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第68回日本母親大会 特別企画「みすゞの詩の合唱と詩の朗読・お話」でお話しました。

 昨日、第68回日本母親大会 特別企画「みすゞの詩の合唱と詩の朗読・お話」が行われ、私は、「ジェンダー視点からみすゞが『大漁』に込めた想いを考える」と題してお話をしました。

 日本母親大会特別企画に全国から参加された約600名の皆さんの前でお話しました。少し緊張しました。

 私は、お話をした内容は、以下の通りです。

 パワーポイントを使ってお話しました。スライドが見たい方は、私にご連絡ください。

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〇スライド1(表紙)
 「おいでませ、ふくの国 山口へ」。山口で生まれ・育った川柳作家の藤本一兎です。
 今日は、「ジェンダー視点からみすゞが「大漁」に込めた想いを考える」と題してお話しをさせていただきます。

〇 スライド2(はじめに)
私は、30歳のころから川柳作家の時実新子さんに師事し、川柳を始めました。現在、山口民報の川柳欄の選者などを務めています。
 現在、浄土真宗本願寺派山口教区会議員を務めています。
生きとし生ける全ての物に命があり、その命は平等であるという仏教の教えが、みすゞさんの詩のバックボーンにあると感じます。
仕事は、山口県議会議員を務めています。現在、6期目です。
 私の祖母は、みすゞと同世代に生まれ、みすゞと同じ山口で生まれ育ちました。祖母とみすゞが長門や下関ですれ違っていたかもしれません。
 地元でみすゞを見守り続けてきた一人のファンとして、感じたままのみすゞについてお話ししていきたいと思います。

〇スライド3(1、ジェンダーとは何か)
 「ジェンダー平等と女性のエンパワメントのための国際会議」=UNウイメンズのホームページに、
① (クリック)ジェンダーとは、特定の時代や社会が、男女それぞれにふさわしいと考える役割などをさします。その結果、意思決定の機会などに於いて、男女間に不平等などが存在している状態とされています。
② (クリック)ジェンダーの視点から、戦争前夜に生まれたみすゞの生きた時代を振り返り、みすゞが多くの詩から伝えたかった想いを考えてみたいと思います。

〇スライド4(戦争とジェンダー)
 原水協常任理事である川田忠明さんは「市民とジェンダーの核軍縮」という本で、戦争とジェンダーについて「戦争そのものが、女性と男性に異なる被害をもたらす。兵士による女性へのレイプなどの性被害も一例」と述べています。
① (クリック)みすゞが亡くなる5年前に治安維持法が公布され、みすゞが亡くなった11年後に、アジア太平洋戦争が始まります。
② (クリック)みすゞが生きた時代は、アジア太平洋戦争前夜のジェンダー不平等が広がる時代でした。

〇スライド5(みすゞの死とジェンダー)
金子みすゞ生誕120年記念の「別冊太陽」に童謡作家の西村祐見子さんが「金子みすゞの生涯」を書いています。
① (クリック)みすゞは、元夫が、娘・ふさえを引き取りに来る3月10日に26歳の短い生涯を閉じました。
② (クリック)みすゞが自死を選んだ背景には、「親権が父親にしかない」という女性が置かれたジェンダー不平等の時代がありました。

〇スライド6(4、「大漁」に込めたみすゞの想い)
 みすゞの代表作に大漁があります。
朝焼け小焼けだ大漁だ。大場鰮(いわし)の大漁だ。浜は祭りのようだけど、海の中では何万の鰮のとむらいするだろう。
 天台宗の僧侶の荒了寛(りょうかん)さんは、子どもの頃、和尚のおともをして「名誉の戦死」をした村の出生兵たちの弔いに出かけたそうです。
荒さんは、「雑花厳飾」(ぞうげごんじき)という本の中で、みすゞの目には、「やがて戦争にいたるこの世界の矛盾が見えていたのかもしれない」と書いています。
① (クリック)「大漁」は1926年に発表された作品です。戦争前夜の時代です。
② (クリック)「戦前」を感じたみすゞは、「戦前」にさせない想いで「大漁」を発表したのではないでしょうか。

〇スライド7(ジェンダーが戦前にさせない)
 核兵器禁止条約には「核兵器の破壊的な結果は、女性と少女に不均衡な影響を与える」とし、
① (クリック)2017年に成立した「核兵器禁止条約」に「女性の核軍縮への効果的な参加を強化する」ことが明記されました。
② (クリック)女性が平和と軍縮の分野で効果的に参加することが、「新しい戦前」にさせない確かな力です。

〇スライド9(おわりに)
 みすゞの代表作に「私と小鳥と鈴と」があります。
 私が両手を広げても、お空はちっとも飛べないが 飛べる小鳥は私のように、地面(じべた)を速くは走れない 私がからだをゆすっても、きれいな音はでないけど、あの鳴る鈴は私のように たくさんな唄は知らないよ。鈴と、ことりと、それから私、みんな違ってみんないい
 漫画家のちばてつやさんは、「この詩には、大きくて普遍的な愛を感じ」ると書いています。
① (クリック)相手をリスペクトする包摂と対話の世界をつくる上で、大切なメッセージがあると思います。
② (クリック)2011年にノーベル平和賞を受賞したリベリアの平和活動家、レイマ・ボウィさんは11月に東京での演説会で「これまで平和活動に携わってきたのは、大抵、スーツ姿の男性ばかりだったが、世界が求める平和を実現するためには、女性を傍観者にしてはならなく、大きな原動力として考えなければならない。女性の粘り強さが必要であり、女性なしに平和はありえない」と語りました。ロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガザ攻撃など紛争が絶えない今、「みんな違ってみんないい」みすゞの詩を世界に広げ平和な世界を実現してまいりましょう。世界の平和を築く、その主役は女性の皆さんです。

・・・

 2部では、作家の松本侑子さんが、「金子みすゞの生涯と詩とジェンダー」と題してお話をされました。

 松本さん、山口県でお話いただきありがとうございました。

 これからも、地元から、金子みすゞの詩の今日的意義を考え続けていきたいと思います。

 金子みすゞについて話をしてほしいという方は、私に連絡ください。

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