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能登半島地震の教訓を生かした山口県での避難所整備を考える

 15日の宇部日報は、「無辺」で「能登地震避難と備蓄」と題して、次のように報じました。
 「能登半島地震から2週間たったが、この間、避難所ではさまざまなものが不足した。食料や水。トイレや燃料、医療スタッフ、災害ボランティア、さらに災害に関する情報の入手も困難になった。高齢化が進む上に、輸送路や通信システムの途絶、降雪に伴う困難、さらに元日の発災で帰省の家族も多く避難所では収容能力を超える人数を抱えるなど悪条件が重なった。不測の状態は今なお続いているが、災害がもたらす不測の事態に日頃の備えで十分なのか。確認の必要を改めて能登の被災地が教えている。ことに避難場所にどんな物資がどれぐらい備蓄してあるのか。基本的な情報を地域で共有しておきたい。災害列島と呼ばれる国内では避難所となる小・中学校をはじめ多くの公共施設で備蓄がなされている。ただし地域などによって備蓄の程度が違う。文部科学省が昨年8月に公表した2022年度末現在での公立小・中・高校の災害備蓄調査によると、全国の9割に当たる2万9856校が避難所に指定されている。学校で確保されている各種防災機能は通信設備や備蓄倉庫が全体の8割、飲料水の確保は7割強だ。半面で非常用発電機や冷房機器、断水時のトイレ対策は6割ほどだ。避難所に駆け込んでも、そこにある備蓄次第で避難者の運不運は決まるのが現状だ。県内の学校については飲料水確保は100%、断水時のトイレ対策は95%、冷房機器は80%と、いずれも全国平均を大きく上回る。ただ肝心な備蓄倉庫の整備は全国82%に対し69%、全国34番目と低い。備蓄倉庫には非常食や飲料水、簡易トイレ、毛布、発電機、照明器具、粉ミルクやおむつなど避難生活には欠かせない物資が備えられている。宇部市では小・中学校に加えて地域の市民センターなどの拠点避難所や俵田体育館、福祉会館、アクトビレッジおの、学校給食センター災害倉庫、北部総合支所などに物資が備蓄されている。ただし市が公表している施設ごとの物資の一覧では、例えば簡易トイレは1か所しかなくトイレットペーパーがあるのは拠点避難所だけだ。また公表されている情報は19年末と新しくない。避難情報を住民が共有しようとしてもあまり役立ちそうにない。地震や豪雨災害の可能性を考えるといかにも心もとない。常の備えを怠るまい。」
 記事にある文部科学省の2022年12月1日現在の「避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査の結果について」より、都道府県山口県の状況を見てみます。
 まず、「備蓄倉庫等」です。全国平均が82.0%、山口県は、69.7%。
 小中学校が、70.4%、高等学校が60.6%、特別支援学校が83.3%です。
 備蓄倉庫等は全国平均を大きく下回っています。高等学校の低さが目立ちます。
 次に「非常用発電機等」です。全国平均が73.2%、山口県が、85.9%です。
 小中学校が、85.5%、高等学校が87.9%、特別支援学校が100%です。
 次に、「飲料水の確保対策」です。全国平均が80.8%、山口県が100%です。
 次に、「冷房機器」です。全国平均が64.9%、山口県が、80.5%です。
 小中学校が、80.7%、高等学校が、84.8%、特別支援学校が50.0%です。
 文部科学省の2022年9月1日現在の体育館の空調(冷房)の設置率は、小中学校が、11.9%、高等学校が、8.1%、特別支援学校が28.9%です。
 山口県は、小中学校が1.1%、高等学校が3.0%、特別支援学校が13.3%です。
 避難所の体育館の多くは、空調(冷房)はないが、スポットクーラー等可搬式のものも含まれていると考えられます。
 山口県は、体育館の空調(冷房)の設置が大きく遅れています。避難所に指定してある体育館を優先させて、体育館への空調(冷房)設置を急ぐべきです。
 次に、「暖房機器」です。全国平均が79.3%、山口県が、88.6%です。
 小中学校が89.7%、高等学校が78.8%、特別支援学校が83.3%です。
 次に「ガス施設等」です。全国平均が73.3%、山口県が99.5%です。
 小中学校が99.4%、高等学校が100%、特別支援学校が100%です。
 次に、「通信設備」です。全国平均が82.9%、山口県が、89.2%です。
 小中学校が88.2%、高等学校が97.0%。、特別支援学校が100%です。
 次に「断水時のトイレ対策」です。全国平均が73.6%、山口県が、95.4%です。
 小中学校が96.5%、高等学校が93.9%、特別支援学校が100%です。
 その他のデータで気になるのは、避難所に指定されている学校における学校施設の利用方針の策定状況です。
 全国平均が68.9%です。これは、都道府県の内訳がないので、山口県として小中、高校、特別支援学校でどのような策定状況なのか県教委に質していきたいと思います。
 文部科学省は、昨年7月12日に、この調査結果を踏まえ「避難所となる学校施設の防災機能強化の推進について」とする通知を都道府県教育長に発出しています。
 県教委として、この通知に基づいて、県立学校における防災機能強化をどのように推進したのか、また、市町教委にこの通知をどのように周知したのかについて、県教委に質していきたいと思います。
 能登半島地震を受けて、避難所の体制強化が求められています。
 避難所に関する皆さんのご意見をお聞かせください。
 

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