チャップリンDVDコレクション④「ライムライト」を観ました。
チャップリンは「独裁者」を1940年にヒットさせますが、パンフレットに「その激しい反戦メッセージは『共産主義的』と見なされ、右翼による激しい上映禁止キャンペーンが展開された」とあります。
そして、「ライムライト」完成直後の1952年9月17日、チャップリンはロンドンでのプレミアム上映に出席するために家族とともイギリスに分かりますが、パンフレットに「直後に当局よりアメリカ再入国許可が取り消され、チャップリンは事実上国外追放される。」とあります。
チャップリンが再びアメリカの地を踏んだのは、「ライムライト」製作から20年後の1972年、第44回アカデミー賞特別賞受賞の時でした。
チャップリンのアカデミー賞受賞についてパンフレットは「決してチャップリンの名誉回復などではない。全世界に喜びを与えた偉大な芸術家にして真に自由な人たるチャップリンを、かつて反共主義の狂気でもって追い出したアメリカによるせめてもの謝罪だった。」と書いています。
「ライムライト」は、かつてミュージックホールの人気芸人だったチャップリン演じるカルヴェロとバレリーナのテリーが出会う物語です。
カルヴェロは、自殺を図ろうとしたテリーを励まし続けます。
カルヴェロの言葉に「死とともに避けてられないことがひとつだけある。それは生きることだ。」があります。
私の川柳の師で時実新子さんの句に「今ぞ今 死は生きること 生きて死ぬこと」があります。
「ライムライト」はチャップリンの人間観が凝縮された映画なのでしょう。笑いながら泣きながら励まされる映画です。
パンフレットには、テリー役を19歳の時に演じたクレア・ブルームさんのインタビューが掲載されています。
クレアさんは、動かなかった脚が再び動くようになって立ち上がり「カルヴェロ、私、歩いている」と号泣する演技がどうしてもできなかった当時を振り返ります。
「チャップリンは楽屋に彼女を呼び、普通にセリフを読んでごらん、と言った。彼女は言われたとおりに感情を込めずに言うと、急にチャップリンは激怒して、『なんだその言い方は!』『だってあなたが普通に読めと・・・』『そう読めとは言っていない。だいたい、君はこないだリハーサル室の鏡を割っただろ!』『あれは、誤ったじゃないですか』『許されたと思っているのか!』。たまらずに彼女はわあっと泣き出した。『いまだ!【私、歩いている】とセリフを言いなさい!』すべてはチャップリンの作戦だった。そして長年のスタッフはすべて理解して待ち構えていた。『チャーリーは、私にそんなトリックを三つぐらい使ったわ』。あの名シーンはこのようにして撮影された。」
カルヴェロが、ノミの夫婦に左手から右手にジャンプさせる演芸をするシーンなど、チャップリンの大道芸が満載の映画でもあります。
「ライムライト」はチャップリンの自伝的で集大成のような映画といえます。
映画を観るごとにチャップリンに惚れ込む私でした。次回は、「キッド」。ハンカチを握りながら観ることにしましょう。
チャップリンファンの皆さん、皆さんの好きな作品をお教え下さい。
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