鬼塚忠さんの「花戦さ」を読んでいます。
主人公は、花の名手・池坊専好。
戦国の世は、信長から秀吉の時代に入ります。
専好と深い友情で結ばれていた茶の名人・千利休が次第に秀吉から疎まれていきます。
この辺りは、山本兼一さんの「利休にたずねよ」に詳しく書かれてあります。
この本の解説で、文芸評論家の細谷正充さんが次のように書いています。
「現代小説を読んでいたとき、作者の文体は視覚的だと思っていたが、それは戦国小説でも変わらない。秀吉の備中高松城攻めを描いた冒頭から、すべてが実に明瞭だ。歴史の流れから人物の駆動、それに伴い判明する人物像などが、分かりやすく表現されている。中学の歴史の教科書程度の知識があれば、簡単に物語の中に入っていけるだろう。池坊専好が登場する場面でも、花を立てる様子が目に見えるように書かれている。なんとも読みやすい作品なのだ。」
私がこれまで読んだどの歴史小説の中、一番読みやすく、ワクワクする物語だと感じました。
本能寺の変前後の戦国の世がこの本の中で活写されています。
鬼塚忠さんの筆力が卓越しているからでしょう。
池坊家は、元々、京都の六角堂の僧侶であったことは知りませんでした。
六角堂といえば、親鸞聖人が百日参籠したことでも有名です。
池坊は、戦乱の中、町衆の花として広がった歴史があることを知りました。
「草木は一度根を生やした場所からは動けない。どんなに雨に打たれようが、風が吹こうが、動くことができない。与えられた場所で懸命に生きるしかない。だから精一杯梢を伸ばし、生きていこうとする。その市営に人は感動し、勇気でけられる」
これは、本の中で、専好が言った言葉です。
このような言葉を聞くと、生け花をはじめてみようかとも思ってしまいます。
生け花だけではく、人間の生き方に関わる深い言葉です。
「花戦さ」は、来年上映予定で映画化されます。
池坊専好を野村萬斎さんが演じます。
秀吉を市川猿之助さんが、千利休を佐藤浩市さんが、信長を中井貴一さんが、前田利家を佐々木蔵之介さんが演じます。
日本を代表する俳優陣が勢ぞろいといった感じです。
これは、映画館で観なければなりません。
鬼塚忠さんの現代小説や映像化されている作品をチェックしながら、来年の映画「花戦さ」を楽しみ待つことにします。
文庫の「花戦さ」の題字は、金澤翔子さん。映画の題字も金澤さんになればいいなと思います。
これほど、戦国時代を熱く、分かりやすく描いた作品はないと思います。
「花戦さ」この夏一押しの小説です。みなさんも是非お読みいtだければと思います。
鬼塚忠ファンの皆さん、お勧めの作品をお教えください。
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