月別アーカイブ:2017年9月

国保料都道府県移管で上昇予想35%

 10日(日)の毎日新聞は、「来年4月に国民健康保険の運営主体が市区町村から都道府県に移る制度変更に伴い、市区町村の35%は来年度、加入者の支払う保険料が上がると予想していることが共同通信の調査で分かった。保険料の急激な上昇抑制などを目的とした国の財政支援の配分が決まっていないため、半数近くは保険料の変化を『分からない』と回答。保険料の変動幅もはっきりしていない。配分額によっては保険料が上がる自治体がさらに増える可能性もあり、国の支援に対する不安の声も上がった。高齢者や低所得者が多い国保加入者の負担増が懸念される。」と報じました。

 9日(土)の中国新聞は、「来年4月に国民健康保険の運営主体が市町から県に移る制度変更に伴う新たな保険料額(年額)について、県は8日、全19市町ごとに被保険者一人当たりの平均悲惨を明らかにした。市町独自の財源充当がなければ、岩国など9市町で最大27・6%上昇する見込み。自治体間でかかる医療費に開きがあるため。県内での保険料水準の統一に向け、地域間の格差是正に取り組む。」と報じました。

 国民健康保険の運営主体が都道府県に移る制度変更に伴い、県内でも9市町で値上げされることを山口県が試算したことは重要です。

 最初の毎日新聞の記事を含めて、国保の都道府県以降に伴う、国の抜本的な財政支援の強化が急がれています。

 10日(日)の毎日新聞は、「国保の運営移管をめぐり、市区町村とは別に、都道府県に対し共同通信が実施した調査では、22道府県が将来、市区町村の保険料を統一する方向で検討していることが分かった。現在は医療費などの状況によって市区町村の判断で保険料を決めているため、同じ都道府県内でも差がある。来年度からトド府県が各市区町村の保険料水準の明安を示す。将来統一することになれば負担は公平になるが、市区町村間の保険料や医療費の格差が多い貴意地域を中心に慎重な姿勢もみられる。7件は一本化しない方向を検討中だ。」と報じました。

 共同通信の調査では、国民健康保険料を一本化する方針が3県、一本化に向けて検討が19道府県、一本化しない方向で検討が1県、一本化しない方針が6県、未定・分からないが16都県となっています。

 山口県は、この調査に「未定・分からない」と答えています。

 8月1日付け「国保新聞」は、7月14日に、香川県高松市で厚生労働省が行った「国保四国ブロック会議」に様子を報道しています。この中で、「荻田国保課長補佐は『国と地方の議論では《市町村単位でそれぞれ医療費に応じてやってきた歴史がある。医療提供体制も違っており、それを十分尊重すべきだ》との意見が多かった』と、統一が基本ではなく、地域の判断に委ねた経過を説明した。」と報じました。

 厚生労働省の国保課長補佐が来年度からの国保料について「統一が基本でなく、地域の判断に委ねる」と発言したことは重要です。

 国保新聞は更に「同省が警戒しているのは30年度の制度施行当初に保険料が大幅に上がることだ。市町村が抱える赤字の解消について問われた荻田課長補佐は、『30年度の被保険者の影響を考えて丁寧に設計してもらいたい』と回答した。法定外繰入は対象外のため、繰入を一気に減らせば保険料に大きく響くことになる。また、同課長補佐は『実際に賦課するのは市町村。危機の積み上げなどあった場合に住民の保険料の負担感をマイルドにしていくために、それを活用するのはあり得る』と賦課段階での市町村の対応に言及した。」と報じました。

 厚生労働省の国保課長補佐が、市町村による法定外繰入を保険料値上げ回避のために「活用することはあり得る」としたことは重大です。

 国民健康保険料の大幅値上げで、短期保険証や資格証明書の発効も市町村では相次いでいます。

 今でも国民健康保険料は「払いたくても払えない」のが現状です。

 厚生労働省が、国保の運営主体を都道府県にする目的が「財政の軽減」なら今からでも中止しなければなりません。

 あくまでも国保の運営主体の都道府県化を進めるというのであれば、国民健康保険料が上がらない努力をまず、国が行うべきです。国は、国保への財政支出を抜本的に増やすべきです。

 その上で、都道府県や市区町村が国保への繰り入れを行い保険料の上昇を回避すべきです。

 更には、来年度以降も国民健康保険料が上がらないように持続的な財政支出を国が行う必要があります。

 国民健康保険の運営主体が来年度から都道府県に移管され、多くの自治体で保険料が増加することが見込まれています。

 このことを皆さんはどうお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。

 

映画「標的の島 風かたか」

 三上智恵監督の映画「標的の島 風かたか」を防府市公会堂で観ました。

 三上監督の「標的の村」「戦場ぬ止み」に続いて三上作品の鑑賞制覇です。

 「風かたか」とは、「風よけ」「防波堤」を意味する沖縄県の方言です。

 三上監督はこの映画の意義を映画パンフレット「ディレクターズ・ノート」でこう書いています。

 「できることなら、世間の強い雨風から我が子を守ってやりたいというのが親心。でも、どうやったら日米両政府が沖縄に課す残酷な暴風雨の防波堤になれるというのか。しかし勝算はなくても、沖縄県民は辺野古・高江で基地建設を進めるトラックの前にたちはだかる。沖縄の人々は、未来の子供たちの防波堤になろうとする。一方で日本という国は今また、沖縄を防波堤にして安心を得ようとしている。中国の脅威を喧伝しながら自衛隊のミサイル部隊を石垣、宮古、沖縄本島、奄美に配備し、南西諸島を軍事要塞化する計画だ。その目的は南西諸島の海峡封鎖。だが、実はそれはアメリカの極東戦略の一環であり、日本の国土も、アメリカにとって中国の拡大を封じ込める防波堤とみなされている。この映画はそれらの三つの「風かたか」=防波堤を廻る物語である。」

 アメリカの中国の拡大を封じ込める防波堤とは、映画のパンフレットの別の所にこう書かれてあります。

 「なぜ今、先島列島を軍事要塞化するのか?それは日本列島と南西諸島を防波堤として中国を軍事的に封じ込めるアメリカの戦略『エアシーバトル構想』の一環であり、日本を守るためではない。」

 昨夜、NHKスペシャル「沖縄と核」が放映されました。

 日本がアメリカに返還される前、沖縄には最大で1300発の核兵器が貯蔵されていました。

 キューバ危機の際には、核爆弾を発射する基地が沖縄本土に建設されました。

 当時、沖縄の核弾薬庫に従事していた元兵士が「キューバ危機の際には、核戦争にいつでも投入できる態勢だった。標的は中国だった。」と語りました。そして、元兵士は「もし、沖縄から核爆弾が発射されると沖縄は終わると思った。ソ連が沖縄を標的にしない訳がない。」と語りました。

 アジア太平洋戦争では、沖縄は本土決戦の捨て石となり、沖縄は、連合軍の標的になりました。

 米ソ冷戦の時代には、沖縄に核が集中し、沖縄は、ソ連側の標的になりました。

 そして、今、中国を軍事的に封じ込めるアメリカの軍事戦略「エアシーバトル構想」により、先島諸島にミサイル基地が建設され、沖縄は、中国側の標的にされようとしています。

 映画の中で、石垣島で、自衛隊ミサイル基地建設推進派の方が、反対派の住民に「ミサイル基地が建設されると、なぜ、石垣が標的になると考えるのか。」と反論する場面がありました。昨夜の米ソ冷戦時代に核爆弾の貯蔵庫に従事した元兵士の発言を聴いて戦争の道理が分かりました。

 敵からみれば、自分たちを討つ基地を狙うのは当然です。

 映画のパンフレットに、「『標的の島』とは、沖縄のことではない。それは今あなたが暮らす日本列島のこと。」とありドキリとしました。

 アメリカの「エアシーバトル構想」=中国封じ込め作戦でアメリカが防波堤にしようとしているのは、先島諸島や沖縄本島、奄美諸島だけではありません。大国中国を封じ込める防波堤には、日本列島が含まれているのです。

 そして、私が住む、山口県には、海兵隊岩国基地があります。空母艦載機部隊が移駐して東アジア最大の基地になろうとしています。中国などから観れば、まさに岩国は標的の基地の一つになることは明らかです。

 この映画を観て、私は改めて、未来の子どもたちの防波堤になろう「風かたか」になりたいと思いました。

 日米両政府が沖縄に課す残酷な暴風雨から子どもたちを守ろうと今日も運動を続けている沖縄の人たちと連帯して力を尽くしていこうと思いました。

 沖縄を知ると日本と世界が観えてきます。

 これからも沖縄から様々なことを学んでいきたいと思いました。

 三上監督、今回も私たちを励ます映画をありがとうございました。

 闘いは続きます。三上監督には、新しい沖縄を伝え、私たちを励ます映画を製作していただきたいと思います。

 「標的の島」シリーズ第4作に期待しています。

 11月には、姪の結婚式で沖縄に行きます。少しの時間ですが、沖縄の今を学んできたいと思います。

 映画「標的の島 風かたか」をご覧になったみなさん感想をお聞かせ下さい。

オスプレイ説明なく岩国基地へ

 大分空港に10日間滞在した米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイが岩国基地に移動しました。

 9日土曜日のしんぶん赤旗日刊紙の報道を引用します。

 「大分空港に緊急着陸し、10日間にわたり整備を続けていた米海兵隊普天間基地所属のMV22オスプレイは8日午前10時35分、大分空港を離陸し、10時51分に米軍岩国基地に着陸しました。同機は前日の7日にエンジンから多量の白煙を上げており、十分な説明もない米軍に批判の声があがっています。同機は着陸の約1時間前からエンジンを始動させ、ヘリコプターモードに切り替えて整備士が機体回りを点検した後、爆音を上げて飛び立ちました。」

 オスプレイは、昨日、岩国基地から普天間基地に飛び立ちました。

 今朝の読売新聞の報道を引用します。

 「大分空港に8月29日に緊急着陸した米軍の輸送機オスプレイは9日、所属する米軍普天間飛行場に帰還した。」「同機は米軍岩国基地から普天間飛行場に向かう途中、大分空港に緊急着陸。着陸後、右エンジン付近から白煙と炎が上がった。同空港でエンジン交換作業などを行い、8日に岩国基地に移動していた。」

 今回大分空港に緊急着陸したオスプレイは、今年6月に米軍伊江島補助飛行場に緊急着陸し、大分への緊急着陸の前日に、岩国基地で白煙を上げたことが分かっています。

 このオスプレイは、整備不良のまま、日本中を飛行していたことになります。

 そして、日米両政府は、トラブルの原因について何も説明しないまま、岩国基地を経由して普天間基地にこのオスプレイを移動させました。

 極めて住民の命を軽視する対応と言わなければなりません。

 オスプレイの国内での飛行の停止と、オスプレイの普天間配備撤回が求められていると思います。

 大分空港に緊急着陸したオスプレイが岩国基地を経由して普天間基地い帰還しました。

 みなさんはこの問題をどうお考えですか。お教え下さい。

日本共産党演説会

 本日、山陽小野田市で日本共産党大演説会が行われ、約150名の市民が参加しました。

 この秋たたかわれる、山陽小野田市議選に立候補を予定している中島・山田市議と寺岡さんと、阿武町議選に立候補する米津さんと小選挙区山口3区予定候補の私を時田北南地区委員長が紹介しました。

 そして、私と、山陽小野田市議選の3人の候補が訴えました。

 メイン弁士は、辰巳孝太郎参議院議員です。

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 山陽小野田市で訴える辰巳孝太郎参議院議員

 辰巳議員は、「日本共産党の躍進で、参議院の予算委員会の理事を務めている。予算委員会の運営に直接関われるようになったのも日本共産党の躍進の力だ。」と切り出しました。

 辰巳議員は、米朝問題について、「世界は、二国間の直接対話を求めている。直接対話を否定する日本政府の姿勢は、世界の流れに逆行している」と訴えました。

 辰巳議員は、日本共産党国会議員団の森友・加計問題追及委員会の責任者。これらの問題を丁寧に訴えました。

 辰巳議員は、森友問題について「財務省は、深さ9.9メートルまで大量のゴミがあることを理由に、大幅な国有地の値引きを行った。しかし、森友学園が行ったボーリング調査の資料を国の機関に観てもらったら、3メートル以下に埋設物はないという結果だった。財務省が森友学園に公有地を大幅値引きした根拠は崩れている」と訴えました。

 辰巳議員は、加計学園について「安倍首相は、この間、加計孝太郎氏と食事やゴルフを15回行っている。安倍さんは国会で、『加計さんにおごってもらったことがある。』と答弁している。安倍さんが加計さんが国家戦略特区で獣医学部を新設したいということを知っていて、食事の提供を受けたら、大臣規範に違反して総理大臣を辞職しなければならない事態になるので、これを回避するために、今年1月20日に知ったと答弁している。このような答弁は認められない。」と訴えました。

 辰巳議員は、来る総選挙について「参議院選挙では、32の一人区で11人の野党統一候補が当選した。衆議院の280の小選挙区で野党統一候補が実現できれば、戦争法を廃止できる国会をつくることができる」と訴えました。

 最後に辰巳議員と候補者が参加者の激励に応え手を取り合って万歳をしました。

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辰巳議員を中心に万歳をする候補者(右端が私)

 私が、訴えた要旨は以下の通りです。

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山陽小野田市の演説会で訴える私(3区候補)

・・・

 日本共産党大演説会にご参加の皆さん衆議院山口3区予定候補の藤本一規です。私は、現在、宇部市立厚南中学校のPTA会長を務めています。今日は、秋季大運動会です。先程、PTA会長としての挨拶を行いました。
 今年の運動会のスローガンは「限界突破~自分の精一杯をこえて~」です。力の限り競技に挑む生徒たちに励まされてきました。
 「安倍9条改憲No!憲法生かす全国統一署名」がスタートしました。
19人の発起人の一人の瀬戸内寂聴さんが、明日付けのしんぶん赤旗日曜版のインタビューに答えておられます。瀬戸内さんが岩手県で法話をした後、中学生の男の子が手を上げて「ぼくは死にたくありません」と質問しました。瀬戸内さんが「どうして」と聞くと、男の子が「このままでいけば、憲法9条が改定されそうです。するとぼくは戦争に行かされる。それは嫌です。日本はどうなるのでしょう」と聞きました。瀬戸内さんは、「あなたの言う通りよ。あなたが戦争に行きたくないなら、嫌だと胸を張って言いなさい。憲法はまだ生きています。」「でも、あなたの不安は正しい。日本の政府は戦争のできる憲法に改定しようとしています。憲法が改定されないように、たたかいましょう。一緒に頑張ろうね」と話しました。
今月の23日には、私が事務局長をしている総がかり行動うべ実行委員会主催で精神科医の香山リカさんの講演会を行います。香山さんも「全国統一署名」の発起人の一人です。香山さんは、戦争法が強行された時、「私はもう誰にも遠慮せず、何にも忖度せず、自由と民主主義のためにジブンができるあらゆることをやっていこう」と決意したと述べています。
 安保法制に反対するママの会のスローガンは「誰の子どもも殺させない」です。私は、4人の子どもを持つ父親として、PTA会長として、誰の子どもも殺させないために、安倍改憲NO!の声を山口3区から国会に届けていくために力を尽くします。どうか総選挙で藤本へのご支援お願いします。
当面する山陽小野田市議選、阿武町議選の日本共産党候補の全員当選のために、皆さんの先頭に立って頑張る決意を述べて私の挨拶を終わります。

・・・

 暑い中、ご参加いただきました皆さんに感謝いたします。

 当面する山陽小野田市議選で日本共産党の候補にご支援をお願いいたします。

 安倍首相の国政私物化をどうお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。

「ヒストリア」読書ノート①

 沖縄県出身の作家である池上永一さんの最新刊「ヒストリア」を読み始めました。

 本の帯の文章を紹介します。

 「第二次世界大戦の米軍の沖縄上陸作戦で家族をすべて失い、魂(マブイ)を落としてしまった知花煉。一時の成功を収めるも米軍のお尋ね者となり、ボリビアへと逃亡するが、そこも楽園ではなかった。移民たちに与えられた土地は未開拓で、伝染病で息絶える者もいた。沖縄からも忘れさられてしまう名か、数々の試練を乗り越え、自分を取り戻そうとする煉。一方、マブイであるもう一人の煉はチェ・ゲバラに出会い恋に落ちてしまう・・・。果たして煉の魂の行方は?著者が20年の構想を経て描破した最高傑作!」

 私が読んでいるのは、煉が「第二次世界大戦の米軍の沖縄上陸作戦で家族をすべて失」う場面です。

 この小説の冒頭、米軍の沖縄上陸作戦の状況が文学に昇華して見事に表現されています。

 米軍の沖縄上陸作戦といっても三段階あったのですね。

 まずは、空襲。鉄の雨が降る様子を池上さんはこう表現しています。

 「空襲は回遊魚の産卵に似ていた。火薬を含んだ卵塊を抱えて空を泳ぐ魚の群れが一斉に産卵する。命を増やすか殺すかの違いはあるが、ある種の営みを感じさせる。」「

 次に、軍艦からの艦砲射撃。

 艦砲射撃の様子を池上さんはこう表現します。

 「海が黒い緑に囲われたのを見た。数千の軍艦が堤防を作るように幾重にも島を囲んでいるではないか。」「艦砲射撃の勢いは弥増す。あの日見た光景の横倒しの世界だった。火が壁になって村をなぎ倒していく。回遊魚の産卵を彷彿とさせた空襲は、ほんの小手調べであった。アメリカ軍の本陣は海にいたのだ。途切れなく炸裂する砲弾は地鳴りになって大地を揺さぶり続けた。」

 そして、戦車の上陸です。

 池上さんはこう表現しています。

 「艦隊は消えることもなく、無数の上陸艇を放って島を目指していた。彼らは上陸部隊を無傷のまま投入するために、今まで空襲と艦砲射撃を繰り返していただけだったのだ。」「浜に上陸してくるアメリカ兵たちこそ、戦争の主役であった。やすやすと浜に上陸したアメリカ軍は戦車部隊を投入し、無数の歩兵たちが砂浜を黒く染めていく様を茫然と眺めた。私は戦争は今から本番で、前座の賑やかしが終わったことだけと理解した。私はたった数日の戦争だけで壊れてしまったのに、これ以上どうやって自身を保っていたらいいのかわからなかった。」

 対する日本兵に池上さんは手厳しい批判の筆を振るいます。

 「戦況をより悪化させたのは日本軍のせいだ。どう見ても劣勢なのがわからないのだろうか。海から一万発の砲弾が飛んできたら、一発撃ち返すのが精一杯だ。やがて十万発に一発の反撃になり、百万発に一発になり、一千万発に一発と、負け戦を徒に長引かせている。降伏さえすればこの地獄は終わるのに、どこに勝機を見いだしているのかさっぱりわからない。」「世界中を敵に回したような数の軍艦を相手に降伏しない馬鹿がどこにいるのだろうか。子供でもわかる論理だ。否、獣でさえ数で劣勢と知るや尻尾を巻いて逃げていく。しかしそれでも戦争を続けるのが人間というものなのだ。もはや勝敗など関係なく、戦争を続けることが目的化していた。初期にあった国民の生命と財産を守るという大義名分はどこにもなく、ほとんどの人が財産を取り上げられ、命を差し出してまで戦争を続けさせられた。」

 池上さんは、1970年生まれで戦争体験は当然ありませんが、沖縄県出身の作家として、『鉄の暴風』といわれる激しい戦闘が沖縄で展開された事実の描写は秀逸です。

 県民の4名に一人が犠牲になり、地上は山の形が変わるほどに破壊された沖縄の想いをこの作品が具現化しています。

 今日、沖縄戦は、本土決戦をひきのばすための『時間稼ぎの捨て石作戦』だったと言われています。

 まさに「戦争を続けることが目的化」された沖縄戦だったことがこの作品でよく理解できました。

 アメリカは再び沖縄周辺を「バトルフィールド」にしようとしていると言われています。

 池上文学で沖縄戦の実情を追体験したいと思います。

 600ページを超す大作「ヒストリア」を最後まで読みたいと思います。

 ひとえに「戦争を終わらせる」ために。

 池上永一ファンの皆さんお勧めの作品をお教え下さい。

時代とフザケた男

 NHKドラマ「植木等とのぼせもん」が先週から始まりました。

 このドラマの原案である「のぼせもんやけん」は入手できませんでしたが、小松政夫さんの近著「時代とフザケた男」を読みました。

 NHKドラマは、小松政夫さんが、植木等さんの付き人兼運転手になった所から物語は始まります。

 「時代とフザケた男」に掲載されている「小松政夫の仕事略年表」を見ると、小松さんが植木等さんの付き人兼運転手になったのが、1964年。ちょうど私が生まれた時です。

 小松さんは、翌年、バラエティー番組「シャボン玉ホリデー」に出演し、芸能生活をスタートさせ、芸歴50年を越えました。

 私たちの世代で、小松さんと言えば、バレエティー番組「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」での小松さんです。

 先述した年表によると「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」が放映されたのが、1976年です。

 私が小学校6年生の頃にスタートした番組でした。小松さんが30代中盤の頃ですね。

 この番組でヒットした「電線音頭」「しらけ鳥音頭」は今でも私の脳裏から離れません。

 「チュチュんがチュン 電線にスズメが三羽止まってた それを猟師が 鉄砲で撃ってさ 煮てさ 焼いて 食ってさ ヨイヨイヨイヨイ おっとっとっと」

 「しらけ鳥 飛んでゆく 南の空へ みじめ みじめ しらけないで しらけないで しらけたけれど みじめ みじめ~」

 小松さんは、現在75歳。「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」以後も、数々のバライティ―や映画・ドラマで大活躍です。

 小松さんは、植木等さんに初めて会った時の事をこう書いています。

 「初めて会う植木のオヤジはね、グリーンとホワイトのタテジマの、カシミヤのカーディガンを着てた。『君が松崎くんか、植木等です』光ってるの。優しいオーラがカッチョよくっね。ああこの人のためならなんでもしよう!って思いましたよ。」

 小松さんのターニングポイントだったんですね。

 ドラマ「植木等とのぼせもん」の中で、植木等演じるのが、山本耕史さんです。植木さんのお父さんを演じるのは、伊東四朗さんです。伊藤さんは、「ベンジャミン伊東」として、小松さんと一緒に「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」に出演した方です。

 そして、小松さんが、淀川長治さんのモノマネで、登場します。

 伊東四朗さん演じる植木等さんのお父さんは、真宗の僧侶でもあった方です。

 植木さんが「スーダラ節」を歌うことになった時、お父さんが、「あの歌詞には、親鸞の教えに通じるものがある」というシーンが1回目のドラマに出てきました。

 「わかちゃいるけど、やめられない。ここのところが人間の弱さを言い当てている。親鸞の教えに通じる。」

 植木等さんは、「夢を食いつづけた男-おやじ徹誠一代記」を書いています。

 この本の後半部分に、スーダラ節は親鸞の教えという部分が出てきます。

 私は、20代の頃、植木さんが書かれたお父さんの人生をかかれた本に出会いました。

 植木さんのお父さんの徹誠さんは、戦前は、労働運動、水平社運動に関わり、治安維持法違反で逮捕・投獄されていました。

 戦後は、民商運動に参加されました。日本共産党員でもありました。そして、戦前・戦後と浄土真宗の僧侶をされていた方でもあります。

 植木さんは、お父さんの人生を冒頭に「支離滅裂だったと言うしかない」と書いていますが、表題は「夢を食いつづけた男」としているところは、お父さんへの敬愛を感じます。

 社会変革運動に深く関わりながら浄土真宗の教えとともに歩まれた植木徹誠さんの人生を私の人生とも重ねています。

 こんな想いで、伊東四朗さん演じる植木さんのお父さんを応援している私がいます。

 とにもかくにも、NHKドラマ「植木等とのぼせもん」をこれからも観ていこうと思います。

 そして、コメディアン小松政夫さんをこれからも応援していきたいと思います。

 NHKドラマ「植木等とのぼせもん」の感想をお聞かせ下さい。