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映画「パンケーキを毒見する」

 「現役政権のトップを題材とした映画史上はじめての作品」と銘打ったドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」を観ました。

 エグゼクティブプロデューサーの河村光庸さんは、7月27日、しんぶん赤旗日刊紙のインタビューに登場しています。

 河村さんはこの映画をこの時期に作成した意義を次のように語っています。

 「菅氏が首相になると決まった時から、作らなければと思いました。安倍政権の基本的なところは菅氏が担っているのですから。権力をどう維持、強化するかばかりに関心がある人なので、これをテーマにした映画を作らなければ、その正体を描こうと。これを選挙に影響を与える時期、オリンピックの渦中に公開したいと、7月末の公開で上映する劇場を決めました。選挙に影響を与える映画になれば、メディアの端くれとして、大きな役割を果たすことになります。」

 河村さんは、菅さんの政治手法を次のように語っています。

 「議論をしないのではなくて、菅氏は議論できないからさせないということでしょう。理論武装もないし。先の国会での党首討論にしても中身がない、ひどいものでした。言葉を軽んじ、遠ざけ、無力化する。民主主義というのは、ものすごく面倒くさいものですよね。彼は、面倒くささを排除し、民主主義を否定しています。菅氏のやり方は、官僚支配とマスコミ支配を中心にして一元化していく。それが露骨です。そして国民の分断。格差拡大と一極集中。いかにも地方を厚遇していいるように見せかけて実は、切り捨てている。コロナ禍でのオリンピックでは、『安心・安全』を繰り返すのみ、無為無策です。」

 映画には、しんぶん「赤旗」が登場します。河村さんは「赤旗」の役割についてこう述べています。

 「『赤旗』の仕事は、マスコミのあるべき姿だと思いました。スポンサーがいるわけではないし、今、販売で成り立っている新聞は、『赤旗』ぐらいでしょう?ただ、もう少し一般紙的な名前にすべきかと。『赤旗』への取材を画面に入れるとどうしても『いろ』が付く印象が出ると、心配するスタッフもいました。私もそう思いますが、『赤旗』の調査報道の記事については素晴らしいなと思い、入れるべきだと。しかし、マスコミの責任は大きい。他社の記者にも取材していますが、本人は良くても上層部にダメだと言われて登場できませんでした。菅氏が内閣官房長官時代に86億円をつかみ金として使ったという官房機密費の暴露の報道もすごいと思いました。私も前から疑念を持っていて、右傾化雑誌の購入にこの金があてられているという情報もきいたことがあります。」

 映画「パンケーキを毒見する」のナレーターを務めた古舘寛治さんは、7月25日のしんぶん赤旗「日曜版」でこう語っています。

 「こういうものが今までなかったこと自体が問題でね。腐りきった政権を『おかしいよね』と批判するのは民主主義国家なら当たり前で、それに驚くこと自体、この国の危うさを示しています」

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙「潮流」も映画「パンケーキを毒見する」を取り上げ次のように書いています。

 「歴史を振り返っても、ときの権力者の誤ったメッセージは国と民を破滅へと突き落としてきました。先の映画では多くの分野で日本が世界から遅れた国になっている現状も。製作者たちは呼びかけます。このままでいいのでしょうか。見たら選挙に行こう。」

 映画「パンケーキを毒見する」は、是非、一人でも多くの国民に観てほしい作品です。

 この映画を観て考え、そして、映画を見たら選挙に行きましょう。

 内山雄人監督をはじめ、この映画を作成されたスタッフの皆さんの勇気と努力に感謝したいと思います。

 私もこの映画で学んだ「民主主義の大切さ」を胸に、今日も、県議としてしての活動に励みたいと思います。

 内山監督、すばらしい作品をありがとうございました。

 

 

中国電力が海上ボーリング調査の許可を得て1カ月以上が経過

 7月29日、毎日新聞は、上関原発計画ボーリング調査について次のように報じました。
 「中国電力(広島市)が上関町で進める上関原発建設計画で、中国電が建設予定地海域で予定していたボーリング調査は建設反対派住民による抗議活動で準備作業も進まないまま29日で1カ月を迎えた。一方、経済産業省が21日に示したエネルギー基本計画の改定案では原発新規増設の記載は見送られており、原発着工の見通しが立たない中、中国電と反対派住民とのにらみ合いは続く。中国電が県から海域の占用許可を受けてボーリング調査を実施するのは、2019年と20年に続き3回目。中国電は建設予定地に活断層はないと評価しているが、海底の地層を調べることでデータを補完する方針だ。県が許可した海域の占用期間は7日から10月6日までの3カ月で、掘削地点にブイを設置するなどの準備作業を6月29日に始める予定だった。しかし、過去2回と同じく今回も住民らは調査場所付近で漁船を停泊させて抗議を続けている。中国電は16日、抗議活動を理由に準備作業開始を一時見合わせると発表する一方、住民らには調査場所付近から速やかに離れるよう文書で求めている。こうした中、経産省は21日、国の中長期的なエネルギー政策の指針『エネルギー基本計画』の改定案を諮問機関に示し、この中で、原発新増設に関する記載が見送られた。中国電は『カーボンニュートラル(温室効果ガスの実質排出ゼロ)実現のため、おのずと新増設が必要になる』と従来の姿勢を示し、海域の占用許可の延長申請も視野に入れる。一方、反対派は『着工のめどが立っていない原発に関する調査は不要不急』と強調するなど、お互いの主張は平行線のままだ。」

 この間、日本共産党県議団が情報公開請求していた、村岡知事が6月11日に、中国電力に一般海域の占用を許可した文書が公開されました。
 中国電力は、「事業計画書」に「海上ボーリング調査の必要性・目的」として次のように書いています。
 「当社は、国が定めた実用発電用原子炉に係る新規制基準(以下『新規制基準』といいます。)への適合に向けた対応について、新規制基準および関連する内規等の制定および改定の状況、原子力規制委員会による既設原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査の状況を注視し、新たな知見を適切に反映するよう検討を続けています。2016年8月、上記の検討を行う中で、追加地質調査として敷地内ボーリング調査(以下『陸上ボーリング調査』といいます。)を実施する必要が生じ、同月下旬に実施を決定した後、準備が整った2017年6月から6本の掘削および分析を行い、さらに2018年12月から2本の掘削および分析を行いました。また、追加地質調査として、海域でのボーリング調査(以下『海上ボーリング調査』といいます。)についても検討していましたが、上記の陸上ボーリング調査を先行して実施した後、2019年5月に海上ボーリング調査の具体的な実施計画を決定し、同年10月以降、準備を進めていたものの着手に至らず一時中止しました。2020年11月に準備作業を再開しましたが、同年12月に一時中断していたところ、このたびあらためて実施に向けた諸準備が整ったことから調査に必要な一般海域の占用を申請するものです。」
 私は、6月県議会で、「県は、中電が原子力規制委員会に新規制基準適合性に係る審査に万全を期すためとする、この中電の法的根拠は何だと考えるか」質しました。
 和田土木建築部長は「原子炉等規制法」だと答えました。
 私は、「県は、法体系の違うものについては審査はせず、一般海域の占用に関する条例だけの審査を行ったといいながら、法体系の違う原子炉等規制法に基づく安全審査に万全を期すためのボーリング調査を審査している。県民にどう説明するのか。」質しました。
 和田部長は「原発の安全審査に万全を期すために実施するとの事業者の説明に合理性があることが認められ、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可した」と答えました。
 県は、原子炉等規制法に基づく海上ボーリング調査に合理性があるかどうか審査したというなら、法体系の違いを審査したことになるのではないでしょうか。
 また、中電は、原子炉等規制法に基づく海上ボーリング調査といいますが、新規原発における新規制基準はなく、中電が行う海上ボーリング調査に、県が定めた一般海域占用許可の基本指針にある「社会経済上必要やむを得ない場合」との合理性があるとは言い難いと思います。
 よって、県が、中国電力に一般海域の占用を許可した合理的根拠は乏しいと言わざるを得ないと思います。
 中国電力が、残る2カ月余で、海上ボーリング調査を完了できる見通しはありません。占用期間の点でも県の許可責任が問われています。
 また、中国電力が、残る1年半で、埋立工事を完了できる見通しは全く立っていません。
 エネルギー基本計画に新規原発が明記されないなら、中国電力は埋立の更なる延長申請は断念すべきです。
 たとえ、中国電力が埋立の延長申請を提出しても県は許可すべきではありません。
 上関原発が重要電源開発地点であることに変わりはないとの理由で、県は、延長申請を許可してはならないと私は思います。
 中国電力が、海上ボーリング調査の許可を得て1カ月以上が経過をしました。
 上関原発問題に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。