真藤順丈さんの「宝島」を読んでいます。540ページを超える大作ですが、一気に今、160ページを読んでいます。
この作品は、第9回山田風太郎賞を受賞し、第160回直木賞候補に選ばれました。
書評家の大森望さんは、「宝島」についてこう書いています。
「『さあ、起きらんね。そろそろほんとうに生きるときがこた-』沖縄の戦後と真っ向勝負する真藤順丈の大作『宝島』は、こんな印象的な台詞で幕を開ける。発言の主は、弱冠20歳のゴザの英雄、オンちゃん。米軍施設から物資を盗み出す『戦果アギヤー』(戦果をあげる者)のリーダーだ。」
小林多喜二の「蟹工船」は、「おい地獄さ行ぐんだで」で始まりますが、私は、「宝島」の出だしを読んで「蟹工船」を想起しました。
野﨑助六さんは、日経新聞のこの本の書評で「この熱い息吹、この語りの身軽な舞いを堪能せよ。」と書きました。
まさに沖縄の戦後と真っ向勝負する「ナイーブで難しい時代」を描きながら、実に軽快に当時の時代を描き切っていると感じる作品でした。
オンちゃんと一緒に、「戦果アギヤー」をしていた仲間が、刑務所に収監されます。
そこに登場するのが、瀬長亀次郎です。刑務所の受刑者たちの処遇改善にために冷静に対応します。
真藤さんは、本書で戦中・戦後の沖縄の人々をこう描いています。
「渡るそばから崩れる桟橋のような世界を走りながら、ちっぽけなお頭には収めきれない人の死を目のあたりにした。幸福のひとかけらも知らない子どもが子どものままで事切れた。敗戦のあとも飢えやマラリアに苦しみ、動物のように所有されて、それでも命をとりとめた島民は、こうなったらなにがなんでもきてやる!と不屈のバイタリティを涵養させた。」
沖縄県名護市辺野古の海への土砂投入の映像を見た私たちは、沖縄に心を寄せています。
戦後の沖縄を描き切った本作から、沖縄のエネルギーを享受したいと思います。
いよいよ、本作は、ゴザ事件に突入します。
行方不明のオンちゃんの音信がどうなるのかも今後描かれるでしょう。
週刊新潮に加山二三郎さんが本書について「超弩級のエンタテイメント大作。読み逃すことなかれ」と書いています、
まさに、今年読んだ本の中でも、No1のエンタメ小説になりそうです。
年末の忙中の合間をぬって、この本と格闘します。
真藤さんには、本作で、是非、直木賞を受賞してほしいと思います。
「宝島」を読まれた皆さん、感想をお聞かせ下さい。
真藤ファンの皆さん、お勧めの作品をお教え下さい。
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