7月3日、読売新聞は、公立中高の校則の見直し状況について次のように報じました。
「公立中学校と高校の9割が、2019年度以降に校則を見直したことが2日、文部科学省の調査でわかった。不合理な内容を含んだ『ブラック校則』が問題視されたことなどから、文科省は校則の積極的な見直しを求めている。調査は今年2~3月、(全国の公立中高800校)を対象に行い、799校から回答を得た。高速を見直した学校は91・1%。見直した内容(複数回答)は、多い順に▽制服や体操服など『服装』に関すること(89・7%)▽『頭髪や化粧』(62・7%)▽スマートフォンやカバンなど『持ち物』に関すること(36・1%)-だった。文科省は、校則の見直しに必要な手続きを定めた上、学校のホームページなどで公表するよう促しているが、実際に行っていた学校は43・8%にとどまっている。調査結果を受け、文科省は2日、全国の教育委員会に対し、校則の変更手続きの制定などを適切に行うよう求める通知を出した。」
文部科学省が、都道府県教育委員会などに発出した「校則等の見直し状況調査結果及びこれを踏まえた対応について(通知)」を入手しました。
1、校則の見直しについて
「令和元年度以降、校則の制定又は変更が実施されていない学校においては、見直しを行う必要性を検討し、その他の学校においても、絶えず見直しを実施し、その結果に応じて、校則の制定又は変更を検討」するよう求めています。
2、校則の見直しの過程における児童生徒や保護者等から意見を聴取する機会の確保について
「(高速の制定又は変更を行う際、児童生徒又は保護者からの意見を聴取する機会)を設けていない学校においては、児童生徒や保護者等の学校関係者からの意見を聴取する機会の確保について、検討する」よう求めています。
3、校則の内容の公表・周知について
「(校則等)を学校のホームページ等に公表しておくなどの方策により、校則の内容の周知を行うことについて、改めて検討する」ことを求めています。
私は、この間、県立学校の校則問題を繰り返し、議会で取り上げてきました。その中で、多くの学校で校則の見直しが行われていることを確認しています。
7月2日の文科省の通知を受けて、改めて、県立学校の校則見直しの状況を調査したいと思います。
更に、6月3日の中国新聞は、広島県内の中・高で涼しい制服が広がっていることを報じていました。
制服にハーフパンツとポロシャツを導入したり、ジャンバースカートを廃止したり、実習中などにファン付きウェア着用を認めたりする動きを報じています。
これらの点についても県教委に県立学校での状況を調査したいと思います。
以前から指摘していますが、宇部市内の全ての中学校でブレザーが導入されました。新しく導入された中学校では紺のポロシャツで涼しい制服で通学する生徒が見られます。県立高校で詰襟やセーラー服の学校が未だに残されていますが、ジェンダーに配慮した、気候に配慮した、制服への転換について、引き続き、発言を続けていきたいと思います。制服に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
23日、しんぶん赤旗日刊紙は、関西電力が新原発の調査を開始したと次のように報じました。
「関西電力の森望社長が22日、記者会見し、福井県の美浜町に立地する美浜原発で新しい原発の建設に向けた地質調査を開始すると発表しました。2011年3月の東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえず、将来にわたって原発依存を続けようというねらいです。福島原発事故後、原発の新増設へ国内で具体的な動きが明らかになるのは初めて。森社長は『国の原子力政策では、第7次エネルギー基本計画で原子力の維持的な活用方針が示された』と述べ、同計画が今回の表明の後押しになった一つだとしました。調査は複数年かけて行うと言います。森社長は、建設は調査結果のみで判断せず、投資する上での事業環境整備の状況など総合的に考慮するとしています。『(稼働までに)準備も含めて20年の時間を要するが、できることはしっかりやっていきたい』と述べました。関電は現在、7基の原発を動かしていますが、うち5基が運転開始から40年を超えます。美浜原発で1、2号機が廃炉を決め、残る3号機は運転開始から48年です。関電は同原発で増設に向けた調査に着手していましたが、福島第一原発事故で中断していました。一方、政府は老朽原発をさらに酷使する『60年超運転』が可能な制度をつくりました。その上、2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、福島原発事故後に掲げてきた『可能な限り原発依存度を低減』の表現をやめ、原子力の『最大限活用』や原発回帰を鮮明にしました。2040年度の電源構成の目標では原発の占める割合を、現在の2倍以上の2割程度に増やすとしています。原発の費用は膨らみ続けており、政府は原発の新増設を進める仕組みとして、すでに20年間にわたって建設費や運転維持費などを保証する制度を開始。さらに6月には、建設費が上振れた場合も消費者の電気料金を通じて支援する制度つくろうとしています。原発をめぐっては、原発から出る使用済み核燃料の行き先の行き詰まり、見通しのめどが立っていない『核のごみ』の最終処分場、事故時の避難計画の実効性など問題は山積みのままです。」
私は、第7次エネルギー基本計画発表を受けて、2月県議会で、「従来の『依存度低減』の表現を削り『最大限活用』にした」と同計画を批判しました。更に、同計画は、原発の増設について「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での次世代革新炉への建替えを対象」にしたことについても批判しました。
同日付け赤旗に、原発問題住民運動全国連絡センター代表の伊東達也さんは、次のようにコメントしています。
「関西電力は地形や地質の調査といいますが、調査は造ることが大前提です。それだけと真に受けてはいけません。森社長が言った『安全最優先で、原子力の安全・安定運転に全力に取り組む』などの言葉は現代流の言い方だけで、本質的には60年前に福島で原発を造る前に言ったことと同じです。原発新増設を進める関西電力の動きは、住民の帰還も進まず、多くの県民が苦しみ続ける福島第一原発事故を無視する最たるもので、決して許すことは出来ません。革新軽水炉と言っても、原理的に過酷事故を起こさない原発でははなく、世界有数の地震国で絶対安全に運転できる新型原発はあり得ません。原発を新設することは今後、放射性廃棄物を一層増やすものであり、日本の未来に希望を灯すものではありません。当面の企業の利益追及に走らず、多くの国民が望まない原発新規計画であることを関西電力の首脳者は考えるべきです。」
関西電力の原発の新増設は、安全神話の復活であり、福島第一原発事故を無視するものだと私も考えます。
自民党政権は、原発回帰のエネルギー基本計画を抜本的に見直すべきです。関西電力は、原発の新増設を撤回すべきです。中国電力は、進展ゼロの上関原発計画を白紙撤回すべきです。
関西電力が、原発の新増設に向けて調査開始を明らかにしました。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
本日、午後、山口市内で、特定利用空港問題と海砂採取問題で、お話しました。
私がお話した内容は、次の通りです。
・・・
辺野古に土砂を送らせない山口の声!の学習会にご参加の皆さん、お久しぶりです。県議の藤本です。参院選では、自公が過半数割れを起こす結果となりました。沖縄県ではオール沖縄のタカラさんが勝利しました。日本共産党が議席を減らしたことは残念ですが、辺野古埋立反対の世論が示された結果を新しい国会で生かしたいと思います。
今日は、特定利用空港問題と最後に少し県内の海砂の状況を報告したいと思います。
まず、特定利用空港問題です。資料①は、6月11日、NHK山口放送局が、夜のニュースで、山口宇部空港が「特定利用空港」の候補だと報じました。県港湾課は、NHKの報道と同日、HPに、この間の経過を公表しました。
昨年10月11日、国から港湾管理者である本県へ、山口宇部空港を特定利用空港の対象として検討している旨の説明があり、今年の1月22日に、国は、宇部市に説明したHPに書いています。
資料②は、NHK山口放送局が、6月18日、総がかり行動うべが山口県と宇部市に「特定利用空港」受け入れ反対を表明するよう申し入れたことを報じたものです。申し入れの様子は、NHKの他、KRY、TYS、YAB、中国新聞などが報じました。
そもそも、特定利用空港は、安保3文書の「国家安全保障戦略」にある「自衛隊、米軍等の円滑な活動を確保」のため「有事の際の対応を見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作りを行う」ことを具体化したものです。
玉城沖縄県知事は、県営の下地島空港を特定利用空港指定にとの打診を受けましたが「民間機の運用に徹するよう国に要請し」指定を拒否しています。
資料③は、国土交通省の資料をもとに、米軍機の着陸回数を示したものです。
この内、特定利用空港の熊本空港には、22年に56回、24年に88回。長崎空港に22年8回、23年16回、24年に8回。那覇空港に、24年8回。徳之島空港に23年12回米軍機が着陸しています。
南紀白浜空港が特定利用空港になることを受け、米軍が特定利用空港の枠組みに参加しないことが反故にされた場合、県知事は、「私が滑走路に座り込んでも阻止する」と答えました。
6月県議会での私の質問に、この協定は、自衛隊と海上保安庁とのものであり、米軍は枠組みの外だと答えました。
資料④は、昨年3月高知県の照会に国が答えたものです。高知県は、高知港、須崎港、宿毛港が国の特定利用空港に指定されるにあたり、国に、次の照会を行いました。「武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態以外の『存立危機事態』や『重要影響事態』は利用調整するのか」。国は、その通りだと答えました。
存立危機事態とは、日本が攻撃されなくても、自衛隊がアメリカの戦争に協力する事態です。重要影響事態は、台湾有事などが想定されています。紛争が起きた際に、民間空港港湾を利用しようとするのが、「特定利用空港・港湾」です。
資料⑤は、7月16日に、総がかり行動うべ実行委員会が再び県に提出した要請書です。
6月県議会で県は、自民党議員の質問に対して、「地元関係団体からは、県の説明内容に概ねの理解をいただいたところ」と答えました。私たちは、指定の可能性が高まっていると考え要請書を提出しました。
山口宇部空港は、国内便が1日20便、国際チャーター便が、台湾、韓国と18便が計画され、警察・消防などの飛行機が450回発着しています。民生利用を堅持すべきです。
米軍は、枠組みの外と言いながら、特定利用空港にしてされれば、米軍機の着陸が誘発される結果になっています。
7月25日(金)10時30から、県政資料館1号会議室(2階)で、1時間、県からの回答を受け、懇談を行います。県庁ロビー10時集合です。是非、ご参加ください。
9月6日(土)午後2時から、半田滋さんを講師に学習会を旧宇部緑橋教会で行うことにしています。是非、ご参加ください。
9月宇部市議会と県議会に議会請願を提出することも計画しています。
資料⑥は、松山空港が特定利用空港の候補になっている記事です。現在11空港・25港が指定されています。空港は、函館空港、南紀白浜空港、大分空港、北九州空港、長崎空港、福江空港、熊本空港、宮崎空港、鹿児島空港、徳之島空港、那覇空港が指定されています。
候補が、山口宇部空港と松山空港、指定が全国に広がっています。
山口宇部空港は県営空港なので、県知事が拒否すれば、指定されません。
最後に海砂についてです。砂を含む土石を採取しようとする者は、一般海域の利用に関する条例に基づき、県の許可を求める必要があります。許可を受けた業者は、県に「土石採取実績報告書」を県に提出します。報告書には、荷揚先を明らかにすることになっていますが、 私が情報公開請求を行って公開された文書の荷揚先は黒塗りになっています。私の情報公開請求によって、海砂は、下関市蓋井島沖合響灘付近で、昨年度は57万9450㎥の海砂が採取されています。採取した業者は、下関市のウエストマリン、福岡市のショウエイサンド、下関市の出口産業です。
沖縄県の辺野古では、国が、今年に入り、軟弱地盤強化のくい打ち作業を開始するなどの動きがみられます。運動を強化していきましょう。
・・・
特定利用空港問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
21日のしんぶん赤旗日刊紙は、参政党の憲法案について次のように報じました。
「参政党は参院選の演説で外国人を敵視する排外主義の発言を繰り返しました。その同等の『新日本憲法(構想案)は排外主義の一方で、『思想・信条の自由』(日本国憲法19条)などの『精神の自由』にかかわる条項がありません。『何を考え、何を思うか』は、個々人の自由であり、その内容で個人を差別することは許されません。同党の深刻な人権軽視があらわれています。『構想案』には『思想・信条の自由』のほか『信教の自由』(同20条)や『表現の自由』(同21条)の規定もありません。『国民の自由と権理(ママ)』として『主体的に生きる自由を有する』として、『注』で『包括的な自由権との解釈』としているだけです。そもそも『基本的人権』の文字がありません。参政党の神谷宗幣代表は『構想案』を『不完全なもの』とし、『政党が自分たちの国家観とか価値観を示して、それによって国民とキャッチボールする』(3日、東京・新橋駅での演説)と述べています。しかし、現憲法にある規定をあえてなくすことには、『思想・信条の自由』などを軽視、もしくは『排除』する同党の『価値観』が示されています。『精神の自由』を軽視する同党の姿勢は、選挙戦での神谷氏の発言からも明らかです。神谷氏は、公務員について『極左の考え方をもった人たちが、浸透工作で社会の中枢に入っている』『極端な思想の人たちはやめてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法だ』(14日、松山市での演説)などと、『思想によって排除する』ことを公言しています。発言への批判を受けて神谷氏は『思想統制をするのではない』(19日、横浜市)などと言います。しかし、戦前の弾圧立法である治安維持法を『悪法と言っても、共産党にとって悪法だろう』(12日、鹿児島市)などと述べ、正当化する発言もしています。治安維持法が弾圧立法であったことは歴史的事実です。同法は、天皇が絶対的な権力を持つ政治体制=『国体』変革をかかげる組織と運動を極悪犯罪としました。同法のもとで特高警察は弾圧の対象を無制限に広げ、労働組合はもちろん、自由主義者や多くの文化・知識人、宗教団体まで弾圧。自由と民主主義を圧殺し、戦争に反対する声を押しつぶしました。『共産党にとって悪法』だったことは、日本全体にとって悪法でした。この戦前の経験の反省から、憲法には『思想・信条の自由』『信教の自由』『表現の自由』などが規定されたのです。思想の内容によって人を差別する姿勢は『国籍』によって差別する排外主義や、性別によって差別する思想につながっています。参政党の『構想案』に『精神の自由』にかかわる条項がないことは、同党の極めて危険な本質を象徴的に示しています。」
参議院選挙が終わりました。自民公明が過半数割れを起こしたことは歴史的な出来事だと思います。
その中で、日本共産党が議席を減らしたことはとても残念です。応援して頂いた皆さんに感謝いたします。
また、「国籍」などで差別する排外主義的な姿勢を持った参政党が躍進したことに対し、国民が、同党を注視していく必要性を感じました。
参院選挙の結果に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
先日、李相日監督の映画「国宝」を観ました。
ここ数年に観た映画の中でも屈指に魂が揺さぶられた作品でした。
11日のしんぶん赤旗日刊紙の文化欄に、古典芸能エッセイストの盛田梢路さんの、「映画『国宝』を見る」と題する次のエッセイが紹介されました。
「今や社会現象化の様相を呈している映画が『国宝』(李相日監督)だ。若い人たちの間でも話題となり、都心などではチケットの完売が続いている。驚くべきは人気漫画の映画化でもなく、歌舞伎役者の一代記である芸道もの映画であるという点だ。名門の血筋が重視される歌舞伎界で、極道の家の息子として生まれた主人公が、その類いまれなる美貌と芸で人間国宝の名女形にまで昇り詰める物語である。背中に彫り物のある主人公の少年は天賦の才で歌舞伎にのめり込み囚われていく。兄弟のように育つ名門御曹司との血のにじむ切磋琢磨を越えてついに頂点に立つ。あらゆるものを犠牲にして芸の到達を目指す主人公の残酷なまでに美しい舞踏には魂を揺さぶられる。この映画は重層的な驚嘆に満ちている。まず映画化されたという驚きだ。7年前、ベストセラー作家吉田修一が原作を発表して大いに話題となったが、歌舞伎ファンは、映画化は不可能だと思っていた。独自の芸界の中で幼少期よりの厳しい修練の結果として存在するのが歌舞伎役者だと知っているから、一般の役者がまねて演じることは不可能だと。これを見事に覆して見せた。なぜここまで特殊な世界を描くことができたのか。なんといっても主人公を演じた吉沢亮の、女形としての息をのむような圧巻の演技が大きい。名門御曹司役の横浜流星も同様だ。しかしそれだけでは、これほどの感銘は覚えなかったろう。当たり前になりつつある映像におけるAI技術と相反する、吉沢亮の生身の演技という身体性に私たちは打ちのめされたのだ。原作者の吉田も取材のため黒子として3年間楽屋働きをし、吉沢は1年半過酷な女形の舞踏の稽古を重ねた。特に市川歌右衛門を彷彿とさせる田中泯の演技など、歌舞伎役者役の俳優たちの身体性も心に迫ってくる。キャストだけではない。制作陣が歌舞伎という化け物じみた古典芸能に命がけで挑んでいるのがひしひしと観客に伝わってくるのである。いっさいの吹き替えや加工などない生身の芸だけで貫いた身体性が、映像のAIに勝利した作品ともいえるのだ。」
今、吉田修一著「国宝」の「青春篇」をほぼ読み終えました。
白虎が亡くなる直前に、喜久雄にこう言います。
「ほんまもんの芸は刀や鉄砲より強い」
この言葉は、沖縄の歌手である喜納昌吉さんの「全ての武器を楽器に」を思い起こしました。
世界には、「ペンは剣よりも強し」という言葉もあります。
武器や兵器がはびこる世界ではなく、言論や歌や芸が自由に行える世界を望みます。
今日は、参議院選挙投票日です。そのような選挙結果になることを望みます。
投票がまだの方は、投票所で一票を投じてください。政治を変えていきましょう。
18日、毎日新聞は、コメ農家の時給について、次のように報じました。
「高騰する米価対策が参院選の争点となる中、『時給10円』とも言われたコメ農家の収入にも注目が集まっている。最低賃金にも満たない低水準は、なぜ生じるのか。時給10円は、農林水産省の『営農類型別経営統計』をもとにした数字だ。田んぼでコメなどを育てる農家や法人が1年間に得た農業所得を、1年間の労働時間で割って算出し、国会審議でも取り上げられた。2022年のコメ農家など1経営体あたりの農業所得は約1万円。これを労働時間の約1千時間で割ると、時給は10円となる。最新の23年のデータでは、米価が上がった影響などで農業所得は9万7千円に上昇し、時給は97円となった。元農林水産省統計部の職員で、ウェブサイト『フード・マイレージ資料室』を主宰する中田哲也さん(65)は『時給10円や時給100円は、日本の農家全体を示すものではない』と指摘する。そもそも、この調査には自分の家で食べるコメなどを主に作る小規模農家も含まれている。農業を生計の柱としない農家は農業所得も低い場合が多く、全体の時給は押し下げられる。さらに、統計の特性上、雇われた人や法人役員が働いた時間は分母の労働時間に含まれるのに対し、支払われる人件費は分子の農業所得に含まれない。このため、大規模化して雇われた人や法人役員が増えると、分母の労働時間は積み上がる一方、分子の農業所得は増えず、時給は低く計算されてしまうという。23年の規模別の時給を計算すると、小規模と言われる5ha未満の経営体はマイナス386円の赤字だった一方、5ha以上になると黒字転換し、15~20haでは、1521円まで上昇した。一般的に耕作規模が大きくなれば効率化し、時給が上がるが、20ha以上になると減少に転じ、50ha以上は727円に下落する逆転現象が起きた。ただ、中田さんは『無理に時給10円や100円と言わなくても、コメ農家が置かれている経営状況は厳しい』と訴える。同じ農水省の統計で、コメなどの農業所得を収入の柱にしている『水田作主業経営体』の農業所得は270円にとどまる。『消費者は産地や農業の置かれている状況を理解し、再生産可能なコメ価格を生産現場とともに考えてほしい』と話す。」
日本共産党の参院選でのコメ農家対策を紹介します。
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日本共産党は、米をめぐる危機を打開するために、市場まかせ、農家の自己責任まかせの農政を大本から転換し、主食・米の増産による安定供給をはかり、異常な米価高騰を抑えます。そのために生産者・農家への支援を抜本的に強化します。
米の需給や価格、流通の安定に政府が責任をもつ――米は主食であり、すべての国民に年間を通じて安定した価格での供給が求められます。今回の米不足・価格高騰で備蓄米の放出を余儀なくされたのは、市場まかせ政策の破綻を意味するものです。
――米の需給や価格、流通の安定に政府が責任を持ちます。政府の米需給計画の作成にあたっては、気候や経済変動などで多少の需給ギャップが生じても米不足にならないよう、ゆとりある生産量を確保します。
――豊作などで民間在庫がだぶつき、大幅な価格下落が予測される場合は国が備蓄米の買い増しを行い、逆に米不足、流通の混乱が懸念される場合は備蓄米を放出します。
――世界の食料危機や気候変動に対応し、政府備蓄米の数量を現状の2倍、200万㌧以上に増やします。大量放出で備蓄米が極端に減っているもとで、それを補填するために26年産以降の備蓄米の買い入れ量を計画的に増やします。
農家が安心して増産できる価格や所得を保障する――米は日本国民の主食です。「生産者に再生産可能な所得・価格を保障し、消費者には納得できる手頃な価格で提供する」――これは国の責任です。当面の米の増産でも、将来にわたる米生産の維持・安定にとっても、大多数の農家が安心して生産に励める米価と所得の実現は最低限の条件です。政府の強調する収入保険制度は、対象が大規模経営に限られたうえ、米価下落が続けば基準となる収入も減少し、生産コストを償わず、セーフティネットにはなりえません。
――米生産者に生産に要した経費と勤労者並みの労働報酬を保障する米価(農家手取り)を実現するために、市場価格がそれより下がった場合、差額を補てんする制度を創設します。当面、農家手取り60㎏あたり最低2万円~2万数千円を保障します。条件不利地域などには加算します。
――水田のはたす環境・国土の保全など多面的機能に配慮した所得補償を実施します。
大小多様な稲作経営を支援する――自民党政府は米農家の激減を前提にして経営の大規模化、効率化、スマート化などを重点的に支援しています。しかし、それが可能なのは一部の恵まれた地域に限られます。大規模経営が“ポツン”と残っても、畦草刈りや水路整備などはできなくなり、地域のコミュニティも維持できず、環境や生物多様性も守れません。
――大規模経営とともに中小農家、兼業農家、新規参入者なども含めて大事な担い手に位置づけ、その経営が維持できるよう支援します。
――米作りの新たな担い手を確保するために、国、自治体、関係団体が連携し、農地や機械などの無償貸し出しなどを含め、思い切った支援を行います。
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私も、実家で3反の水田を母や家族の協力を得て耕作しています。
中山間地域の私の実家の周りは、耕作放棄地だらけです。
大規模農家とともに、小中零細農家が兼業しながら農業を続けていける環境整備が国土保全の立場から必要だと思います。
コメ問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。