4月上旬に、子どもが暮らすイギリス・ロンドンを巡りました。
この程、以下のエッセイが、山口民報に掲載されましたので紹介します。
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4月上旬、子どもが暮らすイギリス・ロンドンをパートナーと一緒に散策しました。中村久司著「観光コースでないロンドン」と、「経済」元編集長・友寄英隆さんが月刊学習(2022年6月号)に寄稿した「『資本論』をめぐるイギリスの旅」を導きの糸にして、ロンドンでのマルクスの足跡を辿る紀行を記します。
4月3日、大英博物館を訪ねました。マルクスが大英博物館にある図書館で学んだことは有名です。マルクスが読書した閲覧室一帯は、透明な屋根で覆われた『グレート・コート』と呼ばれる現代的な構造物に改修されました。「観光コースでないロンドン」に「『グレート・コート』には、マルクスが常に使っていた机も残っている」とあります。私は「グレート・コート」を訪ねましたが、マルクスの机を見ることは出来ませんでした。しかし、マルクスが学んだ大英博物館の迫力を実感しました。
「観光コースでないロンドン」に、ロンドン・ソーホー地区には、『ザ・レッド・ライオン』というパブがあり「このパブの2階で、1847年に、社会主義者同盟が結成した『共産主義者同盟』が第二回の国際会議を秘密裡に開いている」とあり、この会議に、マルクスとエンゲルスも参加し、翌年に、ロンドン内の印刷所で「共産党宣言」が印刷されたとあります。ソーホー地区は、今でもパブや劇場などが林立するロンドン屈指のエンターテーメント地域です。4月8日、ソーホー地区のソンドハイムシアターでミュージカル「レ・ミゼラブル」を鑑賞しました。
マルクス一家は、1849年から1856年まで、ソーホー地区に暮らしていました。そこから、大英博物館に通い「資本論」を書き上げたのです。マルクスが歩いたソーホー地区を私も歩いたことに感激しました。
マルクスは、1883年に亡くなるまでロンドンを離れることが出来ませんでした。晩年は、妻と子どもに先立たれ失意と闘病生活の中、3月14日に亡くなりしまた。マルクスの墓地がロンドン北部のハイゲート墓地にあることは有名です。
友寄さんの寄稿に「マルクスの最初の墓は、墓碑だけの簡素なものだったのですが、1956年、当時のイギリス共産党などによって、いまの大きな頭像の墓標が建てられ」た、とあります。友寄さんは、「おそらくマルクスは、新しい巨大な頭像のお墓よりも、このつつましやかな元のお墓の方を好んだのではないか」と書いています。墓には、マルクスとともに、妻のイェリー、四女エリノアも葬られています。
4月8日、ハイゲート墓地を訪れました。マルクスの最初の墓は訪ねませんでしたが、マルクスの頭像の墓標を訪ねました。墓標は私の身長を遥かに上回る大きなものでした。墓標には、様々な国の言葉で書かれたメッセージカードとともに、岩波文庫「共産党宣言」が供えられていました。日本をはじめ、世界中からマルクスの墓標を訪ねる人が後を絶たないことを実感しました。
ハイゲート墓地で配布されていたマルクスについてのパンフレットに、マルクスが亡くなった翌年3月16日にマルクスの死を悼む労働者のデモが行われ「5000人から6000の人々が横断幕を掲げ、トッテナム・コート・ロード沿いをハイゲート墓地まで行進した」とあります。
イギリス・ロンドンにあるマルクスの墓を訪ねる私です。
「観光コースでないロンドン」に、レーニンがロンドンを6回訪れ、1902年4月から翌年5月まで滞在した際に、政治新聞「イスクラ」を出版したことが書かれ、「その作業場所は、『20世紀プレス社』だった。そこは現在『マルクス記念図書館』になっている」とあります。友寄さんの寄稿に、この図書館に「レーニンの部屋」が残されているとあります。更に、友寄さんは、この図書館について「マルクスに関するものだけではなく、マルクス主義、労働組合運動に関する4万8000札の書籍、新聞、パンフレットなどとともに、貴重なポスターや宣伝物など膨大なコレクションが所狭しと収蔵されています。図書館というより、資料館というイメージ」と書いています。
私が「マルクス記念図書館」を訪れた4月8日は、休館日で、室内を見学することは出来ませんでしたが、職員の方から資料などを受け取ることが出来ました。いただいた資料を見ると、この図書館が労働者の学校として使われていることが分かりました。当日、生徒さんには開放されており、若い労働者にお会いしました。マルクス記念図書館が、労働者の学ぶ拠点として役割を発揮していることに感心しました。
5月10日、志位和夫議長を講師に、「いま『資本論』がおもしろいーマルクスとともに現代と未来を科学する」が開催されました。冒頭、志位議長は、欧州や米国で、いま「資本論」に新鮮な注目が集まり、米国では新しい英語版の発刊を契機に、「資本論」の読書運動が広がっていることを紹介しました。
私は、ロンドンでマルクスの足跡を訪ねた経験を生かし、「資本論」を学びなおしたいと強く感じています。
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