今年の5月頃、NHKラジオ「すっぴん」に高橋弘希さんがパーソナリティーの高橋源一郎さんと対談しているのを聞きました。
そのラジオで、35歳の高橋さんが、第二次世界大戦中の日本兵になりきって小説を書いたことを知りました。
この作品は、第46回新潮新人賞を受賞し、第152回芥川賞候補となりました。
高橋さんの本のことが心のどこかでずっと気になっており、先日、ついにこの本を読みました。
戦争中、南方の戦線で負傷し、野戦病院で生活するある日本兵の視点で、小説は展開します。
戦場で仲間が次々に撃たれ亡くなっていきます。野戦病院でもマラリアなどで次々に仲間が亡くなります。
「指の骨」とは、亡くなった兵士の遺品として衛生兵が遺体から指の骨を取っていたことからつけられたものだと思います。
この作品は、35歳の高橋さんが、同年代の70年前の日本兵になりきって、南方の戦場をリアルに書き上げた秀作です。
昭和6年生まれの私の父は戦争には行っていません。父は、8年前に亡くなりました。
戦後70年となる今年、戦争体験を語ることのできる方が少なくなっています。
戦争を知らない世代が戦争のリアルを書いた本作を多くの若い皆さんに読んでほしいと思いました。
同時に、この本は安倍総理にも読んでほしいと思いました。
戦場で人が死ぬとはどういうことなのか、戦後70年になるこの夏、国民みんなで考える時だと思います。
戦争法案の問題を考えていく上でも、この作品は、一つの教材になると思いました。
一人でも多くの方に「指の骨」を読んでほしいと思います。
高橋さんの二作目「朝顔の日」は、第153回芥川賞候補となりました。
この作品は発刊されたばかりですが、読んでみたいと思います。
この夏、戦争と平和について考えたいと思っています。
昨日、河合弘之監督の映画「日本と原発」を観ました。
福島原発の実情と原発を取り巻く諸問題を考える好材料だと感じました。
一人でも多くの方々、特に若いみなさんに観てほしい映画です。
この映画は、弁護士の河合弘之さんが、様々な関係者にインタビューを行う形式で進行していきます。
浪江町長の馬場有さんは、「何代にもわたって住んでいた土地を追われ、住み慣れた浪江のにおいまで消されている」と嘆きます。
元原子炉設計技師の田中三彦さんは、「人類の種の絶滅を予感させるスケールのものを人間が扱ってはいけない」と警告します。
元経産省官僚の古賀茂明さんは、「電力会社を敵に回すことは、それぞれの地域の経済界全体を敵に回すこと。あの事故があって原発の問題で根本から変えられないとしたら、日本の社会は永遠に変えられない」と語ります。
環境経済学者の大島堅一さんは「原発を速やかに廃止することが最も経済的。安全対策なんかせずに、とっとと廃炉に」と訴えます。
最後に河合監督のナレーションが流れます。
「想像してみてください
あなたの住む町が放射能に侵されることを
目に見えない臭いも形もないものが あなたの未来も過去さえも奪うことを
あなたが、あなたの家に帰れなくなる 町から生活の音が聞こえなくなる
毎日挨拶していた人たちと会えなくなる
日本人はチェルノブイリを見ても、自分たちにも起こることとは想像できませんでした
そして福島を見ても、忘れてしまいそうになっています
この映画で感じたことを そばにいる人たちと分かち合ってください
この映画のことを 新たな原発事故の避難所で思い出すことがないように
あなたができることを考えてみてください」
今日のしんぶん赤旗日刊紙には、「川内再稼働『同意得られず』」の文字が躍っていす。
「九州電力が、規制基準『適合』を唯一の口実に8月にも川内原発1号機を再稼働させる動きを強めていることにたいし、昨年11月以降に限っても、鹿児島、熊本、宮崎の3県10市町の議会が「再稼働にあたって九電に公開の住民説明会を求める」決議や陳情を採択していることがわかりました。」と報道しています。
「日本と原発」で青木秀樹弁護士は、「立地指針による評価が全ての原発で間違っていたということだから、今の原発は違憲状態」と語っています。
その上で、青木弁護士は、新規制基準には①原発を住民から遠ざけた場所に建てる『隔離要件』という立地指針を無くしてしまた②自然現象による同時多発故障を想定していない③事故時の電源確保の重要性を無視しているという3つの欠点があると指摘しています。
福島原発事故後の原発の再稼働や原発の新設は、中止すべきだと私は考えます。
皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
この春から、私は、宇部市吉部にある浄土真宗本願寺派の常光寺の大総代を務めています。
その関係で、本願寺門徒を中心に結成されている念仏者九条の会・山口の賛同者に加えていただき昨日、総会と学習会に参加しました。
総会では、浄土真宗本願寺派山口教区大津西組が、安倍首相に対し、「安全保障関連法案に反対し、廃案を求める要望書」を提出したことが報告されました。
大津西組は、県内の参議院議員にも安全保障関連法案を廃案にするよう求める要望書を提出する予定だとの報告がありました。
学習会の講師は、名古屋大学名誉教授の平川宗信さん。「真宗念仏者はいかなる国家と憲法を求めるのか」と題して話をされました。
講演をする平川宗信名古屋大学名誉教授
平川先生は、「親鸞聖人は、『教行信証』の後序で、法然上人や親鸞聖人が流刑になった承元の法難について『主上臣下、法に背き義に違し』と書いておられる。『主上』つまり天皇を批判しておられる。天皇は『法』に背き『義』に違したという、厳しい批判を加えておられる。天皇といえども法に従わなければならない。親鸞聖人も『法の支配』に類似した考えをもっておられた。」とのべました。
平川先生は、「阿弥陀の第一願『国に地獄・餓鬼・畜生あらば、正覚を取らじ』という『無三悪趣』がある。この考えは、憲法前文『われらは、平和を維持し、先制と隷属、圧迫と偏狭を地上から永久に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する』という考えに通じる」とのべました。
平川先生は、自民党の憲法改正草案について、「憲法で国民をしばるもの、憲法で国民に指示するもの、これは、立憲主義の否定であり、国民を畜生にするもの」と批判しました。
また、自民党の憲法草案の9条部分について「国を戦争に向かわせるものであり、地獄を求めるもの」と批判しました。
更に、自民党の憲法草案の前文で、経済成長をうたっていることについて「世界は持続的な発展を求めている時代だ。餓鬼を目指すものと言える。」と批判しました。
平川先生は、自民党の憲法草案は、「地獄・餓鬼・畜生を目指すものであり、『三悪趣国家』を目指す改憲案だ」と厳しく批判しました。
念仏者としてとても迫力のあるお話でした。
明日から仏教と憲法の学習に励もうと決意を新たにした学習会でした。
これからも念仏者九条の会の活動に参加していこうと思います。
平川先生ありがとうございました。
平和・民主・革新の日本を目指す山口県の会(山口県革新懇)は、「戦争法案」反対アピールの第二次賛同者の募集を行っています。
アピールは「私たちは、安倍内閣の進める「戦争法案」の成立に反対します。」です。
呼びかけ人は、(50音順)次の各氏です。
磯野有秀(山口県立大学名誉教授)、上野八重子(医師・宇部協立病院副院長)、内山新吾(弁護士)、那須正幹(児童文学作家)、増山博行(山口大学名誉教授)
アピール賛同者は、第一分(7月15日まで)で、219名となりました。私も賛同者として名前を連ねています。
第二次賛同者募集の締め切りは、8月31日です。
詳しくは、下記の事務局までご連絡下さい。
山口県革新懇事務局
〒753-0074 山口市中央四丁目2-4 山口第一法律事務所
(℡083-922-7600 Fax083-922-7603)
e-mai l LO@y-daiichi-law.com
戦争法案を廃案にするために、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。
2015年本屋大賞翻訳小説部門第一位、ピエール・ルメートルの「その女アレックス」を読み終えました。
購入して、二日で読み終えました。
小林節先生の講演会の事務局長などで、おの1週間バタバタでしたが、少しゆったりした二日間を過ごしました。
その間、この本に没頭していました。
この本の訳者である橘明美さんがあとがきで「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはいけないと思うからのようだ。」と書いていますが、まさに、とにかく読んでみてほしい本です。
文庫本の最後にこう書かれています。
「おまえの死ぬのが見たい-男はそう言ってアレックスを監禁した。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を直前に脱出を図るが・・・しかし、孤独な女アレックスの壮絶な秘密が明かされるや、物語は大転換を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進するのだ。」
この本の特徴がよくまとめられた文章です。
「慟哭と驚愕へと突進」。この感動を味わっていただいたいと思います。
ミステリー小説としても社会問題を扱った小説としても橘さんが言われる「自分が何かこれまでとは違う読書体験をした」感じで一杯です。
テーマは重いのですが、読後感は良く、人に薦めたくなる作品です。
訳者の橘さんのあとがきに「現在ジェームズ・B・ハリスの手で映画化が進められている。」とあります。
どんな映画になるのかも楽しみです。
フランスの作家、ピエール・ルメートルの作品で日本で出版されている作品は、この作品と「死のドレスを花婿に」のみです。
今、「死のドレスを花婿に」を読んでいます。
この文庫の最後には、「ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。幸福だった彼女の破壊が始まったのは数年前。記憶にない奇行を繰り返し、彼女はおぞましい汚名を着て、底辺に転落したのだ・・・。」
今、75ページあたりです。ソフィーはどうなってしまうのでしょうか。これらの展開に大いに興味を惹かれます。
急に、翻訳本のファンになりました。
今後は、本屋大賞翻訳部門で過去入選し、文庫本になっている本あたりを読んでみようと思っています。
2012年本屋大賞翻訳部門第一位、フェルディナント・フォン、シーラッハ著「犯罪」
2015年本屋大賞翻訳部門第三位、アンディ・ウィアー著「火星の人」
この辺りをこの夏、読んでみようと思います。
翻訳本も文化や考え方の違いも学ぶことが出来、自分の世界が広がり、いいですね。
翻訳本なら、どの本がお勧めですか。お教え下さい。
清水寺の森貫主が7月19日付しんぶん赤旗日曜版の「インタビュー戦後70年」に登場され発言されました。
「仏教は尊い『いのち』を粗末にすることを許しません。その最たるものが戦争です。戦争への道である集団的自衛権の行使を認める安保関連法案は、廃案にすべきです。採決強行など、もってのほかです。」
「私は、毎年年末に、日本漢字能力検定協会が公募した『今年の漢字』を書いています。ことし『戦後70年』を感じ一字で書くならば『久』という字を書きたいと思っています。今年は私の先々代で、戦後の清水寺の歩みと寄り添われた故・大西良慶和上の33回忌です。大西和上は、日露戦争の従軍僧となって、戦争のみごさを目の当たりにし、その後、平和運動、国際交流活動に尽力されました。和上は109歳まで長生きされました。色紙にはよく『百久』と書かれていたのが印象的でした。『久』は憲法第9条の『九』につながります。悠久の歴史の『久』でもあります。70年、この日本が戦争をすることなく来れたのも『九条』の力です。やはり、1字にするなら『久』ですね。
「すべてのものに仏が宿るといいますが、仏とは命であり、すべてのものに命は宿ると思うのです。この命を粗末にするものは、絶対に許してはなりません。」
森貫主は「宗教者9条の和」の呼びかけ人でもあります。
戦後70年の夏、戦争法案や平和について考えたいと思います。
森貫主の一つ一つの言葉が心に沁み渡ります。