議員日誌

街の灯

 チャップリンDVDコレクション第三回「街の灯」を観ました。

 この映画は、1927年から製作が開始された作品です。

 この映画が製作され始めた直前に、トーキー(発声映画)が公開され始めました。

 チャップリンは悩んだ末に「街の灯」をサイレントで製作することにします。

 作品解説には、この作品でチャップリンが初めて行ったことがふたつあるとあります。

 ひとつ目は、本作で初めて劇中の音楽をすべて作曲したことです。

 「喜劇的な場面に美しい旋律を対比させることで、喜劇の裏に潜む悲劇性を浮かび上がらせようとしたチャップリンは、音楽のセンスにおいても天才だった。」と作品解説にあります。

 もうひとつは、「ラストシーンを考えてから撮影を開始したこと」です。

 「最後に花売り娘が浮浪者の手に触れることで、この浮浪者がチャーリーであると気づく。自分の恩人は目の前のボロボロの浮浪者だった。視力を回復した娘の、心の目が開く。たんに感傷的なエンディングであることを超えて、社会の格差や矛盾を見せる。」と作品解説にあります。

 この映画は、1928年から撮影が開始されて、約2年間の撮影の末に完成しました。

 製作日数683日かけてこの映画は完成しました。

 特に苦労したのは、浮浪者と目の不自由な花売り娘との最初の出会いのシーン。

 「その短いシーンのために1929年1月24日から2月14日まで費やされ、2月20日に再び試したあと、4月に入ってすべてやり直す決心をしている。渋滞をしている道を横断するために、浮浪者が横着をして高級車の後部座席のドアを開けて、車内を横切り、反対のドアから舗道に出る。そのドアの音を聞いて、花売り娘がチャーリーのことを高級車から出てきた大金持ちだと勘違いするという秀逸なアイディアが浮かんだのはそのあとのことだ。」と作品解説にあります。

 チャーリーは花売り娘のために、賞金を得ようとボクシングに挑戦します。この辺りのチャップリンの演技は圧巻です。

 支配者層の人々を叩き、被支配者層の人々は徹底的に暖かい視線を注ぎ続けるチャップリンの代表作「街の灯」。

 今日を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれます。

 社会の格差を描くジャーナリストの目と弱者に暖かいヒューマニストの目が融合したチャップリンの作品に益々魅せられています。

 次回は、「ライムライト」。これまた楽しみです。

 チャップリンの作品で好きな作品についてお教え下さい。

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