば究極のイメージ戦略であるF1と同じです。」

 「試験には一般市販車ではなく、燃料測定に使用を合わせた特注品を持ち込むケースが多いのです。」

 まさに、三菱自動車の燃費偽装を予言したかのような内容です。

 現在の日本社会の本質を見抜いて見事な物語に仕上がっています。 

 物語は、身元不明となっている事件を丹念に追う田川刑事の足跡が追う形で進んでいきます。

 本の帯に戸田書店鍋倉さんがこのような書評を書いています。

 「特別な派手さもなく、名探偵でもないけれど、自分の調査を一つ一つ丹念に繰り返していく、田川の『糸』のような仕事が、巨悪を締め上げてゆく様は圧巻だった」

 まさに、この様を実感しながら読んでいます。

 相場英雄さんは、私の敬愛する作家さんの一人です。

 相場さんの「震える牛」は、平成版の「砂の器」と言われました。

 ガラパゴスは、平成版の「蟹工船」と言われています。

 本作品は、第29回山本周五郎賞にノミネートされています。是非、受賞を願っています。

 相場作品の映像化されたものはチェックしています。

 WOWOWドラマになった「震える牛」「血の轍」どちらも秀作でした。

 関係者の皆さん、もう検討中かとは思いますが、「ガラパゴス」の映像化をよろしくお願いいたします。

 出来れば、映画として「ガラパゴス」を観たいものだと思います。

 田川刑事は誰がいいでしょう。仲野は誰がいいでしょう。

 連休の後半で一気にガラパゴスを読了したいと思っています。

 相場さんの作品には、不正義を憎む心と泥臭さと人間に対する愛情が詰まっていると思います。

 相場さんいい作品をありがとうございます。

 相場さんこれからも大いに期待しています。

 「ガラパゴス」を読んだ方は感想をお教え下さい。

贖罪

 先日読み終えた前川裕さんの「クリ―ピー」が原作で黒沢清さんがメガホンを取り、来月上映されるということで、黒沢清監督作品をこの連休観ています。

 黒沢清監督作品として私が最初に観たのが、2012年にWOWOWの連続ドラマとして放映された「贖罪」です。

 原作は、湊かなえさん。

 湊かなえさんは、作品の殆どが映像化されている作家の一人です。

 映画になった「告白」「北のカナリアたち」「白ゆき姫殺人事件」は全てDVDで視聴しました。

 どれも心に残る作品です。

 今秋に三島有紀子監督によって「少女」が公開される予定です。この作品が今から楽しみです。

 ドラマでは、TBS系の「夜行観覧車」「Nのために」は娘と一緒に視聴しました。

 さて、話しを「贖罪」に戻します。

 原作の文庫版の裏表紙を引用します。

 「15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていあtものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。娘を弔った母親は彼女たちに言った-あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい、と。十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖の結末は!?」

 女児が殺害される直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、15年後に、それぞれ殺人事件を起こしてしまうのです。

 私は、この悲劇の連鎖を映像で観て、文字で想像しながら、Eテレ100分de名著で勉強した「歎異抄」の13条の下りを思い起こしました。

 まず、原文です。

 「一人にてもかなひぬべき業縁なきによて、害せざるなり。わがこころのよくてころさぬにはあらず。また害せじとおもふとも、百人・千人をころすこともあるべし」

 現代語訳です。

 「思い通り殺すことのできる縁がないから、一人も殺さないだけなのである。自分の心が善いから殺さないわけではない。また、殺すつもりながくても、百人あるいは千人のひとを殺すこともあるだろう」

 Eテレ100分で名著「歎異抄」の解説者である相愛大学の釈徹宗さんは、13条のこの下りを「『状況次第で人間は何をするかわからない』という思いは、親鸞が生涯持ち続けたものでした。だから、彼は90年間生き抜いて、一度も『悟った』とは言えなかった。しかし一方で、『信心の人は如来と等しい』とも言います。その意味は『他力の信心を得た人は、仏様と同じく悟りを開いたのと等しい』というものです。この二律背反の同時成立が親鸞の本質とも言えます。一方ではどこまでいっても凡夫であることを語り、一方では新人の人は如来と等しいと語るのです。」と解説しています。

 釈さんは、「歎異抄」について、「この書が『体系的リミッター(暴走を抑制する装置)」としての性格をもっていることは間違いありません。(中略)宗教という領域は社会とは異なる価値体系をもっています。だから、ときには反社会的行動にもつながります。しかし、安易にそこへと行ってしまわないようリミッターが設定されているのです。それが教義や教学であったり、先人の導きであったり、伝承や伝統様式であったりするのですが。『歎異抄は、親鸞の思想体系と呼応する形で呼応する形で成立したリミッターだったのでないでしょうか。」とも書いています。

 「歎異抄」の引用が長くなりましたが、「贖罪」を観て読んで、私は、「状況次第で人間何をするかわからない」存在であることを知る大切さを伝えていると思いました。

 同時に、そうならない、リミッターを持つべきことをも教えていると感じました。

 非戦平和を願う真宗門徒の会の会合で、長門市龍雲寺の長岡裕之住職は、「歎異抄」13条の「さるべき業縁のもよほさば、いかなるふるまひもすべし」(状況次第で人間は何をするか分からない)を引用し、「(9条をないがしろにする)憲法改正(改悪)は縁を整えることになる。だから反対なのである。」と話されました。

 憲法9条は、日本のリミッターでとも言うべきものだということを今日のブログを書きながら知ることができました。

 「贖罪」とはリミッターを持つ人間になるためにはどうするか考えることでしょうか。

 引き続き、これらのことを心に留めて生きていきたいと思います。

 ドラマ「贖罪」を観た皆さん、小説「贖罪」を読んだ皆さん、感想をお聞かせ下さい。

第87回宇部地域メーデー

 昨日、ヒストリア宇部で第87回宇部地域メーデーが行われ、約120名の市民が参加しました。

 来賓として、こうけつ厚参議院山口選挙区野党統一予定候補が挨拶しました。

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第87回宇部地域メーデーで挨拶するこうけつ厚さん

 こうけつさんは、「最低賃金を時給1000円にすることが必要」と訴えました。

 日本共産党を代表して私が挨拶しました。

 私の挨拶の主旨は以下の通りです。

・・・

 第87回宇部地域メーデーにご参加の皆さんこんにちは。日本共産党の藤本一規です。
 さて、87回を数える宇部地域メーデーですが、今年のメーデーは、まさに歴史的メーデーになりました。今朝の私たちの機関紙「赤旗」の一面に、「きょう第87回メーデー。山口ではこうけつ候補が参加 首相の地元で参院選勝利へ」という記事が掲載されています。
 夏の参議院選挙に向けて、32の一人区で野党統一候補の擁立が20選挙区となりました。
 この夏の参議院選挙は、独裁政治と戦争国家への逆流を許すのか、立憲主義・民主主義・平和主義を貫く新しい政治を築くのかかが最大の争点です。戦争法廃止・立憲主義回復の国民的大義で市民と野党が共闘して、自公とその補完勢力を少数に追い込んでいきましょう。野党統一候補を勝利させましょう。その中でも、独裁政治の震源地と言われる安倍首相の地元、ここ山口から日本を変えると大奮闘のこうけつ厚さんを国会に必ず送りましょう。日本共産党は、こうけつ厚さん当選のために全力で戦う決意を最初に述べたいと思います。
 4月23日、県労連とこうけつ厚さんが、政策協定に調印しました。「安全保障関連法の廃止」「集団的自衛権の行使容認の閣議決定の撤回など立憲主義の回復と憲法改悪に反対する」などの基本項目と、「貧困と格差を解消するための政策を講じる」「TPPに反対する」「安全が保障されない原発再稼働に反対する」など8項目にわたる政治的課題での協力しあうことが確認されました。県労連とこうけつ厚さんが政策協定し協力しあうことが確認されたどの政策も日本共産党は大賛成です。
 夏の参議院選挙は、選挙区はこうけつ厚、比例代表は日本共産党でどうかよろしくお願いいたします。
 私は、戦争させない・9条壊すな総がかり行動うべ実行委員会の事務局長でもあります。やまぐちデモクラシー政治を取り戻す、県下連結アクションとして、6月18日土曜日、13時から宇部市楠総合センタールネッサンスホールで、こうけつ厚さんを迎えた決起集会を行います。350席を満席にして、こうけつ厚さんをお迎えしたいと思います。是非ご参加を。

・・・

 メーデーは、「私たちは国民的連帯でメーデーを迎えました。この力をバネに、大幅賃上げ、労働時間短縮、雇用の確保、社会保障の拡充、TPP参加反対、消費税増税中止、震災からの復興、なくせ原発、そして憲法9条を守り核も基地もない日本の実現を求め、悪政と大企業の横暴を止めさせるためにたたかいましょう。来るべき参議院選挙では、私たちの意思を示しましょう。」などとする「メーデー宣言」を参加者全員で採択しました。

 参加者は、「労働法制改悪反対!」などのシュプレヒコールを上げながら市内をデモ行進しました。

 働くひとたちの権利擁護のために必要なことをお教え下さい。

トットてれび

 昨夜からNHKの土曜ドラマ「トットてれび」が始まりました。

 小学校6年生の長女がキャンプに行っていたせいか、リアルタイムで視聴することが出来ました。

 竣工の黒柳徹子さんを演じるのは、満島ひかりさん。

 はつらつとしたチャーミングさが黒柳さんのイメージにぴったりです。

 第一話では、ほんの少しだけの登場でしたが、渥美清さんを中村獅童さんが演じます。

 坂本九さんを錦戸亮さんが、向田邦子さんをミムラさんが演じます。

 その他、飯沢匡さんを大森南朋さんが、森繁久彌さんを吉田鋼太郎さんが演じます。

 日本を代表する俳優陣が、テレビ草創期の熱気とパワーをどう表現するのか楽しみです。

 第一話では、専属テレビ女優になったものの個性を否定され続けた黒柳さんが、劇作家の飯沢匡さんに初めて変わったところを大切にしろと個性を認められます。

 しんぶん赤旗へのインタビューで黒柳さんは、「今でもあそこで人生が決まったような気がしてるんです」「(飯沢)先生に『そのままでいいです』と言われなかったら、私、辞めていたと思います。」

 黒柳さんの「窓ぎわのトットちゃん」でもそうですが、黒柳さんの個性は物怖じしない天真爛漫さだと思います。

 黒柳さんの個性を大切にする家庭や学校があったのです。

 そして、その黒柳さんの個性を生かそうとするテレビ界草創期があったようです。

 いったいテレビ界で黒柳さんの個性がどのように花開いていったのか目が離せません。

 今の社会、没個性が蔓延していると思えてなりません。

 だからこそ、黒柳さんの天真爛漫さから学ぶ時ではないでしょうか。

 原作である黒柳徹子さんの「新版 トットチャンネル」を読みながら土曜ドラマ「トットてれび」を楽しみに観ていきたいと思います。

 妻も娘と一緒にキャンプに行っていましたが、妻とも一緒にこのドラマを楽しみたいと