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帚木蓬生著「ソルハ」

 私が敬愛してやまない帚木蓬生さんの「ソルハ」が文庫として出版され、今、読んでいます。

 文庫の裏表紙からこの本の概要を紹介します。

 「1996年9月、アフガン政権崩壊。タリバンが首都カブールを制圧し、国民の意見を無視する圧政を敷いた。特に女性には教育の権利も外出の自由も存在しない。それでもビビは、勉強にも世界の動きにも好奇心旺盛な少女だった。生まれた時から戦争が日常の風景だったビビは、何を決意し、どんな支えを持って生き抜いたのか。平和へのメッセージを込めた渾身の一冊。第60回小学館児童出版文化賞受賞作。」

 この作品は、高学年以上に向けた児童小説といえます。とても読み易く、アフガニスタンを始め中東の状況がよく分かります。

 よくわかるからこそ、ビビを取り巻く戦場の光景に胸がつまります。

 タリバンが「女性には教育の権利も外出の自由も存在しない」圧政を敷く中で、これとたたかった少女パキスタンで生活していた当時16歳のマララです。

 マララは、タリバンに対する批判をブログに書き、テレビの取材に応じた直後、学校に向かうバスの中で、タリバンの兵士に撃たれます。

 九死に一生を得たマララは、2013年7月国連でスピーチを行います。

 彼女は演説の最後にこう述べました。

 「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、そして一本のペンが、世界を変えられるのです。教育以外の解決策はありません。教育こそ最優先です。」

 帚木さんは、この文庫の最後に手書きで「かつて子供だった大人のみなさんへ」というメッセージを寄せています。

 メッセージの最後はこう結ばれています。 

 「自分の国だけが平和であり続けるのは不可能です。平和から戦争への変化はあっという間であり、再び平和を取り戻すには、長い時間と大きな犠牲が必要です。私たちは平和な国にいるからこそ大人も子供も戦争の悲惨さに敏感でなければならないのです。」

 日本共産党は、パンデミック収束への国際協力を4点訴えています。

 第一は、医療・保険における大規模な包括的な協力。

 第二は、途上国に対する国際的支援。

 第三は、世界の紛争地での即時停戦、核兵器廃絶をはじめ軍縮を行い、コロナ対策に力を集中する。

 第四は、富裕層などへの課税でコロナ対策の財源をつくるなど、より公正な世界をめざす。

 志位委員長は記念講演で「パンデミックで明白になったことは、武力紛争がコロナ危機を破滅的なものとすることと、軍備増強がウイルスとたたかううえで何の意味ももたないことではないでしょうか。」と語っています。

 「自分の国だけが平和でありつづけることは不可能です。」の帚木さんの言葉通り、パンデミックの今、世界全体で、即時停戦と軍縮が求められていると思います。

 帚木蓬生著「ソルハ」は、まさに「平和へのメッセージ」が込められた渾身の一冊です。

 一人でも多くの方に読んでいただきたいと思います。

 パンデミックの中、平和について考えた皆さんのご意見をお聞かせ下さい。