8月21日、共同通信は、文化財保護法で法制化された自治体独自の文化財登録制度を設けている都道府県の実態を次のように報じました。
「2022年改正の文化財保護法で法制化された自治体独自の文化財登録制度を設けている都道府県は9府県にとどまっていることが21日、共同通信の調査で分かった。人口減少で各地の伝統文化の存続が危ぶまれている中、制度を通じて地域で文化財を積極的に保護できるようにする狙いだが、必要な人手や財源が不足し、導入をためらう自治体がみられた。文化財保護法には指定制度と登録制度がある。指定は国と自治体ができ、現状変更の制限など強い規制がある一方、手厚い助成を設けている。これに対し、登録は緩やかな規制で保護する仕組み。国による登録に加え、法改正で自治体登録制度を新設。指定や国登録に至っていない文化財でも独自の判断で幅広くカバーできるようにした。登録により文化的価値を高め、観光資源などに活用しやすくする効果も期待されている。都道府県を対象に調査したところ、制度がある9府県は群馬、千葉、富山、愛知、京都、大阪、兵庫、和歌山、佐賀。うち4府県は、文化財の修理や継承活動への補助制度がある。」
山口県内で指定・登録・選定されている文化財件数は、(令3年3月31日現在)国指定文化財247件、重要伝統的建造物群保存地区5件、重要文化的景観1件、国登録有形文化財110件、国登録有形民俗文化財1件、国登録記念物4件、県指定文化財358件です。
1996年度、97年度に文化庁の国庫補助事業として、「山口県近代化遺産(建造物等)総合調査」が行われました。
この調査により、672件の近代化遺産が選定されました。
この調査結果が、1998年に山口県文化財愛護協会によって「山口県の近代化遺産」として冊子にまとめられました。
この際に選定された近代化遺産の中に、旧長生炭鉱排気竪坑が含まれています。
私は、672件の近代化遺産の中で、指定・登録されている文化財は何件あるのか、県観光スポーツ文化部に照会しています。
私は、山口県としても、条例を改正し、独自の登録文化財制度を創設すべきと考えます。
そして、文化財として指定・登録されていない近代化遺産を県登録文化財として登録すべきだと考えます。
文化財に関する皆さんのご意見をお聞かせください。
3日、中国新聞は、県のアウトドア観光補助金について、24年度分が決定したと次のように報じました。
「県は2023年度に創設した、民間などのアウトドア観光事業の経費を上限1億円で補助する制度で、24年度の採択事業者を美祢市観光協会、宇部市の宿泊業『COCOLAND』の2事業者に決めた。24、25年度で美祢市観光協会に計約9903万円、COCOLANDに計約5096万円を補助する。制度は『山口ならではの特別な体験創出支援』と銘打ち、工事や備品購入などの経費を4分の3以内で1億円を上限に公募し、8件の応募があった。補助の実務を担う県観光連盟や県、外部有識者が事業の実現性や経済波及効果、地域の現状を踏まえた企画力などを基準に審査した。美祢市観光協会は同市の秋吉台と秋芳洞のアクティビティセンターを整備し、ツアー商品販売やアウトドア用品のレンタルなどを予定。26年春に営業を始める計画という。COCOLANDは宇部市の常盤湖畔の森を生かし、恐竜をモチーフにしたアトラクションやロープ渡りなどがあるアウトドア施設を整備する見込み。いずれも地元の市などと連携する。制度は初年度に23件の応募があった。初年度に採択された山口市、周南市、長門市の3事業者のうち、山口市と周南市の2事業者の計画が遅れ、6月の県議会定例会などで審査の不備や遅れを指摘する声が出た。」
記事にある6月県議会で審査の不備や遅れを指摘したのは、私の一般質問の中でのものです。
私が指摘をした初年度に採択された山口市と周南市の2事業者の計画の遅れの最近の状況です。
まず、山口市の業者が秋穂二島に建設予定のリゾート施設についてです。
業者が地元住民へ説明した資料によると、今年7月に施行を開始し、工期は8カ月としています。
私が7月11日、照会した県の回答は、「着工は8月予定」としています。
9月5日に現地を視察しましたが、当初の予定通り来年3月にオープン出来るのか心配です。
次の周南市の業者が平生町を中心に行うアウトドア事業についてです。
クルーズ船を就航させることがこの事業の柱とも言えるものです。
中国新聞の取材に、周南市の業者は「光市牛島に設けている宿泊施設への客を運ぶために運航すると説明。クルーズ船は既に購入したものの、宿泊施設が開業できないため運航していない」と答えたとあります。
この報道の受け止めを県に尋ねたところ、県は「牛島の宿泊施設については補助対象外。クルーズ船の運航ができていないのは停泊場所の調整が遅れていることによるものと承知している」と答えました。
地元の方にお尋ねしたところ、「クルーズ船の停泊場所は不明。佐合島での宿泊施設についても動きはない。」とのことでした。
現時点で、山口市の業者が進めるリゾート施設も、周南市の業者が進める平生町でのクルーズ船就航の事業も、遅れをきたしている状況にあるようです。
今後もしっかり状況を注視し、9月県議会でも必要な発言を行っていきたいと思います。
山口県が行っているアウトドア事業に対する補助金に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
9月4日、「白滝山、天井ヶ岳の自然環境を守る会」嶺岡偉津夫会長、「新白滝山風力発電事業計画を考える会」廣岡綾子会長など8団体は、村岡嗣政山口県知事に、「県内及び県境に計画中の風力発電事業に関する要望書」を提出しました。
県内8団体が、県内3つの風力発電施設計画撤回を求めて県に申し入れを行いました。
手前の右奥が私です。
現在、山口県内で計画されている風力発発電事業は、①(仮称)新白滝山風力発電事業②(仮称)西中国ウインドファーム事業③(仮称)阿武風力発電事業です。これら3事業者による風車の合計は、64基にも及びます。
要望書は、これら計画が進められれば「自然環境の破壊・災害の誘発・健康被害など様々な問題が予想」されるとしています。
要望書は、次の3点を要望しました。第一は、保安林についてです。要望書は、「農林水産業を育み県民の命の糧である保安林を、僅か20年ほどの電源開発の名目で解除することなく、県民の宝として次世代に継承」するよう求めています。
第二は、事業にかかる県の許認可権についてです。要望書は「関係する自治体と住民に対する安全の保証の確約なしに、県がかかる風力発電事業への同意と許認可を与えない」よう求めています。
第三は、水源や環境を守る条例の制定についてです。要望書は、自然環境と水源地の守るために、「具体的な保護・保全条例の制定」を求めています。
県の担当者は、2週間以内の文書回答を約束しました。要望書提出には私が同席しました。
現在、「白滝山・天井ヶ岳の自然環境を守る会」では、経済産業大臣、県知事、下関市長、長門市長などに対して「(仮称)新白滝山風力発電事業計画の撤回を求める要望署名」に取り組んでいます。参加者は、署名活動を成功させ、県内の風力発電事業計画を撤回に追い込んでいきたいと話しています。
2日、時事通信は、都道府県別の男女賃金格差を政府が公表したと次のように報じました。
「政府は2日、『女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム(PT)』(座長・矢田雅子首相補佐官)の会合を首相官邸で開き、男女間の賃金格差について都道府県別ランキングを公表しました。格差が最も大きかったのは、茨木県で、最も小さかったのは高知県だった。政府は、今回のデータを参考に各地域で実態を把握し、対策強化につなげてもらう考えだ。賃金格差は2023年の厚生労働省調査に基づき、基本給を中心とする『所得内給与』について、男性を100%とした場合の女性の賃金の割合を示したもの。格差が最大の栃木は71.0%、最小の高知は80.4%だった。経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国の平均は約88%(21年)で、日本全体でなお開きは大きい。賃金格差の大きい地域では、女性の管理職比率や平均勤続年数、正規雇用率なども低い傾向がみられた。矢田氏は会合終了後、都道府県別の順位について『首都圏に近いところは(女性が)流出しやすい』ため、結果として残る人の中で非正規労働者の割合が高くなることで格差が広がった面もあると説明した。一方、調査結果からは格差が小さい地域でも、『夫が外で働き、家を守る』といった性別による役割意識の強さがみられたという。岸田文雄首相は会合で『知見を経済界でも共有し、経済政策や地方創生の上での意識を踏まえて、取り組みを進めることが重要』と強調。PTでは、全国数カ所で企業や地方銀行、自治体関係者を交えて女性に選ばれる地域づくりに向けた『車座対話』を開き、9月中に結果をまとめる。」
山口県は、全国15位で、賃金格差は77.5%でした。
詳細を見ると、女性の就業率48.8%で、全国45位。6歳未満の子どもを持つ夫婦の育児・家事関連時間の夫婦比6.8で全国46位。平成27年地域における女性の活躍に関する意識調査49.2%で全国45位という数字もあります。
先日、私はブログで、県の女性相談支援員10名が全員非正規で、時給は、全国ワースト4位の1259円だということを紹介しました。
大企業を中心に民間の女性の賃金を引き上げていくことが大切です。
同時に、山口県が、女性の正規職員を増やし、非正規女性職員の賃金を上げることが、県全体の男女格差をなくしていく上で重要だと考えます。
男女の賃金格差を解消するために何が必要か皆さんのご意見をお聞かせください。
9月1日から、山口県パートナーシップ宣誓制度がスタートしました。
長年、議会で制度導入を要望し続けてきた議員の一人としてとても喜ばしいことだと感じています。
制度の詳細は、県ホームページの男女共同参画課の新着情報の一番上に掲載されていますので参照ください。
2日時点で、山口県提供サービスは、①県営住宅入居申し込み②犯罪被害者等に対する転居費用の助成③11月22日来場記念(県立の美術館・博物館を利用した際に記念品を配布)としています。
下関市提供サービスは、56事業。宇部市提供サービスは、21事業。山口市提供サービスは、15事業などとなっており、県提供サービスが今後増えてくることを期待します。
提供サービスがある病院は、下関市の2病院、宇部市の県立こころの医療センター、萩市の1病院、防府市の県立総合医療センターなど2日時点で15病院となっています。
民間サービスの一覧も県ホームページに掲載されていますので参照ください。
私が、7月25日付で県に照会した内容について回答がありましたので報告します。
Qスタート時点での宣誓希望カップル数
A8月19日から宣誓の予約を開始しており、8月27日現在で4件の予約を受けている。
Q職員の福利厚生などの検討状況
A事実婚のカップルを対象としている県職員の手当や休暇について、同性カップルも同様に対象とする(扶養手当、結婚休暇 等)。
Q今年度に取り組む内容は
A当事者の方々の不安や悩みにしっかり対応できるよう、弁護士による法律相談や、悩みを共有できるカフェ型相談会の開催、県・市町の相談員への研修など、相談体制を充実することとしている。また、職場でのLGBT等の方々への配慮をまとめた事業所向けハンドブックを作成し、広く普及することとしている。
いよいよ、県パートナーシップ宣誓制度がスタートしました。山口県提供サービスを増やすこと、事実婚の異性カップルのパートナーが利用できる職員の福利厚生が同性カップルでも同様に対象となるよう引き続き、要望を行っていきたいと思います。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
2014年5月21日、関西電力大飯原発3・4号機の運転差し止めを命じる判決を下した裁判で裁判長だった樋口英明さんの「南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫と言う人々」を興味深く読んでいます。
特に、「南海トラフ地震181ガル(震度5弱)問題」は圧巻です。
問題の構造を端的に示す部分の樋口さんの文章を紹介します。
「2020年3月11日に広島地裁に提起した伊方原発3号機運転差止処分の裁判のなかで、住民側は『南海トラフ地震が伊方原発を直撃したらどうなるのだろうか、どれくらいの揺れが伊方原発の敷地を襲うだろうか、それに原発は耐えられるだろうか』という誰しもが抱く疑問を四国電力に投げかけました。それに対して、四国電力は『南海トラフ地震が伊方原発の敷地を直撃しても181ガル(震度5弱相当)を超える地震は来ませんから安心して下さい』と答えたのです。181ガルという地震動の合理性を審査すべき原子力規制委員会はこれについての審査をほとんどしていませんでした。広島地裁も広島高裁も、『181ガルの地震動予測に合理性がない』という住民側の主張に対して『181ガルが信用できないというのなら、南海トラフ地震が伊方原発を直撃した場合に何ガルの地震が来るのかを住民側で立証しなければならない』といって住民側の仮処分の申し立てを却下しました。」
樋口さんは、四国電力が主張している「181ガル」の地震動について次のように指摘しています。
「四国電力は、マグネチュード9の南海トラフ地震が伊方原発を直撃しても181ガルを越えないということを、①震源の深さが41キロメートルであること、②伊方原発周辺の地盤が固いということで説明しました。しかし、震源の深さ41キロメートルは特に深い地震とはいえないし、181ガルを超える地震はわが国では地盤の固いところも柔らかいところも含めていくらでも来ている地震です。181ガルは震度5弱に相当し、震度5弱は気象庁によると、『棚から者が落ちることがある、希に窓ガラスが割れて落ちることがある』という程度の揺れです。四国電力は、南海トラフ地震が伊方原発直下で起きても原発敷地だけがまったく異空間であるというようなものです。」
樋口さんは、以上の四国電力の主張を「オウンゴール」だと指摘しています。
その上で、樋口さんは、広島高裁の判決について次のように指摘しました。
「今回の広島高裁は、住民側の主張に対して反論できずに黙ってしまった四国電力の言い分をそのまま裁判所の見解として採用したのです。裁判所が立証責任について裁判所の見解を述べる場合、言い負かされた方の四国電力の主張そのものではなく、それを深化させた理論でなくてはならないはずです。言い負かされた方の四国電力の主張そのものを裁判所の見解として採用することは、裁判所が最も大事にすべき公平性を害するだけでなく、より正当性の高い見解を積み重ね結論に至るという理論性をも失わせてしまう結果となるのです。」
樋口さんは、この章の最後に、2001年6月12日付の法務省司法制度改革審議会の意見書の次の部分を引用しています。
「ただ一人の声であっても、真摯に語られる正義の言葉には、真剣に耳が傾けられなければならず、そのことは、我々国民一人ひとりにとって、かけがえのない人生を懸命に生きる一個の人間としての尊厳と誇りに関わる問題であるという、憲法の最も基礎的原理である個人の尊重原理に直接つらなるものである」
樋口さんは、「原発事故によって、国民の最も重要な権利である人格権の中核部分『生命を守り生活を維持するという権利』が極めて広範囲に奪われる」とも述べています。
この夏、南海トラフ地震の緊迫性が高まりました。
このような中、伊方原発の裁判で問われた「南海トラフ地震181ガル(震度5弱)問題」を皆さんと一緒に考えたいと思います。
そして、原発そものについて一緒に考えていきたいと思います。
その上で、ぜひ多くの方に、樋口英明著「南海トラフ巨大地震でも原発は大丈夫という人々」を読んでいただきたいと思います。
読まれた方は、感想をお聞かせいただきたいと思います。