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山口県の企業立地に「地震少ない」「津波リスク低い」とある 見直す必要はないのか?

 1日の朝日新聞は、能登半島地震について次のように報じました。
 「石川県の地震リスクは小さいー。県が今年度発行したパンフレット『県企業立地ガイド』に掲げられているアピールポイントだ。県の冊子『石川100の指標』によると、都道府県別の震度1以上の有感地震の年間平均回数で1982年版以来、4半世紀にわたってずっと1~3位の少なさだった。長く危機対応の中枢にいた元県幹部は『それほど大きな地震や津波は起きない(安全神話)があった』と振り返る。」
 山口県が2021年9月に作成した「企業立地のご案内」には、山口県の立地環境の10のセールスポイントの4つ目に「リスク分散の適地」を挙げています。
 具体的には、地震は、「全国3位の地震の少なさ」としています。
 「下関地方気象台で震度観測記録が残る大正8年(1919年)以降の地震回数は914回であり、これは富山県(542回)、佐賀県(744回)に次ぐ全国3位の少なさとなっています。また、震度6弱以上の揺れが発生しておらず、震度5以上もわずか7回となっています。また、地震調査研究指針本部の公表資料(2018年6月26日公表)によると、今後30年以内に山口市で震度6弱以上の揺れが起きる確率は5.9%と、全国でも低くなっています。」としています。
 津波に関しても「津波リスクの低い地域」としています。
 「今後30年に南海トラフや北海道沖で巨大地震が発生する可能性は70~80%とされていますが、南海トラフの巨大地震による津波の影響について、山口県への津波予想は低いものとなっています。」としています。
 「地震のリスクは小さい」としていた石川県で、甚大な地震が発生しました。
 山口県も「全国3位の地震の少なさ」「津波リスクの低い地域」との「安全神話」を全国に宣伝している時でしょうか。
 政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、日本の活断層で起きる地震について、1月15日、最新の発生確率値を発表しました。
 30年以内に地震発生確率3%以上のSランク活断層が、県内関係で3つあります。
 広島県と山口県両県に影響する安芸灘断層帯(7.2程度 0.1%~10%)
 山口県に影響する菊川断層帯(中部区間)(7.6程度 0.1%~4%)
 山口県に影響する周防灘断層帯(周防灘断層帯主部区間)(7.6程度 2%~4%)
 これらの活断層による地震が、起こりうることが能登半島で証明されたのです。
 地震本部の調査で山口県の瀬戸内海側で二つのSクラスの活断層があることが分かったことを重視し、山口県は、「企業立地」の資料の見直しを行う時です。
 地震本部の資料には、能登半島の日本海側の活断層が記載されていません。
 MBS毎日放送の1月29日の記事で京都大学防災研究所の西村卓也教授は、地震調査委員会の調査について「まず陸地の主要活断層の評価を行い、海域の活断層の評価はあと回しになっていた」からだと指摘しています。
 西村教授は、「活断層の見つかっていない地域でも大地震が起こりうることは十分ありうる」と述べています。
 次に日本海側の地震についてです。
 この点では、数日前に、本ブログで、2014年に公表された「日本海における大規模地震に関する調査検討会報告書」を再度取り上げたいと思います。
 この資料のF43断層が、今回の能登半島に近いものです。
 この断層は、94キロとされていますが、実際に動いたのは150キロとされていますので、F43断層とともに周辺の断層が先導して動いたことが伺えます。
 山口県周辺に、F60、F59、F58の各断層があることがこの資料にあります。
 この資料にある石川県の断層が動き、甚大な地震を起こしたことを重く受け止め、日本海沿岸でも大規模な地震や津波が発生する可能性があることを山口県は重く受け止め、「企業立地」の資料の見直しと同時に、地域防災計画の見直しについても検討すべきです。
 能登半島地震を受けて、地震本部が指摘した県内のSクラスの活断層について、現在の地域防災計画での位置づけが妥当なのか再検討を行うべきではないかと感じます。
 この辺りを、今から、担当する県防災危機管理課に照会したいと思います。
 安全神話を捨てて、山口県で大きな地震が発生する可能性があることを想定し、県民の命と財産を守るハード、ソフトの対策を強化していくことが求められます。
 この立場で、しっかり発言していこうと思います。皆さんのご意見をお聞かせください。
 

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