月別アーカイブ:2023年1月

香田洋二著「防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態」を読む

 元海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)の香田洋二さんの「防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態」の内、第二章の「イージスアショア問題が浮き彫りにした防衛省の独善」を読みました。例えば第7章「憲法改正は自衛隊の悲願」など本書の主張とは意見が違う点はありますが、イージスアショア計画が浮上して、可能な限り、現場に立ち、防衛省の説明を聴いてきたものとして、この本の第二章は、興味深いものでした。
 香田さんは、本書のはじめにこう書いています。
 「日本の防衛が抱える構造的欠陥が暴露したのは、2020年、政府が地上配備型弾道ミサイル迎撃システム『イージスアショア』の配備を断念し、イージスシステムを船舶(海上プラットホーム)に搭載する案に乗り換えたときだった。一連の過程では、国民に十分な説明を行わず、そして、防衛省内でも十分な検討もせず、行き当たりばったりで判断を下す体質が改めて明らかになったという現実だ。」
 イージスアショアに関し迎撃ミサイルSM3発射直後に切り離される加速用ロケットであるブースターが、市街地に落下するのではないかという疑問に、防衛省が「ブースターは演習場内か海上に落下させられる」と住民に当初説明しました。
 この説明に、香田さんは「防衛省がこんなとんでもない説明をしたのは、善意に解釈すれば『その時点での窮地を切り抜けるために根拠なく拙嗟に答えてしまった」のであり、悪く言えば『後先を考えずに現地の方を欺いた』ということになる。」と厳しく批判しています。
 防衛省は結局、「ブースターを制御するためには2000億円の追加費用が必要」などの理由で、2020年6月にイージスアショア断念を明らかにしました。
 同年12月には菅首相が、「イージスシステム搭載艦」2隻の運用という大胆案を示しました。
 イージスアショア断念からイージスシステム搭載艦へのプロセスについて香田さんは「驚くのはこの結論を出すまでの短さである。(中略)その根底にあるのが、国民に対する防衛省の責任感の欠如と、高価格・高性能装備を国民の前で一点の曇りなく説明し、導入を実現しようという防衛省の決意と覚悟の欠落であるように思えてならない。」とこれまた厳しく批判しています。 
 香田さんは、イージスシステム搭載艦のライフサイクルコストについて「2020年5月の『朝日新聞』によると、防衛省の資産ではイージスシステム搭載艦のライフサイクルコストは9000億円ちかくになったという。これに対し、イージスアショアのライフサイクルコストは2019年時点で約4400億円と見積られていたので、改修費2000億円を上乗せしても6400億円にとどまる。イージスシステム搭載艦のライフサイクルコストは1兆円以上に膨らむ可能性も指摘されている。このまま現在の事業を進める場合、原計画のイージスアショアと今のイージスシステム搭載艦の間で2倍程度の経費差が生じる恐れさえある。」とこれまた厳しく指摘しています。
 香田さんは、この章の最後に「多額の費用が追加で発生しても、要求して当然といわんばかりの態度でイージスシステム搭載艦事業を推進する防衛省。倫理観と責任感のかけらさえ感じられない。いまの防衛省は日本と日本国民を武力で守る自衛隊を監督する省としてふさいわしいのだろうか。問われているのはこの問題だ。」と痛烈に批判しています。
 2018年に防衛省が行ったイージスアショアに関する「第二回説明会資料24ページ」は、「我が国全域を防護する観点から、北と西にバランス良く2基を配置するためには、どのような場所にイージスアショアを配置するのが適当か数理的な分析を実施。結果、多くの地域を防護するためには日本海側に配置するのが適当か数理的な分析を実施。さらに分析を重ね、山口県付近と秋田県付近にイージスアショアを配置した場合、2基で最もバランス良く我が国全域を防護することが見込まれた」としました。
 そうなると、イージスシステム搭載艦の配置も、萩市沖と秋田市沖になるのではないかと、萩市の住民の不安は解消されていません。
 防衛省の有力なOBの香田さんからイージスシステム搭載艦についてこれほどまでの疑問が出されていることに防衛省は真摯に向き合い、計画を最初から見直すべきだと考えます。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

県議会報告(かえる通信)2023年2月1日(No94)

6分野129項目の新年度予算要望を村岡知事に行いました

 昨日、日本共産党山口県委員会と同県議団は、村岡知事に対し、「誰ひとり取り残さず、県民の声がいきる山口県に―2023年度県予算編成に対する重点要望書-」を手渡し、2023年度予算編成並びに新年度の施策に反映させるよう申し入れました。

 この申し入れには、吉田貞好県委員長、河合喜代、吉田達彦両副委員長、東部地区委員会の大西明子県政対策委員長、木佐木大助県議と私が出席しました。

   新年度予算要望書を手渡しました(左から村岡知事、吉田県委員長、木佐木県議、私、大西県議候補、河合県議候補)

 重点要望は、6分野、129項目です。6分野は次のとおりです。

 ①コロナ過と物価高騰が直撃-県民の暮らし応援へ

 ②止まらない県外流出ー誰一人取り残さない県に

 ③加速化する地域衰退ー安心して住み続けられる地域づくりを

 ④地方自治の本旨に基づきー県民福祉の向上に資する「デジタル改革」に

 ⑤大軍拡、改憲ストップー戦争国家づくりは許さない

 ⑥「自民党への悪しき配慮」を根絶し、-県民主人公の県政運営を

 特に、コロナ過と物価高騰の直撃を受けている県民の暮らし、営業に対する支援強化、憲法や地方自治をないがしろにしている歪んだ県政運営の是正を求めました。

 また、米兵犯罪が野放しにされている問題を取り上げ、犯人の検挙と被害者への損害賠償を国、米軍に要請するよう求めました。

 要望書の全文は以下の通りです。

・・・

誰ひとり取り残さず、県民の声がいきる山口県に
2023年度県予算編成に対する重点要望書

山口県知事
村岡 嗣政 様

                                                                                                                                                                                                                          2023 年 1 月 23 日

                                                                                                                                                                                                                               日本共産党山口県委員会

                                                           委員長  吉田  貞好

                                                           副委員長 河合  喜代

                                                              〃 吉田  達彦

                                                      日本共産党山口県東部地区委員会
                                                        県政対策責任者 大西  明子
                                                      日本共産党山口県議会議員団
                                                           団  長  木佐木大助
                                                           幹事長  藤本  一規

 県民の生活は、コロナ禍と物価高騰のダブルショックが直撃し、かつてない苦境に立たされています。
 山口県の産業政策は、大企業のぼろ儲けを手助けする「アベノミクス」の山口県版そのものであり、事業所数では9割、従業員数では7割を占めている中小零細企業の経営支援に不可欠の中小企業振興条例や小規模企業振興条例の策定は見送られるなど、冷遇されたままです。
 地域に目を向けると、県押しつけの市町村合併と中心部優先の大型開発、小規模な農林漁業の切り捨て、農協、漁協の合併、小中高校の統廃合などにより、旧町村部の生活基盤はズタズタにされ、目を覆うばかりの衰退が続いています。
 米軍岩国基地は、空母艦載機移駐後も、海兵隊航空部隊の増強、空軍外来機の一時駐留に加え、港湾施設に大型軍艦の寄港が相次ぐなど、基地機能の強化が加速しています。加えて自衛隊も山陽小野田市への宇宙監視レーダー基地の建設、地上配備用のイージスレーダーを搭載した新たなイージス艦の山陰沖への配備も取りざたされるなど、軍備拡大がすすめられています。
 ウクライナ危機による輸入燃料価格の高騰に乗じて、岸田政権は原発の再稼働を急ぎ、次世代型原発の新設を口にするなど、「原発回帰」の動きを加速させ、停滞している上関原発計画をごり押ししようとする策動も強まっています。
 いまこそ県政が、自公政権による悪政の「防波堤」となり、地方自治の精神に立って、住民の切実な願いを実現する先頭に立って奮闘する時です。
よって日本共産党山口県委員会と県議会議員団は、山口県に対し、2023年度予算編成において、以下に掲げる重要かつ緊急な県民要望を反映させるよう要望します。

1,コロナ禍と物価高騰が直撃―県民の暮らし応援へ

 自公政権は、40年にわたって社会保障削減の政治を続け、この20年間は社会保障予算の「自然増」を、毎年、数値目標を決めて削減する政治を続けてきました。こんなことをすれば、医療や公衆衛生が脆弱(ぜいじゃく)になるのも当然です。医療崩壊と保健所の機能マヒを再び起こしてはならない――これはコロナ危機の痛苦の経験を踏まえた政治の重い責任です。
 歴代の自公政権の社会保障削減策の中で、国の社会保障削減に追随してしまうのか、地方自治体が「住民福祉の増進」=住民の福祉、命と暮らしを守るという本来の使命を果たすかどうかが、問われています。
 政府に住民福祉拡充と地方自治を保障する財源の確保を求めるとともに、コロナ感染拡大と物価高騰対策に活用できる「交付金」も活用し、切実な住民要求にこたえるべきです。

《新型コロナ対策》
●介護、医療、教育、保育施設などへの頻回検査を県の責任で行うこと。
●地域医療への支援を強化し、感染者や疑いのある人が十分な検査と医療を受けられるようにすること。
●救急など「コロナ以外」の医療の逼迫(ひっぱく)が起こらないようにする体制を強化すること。
●ワクチンの有効性・安全性について積極的な情報発信を行い、希望する人への安全・迅速な接種をすすめること。
●「地域医療構想」を名目にした急性期病床削減計画を中止し、拡充に切り替えること。
●感染症病床の増床、救急・救命体制の抜本的強化に取り組みます。
●政府がすすめる医師の削減計画を中止させ、「臨時増員措置」を継続すること。
●保健所機能を拡充するため、廃止された玖珂、大島、厚狭、美祢、豊田支所を復活させ専門職員も大幅に増やすこと。

《消費税、税制》
●消費税は5%に緊急減税し、零細な事業者やフリーランスを苦しめるインボイス導入は中止を求めること。
●各種の優遇税制で巨額の利益を上げ続けている富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改正を求めること。
●500兆円に達しようとしている大企業の内部留保の一部に課税し、それを財源にして中小企業の最低賃金引き上げを支援するよう求めること。
●納税が困難になっている事業者には、消費税の減免措置を実施するよう求めること。
●コロナ禍の「ゼロゼロ融資」を「別枠債務」にして、事業継続に必要な新規融資が受けられるよう国に求めること。

《国保・介護》
●国・県に公費負担の増額を求め、高すぎる国保料(税)を「協会けんぽ」並みに引き下げること。
●税・国保料の強権的取り立てをやめさせ、不当な差し押さえなどは許さないこと。
●介護保険料・利用料の軽減・減免をすすめること。
●無年金や国民年金のみの低所得者でも特養ホームに入所できるよう入所費用支援制度を創設するとともに、通所・在宅介護の拡充・改善をはかること。
●軽度・中程度の難聴に悩む高齢者が補聴器を購入する場合、1 回4万円程度を助成する制度をつくること。
●医療、介護、保育などケア労働者の待遇改善につながる諸事業に取り組むこと。

《生活保護》
●生活保護の受給基準を削減前の水準に戻し、窓口対応の改善など、必要な人がみんな受けられる制度にしていくこと。
●公共交通機関の利用が困難で、通院や通勤に不可欠な場合は、生活保護世帯の車保有を認める運用改善をすすめること。

《障害者》
●重度心身障害者医療費助成制度の対象を身障者手帳4級所持者まで広げること。
●障害者の働く権利、教育を受ける権利を守り、差別解消に取り組みむこと。

2,止まらない県外流出―誰ひとり取り残さない県に

 この5年間で県人口は140万8588人から134万458人と6万8130人(5.2%)減少しました。転出者が転入者を上回る「社会減」は4,141人(2021年)で、2年連続の増加です。とくに20~30代の人口流出に歯止めがかかっていません。自公政権が掲げてき
た「東京一極集中の是正」は看板倒れです。
 県内の就業者の月給は、2016年の33万8811円から20年は31万8951円と約2万円減少。15年を100とした物価変動を加味した実質賃金は、91.2と8.8ポイントも減少しています。
 最低賃金の引き上げを通じて、労働者全体の賃金底上げをすすめます。子育て支援や教育条件の向上、ジェンダー平等の推進などを通じて、誰ひとり取り残さない県をめざしましょう。

《労働者》
●中小企業への賃上げ支援の抜本的強化と一体に、最低賃金を時給1500円(月給 22 万5000 円程度)への引き上げを求めること。
●非正規から正規雇用への転換に取り組む企業への奨励金支給など、安定した雇用を守り、増やすこと。
●企業内での各種のハラスメント被害者の相談窓口を各県民局単位に設置すること。
●知事部局、県警、県教委のすべての職員の月45時間を超える時間外勤務をなくすため、定員増をすすめる。
●会計年度任用職員など非正規雇用の「使い捨て雇用」をやめさせ、希望すれば正規雇用にすることを義務化すること。

《若者の就職・定住支援》
●未就職者や中途退職者を対象に、職業紹介、福祉制度、住居確保などの相談が一緒にできる「ワンストップ・サービスセンター」を各県民局に設置すること。
●労働法違反が常態化したブラック企業・ブラックバイトは厳しく規制すること。
●県内の高校、大学、短大、専門学校等の卒業生の正規雇用化をすすめるため、国の「キャリアアップ助成金」(有期の非正規を正規化した場合、1 人 57 万円等)に県独自に 50 万円上乗せする制度をつくること。
●農林漁業への新規就労者を対象にした支援制度を拡充し、「半〇半X」(農林漁業との兼業)も対象にするなど、制度拡充をすすめること。

《子育て》
●認可保育園(所)の増設、保育士の処遇改善をすすめ待機児を解消すること。給食費も含めた幼児教育・保育の無償化をすすめること。
●学童保育を拡充し、待機児童をなくすこと。指導員の資格と配置の「基準」の堅持、指導員処遇の改善などをすすめ、子どもの安全を守ること。
●「山口県乳幼児医療費助成事業」は、所得制限、窓口負担を撤廃するとともに、対象年齢を高校卒業までに広げ、すでに先行実施している市町の負担軽減につなげること。
●学校給食費の無料化を実施する市町に対し、所要額の2分の1を支給する制度を創設すること。
●市町と折半で、18歳以下の子どもにかかる国保均等割を免除する制度をつくること。

《学校教育》
●県費で教職員を増やして、小中高校の30人以下学級をすすめること。
●国に教職員定数の大幅増を求め、教員不足、45時間以上の時間外勤務の解消をすすめること。
●県立学校のすべての特別教室や体育館へのエアコン整備を急ぎ、すべてのトイレの洋式化を目標にした計画を策定し、年次的に改善をすすめること。
●就学援助制度の所得制限の緩和、奨学金拡充などで教育費負担を軽減すること。
●市町に対し、就学援助制度の補助対象品目にPTA会費、生徒会費、卒業アルバム代などを追加するよう働きかけること。
●県立高校の校則については、生徒の意見を尊重し、人権やプライバシー侵害にあたるものは直ちに撤廃するよう求めること。
●県立宇部西高校や同高森みどり中学校の廃止など、一方的な学校統廃合に反対し、住民合意で小規模校を残す取り組みを支援すること。
●朝鮮学校等に対する「私立外国人学校特別補助金」を当初予算に計上すること。

《ジェンダー平等》
●地方の政策・方針決定、意思決定の場に女性の平等な参加を保障するとともに、女性差別やハラスメントをなくすこと。
●同性カップルであることを届け出ると、公営住宅の入居や、病院での手術の同意や立ち会いの際、親族同様の扱いを受けることを可能にする「同性パートナーシップ条例」をつくること。
●選択的夫婦別姓の導入、同性婚を認める民法改正を国に求めること。
●「生理の貧困」をなくすため、生理用品を安価で入手しやすくするとともに、職場や学校などで生理に関する知識や理解を深め、女性が過ごしやすい環境を整えること。
●セクハラ・DV被害者の支援施策を強化すること。性暴力対策を抜本的に強めること。
●へイトスピーチ、LGBT差別などを許さず、民主主義と人権を守る積極的施策をすすめること。

3,加速する地域の衰退―安心して住み続けられる地域づくりを
 大型開発・産業基盤(インフラ)整備や補助金の大盤振る舞いが地方財政を圧迫し、暮らしや福祉、中小企業や地場産業のための施策が犠牲にされ、それが地域経済の疲弊に拍車をかけています。
 企業利益を最優先する「新自由主義」に基づいた県版「アベノミクス」とは決別し、県民の所得を増やし、家計をあたため、消費と需要を活発にして、経済を立て直す、経済政策への転換が急がれています。
 また、不要不急の大型開発から生活密着・地域循環型に、防災・老朽化に備えた維持・更新を重点にした公共事業を積極的にすすめることが急務です。
《中小企業》
●中小企業振興条例・小規模企業振興条例を制定し、すべての中小企業・地場産業・商店街を視野に入れた振興・支援策に転換すること。
●「企業立地推進補助制度」については、対象を中小企業に限定した上で、正規雇用の拡大やゼロエミッションに取り組む企業を優遇するなど、制度を改組・拡充すること。
●コロナ危機と物価高騰から営業を守るため、事業復活支援金を持続化給付金並みに拡充して再支給し、家賃支援給付金を復活するよう求めること。
●住宅・店舗リフォーム助成や小規模工事登録制度を創設・改善すること。
●自治体が発注する公共工事・業務委託等に従事する従事者の賃金・報酬下限額を設定し、自治体・受注者の責任等を契約事項に加えることを定めた公契約条例を制定し、労働者の生活の安定を図り、公共工事や公共サービスの質を向上し、地域経済や地域社会の活性化をめざすこと。

《農林漁業》
●農林水産業を地域経済の柱に位置づけ、食の安全、環境、関連中小企業などを地域社会の基盤として大切にする政治に転換すること。
●米・麦など主要農産物の種子・種苗の開発・普及・保護に公的機関が責任をもつ新たな条例をつくること。
●米価暴落対策として、政府による米の緊急買い入れを求めること。
●麦や大豆、牧草などへの転作に欠かせない水田活用交付金の改悪に反対すること。
●肥料、飼料、燃料の高騰に対する緊急対策を拡充すること。
●どこでも、誰でも、どんな規模でも農林漁業を続けられるよう所得補償、価格保障制度の導入を求めること。
●燃料・資材の高騰、漁獲量急減への緊急対策とともに、とれる魚種の変化に応じた資材・設備・水揚げ・加工・輸送などの変更や環境に配慮した養殖などに、抜本的な支援策を講じること。
●自伐型など小規模な林業者への支援を強化するなど、気候変動対策にも資する林業の健全な発展を図り、国産材の供給・利用の拡大を図ること。
●地元の資源を生かした特産品や魅力ある事業を支援すること。

《公共事業》
●大規模開発・新規建設を抑制し、防災・減災の事業、インフラや公共施設の維持・更新事業に、予算の重点的、優先的な配分を行うなど公共事業政策を大きく転換すること。
●貯水池の確保や危険な区域への建築制限など、あらゆる対策を組み合わせて被害を最小化する=「流域治水」に本格的に取り組むこと。
●総事業費400億円を超える「木屋川ダムかさ上げ事業」は中止し、「流域治水」による災害防止対策をすすめること。
●今後の河川改修においては、洪水時に避難する時間を確保するため、越水してもすぐに破堤しない「耐越水堤防(ねばり強い堤防」を積極的に整備すること。
●まちづくり計画は、防災優先にし、浸水想定区域や土砂災害危険区域など災害リスクが的確に反映されるようにすること。
●財政難で一度、廃止され、安倍元首相への忖度で復活させられた下関北九州道路事業(総事業費3000億円超)は不要不急であり、中止すること。
●公共施設縮減を前提にした国の自治体に対する「数値目標」の押しつけをやめさせ、必要な公共施設の廃止は許さないこと。
●不適切な土砂の埋め立てなど盛り土の開発を規制する「盛り土規制」を条例化すること。

《上関原発》
●上関への原発建設のための公有水面埋立免許は不許可にし、計画を断念させること。上関町に対しては特別の地域振興策を検討すること。
●伊方、玄海、島根などの原発再稼働に反対すること。
●次世代型原発の新設をねらった国の「エネルギー基本計画」の見直しに反対すること。

《気候危機》
●再生可能エネルギーの開発と普及をすすめ、循環型の社会をめざすこと。
●2030年度までにCО2 を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標にした県計画をつくり、達成をめざすこと。
●石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に石炭火力の発電量はゼロとすること。
●太陽光、風力など大型発電施設については、土砂災害警戒区域、同特別警戒区域への設置を規制する条例改正をすすめること。
●二酸化炭素排出量が大きい業界、大規模事業所に、二酸化炭素削減目標と計画、実施状況の公表などを「協定」にして締結することを義務化すること。
●農地でのソーラーシェアリング、小規模バイオマス発電、小水力発電の普及など、脱炭素につながる取り組みを積極的に支援すること。

《防災》
●被災者生活再建支援法を抜本的に拡充し、支援金を当面500万円に増額するとともに対象を半壊などまで広げるよう求めること。
●災害救助法にもとづく応急救助を、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に結びつくよう充実するよう求めること。
●学校や病院・社会福祉施設、大規模集客施設などだけでなく、すべての住宅の耐震診断・耐震補強を促進すること。
●専門家の知見を結集し、地域防災計画の災害想定を見直し、ハザードマップの整備と住民への周知、高齢者や障害者、住民の安全な避難など地域の防災対策を強化すること。
●大規模な災害を想定して、消防用自動車や消防職員・災害対応職員を増やすこと。
●石油コンビナートなど瀬戸内沿岸部の安全対策を推進すること。
●国・県の関係行政機関と事業所が連携して、消防・防災体制と避難体制を抜本的に強化すること。

《地域振興》
●「公共施設等総合管理計画」、「公共施設長寿命化計画」等を名目にした住民サービス・公共施設の「集約化」の押しつけに反対すること。
●合併前の旧自治体ごとの「総合支所」を存続させ、予算と権限の委譲、職員増をすすめ、住民に身近なサービスの充実と地域の活性化のための役割を発揮させるため、県の支援を強めること。
●通勤、通学、通院、買い物などに不可欠なJRローカル線については、増便など利便性の向上を求めるとともに、少なくとも地元自治体や住民の合意抜きでの廃止やバスへの転換などは認めないこと。
●「地域公共交通再編実施計画」の策定を支援し、地域に必要な公共交通を維持・確保するためのコミュニティ・バス、デマンド・タクシーなどの運行に対する支援を強めること。

《公営住宅》
●老朽化した県営住宅の改修、駐車場の増設をすすめること。
●収入が少ない若い世代と高齢者も県営住宅に入居できるようにすること。
●入居資格から「保証人」条項をなくすこと。

4,地方自治の本旨に基づき―県民福祉の向上に資する「デジタル改革」に
 山口県は、2020年12月に閣議決定された国の「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」及び「デジタル・ガバメント実行計画」、総務省において策定された「自治体DX推進計画」等を踏まえて、2021年2月策定した「やまぐちデジタル改革基本方針」にそったデジタ
ル化を推し進めています。
 知事がCIO(最高情報統括責任者)となり、同補佐官等の要職にはLINEや日本マイクロソフトなどデジタル関連民間企業の幹部を登用しました。企業から任用された幹部が強力な権限を持ち、自治体が企業に支配されるおそれがあります。公務の中立・公正が失われ、自治体の保有する情報が漏洩するリ スクも大きくなります。
 地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、地域の特性や住民のニーズに対応して、自主的かつ多様に独自の住民サービスを実施することが求められています。
 国が音頭をとって進める自治体の「デジタル化」は、住民のくらしと権利、地方自治の根幹に関わる重大な問題です。デジタル技術の取り扱いについては、国や一部の自治体当局だけで決めるのでなく、導入の是非や、導入する場合の範囲・条件も含めて、住民の熟議と合意で決めるようにすることが求められています。
●デジタル政策を取り扱う体制については、CIOと同補佐官など一部の幹部職員に権限を集中させるトップダウンの体制ではなく、それぞれの業務を担当する職員や、住民の意見が適切に反映される体制をつくること。
●業務の中枢を担う幹部には、「全体の奉仕者」として職務を遂行することが義務付けられている「任期の定めのない常勤職員」を配置することを基本にすること。
●民間から登用した人材の職務は、自治体への助言にとどめ、意思決定には直接関与せず、職員に対しても業務上の指示を行わせないようにすること。
●デジタル技術に精通する職員が必要であれば「任期の定めのない常勤職員」として採用し、地方公務員として定年まで公務に専念できる勤務条件を確保すること。
●個人情報とプライバシーの権利を守るために、個人情報保護の規制緩和や規制の撤廃を行わないこと。
●「クラウド化」に乗じた独自の住民サービスの削減は行なわないこと。
●窓口業務をオンライン化しても、住民と職員が対面できる窓口を存続させること。
●デジタルの技術は、職員を削減してこれに置き換えるための代替手段として導入するのではなく、職員が「全体の奉仕者」として従事する公務労働の質を高めるための補助手段として活用すること。

5,大軍拡、改憲ストップー戦争国家づくりは許さない
 自公政権は、ウクライナ危機に乗じて、GDP2%への軍事費増、「敵基地攻撃能力」保有など、タガの外れた大軍拡・大増税の道を進もうとしています。
これらは、歴代政権が「攻撃的兵器を保有することは、自衛のための最小限度の範囲を超えることになるから、いかなる場合も許されない」としてきた憲法上の立場を覆し、「専守防衛」を建前としてきた自衛隊から、米軍とともに「海外で戦争する軍隊」へと変貌させるものであり、
絶対に許すわけにはいきません。同時に、米軍岩国基地でもF35Bの垂直離発着のための滑走路の強化や燃料貯蔵タンクの5倍化、港湾施設の増強など際限ない機能強化がすすめられ、爆音被害や犯罪、事故の危険は高まるばかりです。
 日米両政府による「戦争国家づくり」は許せません。

《憲法》
●「緊急事態対処条項」を加味するなどの日本国憲法の改悪は許さず、憲法を暮らしに生かす県政をすすめること。
●安保法制など一連の違憲立法を廃止し、立憲主義・民主主義を取り戻すよう国に求めること。
●違憲の集団的自衛権行使を容認し、自衛隊の海外での武力行使に道を開く安保法制=戦争法をはじめ、秘密保護法、共謀罪などの違憲立法の廃止を求めること。

《米軍岩国基地》
●米空母艦載機部隊や海兵隊航空部隊の増強に加え、港湾施設の軍港化、燃料貯蔵タンクの5倍化など米軍岩国基地の際限ない機能強化に反対し、中止を求めること。
●岩国日米協議会を直ちに開催し、市街地上空での飛行訓練禁止、外来機のたび重なる一時駐留、軍艦の港湾使用などを禁止する新たなルールづくりをすすめること。
●米軍由来のコロナ感染拡大を招いた日本側の検疫免除や、「日本側による捜索、差押え、検証を行なう権利を行使しない」とした合意議事録など、在日米軍に異常な特権を与えている日米地位協定の抜本改定をはかること。

《自衛隊》
●「専守防衛」をかなぐり捨てる軍事費のGDP2%への大軍拡、「敵基地攻撃能力」保有に強く反対し、中止を求めること。
●宇宙ゴミ(デブリ)だけでなく、キラー衛星の監視・攻撃機能も持つ「宇宙監視レーダー基地」の山陽小野田市への建設・運用の停止を求めること。
●中止に追い込まれた陸上配備型イージスアショアのレーダー施設を搭載する新たなイージス艦の山口県周辺への配備に反対すること。

《核兵器廃絶》
●日本が「核抑止」から抜け出し、核兵器禁止条約に参加し、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶の先頭に立つことを求めること。
●核兵器禁止条約締約国会議に、日本政府がオブザーバー参加することを求めること。

6,「自民党への悪しき配慮」を根絶しー県民主人公の県政運営を
 山口県の小松一彦前副知事らが2021年10月の衆院選前、山口3区から立候補して当選した自民党の林芳正外相の後援会に入会するよう部下を勧誘した問題で、同副知事は公選法違反(公務員の地位利用)で罰金刑を受け、辞職しました。
 許認可など大きな権限をもつ公務員が、その地位を利用して特定党派の候補の選挙運動をすることは、公平性を著しく損ない、民主主義を根底から揺るがす行為です。
 同事件の背景や原因を調査し、再発防止に向けた提言をまとめるため設置された「調査チーム」が課長級以上の管理職を対象に実施したアンケート調査を通じて、山口県庁内では、数十年も前から自民党候補の後援会への勧誘が常態化していた実態が明らかになりました。
 同調査チームがまとめた報告書で、再発防止を含む県政全般の正しい運営を実現する最も重要かつ根本的な方策として「自民党に対する悪しき配慮を完全に断ち切り、特定の政党に偏ることなく公平・公正な立場で行動する」ことを提言しました。
 また、昨年7月、安倍晋三元首相が死去したことを受け行われた9月の国葬、10月の県民葬に際し、知事は県施設に、教育長は県立学校などに、業務命令として「半旗掲揚」を要請し、「従わなかった場合は処分もありえる」という姿勢を明らかにしたことは、憲法19条が保障する「思想及び良心の自由」に反するものであり、憲法擁護義務が課せられた公務員としてあってはならない行為です。
 さらに、県が主に県議会議長の送迎に使われる「貴賓車」として2090万円もする高級車センチュリーを購入したことは違法、と訴えた住民訴訟で、山口地裁は昨年11月、「本件の契約は裁量権を逸脱または濫用した財務会計上の違法行為で、知事がこれを阻止せず指揮監督上の義務に違反した過失も認められる」として、被告である執行機関としての村岡知事に対して村岡嗣政氏に費用2090万円等を請求するよう言い渡しました。
 こうした事実は、今の県政が憲法や地方自治法に照らして、あまりにも歪んだものであることを示しています。文字通り「県民が主人公の県政」への転換が求められています。

《県庁ぐるみ選挙》
●これまでどのような「自民党に対する悪しき配慮」が行われてきたのかを検証し、「悪しき配慮」を根絶するための具体的な対策を講じること。
●前副知事の指示で県職員が人事データから住所や出身高校などの個人情報を抽出し、勧誘用の職員リストを作成していたことが、わが党の請求にもとづき、山口地方検察庁が開示した刑事確定記録で明らかになった。公務員の守秘義務、職務専念義務、政治活動の禁止などに抵触する大問題であり、全容を明らかにし、再発防止策を講じること。
●前副知事ら県幹部に自民党候補の後援会入会を勧誘するよう依頼した団体、人物を告発し、公平な裁きを求めること。

《統一協会・霊感商法》
●統一協会(旧統一教会=世界平和統一家庭連合)と関連があるとされている団体を対象に、表彰やイベントの後援、補助金等の支出を行った事例などを調査し、公開すること。
●全国霊感商法対策弁護団や、被害者団体とも連携し、宗教2世、マインドコントロール下で苦しむ方々の救済のため、消費生活相談員など各相談員に対し、研修を実施すること。

《憲法擁護》
●憲法19条の「内心の自由」を侵害することとなる国葬、県民葬は行わないこと。
●公務員の憲法擁護義務を徹底させること。

《公用車のあり方》
●「公用車購入ガイドライン」を策定し、更新時に用途や使い方を見直すこと。
●知事や県議会議長等の送迎や出張に必要な公用車については、県民の理解が得られる範囲でリース契約での所有も検討すること。
●知事や県議会議長らが、政府や各省庁への要望・要請のために上京した際の交通手段はハイヤー手配をやめ、タクシー利用を基本とすること。

《県政の透明化》
●知事には事後報告となった「センチュリー購入」を教訓に、200万円以上の物品購入の決裁者を知事とするよう山口県事務決裁規程を見直すこと。
●各部局の要求から査定経過までを含め予算編成状況をホームページで公開するとともに査定結果に対して県民の意見を聴き、予算編成に反映させること。
●予算説明資料については、個々の事業について、目的と期待される効果、財源などをまとめた事業シートを作成し、透明性を高めること。
●県政運営上の重要事項について、県民の意思を直接問うことができる「山口県住民投票条例」を制定すること。

・・・

 私は、県庁ぐるみ選挙に関する検察庁の刑事確定記録を閲覧した結果、人事データから住所や出身高校などの個人情報を抽出し、勧誘用の職員リストを作成したことが分かった問題で、「公務員の守秘義務違反に抵触する可能性のある重大問題、全容解明と再発防止対策を行う」よう知事に求めました。

 村岡知事は「議会での質問には適切に答える」と答えました。

 大西県議候補は、米兵に車を盗難された岩国市の自動車販売会社の例を示し、日米地位協定の抜本改定を求めました。

 村岡知事は「引き続き、渉外知事会を通じて日米地位協定の改定を求めて行きたい」と答えました。

 河合県議候補は、子どもの医療費補助制度の対象年齢の拡大など子育て支援の拡充を求めました。

 村岡知事は、「国の動向を注視し、子育て支援の拡充については予算編成作業の中で考えているところだ」と答えました。

 引き続き、県政全般の問題について藤本まで皆さんの要望をお聞かせください。

 

藤本県議候補 五十嵐市議候補 荒川市議候補 事務所びらきに70名超える人集う

 昨日、10時から、宇部市錦町で藤本県議候補・五十嵐市議候補の事務所びらきが行われ30名を超える市民が集いました。

 藤本かずのり・いがらしひとみ事務所びらきで挨拶する私

 午後2時から、宇部市東岐波で荒川市議候補の事務所びらきが行われ40名を超える市民が集いました。

 私が、両事務所びらきで挨拶した要旨は以下の通りです。

・・・ 

 事務所開きにお集まりの皆さん県議会議員の藤本です。
 2021年10月の衆議院選で自民党の林芳正外相の後援会に入るよう小松前副知事が県職員に勧誘し、公選法違反(公務員の地位利用)の罪で罰金30万円の略式命令を受けた事件をめぐり、私は、検察庁に刑事確定記録の閲覧を申請し、13日に閲覧しました。県庁の人事データをもとに対象者の名簿を作らせていたことが分かりました。その内容をしんぶん赤旗社会部に送り、19日に報じられました。同様の記事は、中国新聞、NHK、読売新聞が報じました。
名簿を作った職員は、21年4月末、上司から住所や出身などで山口3区に縁のある職員の名簿を「所属ごとに分けて作成してくれ」と依頼されます。名簿を作るため、この職員は、勤務時間中に人事データをコピーして別のファイルとして保存。山口3区に該当する地域を確認した上で職員を絞り込み、勧誘対象者を抽出する作業を行いました。 
県庁が県民のためではなく、自民党のためとなり、自民党の選挙を組織まるごとで行ったことは重大です。県民のための県政に藤本が必要です。
コロナの第8波が猛威を振るい、今月に入り21日まで死者数は、126人です。残り60人の方がお亡くなりになれば、180人を超えることになり、これまでの月別最大去年8月の137人を超える状況です。 
岸田政権は、この春にも、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針です。死亡者が急増している中で、医療費の公費負担が縮小され、患者負担が増えれば、受診控えが増え、死亡者が増えることになります。県民の命を守るため藤本が必要です。
岸田政権が昨年安保3文書を改訂しました。国家安全保障戦略に「飛来するミサイルを防ぎつつ、(中略)我が国から更なる反撃を相手に加える能力、すなわち反撃能力を保有する」としました。国家防衛戦略で、反撃能力を可能にするスタンドオフ防衛能力の手段の一つとして、「イージスシステム搭載艦を整備する」としました。
 私は、19日、防衛省職員と懇談しました。陸上イージスは、専守防衛だったが、イージスシステム搭載艦は、反撃能力=敵基地攻撃能力を
保有するものだと認めました。平和な山口を作るため藤本が必要です。

・・・

 二人以上集まっていただければ、どこでも駆け付けます。

 皆さんの周りで私を囲む集いを開いてください。

 引き続き、県政全般の要望を藤本にお寄せください。

山口県の県立小中高校 女性管理職割合21.2% 全国平均より下回る

 19日、読売新聞は、全国の公立小中高校などに勤務する女性管理職の(校長、副校長、教頭)の人数などについて次のように報じました。
 「全国の公立小中高校などに勤務する女性管理職(校長、副校長、教頭)の人数と割合が2022年、過去最多となったことが文部科学省の調査でわかった。前年より746人増えて1万5103人となり、管理職全体に占める割合も1・2ポイント増の22・3%に上った。調査は昨年4月1日現在で、都道府県と政令市の公立学校を対象に行った。女性管理職は、校長が6090人(19・3%)・副校長・教頭が9004人(25%)だった。政府は、25年までに小中高校の女性管理職の割合を校長で20%、副校長・教頭を25%に引き上げる目標を掲げており、副校長・教頭は3年早く達成した。校種別では、小学校28・2%、中学校13・9%、高校11・9%などで、いずれも前年を1ポイントほど上回った。都道府県別では、石川(40・3%)や広島(36・4%)など高かった一方、北海道(9・9%)や福島(10・3%)など、女性の登用が進まない自治体も見られた。北海道教育委員会は、割合の低い理由について、『異動範囲が広く、異動が比較的多い管理職を希望する女性が少ない』と説明する。道教委では女性管理職を増やそうと、対策も講じている。女性校長など管理職の先輩教職員と相談できる機会を設けたり、子育て中の女性管理職の異動範囲を近隣にとどめたりするなどの配慮をしているという。文科省初等中等教育企画課は、職場の理解や配慮が広まり管理職の女性登用が進んだとみており、『副校長・教頭での目標達成は評価できるが、ここがゴールではなく、女性の管理職の割合をさらに広げたい』としている。」
 山口県の状況を文科省の資料で見てみます。
 まず、山口県の管理職全体に占める女性管理職(校長、副校長、教頭)の割合は21・2%で、全国平均より1・1ポイント下回っています。
 校長に占める女性の割合で、校長が15.5%、副校長・教頭が25.8%でした。
 副校長、教頭では、県も全国目標を上回っていますが、校長は20%の目標を下回っています。
 小学校の管理職に占める女性の割合は、28・02%。中学校は13・77%、高校は7・5%でした。中学校は全国平均レベルですが、小学校と高校では、全国平均を下回っています。
 山口県の公立小中学校において、女性管理職の登用数を増やすべきであることが、文科省の統計データから明らかです。山口県は、新年度から管理職の女性登用数を増やすべきです。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

辻村深月原作 映画「かがみの孤城」を観ました

 辻村深月さん原作、原恵一監督の映画「かがみの孤城」を観ました。
 原作の文庫本の背表紙から、本作のストーリーを紹介します。
 「学校での居場所をなくし、閉じこもっていた『こころ』の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような建物。そこにはオオカミの面をつけた少女が待ち受け、こころを含め、似た境遇の7人が集められていた。城に隠された鍵を探すことで願いが叶えられるという。すべてが明らかになるとき、驚きとともに明らかになったとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。原作は、2018年本屋大賞受賞作であり、映画化を待ち望んでいました。
 2021年度の小中学校の不登校児童生徒数は、全国で24万人、山口県内で、2603人です。大きな社会問題である不登校児の心にこれほどまでに寄り添いながら、エンターテイメント小説としても成功させた作品であるからこそ160万部ものベストセラーとなっているのだと思います。
 コロナ過で同調圧力も強まる社会の中で、私たち一人ひとりのストレスはかつてなく高まっています。この作品に登場する子どもたちの境遇は、私たちの気持ちにも相通じるものがあり、登場人物と自分を重ねながら原作と映画を観た方も多いと思います。
 不登校に至る子どもたちそれぞれにきっかけはありますが、親や教師や周りの子どもたちの誰かが、その子どもの人格を否定するような行動を取っているケースが多いことがこの作品を観て分かりました。
 原作者の辻村深月さんは、映画のパンフレットに、子どもたちの部屋の鏡が城につながる設定について次のように語っています。
 「外の世界が敵だらけに思えて怖いなら、こっちから迎えに行く、という思いで部屋の鏡を光らせて入り口にしました。中学生の日常は、居場所が家と学校とせいぜい塾や習い事ぐらいで、昼間外出しているだけでもとても目立ってしまうから、物理的にも居場所がない状態。その中で主人公たちが過ごせる場所をひとまず提供して、その後何が起こるか彼らにまかせようというくらいの気持ちで書き始めました。」
 不登校という同じ子どもたちが、不器用でありながら、孤城で出会い、友情を深める物語です。
 人は人との中で成長するという当たり前のことをこの作品で知る事が出来ました。
 ならば、不登校の子どもたちが成長できるような居場所を提供することが、必要なのではないかとこの作品を通じて感じました。
 以前、本ブログで、「不登校特例校」のことを書きましたが、行政や民間それぞれのレベルで、不登校の子どもたちの成長を保障する場を数多く提供していくことが必要だと感じました。
 同時に、この日本全体に浸透している競争至上主義社会を見直していくこと、そして、子どもたち一人ひとりを取り残さない社会を構築していく必要性を感じました。
 やはり、30人以下学級を実現し、教員も増やし、子どもたち一人ひとりに目が行き届く教育条件を整備していくことの重要性を感じました。
 私は、4月の県議選で、少人数学級の実現を公約に掲げています。子どもたち一人ひとりに目が行き届き、行きたい学校になる教育を山口県で実現していきたいと思っています。
 小説か映画で「かがみの孤城」に触れられらた皆さん、感想をお聞かせください。